死刑囚坤音レキ   作:>∆<

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靴選びの時間

「いやでも、こっちのほうが──」

「確かにそうかもです。だとしたら──」

 

 いくつかのシューズが持ってこられてはそれについて白熱した議論が交わされている。その傍で椅子に腰かけたままそんな二人を見守る先生。

 ただ、少しだけ気まずそうにしていた。

 

「先生の着ている服装と似合うには──」

「でしたらここの部分が──」

 

 気まずい理由は明白。先生は二人に比べシューズへの興味が薄いからである。二人ほどの熱量を持っていないからである。なんか軽はずみで言っちゃったことで真剣に考えてもらって申し訳ない、と思ってしまったからである。

 

 確かにシューズの新調はしたいという思いがある。そしてこの店はそれをするには最適なことも雰囲気から理解している。

 

 だがここまで熱心に悩まれるとは思っていなかったのだ。精々二、三種類程度を履き比べて決定するものだと考えていただけに、比較対象シューズの個数の桁が一桁後半から二桁へ突入した段階から気まずさが大分強くなってしまったのだ。

 

 無論、先生も最初はかなり嬉しいという気持ちが強かった。当然だろう。今まで先生に対してそこまで関心を持ってなかったレキが、こうして先生のことを考えてくれ、なおかつ友人のニツと一緒になって選んでいたのだから。

 

 しかし段々と時間が経つにつれ、先ほど言ったような申し訳なさが勝ち、気まずいという感情が強くなってきていた。

 

「"えっと……どう、かな? 決まりそう?"」

「十足には絞れた」

「もうちょっとかかりそうです」

「"そ、そっかぁ"」

 

 先生に急かしたり、好意を無碍にするという選択肢はない。ただ、申し訳ないという感情に襲われているだけなのだ。そこまでしなくても大丈夫だよ、と伝えたくても伝えられないだけなのだ。

 

「……うぉ」

「まーた何かやってる……」

「公共の場で縛りプレイ……キクわねぇ!」

「"あ、おかえ……"」

 

 そんな時、ミリツィアの二人とマコの帰還。

 何故かマコに至っては、ロープでぐるぐる巻きにされている。そんな状況下でマコは興奮していた。

 

「"えぇ……?"」

「あぁ、またこいつが変に動くと面倒だからな」

「構わないでいいよ、センセ」

「"……そうかな? そうかも……"」

 

 マコも先生にとって生徒に一人だ。大切にしなければという思いに反して、無碍にすると喜ばれる。もはやこれが正しいのではないかと思えるほど。

 喜んでるならいいじゃないという気持ちと、こんな扱いをしちゃいけないという二つの思いがぶつかり合う。

 

 結果、前者が勝った。これ以上考えないようにしようとしてるのか、マコから目を逸らし始める。

 

「"……それにしても、ちょっと遅かったね? 何かあった?"」

「あぁ、こいつから()()()()()を貰えてな?」

「"……なるほどね?"」

 

 リスの表情、露骨に協調した『面白い話』、この二点から先生は察する。『火の海事件』に関するものであると。となれば、少し長めの時間は欲しい。

 

「"ねぇ二人とも、度々で申し訳ないけど、時間的に言えばあとどれくらいかかりそう?"」

「一……二時間?」

「もっとかかるかもです」

「"オッケー、ありがとう"」

 

 たっぷりある。というか、十足から一足へ絞り込むのにそこまでかかるものなのか。流石にガチ過ぎないであろうか。ここまでくれば、逆にどうやって絞り込むのか気になるところではある。

 

 だがまぁ、それら以上に気になる話をこれからするのだが。

 

「ピコ。すまないがあいつらとコレ、頼む」

「えぇ……あっちはニツがいるからいいとしてさ、あーしがコレ見るの? マジ?」

 

 嫌そうに指さす先にはブツブツ呟きながらご満悦の表情でくねくねしてるマコ。まるで釣り上げられた魚。縛られてるはずなのにどこかいつもより元気そうである。

 

「今のところ自分の世界に入ってて帰ってきてないし……多分放っておいて大丈夫だろ。なんかあったときの保険として一応見といてくれってことだ」

「……まぁ、いいけどさー」

「"ごめんね、ピーちゃん"」

「気にしないでよセンセ。ほら、情報共有しときなー」

 

 二人と少し距離を取って監視を開始するピコ。話声にさえ気を付ければ、ピコに話の内容が届かないであろう絶妙な距離にいる。

 

「──じゃ、先生。始めようか」

「"……うん、時間はたっぷりあるからね。お願い"」

 

 

 ────

 ──

 ─

 

 ──時間は少し遡る。

 

「……火の海事件の」

「死者と行方不明者?」

 

 拒否反応を示し始めたピコと、露骨に興味を持ち始めたリス。対照的とも呼べるこの反応。

 これを受けてマコは一旦この方向への発言を一旦やめた。

 

「……あんまりよくない話しちゃったかしら?」

「ん? ……あぁ」

 

 リスはピコの様子を見てすぐに気が付いた。

 

「ピコ。ダメそうなら先に戻っててもいいぞ。あっちにゃ先生もいるし、ここで話を聞くよりは──」

「……ねぇボス」

 

 リスの言葉を遮り、ピコが言葉を出す。

 

「火の海事件……本当に何かあるの?」

 

 それは、色んな状況を踏まえての発言であった。

 

 最初はリスが勝手に調べてるだけだと思っていたピコ。

 事実は世間で言われているものと大差ないとはずなのに、何故か資料を集めたりシーノヴォからヴァルキューレに行った生徒に話を聞いたりと、一時期は暇さえあればそんなことを繰り返していた。

 

 しばらくするとそれらは鳴りを潜め、ミリツィアでの活動をメインでするようになってからは、やはり今までのは終わったんだと思っていた。

 

 だがつい最近ミリツィアに訪問してきた先生が火の海事件について尋ねてきたり、その後リスの部屋にて結構長く議論をしていたりと、もしかして終わっていないのではと思えるには十分すぎる要素があった。

 

 それがあってのこれだ。

 ここまでの材料があれば、流石に理解できる。まだ、続いているかもしれないと。

 

「……そうだな。まだまだ不明点が多すぎる。少なくとも、世間で言われているような火の海事件が全てじゃないはずだ」

「それを解明してどうするの? 坤音レキがシーノヴォを壊滅させた、これは事実じゃん。それとも何、真犯人がいるとでもいうの?」

「そういうわけじゃない。まぁ言ってしまえば、自己満足だ。あんなんだったが、一応シーノヴォは故郷。その故郷が滅びた理由を全部知っておきたいってのは間違った感情じゃないだろ?」

「そうかもだけど……」

 

 終わったことにしたいピコ、そして謎を明らかにしたいリス。両者本当に対局の存在。根本が異なるため、交わることは決してないであろう。

 

「だから、無理はするな。これからの話はあくまでオレが興味あるから聞くんだ。無理に聞く必要な微塵もない」

 

 故に、リスはピコを遠ざける。仲間として、友人として、ピコには心は安らかにして過ごしてほしいから。無理に心を病ませる必要はこれっぽちもないのだから。

 

「……分かった。店の前まで戻っておく。店主には申し訳ないけど、他の客が入らないようにしとくよ」

「目撃者は少ないほうがいいというわけだな。すまん、任せた」

 

 ピコが離れて行ったのを確認してから、マコのほうを見る。

 

「──さて、またせたな」

「うふふ、ちょっとした放置プレイみたいで楽しめたから大丈夫よぉ」

「……お前、すげぇな。まぁいいや、聞かせてくれ、その話をよ」

 

 

【第十三話:情報】

 

 

「まず大前提だけど、レキ様が何故死刑になったのかわかるかしら?」

 

 本題に入る前の導入といったところだろうか。マコからの問いかけがやってくる。

 

「……坤音レキを排除したいからじゃないか? 治安維持委員会、ゾロフ、連邦生徒会三つの戦力を一人で退け、尚且つシーノヴォという自治区を破壊しちまった。

 そんなやつ、生かしておくと危険だって判断してもおかしくないだろ。それに、一自治区を破壊したってだけで死刑に値してもおかしくない気がするが」

「正解。だけど、少しだけ中身が違うわ」

 

 指でバッテンを作り、不正解であることを示す。そのまま続けた。

 

「正確には【人を殺したから】よ」

 

 マコの口から告げられるただ一つの理由。

 すぐにリスはこれを理解する。

 

「……なるほどな? 坤音レキを排除したい一番の理由は、キヴォトス唯一の殺人者だからってわけか」

「流石、委員長様は優秀ねぇ」

 

 このキヴォトスは銃社会である。故に治安こそ悪いものの、無法ではない。

 

 大量の不良が発生しており治安が酷いにも関わらず、何故『キヴォトス』の形を維持できているのか。

 それは『人を殺してはいけない』という倫理観が皆にあるからこそ成り立っているに他ならない。

 

 キヴォトスの人間は頑丈である。それこそ銃弾を食らっても跡が残るだけで済む程度には。だからこそ撃ちあいが発生するのだ。その程度では死なないから。

 

 どんな不良でもそれ以上の争いは行わない。相手自分に関わらず死に近づけていく行為は無意識の内に避けるもの。

 

 だが、レキは一線を超えた。死を生み出してしまったのだ。

 

 だからこそ、レキは死刑囚となった。

 生み出してしまった死の罪を、犯してはいけないことをやってしまったことを、レキ自身の死をもって償わせるために。

 

 殺人を犯した異端者を、キヴォトスから消すために。

 

「……そこは理解した。んで、それが何なんだ?」

「せっかちねぇ。話の順序くらいはこっちで決めさせて頂戴な」

 

 まだまだ話は終わらない。もう少しだけ、アイスブレイクは続く。

 

「ところでだけど、火の海事件の()()()()()は知ってるかしら?」

「勿論だ。そこに関しては報道もされてるし、資料も持っている」

「さすがね」

 

 過去最大級の事件としてキヴォトス全土で語り継がれてる火の海事件。名の通りシーノヴォが火の海と化した面もあってその名がつけられているこの事件だが、その被害者の数も一番だ。

 

 示すならば、かなり大きい自治区の人口に匹敵するほど。シーノヴォだけでなく連邦生徒会の一部も被害者として含まれているため、ありえなくはない数ではあった。

 

「じゃあ聞くわ。()()()()()()()()()()()?」

「それは……」

 

 リスは考える。だが、思い付かない。火の海事件に関する出ている情報に関しては殆ど把握しているはずなのに。

 

「出てこない。それが普通よねぇ」

 

 出てこない。そう、出てこないのだ。

 火の海事件は最大級の事件。その被害者も最大。しかし、その内訳は出ていない。

 

「だけどレキ様は殺人の罪に問われてる。つまりレキ様が誰に対してそういう行為を行ったのかは、はっきりしているはずよね?」

「それはそうだな」

「だから調べてみたの。結果がこれよ。コピーは取ってるからそれはあげるわ」

 

 A4一枚の紙。たったそれだけの大きさの紙に、死者の情報が詰まってることに驚きつつ、リスは受け取る。

 

「──は?」

 

 思わず、声に出てしまった。

 記載されている名前は、圧倒的に少ないのだ。

 

「……これ、本当に信頼できる情報なのか?」

「それは信じて欲しいとしか言えないわねぇ。ちょっとした裏技で得たものだから、情報源は言えないのよぉ」

「こういうのを数で言うのが良くないことは勿論分かっているが……少なすぎないか?」

 

 ぎっしり詰まっているわけではない。むしろ空白がかなり多めである。あれだけ大規模の事件だ。もっといてもおかしくはないはずなのに。

 

「あら、そこに関しては多少覚えがあるんじゃないかしら? 覚えてなぁい? ほら、避難指示があったでしょ?」

「確かに出した記憶はある……ゾロフからも一般人に危害が及ぶかもということも言われていたしな。ゾロフが治安維持委員会に要請を出すだなんて異例だったということもあるが」

「その結果、多くの命が救われた。だからこの程度で済んだのよ」

「……」

 

 少しだけ、目を瞑り胸に手を当てるリス。思うところがあるのだろう。こみ上げる気持ちも出てき始めてる。

 だが今はそれに浸るときではない。なんとか押し殺し、傾聴の姿勢に戻す。

 

「……すまない。続けてくれ」

「……えぇ。

 さっきも言ったけど、それは要因の一つ。他にもあるわ。その資料だけで収まっている理由が。

 それも多少思い当たるところと思うのだけれど……?」

「……」

 

 再び問いかけ。これに対してリスは思考する。自身の当時の火の海事件への対応と、このリストの関係を。

 

 あの時の戦闘の状況を。

 

「──ッ!」

 

 答えは、ふっと降りてきた。

 

 

「……誰も、死んでない」

 

 

 思い返せばそうなのだ。治安維持委員会、ゾロフ、連邦生徒会というレキと真っ向勝負をした者らは誰も死んでいない。

 死というものが遠いということも関係しているのだろう。その発想に至るのに少し時間がかかってしまったようだ。

 

「いや待て。なんで死んでいないんだ? これが良いことなのは間違いない。だが、あの時あの瞬間の坤音レキは言ってしまえば無敵だった。オレたちを殺せたはずなんだ。なのに、なぜ……?」

「そうなのよねぇ。戦闘開始以降、レキ様と直接対面した人の中に犠牲者が見当たらないのよ。そのリストに載っているのは、戦闘開始以前のものと言っていいはずよ」

 

 避難指示が出されたということもあり、一部の治安維持委員会のメンバーはゾロフと協力し避難を円滑に進めるための対応をしていた。つまりほぼ避難が完了した、という段階で総力戦が開始されたのだ。

 

「もっと言ってしまえば、それはレキ様の被害者()()()()者たちのリストなの。

 言い方を変えれば、ただの行方不明者というわけね。遺体は見つかっていないし」

「何……?」

「だけどこのリストは、『火の海事件』……そして『坤音レキによる犠牲者』という名目ではあったわぁ」

 

 レキによって殺された者たちのリストではなく、本質は事件による行方不明者のリスト。

 

 これによって大きくその意味は異なる。

 

「待ってくれ。だったらここのリストに書いてるのはあれか? 直接坤音レキが殺した証拠はなく、事件以降目撃すらされていないだけ、ってことじゃないか?」

「鋭いわねぇ。そういうことになっちゃうわぁ」

 

 もっと言えばここに載っている者は火の海事件以外の要因で行方不明者となった可能性もある。ただ単純に失踪の時期が重なっただけであるとか、不慮の事故に遭ってしまったりしたなど。

 

 マコの言ったように遺体などは見つかっていない。そのため死んでいるかどうかも不明。

 

 つまり、坤音レキがそのリストに載っている者らを殺したという明確な証拠は現状ないのである。

 

「……なのに、このリストが坤音レキによる犠牲者のリストとされている」

 

 明確な証拠がないならば、殺人を犯したとははっきり言えない。しかし現実として、マコの持ってきたリストはそう名乗っているし、レキは殺人の罪に問われている。

 

 リスはただただ混乱してきていた。

 

「あとねぇ、仮によ? 仮に世間で言われている火の海事件が真実だとしても、疑問点はそれはそれで出てくるのよねぇ」

「……そうだな。このリストには"こいつ"がいるからな」

 

 リスが指し示す先にある名は、『坤音ルキ』。

 

 現死刑囚坤音レキの双子の姉である。

 

「何でも屋の二人組『ネンコファミリー』の噂はたまに聞いていた。そこに坤音レキと坤音ルキがいることもな。この二人が不仲であれば多少説明は出来るが……?」

「ないわね。アタシがストーキングした範囲内では仲良さげだったもの」

「……ここでお前を捕まえたほうが世のためじゃないか? まぁ、それは後ででいいか」

 

 被害者の一人としての坤音ルキ。仮にレキによって殺害されたとしても、その動機が一切ないのだ。何せ、この二人の仲は良好であったとのことなのだから。

 

 証拠はなし。動機も不十分。だがレキは死刑囚。

 

 矛盾したこの状況。ここでマコは一言、これを解決し得る単語を告げた。

 

「……見込み殺人」

「!」

「名付けるなら、そんな感じよねぇ。今の状況」

 

 殺人をしたであろうという"見込み"。

 現状、これによって坤音レキが殺人犯になった可能性が一番高いと言えそうだ。

 

 とはいえ、自治区を破壊したというのは事実。それは多くの者に目撃されているのだから。

 それほどの力があるならば、発生した瓦礫などで何人かを殺めていてもおかしくない。

 

 そういう思考のもと、レキには殺人罪が適応されてしまったという可能性がある。

 

「もしこれがホントにそうなら、キヴォトスでの殺人に関する法の整備が進んでないからこそレキ様を死刑にすることができたって感じよねぇ」

「……法整備、か」

 

 人を殺す、もしくは殺した可能性が高い坤音レキの排除。ここで殺しておけば以降坤音レキによる被害者は出ない。

 そう判断した上での死刑なのだろう。

 

 殺人の法整備があまり進んでいなかったからこそ、曖昧な証拠でも死刑に持っていけた。道筋は汲み取れる。

 

「あと、最後になんだけれど」

「……なんだ?」

「死刑の決定打となったのは何か知ってるかしら」

「決定打……裁判のことか?」

 

 一応、坤音レキには裁判にかけられていた。流れとして、法の裁きを受けたということなのだ。

 

「そう。まぁこれくらいは調べてるわよねぇ」

「少なくともその情報は公開されているからな」

「うふふ、そうねぇ。じゃあ証言者の身元は分かってるかしら?」

「あー……確かゾロフの──ッ!」

 

 そこまでも公開はされている。

 

 故に気が付けた。多くの証言者が、ゾロフ側の存在であることに。

 

「ゾロフは一体何なんでしょうねぇ。良いことしかしていないのだけれど、なんだかんだC()E()O()()姿()()()()()()()()()、底が見えないというかなんというか……。

 一見普通に犯罪を犯した人を裁いてもらうために証言をしたとも出来るけれど、レキ様を死刑にしたかったっていうようにも見えちゃうのよねぇ」

「……」

 

『レキを死刑にしたかった』という発想はリスの中になかった。その言葉を分解していく。後に先生と情報共有する際に、キーワードになる気がしたためだ。

 

「……とまぁ、アタシが調べたのはここまで。

 分かったことは、世間での真相だった時の違和感が凄いということね」

「いや、十分だ。というか、本当にこれどこから持ってきたんだ……? 少なくとも、オレは見付けられなかったんだが」

「うふふ、それはねぇ……?」

 

 マコは両手で軽くタイピングのような動作をする。

 一発で内容を察することができた。

 

「……お前がそんなんじゃなければミリツィアにスカウトしたんだがなぁ」

「あら、差別っ?! よくはないけどこれもこれで」

「いやちげぇよ。ミリツィアには合わねぇっていう区別だ」

「あぁいやでも、敢えての言葉攻めってことよねぇ。だとしたら──」

「……ダメだこいつ。とりあえずそのままだとあれだし、縛っておくか」

 

 

 ─

 ──

 ────

 

 

「と、まぁこんな感じだな」

「"……なるほど、ね"」

 

 ゆっくりと吟味していく。手元にあるのはリスから譲り受けた件の資料。脳内には今手に入れた新たな情報の数々。

 

「オレの方でもさらに深く調べてみようと思う。先生は……」

「"ゾロフだね。分かってるよ"」

 

 近日に控えたゾロフへの監査。

 改めて、ゾロフという組織がどういったものなのかをはっきりさせる必要があるとして、先生は決意する。

 

 兎にも角にも、ゾロフは火の海事件をキーを握ってることに違いはないのだから。

 

「──よし、これにしよう」

「かなり早く決められましたね!」

 

 同じタイミングで、二人のシューズ選びも完了した様子。なんと丁度良いことか。

 

「さあ、先生。これ」

「是非とも履いてみたりしてください!」

「"うん、二人ともありが──"」

 

 

 ガッシャァァン!!

 

 

 突如、入口辺りから轟音。

 

 全員の意識がそちらに向けられる。

 

 

「おうおうおう! くつくつヘルメット団参上だぁ!!

 さぁ、大人しく新発売のシューズを差し出して貰おうかぁ!!」

 

 

 

【次回→第十四話:帰還】




次、次こそは……
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