死刑囚坤音レキ   作:>∆<

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気が向いたらぜひ


ダンスの時間

 いつも通りの日常。趣味で時間を潰すだけの日々。今日は"飽き"を感じてはいないようで、シューズの雑誌を読みふけっている。

 よく見れば雑誌は最近のものである。一体どこで手に入れてきているのだろうか。

 

 ──ぺらり

 

 ページが進む。一ページ一ページには雑誌であるためか、そこまで大量の情報があるというわけではなく、加えて見やすさ重視もあるのかすぐに粗方の内容を掴めてしまう。

 しかし写真に写る靴をじっくり見続けている。ただ眺めるだけではなく、もしかしたら全体像の想像なんかもしているのかもしれない。

 

 ──ぱたん

 

 ここで一旦雑誌を閉じる。休憩、といったところであろうか。

 まぁ時間的にもいつもの行動そのもの。この流れが続くようであれば次はシューズ磨きのフェーズにいく。

 それに至ろうとする動作もいつも通り過ぎて何でもないものの──はずだった。

 

 ──タタンッ

 

 空間内に音が鳴り響く。発生源は彼女の足元。もっといえば、現在履いている靴と床が接触したことで生まれた音だ。

 ただそれだけ、それだけなのだが……少しの間、彼女は自身の足元を見つめていた。

 

 ──タタンッタンッタタンッ

 

 今度は意識して足を動かして音を鳴らす。これにもどこか感じるところがあったらしい。じっと足元部分を見続けている。

 

 ──がちゃり

 

 すると、いきなりケースを取り出して開く。ここでいつものシューズ磨きの流れへと戻る……というわけではなさそうだ。

 

 一つ目に取り出されたのは特別そうな木材。厚みはそこまでで面積が大きく、天井などで用いられそうだ。明らかにこれのほうが大きいはずなのに何故ケースから出せたのかは謎である。

 そして二つ目は黒のシューズ。底の爪先部分、踵部分は金属の板が付いている。勿論手入れはされているが、他のに比べると使用された形跡が見える。

 

 ──コトリ

 

 計二つを取り出した彼女はある準備を開始する。木材を床に設置し、黒のシューズに履き直す。準備は以上。

 

 そのまま彼女は木材の上を歩いていく。同時にコツコツと心地の良い音が鳴り響く。慣らしは終わったようだ。

 

 ──トン

 

 そう、これから彼女が始めるのはタップダンス。習得は完全独学。あくまで趣味の範疇。

 加えてシューズコレクターというこれ以上に優先されるものはないというほどの趣味も共存しており、基本的にタップダンスは後に回されがちのため、今日みたいにふと思い出したときにしか行われない。

 

 だが、そこから奏でられる音は決して初心者とは言い難いものであった。

 

 ──タタタンッタッタタンッタッタタンッ……

 

 タップダンスとは、全身運動。舞うことで音を創り上げていく。

 

 彼女の脳内には奏でる音は存在しているかのようで、規則性が感じられる。脚の動きは激しめであるが、雰囲気はどこかゆったり。落ち着いてしまう。

 

 ──タタン! タッタッタタン

 

 最初から奏でるベースの音を維持しつつ、他の音を追加していくことで曲調をじわじわと変化させていく。

 

 やはり無表情のまま。疲れが一切見られない。しかし手を抜いている様子もない。

 

 ──タタタタタンッ!

 

 ここからが大サビ。『主よ、人の望みと喜びよ』を彷彿とさせる旋律を足だけで奏で始める。無論ベースはそのままに。元の曲調よりも随分と明るく仕上がっている。

 

 激しく、とても愉快。聞き心地も非常によく、いつまでも聞いていられるようである。

 

 しかしやはり、終わりというものは訪れてしまうというもの。

 

 ──タタタタタ……タタタンッ!

 

 これにて、閉幕。

 

 静寂が訪れる。しばらくの間時間が止まったかのよう。

 

 余韻が、強く残っていたのだ。

 

 ──ふぅー……

 

 少しして、息を吐く彼女。結構激しめであった運動だ。それ故であろう。

 

 ケースからタオルを取り出し、汗を拭いていく。

 

 今回の演奏は誰にも聞かせる予定などなく、ただ彼女がやりたくなったからやっただけの自己満足に近いものである。しかしクオリティは自己満足で終わらせるには勿体ないと呼べるものであり、なんならお金が取れちゃいそうなほどだ。

 

 しかし、彼女にはそんなつもりはなさそうである。

 あくまで彼女のメイン趣味はシューズコレクターのほう。気分が乗ったらやるという程度でしかないタップダンスを他の人に聞かせるということは頼まれてもやらなさそうだ。

 現に彼女は、無表情でこそあるものの満足していそうなのだから。

 

 だが、ここは連邦矯正局。めちゃくちゃ自由に生活してるが、一応彼女は死刑囚であり、生活を管理される存在なのである。

 

 そこで生活している彼女が、誰にもこのタップダンス風景を見られないかというと、そんなわけがないのだ。

 

 ──バッ!

 

「ヒッ!」

 

 人の気配を感じ、シールドの方を見る彼女。勿論そこには看守がいた。だが、目付きからいつもの看守ではないことが分かる。いきなり自分のほうを向いた彼女に凄くビビっているようだ。

 

「ぁ、え、えっと、その……」

 

 じっと、看守は見られ続けている。

 何か言わなければダメだ。しかし下手なことも言えない。この二種類の思考が看守を支配していた。

 

 そして、看守は意を決して発言する。

 

「よ、よかったです! とても!!」

 

 ある意味、心からの感想であった。肯定するようなことを言うべきという思考もあったのは確かではあるが、それでも言葉に偽りはなかった。

 

 これを受けても、彼女は固まったまま。別の静寂が訪れていた。

 

 また何か言わなければ、と看守が別の言葉を発しようとした次の瞬間。

 

 ──のそり

 

「……あ、え?」

 

 ベッドに横になり、昼寝の姿勢を作る彼女。既に目を瞑っており、夢へと旅立つのも時間の問題であろう。

 

「……た、たすかった……? よかった……」

 

 とりあえず自分が無事であることに安堵した看守。

 

 それ故に、最後まで気が付くことは出来なかった。

 看守のところから見える彼女の両ウサ耳が、いつもよりも赤みを帯びていたということを。

 

 

 

 ────────

 

 

 

「せんせー、ここなんだけど」

「"あぁうん。……なるほど、これはね──"」

 

「先生! なんでここ、この答えみたいにならないか分かる?」

「"ん? あぁこれかぁ。なら多分ここの途中式が──"」

 

「あっ、あの。この【2x-3y=3】って解けなくないですか?」

「"ちゃんと解けるよ。まずは一旦その式を満たす具体的なxとyの値を考えてみると──"」

 

「先生、ここのベクトルの問題ってどうアプローチしていけばいいんでしょうか?」

「"ここね。まずは問題文から分かる情報を使って、視覚的に分かるように図を──"」

 

「あのすみません、この行列式の値ってどうやって出せば……」

「"これは……ってあれ、これ聞いてた範囲内じゃなくない?? 

 ……まぁいっか。とりあえず、行列式の計算則を使ってみて──"」

 

 

 ────

 ──

 ─

 

 

「お疲れ様ー、センセ」

「"う、うん……ありがとう"」

 

 ミリツィアの施設に到着し、所属生徒に勉強を教えるという依頼を開始して数時間、先生はソファでぐったりしていた。勉学の時間は終了し、今は休憩時間。つまり先生が担っていた今日の役目をほぼ果たしたと言える状態だ。

 

 そんな先生に対し、今日の依頼者の一人の宇江野ピコは労いの言葉と共にホットコーヒーを差し出す。

 ふーっと、脱力しながらコーヒーを飲んでゆく先生。じわりとコーヒーを全身に馴染ませていくように。

 

「"あー……おいしい"」

「ありゃー、相当疲れてるみたいねセンセ……」

 

 こうなった原因としては、勉強会にて理解してもらいやすい説明に苦労したとか、今回教える内容が単純に難しかったりしたとか、何故か聞いていた範囲外の質問をされてしまったとか、そういう要素も含んでいる。

 しかしそれ以上となっているのは数。割合で言えば、教える側と教えられる側はおおよそ8:2。もともとそうであったところに大人である先生が追加されたからとは言え、雀の涙程度にしかならない。

 

 だが、先生はやりきったのだ。今日教えて欲しいと頼まれた以上の範囲を、任された生徒の分だけ教え込むのに成功したのだ。

 

「いやー、本当に今日は助かったよ。なにせ今日の範囲は完璧に理解出来てる人が少ないからねー」

「"確かに難しい内容だもんね。思い出しながらだったから上手く教えられてるといいんだけど"」

「えー、そうだったの? 自信持って教えてるように見えてたし、すごいなーって思ってみてたんだけど」

 

 事実、先生は今回の指導において全く詰まったりはしていなかった。多少教科書を確認したりすることはあったものの、基本は投げられた質問に対して即座に道を示し続けていた。

 仮にそれは知識があったとしても中々出来る事ではない。ピコはこれに関心していたのだ。

 

「"そりゃ生徒の前だからね。不安そうにしてたら皆も不安になっちゃうでしょ?"」

「そりゃそっか。でもそれ、あーしに言っていいことなの?」

「"ピコは教えてた側だし、しっかりしてそうだからね。あ、でも出来れば内緒でお願いね?"」

「しーっ、だね? 安心してよセンセ。あーし口は堅い方だしねー」

 

 互いに口元に人差し指を持っていきジェスチャー。そしてにこりと笑みを浮かべる。

 こうして出会ったのは今日が初めてではあるが、共に今日の指導の場を乗り切った戦友でもある。仲良くなるのは必然であった。

 

 周りからはがやがやと多くの生徒らの話し声が響き渡っている。人数相応と言ってもいい賑やかさだ。

 

「"皆元気だね。ミリツィアは普段からこんな感じ?"」

「んーん、たまたま今日がそういう日ってだけ。いつもは他の支部に散らばってるからここに居る人もっと少ないし、それぞれ訓練とかしてるよ」

 

 ミリツィアは自治区間関係なく人を歓迎している組織である。そのため各地に支部が存在している。

 ちなみに今現在いるここは、本部である。場所は比較的大きいため、主に今回のような大人数集めての勉強会が定期的に行われている。

 

「"訓練?"」

「ボスも言ってたけど、ここって自警団的組織ではあるからさ。最低自衛、最高で暴動制圧くらいが出来るように訓練をしてるの。もちろん希望制だよー。嫌なのに無理やりってのはダメだからね」

「"へぇ、しっかりしてるなぁ"」

「センセも参加する? 銃社会のキヴォトスだし、自衛は出来てた方がいいかもよ?」

「"あはは、そうだね。纏まった時間が出来たらお願いしてみようかな"」

「おーいいねー。一応センセ用に訓練考えておくよー」

 

 雑談は進んで行く。結構な大仕事であったためなのか、その疲れを癒すかのようにぽんぽんと話が展開していっていた。

 しかしここで打ち止め。ピコの方があることに気が付いたためだ。

 

「あっ、そういやセンセ、何か聞きたいことあるって言ってなかったっけ。ほら、シーノヴォについての」

「"あ、そういえばそうだったね"」

 

 ここで先生、思考を戻す。ニツからの受けた依頼をこなすという決意をした先生の思考へと。

 

 さて、目の前にいるのは元シーノヴォ生の一人。加えてシーノヴォの『治安維持委員会』に所属していたともいう。名前からして内情にはかなり詳しいはずだ。

 

「"うん、それじゃあ……『治安維持委員会』についてから聞かせて貰おうかな?"」

 

 

【第六話:一致】

 

 

「『治安維持委員会』ってのはもう名前のまんまで、シーノヴォの治安を良くして維持しようって委員会。他の学園で言えば、ゲヘナの風紀委員会とか、トリニティの正義実現委員会に近いかな」

「"なるほどね"」

 

 概ねイメージ通り、と言ったところ。自治区が異なるだけで、役割はほぼ同じのようだ。

 

「シーノヴォを知ってたセンセなら知ってるかもだけど、あそこは昔から治安最悪でねー。すーぐ戦闘が起こっちゃうある意味魔境。ゲヘナも酷いって聞くけど、多分シーノヴォのほうがヤバかったと思うね。それを沈めようってことで発足されたんだ」

「"具体的にはどんな活動をしてたの?"」

「暴れてるやつらの制圧だったり、怪我した人の治療や保護とかだねー。あとは暮らしの援助とかかな。人によってはめちゃくちゃ住みにくいって自治区だったと思うからね」

 

 やってることは然程ミリツィアと変わらなさそうだ。しかし、ミリツィア以上に戦うことが求められそうでもある。加えてシーノヴォが崩壊するまでの間ゾロフの件を除き治安が良くなったという話はない。

 やってもやってもキリがないという状態は人によっては大分きつそうだ。

 

「"……大変だったんだね。ちなみに、シーノヴォの政治をする人……生徒会とかは何をしてたの?"」

 

 自治区というからには、取り仕切る存在がいるはずだ。しかし、これまでの話ではそんな存在は出て来てない。

 

「んー、生徒会ねぇ……いたにはいたんだけどねー」

 

 これに対しての反応からみるに、代々察しはつく。

 しかしそこについてはシーノヴォを知ろうとする先生にとっては聞きたいことである。そのため、ピコの次の言葉を待つ姿勢を続ける。

 

「まぁ機能してなかったねー。あーしが学校に入ってから崩壊するまでコロコロ変わってったし、ぜーんぜん治安も改善せずだったしで、むしろ生徒会自体が貧乏くじみたいな扱いだったね」

「"……そうなんだ"」

「まぁだから実際のそういう権限は一番動いてた治安維持委員会にあった感じかなー。あったとはいえ何になるのかって感じではあったけどね」

 

 実権を握っていたとはいえ、治安がそもそも最悪でどうしようもなかった状況だ。あったところで然程意味がない。政治どころではないほどにシーノヴォは荒れていたのだから。

 

「まぁ仮にある程度治安が安定してきて政治が出来るようになったとしても、ボスがトップなら変なことにはならなかったんじゃないかな。なんだかんだ言ってボスはシーノヴォのこと好きだったし」

「"そうなんだね。……違ったら申し訳ないけど、もしかしてこの辺りがあまり整備されてないのって……?"」

「あぁうん、その通りだと思うよセンセ。一番シーノヴォの雰囲気に近いからここを拠点にしてるんじゃないかな。ここって決めたのはボスだし真意は分かんないけどね」

 

 さらに聞けば、そこまで大きな抗争をここ最近ではしてないとのこと。そのため結構前からこのような雰囲気の場所だったのだろう。

 

 さて、大まかではあるが治安維持委員会について知ることは出来た。予想通り、何の怪しさも見当たらない組織であるという情報を得られた。

 

 では次は何を聞こうかと考えたとき、先生は思い出す。『火の海事件』の概要を。

 

 犯人とされる坤音レキ。それと直接対峙したものの中に『シーノヴォの治安を維持する組織』がある。これは治安維持委員会であると見ていい。

 すなわち治安維持委員会とは、坤音レキと相対した『火の海事件』の直接的関係者の集団でもあるのだ。

 

 ならば、ここで聞ける話は非常に価値が高い。情報が欲しい先生はすぐ質問した。

 

「"じゃあ次は……『火の海事件』についてなんだけど……"」

「……あの事件。そりゃ、聞くよね」

 

 先ほど以上に苦い顔をして、思考するピコ。かなり思い出したくない部類の思い出のようだ。

 

「実はね、あーしもあんまり詳しくなくてね。要請が入って動いてただけだから。

 ただね、坤音レキ……あれはバケモン。出来れば二度と戦いたくないね。何やっても通じないし、距離とってもすぐ詰められるし、皆すぐ倒されていっちゃうし……本当に最悪だった」

「"……"」

 

 直接戦った者から出てくる重みのある言葉。先ほどまでにこやかだったピコの様子も憎悪を孕んだものに。それほどに坤音レキという相手は凶悪であったことが窺えてしまう。

 

「……ごめんセンセ。あんまり思い出したくないかも」

「"……うん、こっちこそごめん。辛いこと思い出させちゃって"」

「……」

 

 情報は確かに欲しい。しかしそれは生徒に辛い思いをさせてまで得たいものではない。もう少し慎重にすべきだったと先生は心の底から反省をする。

 

 これによりしばらく沈黙が続いてしまう。だが少しして、ピコがゆっくりと口を開く。

 

「……でも、ボスなら詳しく知ってるかも」

「"……リスが?"」

「うん。何故か知らないけど、一時期凄い火の海事件について調べてたんだよね」

 

 ここで降ってくる特大の情報。是非ともその話は聞きたい先生であるが……先ほどのこともあり、少し躊躇しがちになっていた。

 

「"……えっと"」

「ちょっと待っててね。ボス呼ぶから」

 

 すぐ様スマホを起動してモモトークを開くピコ。手早い動き。まるで一刻も早くバトンタッチをしたいがためのよう。

 

 その様子にさらに申し訳なくなってしまう先生。謝ればいいってものではないことは承知だが、何もしないわけにもいかない。

 

「"……その、ごめ"」

「謝らないでセンセ。シーノヴォって言えば世間的には火の海事件だから。覚悟してなかったあーしが悪いの。

 ……だから少しだけ放って欲しいな。少ししたら、さっきのあーしに戻れるから」

 

 それと同時に、リスが到着。ちょっと雰囲気暗めのピコとおろおろしている先生。状況が読めず混乱の様子。

 

「ボス、後はお願い」

「? わ、わかった」

 

 とりあえず、ピコが離れた場所に座り先生に向き合うリス。

 

「……話があるって聞いたんだが。まぁその前に、何があったんだ?」

「"あー、えっと、その……実は"」

 

 黙ってても心象が悪くなるだけと思い、正直に話す先生。

 怒りを買うことを覚悟していた先生であったが、リスの反応はそういったものではなかった。

 

「……あー、ちょいデリカシーが足りなかったな、先生」

「"っ……"」

「だがピコの方も、そういう話をされるってことは薄々分かってたはずだからな……まだ乗り越えるのは難しいか……」

「"……"」

 

 暗に両方悪い、で終わらせて来ようとするリス。だが先生は余計に責任を感じてしまった。

 

「あんまり気にしないでくれよ先生? シーノヴォって言えば火の海事件ってのはそりゃ仕方ないことでもある。だが他の奴らに比べてあいつは色々抱え込んでいてな……。

 まぁ先生は知らなかったわけだしな。今回は仕方ない。次から気をつけてくれりゃそれでいい」

「"……"」

「この話はここまで。じゃあ移動しようか、先生」

 

 その場を立ち移動を促すリス。いきなりの行動に着いて行けず、先生は少しの間リスを目で追うだけになってしまった。

 

「"……どこに行くの?"」

「あの事件について()()()知りたいんだろ? だったら、オレの部屋に来てくれ。ここだとじっくり議論しにくいし、それに──」

 

 先生に近づいて、小声でリスは続ける。

 

「──あんまり大きい声で出来ねぇ話もあるからな?」

 

 

 

【次回→第七話:疑念】




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