【完結】山田リョウ♂による結束模様   作:koum

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山田リョウ♂
 当然のように貞操観念ゆるキャラ。
 『彼女』とかめんどくさい。

後藤ひとり
 ていそ・・・う・・・かんねん?(未知の言語)
 自己肯定感低い。バスケ部彼氏とか爆乳ギャルを5人ぐらい侍らしてチヤホヤされたい。

喜多郁代
 貞操観念しっかり。
 見守りスマホとご両親の教育の賜物。

伊地知虹夏
 山田を反面教師に鉄壁の貞操観念。
 結婚するまでえっちなことはダメ。
 性的なことに薄ら嫌悪感すら抱いている。




【 AND 】side:後藤ひとり

 

冬は寒い。

 

布団の中から出たくない。

でも今日はいつもよりぬくぬくとしていて――――

 

 

薄ら目を開くと喜多ちゃんの顔があった。

 

 

 

すぅすぅと上品な寝息を立てている。

 

いつも元気いっぱいだから、静かに寝ているところは新鮮に感じる。

 

いつもニコニコしてるから分かりにくいけど、本来は吊り目気味なんだよなと、改めて寝顔に気付かされる。

 

「喜多ちゃん・・・」

 

「んぅ・・・」

 

名前を呼ぶと、呼び水になったのか、長いまつ毛が開いていく。

喜多ちゃんが身じろぎする。

 

「ひとりちゃん・・・」

ベリドットの瞳が寝ぼけ眼に、わたしを認識する。

 

寝起きで掠れた、いつもより低くやわらかい声でわたしを呼ぶ。

 

なんだかいいな。

 

ここはわたしの家で、わたしの部屋。

 

実家の押入れを思いださせる秘密基地みたいなロフトに、布団を敷いたわたしの巣。

 

そこに喜多ちゃんを引き込んで夜を跨いで、とろとろと朝の微睡みを揺蕩う。

 

喜多ちゃんもまだ起きる気はないようで、わずかに身を寄せてきた。

 

なんとなく嬉しくなって、喜多ちゃんの体に腕を回す。

 

まるでわたしが喜多ちゃんをつつみこむみたいな姿勢。

自然と距離が近くなる。

 

気づかれないようにゆっくり静かに深呼吸すると、喜多ちゃんからいい匂いがした。

 

シャンプーやリンス、ヘアオイルなんかと、喜多ちゃん自身の香り。

幸せに包まれて、生まれてきて良かったと素直に思えた。

 

君と僕の完璧な世界。

パーフェクトワールド・・・

 

喜多ちゃんと仲良く過ごしているところに、ピンポーンとドアチャイム。

 

ガチャリと鍵が開けられ玄関のドアが開く音がした。

 

この家の合鍵を渡している相手。

 

というか、そういえば虹夏ちゃんが今日来るって話だったのを思い出す。

 

「こんにちはー、ぼっちちゃん。もう昼前だけど起きてる? っていうかちゃんと生きてる? ・・・ってリョウ! なにまたぼっちちゃんの家泊まってんの?! 男女なんだよ。間違いが起きたらどうすんの?!」

 

昨日の記憶を思い出してきた。

 

昨日は喜多ちゃんだけじゃなくてリョウさんも来ていて、適当にソファーに寝かせてたっけ・・・

 

「うーん、うるさいってば虹夏ぁ。もうちょい寝かせてよ・・・」

 

「寝かせてられるかー! 起きろー!」

 

虹夏ちゃんとリョウさんがドッタンバッタンしている。

 

気づけば、はっきりと目覚めていた喜多ちゃんと目が合っていた。

 

なんだか可笑しくて、くすりと笑いあう。

 

もう起きなきゃいけないみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【 AND 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イライラするしムラムラする。

眠気覚ましにエナドリ飲み過ぎた。

 

 

結束バンドのアルバム発売が決まって、それに合わせて新曲を複数作らなきゃいけなくなった。

 

もう2徹してるのに進みは悪い。

 

せめて眠気は飛ばそうとエナドリを飲んだ結果として眠気はどこかへ行ったものの、集中力もどこかへいってしまった。

 

白紙のノートを前に、頭がかっかして目が滑る。

 

おまけになんだか体も疼いてきた。

 

昔はチョコレートが媚薬として扱われていたように、媚薬は高エネルギーな栄養剤ということになるのかもしれない。

 

普段だったら一人暮らしだし誰に憚ることなく、気分転換がてら自分で慰めようかと思うところだけど・・・

 

そうはいかない理由があった。

 

「すーすー・・・」

リョウさんがラグの上で寝こけていた。

 

わたしと同じくアルバム制作のデスマーチに追われてて、気分転換と言いながらパソコンとヘッドホン片手に持ってやってきた。

 

しばらく相談しながら作業を進めていたものの「もう限界・・・」と言い残して、大の字に寝転がってしまった。

 

そのまま寝息を立て始めて、今に至る。

 

・・・なんとなく恨めしく見てしまう。

 

どうしよっかな。

 

人が寝てるそばで致すなんてそんな性癖はないし。

 

シャワーでも浴びて頭を冷やして、場合によってはその場で・・・。

 

茹だった思考に引きづられながら、リョウさんをみているとシャツの裾がめくれていることに気がついた。

 

深い考えはなかった。

 

めくれるから直してあげよう。

 

ただそれだけ。

 

そっと指先を伸ばして、シャツの切れ目を覗いた。

 

そこには腹筋があった。

 

細いウエストに、薄らと浮かぶ筋肉の盛り上がり。

 

ごくりと生唾を飲み込んだ。

 

「リョウさん寝てるな・・・」

 

リョウさんのまぶたは固く閉じられている。

 

起きる気配はない。

 

「あっ、手が滑ったぁ〜〜」

 

シャツの裾を摘んで下ろすのではなく、上に上げた。

 

完璧な作戦だ!

 

「ふぅぉぉおおお」

 

リョウさん、薄らとだけど確かに六個にお腹が割れてる!

 

思わず自分のお腹を触るとふにふにとした感謝が返ってきた。

 

確認するまでもなくボコボコした谷間はない。

 

どんな感触なんだろう。

 

触ってみたい。

 

けど。

 

「さすがに起きるだろうなぁ」

 

「もう起きてるよ」

 

はっきりした声。

 

腹筋から視線を上げると、ぱっちりおめめのリョウさんと目があった。

 

「あわわわわわ・・・いつから・・・」

 

「手が滑った、あたりからかな」

 

最初からっ

 

人生終わったぁっ!

 

わたしはリョウさんの腹筋を鑑賞した罪でしょっぴかれて人生を終わるんだ。

 

振り返ってみれば睡眠不足と性欲でおかしくなってた。

 

結束バンドだってこのせいで解散して・・・ッ

 

それだけは避けたい!

 

なんとか誤魔化したい。

 

相手はリョウさんなんだからなんとかなるはず!

 

合意。そう、合意であれば犯罪にはならないはず。

 

壁に飾っている『喜多ちゃんのギター』が目に入った。

 

・・・よし、これでいこう。

 

喜多ちゃんはいつだってわたしを助けてくれる。

 

「これはその・・・リョウさん、『喜多ちゃんのギター』、50万で売ってくれたじゃないですか」

 

「ずいぶん前の話だね」

 

「ふと思ったんです。前にリョウさんが見かけたときは80万だったっていうし、喜多ちゃんとの思い出が詰まったギターを半額みたいな値段で譲ってもらうのは気がひけるなって。リョウさん、値段の話をするときに『ワンナイト』って話をしてたじゃないですか。それが有りなら、追加で、そう『誠意』として差し上げてもようかなって」

 

「めっちゃ喋るね。それが寝込みを襲う理由にはならないと思うけど」

 

くっ、ころころと違う彼女を連れている女好きのくせに!

 

「まぁ、いいや。据え膳に手をつけないほど男を辞めてないし。ありがたくいただきます」

 

「あっはい」

 

通った! さすがベーシスト!

 

これで合意取れたから性犯罪者じゃなくなったな・・・

対戦ありがとうございました!

 

気分が良くなる。

 

「ぼっちは初めてってことでいいんだよね?」

 

「いえ! モテモテなんでヤリまくりです。もうそれで寝不足なくらいですよ〜」

 

「見えを張られると痛い目をみることになるよ?」

 

「嘘です。わたしに経験なんてあるわけないに決まってるじゃないですか・・・」

 

「よろしい。じゃあ・・・まずは肩揉んであげよう」

 

「肩?」

 

「そう。ぼっちは頑張ってるから凝ってるでしょ」

 

スっと立ち上がって、リョウさんが背中に回る。

 

地味にリョウさんにここまで近寄られるの初めてだな。

 

リョウさん自身パーソナルスペース大きい方だし、こっちのスペースも気にしてくれる。

 

「おー、めっちゃこってる」

 

このまま薄い本みたいな、えっちなマッサージが始まるのかと思ったら、普通に肩揉んでくれる。

 

「普通に気持ち良い・・・」

 

歌詞でずっと机に向かってたから、いつも間にか強ばってたな・・・

 

「僕に肩揉みされるなんてレアなんだからね。誇っていいよ」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

でも正直拍子抜けだな・・・なんだかんだで寝かしつけられて有耶無耶にされる流れなのかもしれない。

 

わたしなんかに食指がやっぱり湧かなくてなんて普通にありえそうだな・・・

 

そんな風に油断して弛緩していたら、

 

「ちゃん抱くから安心して。色々教えてあげる」

 

男性であることを強調するような低い声で耳元で囁かれた。

 

ゾワゾワってした。

 

思わず振り返ると、リョウさんはほのかに笑っていた。

 





続きはこちら

宣言通りがっつりR18なのでご注意ください。
エロしかないので読み飛ばして問題なしです。

山田リョウが男だったら、ぼっちとフリーター二人でだらだら過ごしているうち、遅かれ早かれ一線を超えそうだと思ったのでこのような展開にしました。

次からはさらに時間がとんで6年目編。
最終章にして修羅場編です。
よろしくお願いします。
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