転生冒険者と聖女の覗き見珍道中   作:黒色エンピツ

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12話:戦闘開始

 

 

 

「下がれ!」

 

一瞬後ろを見てアリシアに指示を出す。フレアスワロー達も既に散開している様だった。

そうして目線を前に戻すと目前まで爪が迫っていた。

 

「ぬぐぉ!?」

 

咄嗟に大盾を出して間に挟み込む。しかし、突然で魔力強化も防御姿勢もまともに取れていなかったために吹き飛ばされてしまう。

それでも直撃よりかはマシだ。

大盾を戻して剣を抜く。

 

「アリシアは回復、リィルは強化!そっちに行かせたくないから攻撃はなるべくするな!」

 

「わかった!」

 

「は、はい!」

 

レッドドラゴンって本来もっとデカいんじゃないのかよぉ……。

目の前で左右にフェイントを掛けつつ素早く攻撃を仕掛けてくるレッドドラゴンに顔を歪める。

 

「ゴアッ!」

 

「くっそ……!」

 

ブレスの予兆を見て、水の魔法石を投げると、水がブレスで一気に気化して爆発を起こす。

一瞬の溜めだったってのになんて威力してやがんだ……!?

後ろに下がるとそれを読んでいたかのように水蒸気を斬り裂いて爪が襲い来る。

 

「わかってるっての!」

 

スライディングで腹の下に潜り込んで滑りながら腹を突き刺す。

 

「かってぇ!?」

 

腹なら肉が柔らかいと思ったが、考えが甘かったか……!

剣を納めてレッドドラゴンの後ろに回ってグレートメイスを取り出す。

俺を追いかけるためにこちらに顔を向けた所を下からかち上げる。

 

「オラよッ!」

 

「グルゥア!?」

 

「もう1発!」

 

かち上げたままから握り変えて下に振り下ろす。

 

「……ぐぬっ!」

 

「ゴァァァ……!」

 

右前脚で受け止められ、押し合いとなる。なんとか打開したいが下手に力を抜けば叩き潰されるのは俺だ。

 

「……リィル!気を散らしてくれ!」

 

「はいはい!《アイスニードル》!」

 

氷の杭がレッドドラゴンの目を目掛けて飛んでいき、嫌がったレッドドラゴンが空を飛んだ。

 

「うわっ、飛んだわよ。どうするのよ?」

 

「面倒だな」

 

罠の設置すら出来ていない。どうやって嵌めるか……。

とりあえず矢を番えて放ち、当たるが刺さる訳もなくレッドドラゴンが笑う様な唸り声を出す。

 

「バカにしやがって、それならこれでどうだ?」

 

袋から1本の矢を取り出し、矢じりに付いた粘着性の液体に氷の魔法石を取り付け、翼の付け根に放つ。

 

「グオッ!?」

 

狙い通り凍り付いて、翼を羽ばたけずに落下する。

 

「ざまぁみろ」

 

落下して土煙が上がった隙に罠を幾つか仕掛ける。

小柄とはいえレッドドラゴン。小さな罠じゃ効果はないだろうから少し魔力の消費が多くなる。

そして、胸に右手を当てる。

 

「てめぇは人を殺す。殺すって事はそれはカップルだった場合は残された片方は曇る。そんならお前は俺の敵だ!」

 

《狩人の誓い》

 

全身に力が漲る。【狩人】は【狩人】として選ばれた時に1つの誓いを立てる。それが俺の場合は純愛を阻むものだ。NTR死ネタ曇らせエトセトラ、それらを対象として発動が可能となり、俺の能力を爆発的に上昇させてくれる。

前方から強烈な風が吹き荒れ、土煙が晴れると凍りついていた翼が元通りになってブチ切れていた。

呼気が聞こえ、横に大きく飛ぶと少しして爆発音が聞こえた。見てみれば先程まで俺がいた場所から直線上が焼け焦げ、直撃した木は炭と化していて結界に当たって爆発した場所の周囲は更地になっていた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫だ!そっちはとにかくブレスに気をつけろ!」

 

大盾と槍を構える。

一時の無音が訪れ、緊張が高まる。動向を見逃さないように見続けていたが、瞳が乾いてきて瞬きをして、目を開いた瞬間には大顎を開いて突進してきていた。

 

「はえぇっての!」

 

腰を落としてどっしりと構える。そして、レッドドラゴンの噛みつきを大盾で受け止める。

あまりの重さに歯を噛みしめ、1メートル程下がるがなんとか止められた。

 

「おぉっ!」

 

気合を入れ、大盾の横から喉に槍を突き出し、なんとか穂先だけ突き刺す事に成功した。

すぐに大盾を手放し、槍を戻すと大盾が噛み砕かれた。グレートメイスに持ち直して槍の石突きをフルスイングで殴り付けると槍が奥まで沈んでいった。

 

「カッ……!?」

 

「どんなもんくぉっ!?」

 

レッドドラゴンが頭を大きく振るのに巻き込まれて吹き飛ばされ、何度も地面を転がる。

 

「ってぇなぁ……!」

 

「《ヒール》!」

 

「助かる!」

 

アリシアのヒールは流石聖女と言うべきか、普通の僧侶なら擦り傷だろうが多少時間がかかるもんだが、アリシアのそれはすぐに効果を発揮して傷を癒してくれる。

立ち上がって向き合うと俺に息をつかせたくないのか猛然と突っ込んでくる。

それに対して俺は右下にグレートメイスを構えて力を溜める。

 

「アルさん避けてください!」

 

悲痛な叫びが聞こえるが無視する。

その間にもレッドドラゴンが近付いてきて、もう数歩という所で前脚が地面に吸い込まれるように落ち、転ける。そうすると丁度良い位置に頭がやって来る。

 

「っしゃオラァ!」

 

一回転してゴルフの様にグレートメイスを振り上げ、レッドドラゴンの顎にぶち当たり、大きく頭が上に跳ねる。

そのまま大上段に構えて頭が降りてきた所で鼻先に振り下ろすとレッドドラゴンの頭が地面に埋まり、地面に罅が入った。

グレートメイスを納めて片手剣に持ち替えて後ろに下がる。

 

「やったん……ですか?」

 

「……まだね。気を付けなさい」

 

辺りが静かになる。いつ来るかと警戒していると地面が揺れ始めた。

 

「あー……これやばいな」

 

アリシア掴んで、リィルを胸ポケットに入れるとすぐ近くにある1番高い木に登る。

 

「な、何がっ……!?」

 

「来るぞ!」

 

レッドドラゴンの周囲の罅から炎が漏れ出し、罅がどんどんと広がって俺たちがいた所まで広がって炎が吹き出した。

 

「うわぁ……こわ……」

 

「そんな呑気に言っていられるような状況じゃありませんよ!?」

 

「わかってるって」

 

かなりダメージは与えたはずなんだけどな。

薄々わかっていたが、前回のやつよりも強い個体だろあれ。

 

「どうするのよ?ここでただ眺めていても焼かれて終わりよ?」

 

そりゃあそうなんだけど、今ので地面に仕掛けた罠は全滅したっぽいから攻め手に欠けるんだよなぁ。

 

「下に降りたらもっと下がっててくれ。回復は任せたぞ、マジで」

 

「はっ、はい!」

 

「ちょっと、私は?」

 

「このまま行く。サポートよろしく」

 

「はいはい。妖精使いが荒いわねぇ」

 

木から飛び降りてくるりと一回転して着地してアリシアを放す。

 

「さて、第2ラウンドだ」

 

剣を構え、さっきと同じようにレッドドラゴンが突っ込んで来るのを待つ。しかし、俺の想像とは裏腹にレッドドラゴンの周囲に火の玉が形成される。

 

「やばぁっ!?」

 

弾かれるように走り出す。レッドドラゴンを中心に円を描くように周囲を駆ける。少しでも止まれば火だるまだ。

 

「リィル!」

 

「疲れるんだから後でご褒美くれなきゃ許さないわよ!《清らかなる水の精よ、力を貸しなさい!狙うは赤トカゲ!目に物見せてやりなさい!》」

 

リィルが呪文を唱える。妖精の魔法は一般的な魔法とは異なり、精霊に語りかけてその力を行使する。精霊使いと呼ばれる連中と同じような魔法の使い方をする。

俺の目の前から水の奔流が放たれ、火の玉をかき消す。

これで少しだけ時間が出来た。走り回っていたから地形の把握も出来ている。

幾つか罠を仕掛け、俺も奔流を使ってレッドドラゴンから隠れるように駆け出す。

狙いは腹だ。さっきは刺さらなかったが、《狩人の誓い》を発動した今なら━━

 

「っし!」

 

斬り裂けた。レッドドラゴンが苦悶の声を漏らす。

そのまま何度も突き刺し続けるとレッドドラゴンが体を震わせ、次の瞬間には全身から炎を吹き出した。

 

「ご……ぁっ!?」

 

炎の勢いに押されて地面に押し付けられる。なんとかリィルだけは守ろうと両手で覆い隠して魔法で水の膜を作り出す。

炎が収まり、体の自由が効くようになるとすぐに腹の下から逃げる。

 

「ァ……」

 

急いで治療をしてもらおうとしたが声が出ない。手を振る事で意図を伝えると、傷が治っていくが全身というのもあって治るのに時間がかかりそうだ。

 

「ゲホッ!ゴボッ!」

 

喉から血の塊が上ってきて地面に吐き出す。

 

「あー……しんど。リィル、大丈夫か?」

 

「茹で妖精か干物になるかと思ったわよ!」

 

体を震わせて水を弾くとふわりと浮かび上がる。

相当頭にキテるみたいだ。

 

「防具がお釈迦だ、クソ」

 

ボロ布と化した服を破り捨てる。腕輪とアイテムボックスはなんとか無事か。破損に繋がる事への耐性ガンガンに付けてて良かった。

 

「あいつの皮で新しい防具を作ってやる」

 

こっちはアリシアのお陰でまだまだ戦えるが、あっちは倒れてもおかしくないだろう。このまま仕留めてやる。

 

「いっつも髪の手入れ頑張ってるのに台無しにして許さないんだから!《荒れ狂う雷の精霊よ!あのバカトカゲでステーキ作ってやるわよ!稲妻よ貫きなさい!》」

 

リィルの魔法と共に飛び出す。

にしてもこの詠唱なんとかならないのか、毎回違うしどんな魔法を使おうとしているのかわからなくなる。今回はちゃんと雷って言っているからマシだ。

当たると確信して飛び出したが、レッドドラゴンは魔法を避けてあらぬ方向へと走り出した。

 

「なにやって──しまった、アリシア!」

 

レッドドラゴンに遅れてアリシアの方へと走る。

突然狙われたアリシアはなんとか逃げようとしているが速度が足らない。

 

「こっちに来い!」

 

アリシアがこっちに向かってくるが、それでもまだレッドドラゴンの方が近い。

だが、それでいい。

走っていたレッドドラゴンが左前足を地面に着いた瞬間、吸い込まれるように落とし穴に落ちて爆発を起こした。

さっきの間に仕掛けておいた落とし穴に炎の魔法石を詰めたものだ。全身落とすととなると流石に魔力消費がやばいが、1箇所落とすくらいなら問題ない。

 

「大丈夫だったか?」

 

その間にアリシアと合流する。

 

「は、はい。助かりました……」

 

「あいつ、誰を狙うべきかわかってやがる」

 

ヒーラーから狙うに来たか。最悪多少の犠牲を無視して狙ってきそうだ。

 

「これだから賢いモンスターは面倒なんだ……」

 

アリシアとレッドドラゴンを結んだ真ん中に陣取るしかないか。正面戦闘は得意じゃないんだがな。

グレートメイスに持ち替えて、強化の比率を腕に集中させる。

俺を貫かんとする爪を全力で弾く。それでも風圧で体が傷付くがアリシアの治療のお陰でなんとか拮抗している。

 

「……ここだ!」

 

狙いの甘い振り下ろしを横から殴りつけ、爪を砕く。

しかし、レッドドラゴンは砕けた爪をそのままに地面を踏み締め、アリシアへと大きく口を開いて迫った。

くそ、予想していたのに!

振り切ったままのグレートメイスを手放し、アリシアの方へと走ろうとした瞬間、俺の腹から爪が飛び出した。

 

 






下手っぴさ、戦闘描写が下手……!
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