転生冒険者と聖女の覗き見珍道中   作:黒色エンピツ

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4話:パーティ結成

 

 

「おお!帰ってきたぞ!」

 

「勇者様だ!」

 

街に帰ると、こんな時間にも関わらず人が入口付近に集まっていて、俺達に気がつくと騒ぎ出した。

 

「あぁ……ありがとうございます!」

 

「あ、いや……」

 

気絶した子供を両親に預けるとお礼を言われて口ごもる。本当は助けてくれたのはアルだ。けれど、あいつは受注したのは俺達だからと手柄を譲って別れてしまった。

 

「みんな、行こう」

 

あの時何があったのかはアリシアから既に聞いた。コンフュアイに混乱させられていたらしい。しかし、その間にあった事は何も教えてもらえていない。

受付で手続きを終えてギルドの端の方に座る。

 

「アリシア、何があったのかを教えて欲しい」

 

「……わかりました」

 

アリシアがポツリポツリと語り始める。コンフュアイがいた事、アリシアを除いた俺達三人が術中に嵌った事、そしてアリシアに危害を加えた事を。

 

「そう、か」

 

「……ごめんね、アリシア」

 

「……ごめんなさい」

 

「い、いえ、そんな、今までこんな事ありませんでしたから仕方ありませんよ!」

 

「だが、それで全滅しかけたんだ。アルが来なければアリシアは……」

 

仕方ないでは済まされない。一度失敗すればほとんどの場合次なんてない。今回は運が良かっただけだ。

泣きそうな顔でウルがアリシアの側に近寄り手を取ろうとした。

 

「ッ……!」

 

しかしその手はアリシアの手によって弾かれた。

 

「え……あ、ご、ごめんなさい……」

 

「あ、ちが、違うんです!わ、私っ、そんなつもりじゃ!」

 

原因は恐らく俺たちが攻撃した事だろう。その可能性がある事はわかっていた。しかし、ウルとリゼは違ったのか二人して泣き出してしまった。そしてアリシアも自分のやった事に困惑していた。

俺はどうすればいいかはもう決めていた。

 

「アリシア、パーティから少し外れてほしい」

 

「え……ライトさん……?」

 

「誤解を生まないように説明させてくれ。今のアリシアは俺たちと一緒に冒険をするのは無理だと思ったんだ。」

 

「わ、私が弱いからですか!?」

 

「違う、精神的な話だよ。今のでアリシアだってわかっただろう?」

 

「それは……」

 

「だから、アリシアの気持ちが落ち着くまでは外れてもらう。その間に俺は強くなる」

 

「私は、どうしたらいいのでしょうか……?」

 

「一応考えてはいる。……アルと一緒にパーディを組んでくれないか?」

 

「アルさんと……?」

 

「アルは強い、俺よりもずっと。それに昔からの付き合いだから性格もわかっているから安心してアリシアを任せられるんだ。他のパーティじゃ俺は安心できない」

 

嘘だ。本当はアルにだって任せたくない。だが、俺ではどうしようようもないんだ。

 

「でも、決めるのはアリシアだ。君はどうしたい?」

 

「わ、私は……」

 

アリシアが俯く。彼女がどんな選択をしようともその決断を尊重しようと思う。

リゼとウルも黙って待ち続けた。

 

 

 

 

ギルト長の部屋でギルド長のアイゼンと森であった事を話していた。

アイゼンも元冒険者で歳だからと引退したが、昔はランク9で凄腕の冒険者だったらしい。

 

「それじゃあ、当分の間は4級以下の冒険者は森に入れないって事で」

 

「ああ」

 

話し合いはすぐにまとまった。

事態が収束するまでは4級以下は森に入れないようにした。理由としてはコンフュアイの適正ランクが4級だからというのがある。

ついでに原因を調べる事も押し付けられた。面倒だが、被害が大きくなる前に何とかするべきだ。

早い所片付けたいが、俺1人じゃ時間がかかる……ライト達や他のパーティにも手伝ってもらって人海戦術で探すしかないか。

そんな事を考えながら部屋から出ると、腹に何かがぶつかり、下を見ると見慣れた猫耳と青い髪が目に入る。ウルが抱き着いて胸に顔を埋めていた。

 

「何かあったか?」

 

「……ん」

 

「ちょっと、えぇ〜……」

 

そのまま腕を掴んでズルズルと引っ張られてライト達の方に連れて行かれた。

 

「空気が死んでる……」

 

重すぎるんだが。ちょっと見てなかった間に何があったんだ。

 

「ああ、アルか」

 

「急にウルに連れてこられたんだけど…」

 

「丁度良かった。アルに頼みたい事があるんだ」

 

「頼みたいこと?」

 

「アリシアの事だ」

 

「自分達でなんとかならないのか?」

 

パーティ内での事ならパーティ内で済ませてほしいんだが。

 

「アリシアとパーティを組んでほしい」

 

「……なんだって?」

 

「アリシアとパーティを組んでほしい」

 

聞き間違いじゃないみたいだ。

詳しく話を聞いてみれば他の3人が混乱を受けた時に危害を加えられて3人に対して苦手意識のようなものを持ったみたいだ。

 

「だったら他のパーティでも良いだろ?」

 

「いいや、俺はアルが良いんだ」

 

「……アリシアは?どう考えているんだ?」

 

「私は……アルさんとパーティを組もうと思います。これ以上皆さんに迷惑をかけられませんから」

 

「本当に良いんだな?」

 

「……はい」

 

「3人も良いんだな?」

 

「ああ」

 

「えぇ」

 

「……うん」

 

意思は固いみたいだ。

 

「わかった。全員良いって言うなら俺も引き受ける。ただ、これだけは確認させろ。またアリシアをパーティに入れる気はあるんだよな?」

 

「当然だ。必ず強くなって迎えに行く」

 

「なら良い」

 

「じゃあ後は頼む。

これから今までより大変になる。宿に戻って連携の再確認をしよう」

 

「薬とか忘れるなよ」

 

「あ……そ、そうだな!じゃあ、アリシア。また会おう」

 

「またね」

 

ライトとリゼが先にギルドから出ていく。ウルはライト達とアリシアを交互に見てオロオロしていた。

 

「ウル、もう会えない訳じゃないんだ。どっかでまた会いに来ればいいだろ?」

 

「……うん、またね。アリシア」

 

「はい、また会いましょう」

 

手を振ってライト達を追いかけるウルを見送る。

 

「さて、俺達も行くか。とりあえず、俺が泊まってる宿に行ってそこでスキルとかの話でもするか」

 

「わかりました。……あの、アルさん」

 

「ん?」

 

「これからよろしくお願いします!」

 

アリシア勢いよくお辞儀をする。

 

「ちょっ!?別に良いって!目立つから止めてくれ!?」

 

肩を掴んで顔を上げさせる。

 

「あー……なんだ、ほら」

 

手を差し出すと首を傾げる。

 

「あーもう!」

 

アリシアの手を掴んで強引に握手させる。

 

「これからよろしくな」

 

びっくりしたのか数秒固まり、そして笑顔を浮かべた。

 

「はい!」

 

 






もうちょっとパーティ組むまでの流れをなんとか出来ないかなぁ……と思いながらも自分ではこれが限界でした。

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