押忍!我ら眷属隊   作:銀ノ森 睾

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第2話「雷狼の狼次!!!」

現在狐太郎たちは狐太郎の地元、大阪堺市から移動していた。

特にこれといった目的地は無いが取り敢えず都会である難波や心斎橋を目指す。

 

鳩兵衛「にしても…、こうやって歩いてますけど宛はあるんですか?」

 

狐太郎「無い!!!」

 

ドサッとずっこけかける鳩兵衛。

それもそうだ。邪教が復活しつつあると言う理由にかこつけて仲間集めをするのにも関わらず、宛は一切ないと自信満々に言うのだから。

このまま歩いていても良いのだが、それだけじゃあ退屈だ。

そこで鳩兵衛は気になっていた事を聞くことに。

 

鳩兵衛「今更なんですけど、眷属隊ってなんなんですか?」

 

狐太郎「ん、そういや言うてなかったな…。ほな旅すがら、説明させてもらうやで。」

 

狐太郎「眷属隊…、修験道って知ってる?」

 

鳩兵衛「修験道?知ってますよ勿論。」

 

狐太郎「俺らは元々修験道でさ、その中でも特殊な班がおってな…それが眷属隊。」

 

狐太郎「印ってあるやん?いん。あれ最初に編み出したんは修験道なんよ。」

 

鳩兵衛「え!あの忍者とかが良くやってるあれですよね!?あれ修験道が元なんですか!」

 

狐太郎「そそ。今じゃ漫画とかの影響で忍者が最初と思われとるけどね。それであの印ってのは神仏さんを自分の体を依代に憑依させる技。まぁ、お力を借りるっちゅう事やね。」

 

狐太郎「せやからそんな簡単に印ってのは本来結んだらあかんのよ。鍛えてないもんが神仏さんの力に耐えられるわけないから。でも簡単に力借りられへんからそんな気にせんでもええかもやけど。」

 

鳩兵衛「そうだったんですか…、知らなかった。…で、眷属隊ってのは?」

 

狐太郎「眷属隊ってのは本来その修験道を守る修験道。神社仏閣に眷属の動物神っておるやん?有名なんが狛犬さんやね。」

 

鳩兵衛「確かに。」

 

狐太郎「でも皆が皆狛犬さんやなくて、他の動物さんもおってな。俺は伏見稲荷で有名な狐。他の隊長も色んな動物さんと契約してるで。」

 

狐太郎「例えば…狼神の狼次とか。」

 

顔を俯かせ少し寂しげな顔をする狐太郎。

長年会ってないからか、昔のことを思い出しているせいか。

 

鳩兵衛「……………大丈夫ですか?」

 

すぐに笑顔になり手を振り平気に振る舞う。

 

鳩兵衛「ちなみに隊長ってなんなんです?」

 

狐太郎「本来修験道ってのは神仏と人との架け橋となる繋ぎの存在。その大きな有難みを人々が忘れることのないように繋ぎ止める存在…なんやけど、眷属隊ってのは眷属神と契約してるって言うたやん?せやから自然になってまうんよ…。」

 

狐太郎「戦闘部隊に。」

 

眷属神…主祭神に使う動物神。

主祭神を守るべく何よりも誰よりも真っ先に戦うのは必然である。

そのためか、その眷属神と契約した狐太郎率いる眷属隊も自然と戦闘部隊となってしまい後の第三次世界大戦に先陣切って参戦する事となってしまった。

 

狐太郎「隊長格は全員で12人。ひたつの部隊に5~10人くらいおるから大体100人くらいおったんよ。」

 

鳩兵衛「じゃあ隊長だけじゃなくて他のみんなも集めないといけないですね!手伝いますよ!」

 

ガッツポーズを取る鳩兵衛。やる気満々だ。

しかし狐太郎はさっきと同様、寂しそうな顔をしている。

 

狐太郎「もうほとんどおらんよ…。」

 

鳩兵衛「……………え?」

 

狐太郎「ほとんど死んだ。」

 

鳩兵衛「……………………すみません。」

 

寂しい顔のまま笑顔になる狐太郎。

失礼な事を言ってしまった。

鳩兵衛は発言に気をつけようと自分を戒めた。

それにその発言自体、不安げな気持ちもあったのだろう。

そもそも隊長格自体、生きているのかどうかも定かではないのだ。下手したら全員、殉職しているのかもしれない。

その不安な気持ちを抱えつつ、その上どこにいるのかすら分からない仲間たち。

 

鳩兵衛「そうだ!トシゾウがいるじゃないですか!アルマジロは鼻効くんじゃないですか!」

 

狐太郎「フヒヒ、見ときやぁ〜。」

 

そういうとリュックからハンカチを取り出す。

それをトシゾウに嗅がせる。

真剣な顔をしつつクンクンと匂いを分析している様子だ。

 

鳩兵衛「………………!!!」

 

狐太郎「…………………。」

 

トシゾウ「……………クンクンクンクン!!!!!」

 

鼻を押付けゼロ距離で嗅ぐ。

 

…………………………………。

 

トシゾウ「………………………………???」

 

狐太郎「トシゾウめっちゃ鼻悪いんよ。」

 

ドサァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

狐太郎「さて…と、ほな取り敢えず難波目指そか。そろそろ駅かの。」

 

鳩兵衛「駅…………?駅!??!!駅目指してたんですか!??!」

 

狐太郎「え…そやけど…。」

 

鳩兵衛「駅は反対方向ですよ!!!!!!」

 

狐太郎「ええええぇぇぇぇ…………………。」

 

頭を抱え大きな声で喚く鳩兵衛。

 

鳩兵衛「最初に聞いとけば良かった!!!!!僕が居ながらなんてこったい!!!」

 

狐太郎「ちなみに今ここどこ?」

 

鳩兵衛「美原です!!!」

 

あんまり来たことが無いようで、迷う狐太郎。

方向音痴どころではない空間把握力の無さ。

その上鼻の効かないアルマジロ一匹。

鳩兵衛が居なければ仲間集め所では無かったであろう。

ここ最近出来たららぽーと。

そこで一旦休憩する事になった。

するとどこかで大きな声が響いてきた。

 

「っっっざけんなボケがゴルァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!なんで俺が悪いんだクソがよぉぉぉ!!!!」

 

狐太郎「なんか叫んでるヤツおるな。」

 

鳩兵衛「治安悪いですね。」

 

狐太郎「でも…どっかで聞いたことあるような…。」

 

スタスタと歩き出す。

鳩兵衛が近づくのは辞めとこうと止めたが、どうやら少し気になるようだ。

だんだんその叫んだ男が見えてきた。

白のタンクトップにジーパン。

肩や腕には動物を模したタトゥー。

モミアゲ辺りが黒、他の部分は金髪のツーブロック。

いかにもといった見た目であった。

それよりも目に入るのは身長である。

2m近くあるその巨体。

その男はベンチに腰掛け自販機で買ったコーヒーを片手にタバコを吹かしていた。

 

鳩兵衛「チンピラそのものだなぁ…。ね、狐太郎さ…………狐太郎さん?アレ?」

 

隣に居た狐太郎が居ない。

気がつくとチンピラの至近距離に居た。

 

鳩兵衛「え!!ちょ…………!!!」

 

狐太郎「なぁ………兄ちゃん、ちょっと………ええか…?」

 

チンピラ「あぁ?誰だテメェ…………俺今イライラしてんだ…話しかけんな。失せろや。」

 

しかし一向に離れない狐太郎。

それどころか更に近づく。

 

チンピラ「なんだ…………。」

 

狐太郎「お前……………もしかして…………狼次…か…………?」

 

チンピラ「あ?なんで知って………………ん……、お前………どっかで………あ………!!!」

 

チンピラ「お前…………も、もしかして…狐太郎…、狐太郎か!!???!!!!」

 

 

狐太郎「やんなぁ!!!やっぱり狼次やんなぁ!!!!!」

 

狼次「お前生きてたのかぁぁぁ!!!!!!」

 

涙目で互い互い強く抱きしめる2人。

その姿を見て鳩兵衛は唖然としていた。

それと何故か周りの女性が嬉しそうだった。

狼次がイケメンだからであろう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

狐太郎「いやぁ〜!!!反対方向来て良かった!!!」

 

大量に食べ物を抱えている。

仲間に会えた喜びでつい買ってしまったのだ。

資金もそんなに無いのに。

 

狐太郎「紹介するで!!!コイツは三峯狼次!元眷属隊八番隊隊長でめちゃくちゃ強いんやぜ!!!」

 

鳩兵衛「まさかこんなにあっさり隊長に会えるとは………。こんにちは!始めして!僕八幡鳩兵衛って言います!その…………狼次さん、狐太郎さんと仲間だったんですよね!」

 

狼次「…………………。」

 

怖い顔をしながら鳩兵衛に睨みをきかす。

怒っているのだろうか。

 

鳩兵衛「あの………………。」

 

狼次「…………………テメェから邪気が出てる…。なんだテメェは…。」

 

急にそんな事を言われたのでたじろぐ。

すると狐太郎が笑顔で説明をした。

 

狼次「掌教だぁ…………?」

 

急に胸ぐらを掴まれる鳩兵衛。

慌てふためく姿を他所に狼次が叫び倒す。

 

狼次「思っくそ邪教じゃねぇかッッッッ!!!!!んなクソみてぇな宗教やってるやつが俺らに何の用だゴルァァァ!!!」

 

バコンッッッ!!!

 

後頭部を狐太郎にどつかれ頭を抑える狼次。

話をちゃんと最後まで聞けと。

 

狐太郎「最後まで聞けやアホンダラ。元、言うてるやろ。可哀想に取り憑かれてたんや。邪気はその名残やろ。時期に取れるて。」

 

狼次「………………………悪ぃ。」

 

鳩兵衛を離し、頭を下げる。

怒るのも無理もなかった。

狼次は昔邪教のせいで家族が狂った過去があったのだ。

 

鳩兵衛「気にしないでください。僕も同じようなものですから。」

 

狐太郎「相も変わらずやの。にしても!良く生きてたわ!!!俺ゃもう嬉しくて嬉しくて…………!!!!!」

 

狼次「こっちのセリフだぜ!他の奴らは生きてんのか!?」

 

狐太郎「……………………分からん。」

 

狼次「……………そうか…。」

 

ドバァァァァァァァァッッッッッンンンンンン!!!!!!

 

3人「!!!!!!!!!!」

 

なんだと振り返るとららぽーとが急に爆発したのだ。

警報が鳴り響き、買い物をしていた人が逃げ惑い、従業員が避難経路を確保しつつ誘導している。

にも関わらず炎はゴウゴウと燃えている。

このままでは死人が出る。

 

鳩兵衛「爆発!!?どっかで引火したのか!!!」

 

狐太郎「どうやろか!!!とにかく俺らも行かんと!!!行くぜ狼次!!!」

 

狼次「おう!!!」

 

猛スピードで走り抜ける2人。

鳩兵衛には一般人の避難を手伝えと言われたので大人しくそうする事に。

 

ダッダッダッダッダッダッ!!!!!!!

 

狼次「狐太郎!!!お前の風であの炎吹き飛ばせねぇのか!!!」

 

狐太郎「吹き飛ばすのは出来るけど周りのもんも巻き込んでまう!!!兎に角逃げ遅れてる人助けんと!!!」

 

狼次「クソッッッ!!!俺は下行く!!!お前は2階行ってくれ!!!」

 

狐太郎「了解!!!」

 

バッッッッッ!!!!!!

 

2階に飛び上がり窓を叩き壊し中に入る狐太郎。

 

狐太郎(煙が酷いな…………。普通のもんやったら一酸化炭素中毒で逝ってまう…。……………こんな時に火猿が居てくれたら…。)

 

眷属隊は特殊な訓練を受けているのでこの程度の火や煙は平気である。

従業員に止められるも無理やり突き進み逃げ遅れた人を探す。

人の気配がする。

確実に居るのは間違いない。

 

ゴウッッッッッッ!!!!!!!

 

狐太郎「あっっっっっっっつ!!!!!!クソ………!!!狐周捷!!!!!!!」

 

狐周捷!!!(こしゅうしょう)

眷属隊の狐神隊の初歩技である。

自分の周りに軽い風を纏い、飛び道具や炎などを防ぐ防御技である!!!

 

狐太郎「人がおんのは………………服屋か!!!燃やすのに打って付けの場所やんけ!!!」

 

ドガァァァァァォ!!!!!

 

天井が崩れ目の前にガラガラと落ちるも、たやすくぶん投げ服屋に進む。

子供の叫び声が聞こえる。

 

子供「えええぇぇぇぇぇぇんんんんんん!!!!!」

 

赤ちゃん「びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

 

狐太郎「大丈夫でっか!!!!」

 

母親「ぇ…………貴方は……………?」

 

狐太郎「話は後ですわ!!!行きましょう!!!」

 

母親は私はいいからせめて子供たちだけでもと言うが、狐太郎や眷属隊からしたらそんなもの関係ない。

全員助ける。

眷属隊は戦闘部隊と言うが、表向きの仕事は何を言っても人助け。

そのためにも神仏と契約しているというのもあるのだ。

母親を背負い、子供たちを両脇に抱き抱える。

 

母親「ゲホッゲホッ!!!!!」

 

狐太郎「捕まっててくださいね!!!」

 

メラメラと燃え上がる炎。

煙も酷くなっている。

そしてこのまま進もうとするとまたもや瓦礫が落ちてきた。

目の前を封じられるもそんなものは幾度も乗り越えてきた。

蹴り技で突風を起こし瓦礫と炎を吹き飛ばす。

そして2階の窓から飛び降りた!!!

 

子供「わぁぁぁ!!!!!!」

 

母親「ひゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

狐太郎「狐降包!!!!!!」

 

狐降包!!!(ここうほう)

全身に風を纏い少しだけ宙に浮き続けたりゆっくり

上昇、下降したり出来る移動技である!!!

 

スタッッッッ!!!!!!

 

狐太郎「もう大丈夫でっせ!!!鳩兵衛!!!」

 

鳩兵衛「もう消防車も救急車も来てます!!!こっちです!!!」

 

急いで救急車の元に駆ける2人。

周りのギャラリーは2階から飛び降りた狐太郎に心底驚いていた。

それもそうだ、あの煙と炎の中自分を含め家族を助けているのだから。

 

狐太郎(目立ってしもたな…………。本来表立って行動はしたあかんのやけど…んな事言ってられへんわな!)

 

消防士「なにもんだあの人………。」

 

消防士「言うてる場合か!!!火消すのに集中せぇ!!!」

 

グググググ……………………

 

一般人「あぁぁ!!!!看板が!!!!!!」

 

ガシャァァァッッッンンンン!!!

 

看板が耐えきれずそのまま落ちてきた。

しかもその真下には人が数人。

このままでは下敷きは必須。

 

鳩兵衛「危ないッッッ!!!!!!」

 

ビュンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!

 

誰もが顔を手で覆い俯く中、鳩兵衛の横を何かがとてつもないスピードで通り抜けた。

そしてその何かは看板の真下にいる人の前に立つと印を結び両手を横に広げた。

 

狼次「雷狼壁ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

 

バリバリバリバリッッッッッッッッッッッッ!!!!

 

ドガァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッンンンンンンン!!!!!!!!

 

砂煙が舞う。

一般人たちが叫ぶ中、鳩兵衛と狐太郎はそれを見つめていた。

 

鳩兵衛「あ…………アレって…………。」

 

狐太郎「言うてなかったな。狼次は別名雷狼。雷遁なんや。」

 

狼次の周りには電気ドームが張ってあり、下にいる人はもちろん地面や植物何もかもが守られていた。

 

狼次「チッ………………………目立っちまった…。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

その後すぐに火は落ち着き、助けた親子や消防士、救急救命士に感謝された。

しかしその人間離れした動きに質問責めされたが、逃げるようにその場を離れた。

眷属隊は人々に自慢をして傲慢な態度をとるような組織では無い。影の中の影。目立っては行けないのだ。

それにこのままでは取材などでメディアが来てしまう。

メディア嫌いな狼次が暴れる前に退散あるのみであった。

 

鳩兵衛「勿体ない…、有名人になるチャンスなのに…。」

 

狐太郎「眷属隊はそんな組織とちゃうて。人助けれたらそれでええんよ。」

 

狼次「そうそう、感謝喝采受けるようなもんじゃねぇよ。なぁお前鳩兵衛つったよな?」

 

鳩兵衛「お!覚えてくれたんですね!そうですよ!」

 

狼次「そういや言いたい事あるんだけどよ。」

 

鳩兵衛「なんでしょう?」

 

顔を至近距離まで近づける狼次。

少しビビりながら何かと聞くと…。

 

狼次「そういやお前俺の事チンピラがどうとか言ってたよなぁ?」

 

鳩兵衛「え……………、聞こえて……たんですか………。」

 

狐太郎「狼は耳ええからな。」

 

ウワァァァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!

 

狼次から逃げる鳩兵衛、頭の後ろに腕を組み笑顔の狐太郎。

そして追いかける狼次。

一行は次の仲間を探し、旅を続けるのであった。

 

 

 

 

 

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