真に守り抜く 作:しんぴのまもり
「ねぇ、結構僕歩いたと思うんだけど、そろそろミクが知っている場所が見えてきたりしない?」
と質問を一応してみるが、
「うーん、ここら辺って最近大規模な工事があったらしいんだよね。
そのせいで道が大幅に変わっているっぽくて…だから
「せめてもう少し面影の残っている場所に出れたらいいんだけど…」
とミクは答える。あのおしゃべりなミクが先ほどから黙りこくっていることから薄々察してはいたが、今回はミクの知識には頼れないようだ。
このままだとせっかく早めに出たのに遅刻してしまうかもしれない。
(さてどうしようかな。Google マップには京都校は載っていないし、一旦師匠に連絡を…ん?)
そんな時、ふと前を向くとやたらと目立つ男性が歩いてきていた。
それは変な丁髷をした筋骨隆々の大男で、チケットか何かを大事そうに持ち歩いていたが、何よりも僕の目を引いたのはその人の着けているボタンだった。
「すみません 京都校の人ですよね。道に迷ってしまったんですけれど…」
「む、見かけない顔だな、新入生か? まあいい、京都校ならこっちだ。着いてこい」
そうして見た目に相反して意外と親切な丁髷の人の手を借りてなんとか僕は無事京都校に着くことに成功したが、本当の危機はこれからだった。
「本当に助かりました。ありがとうございます。」
「構わん。 後輩を助けるのも、上級生の勤めだ。 ところでお前、名は何と言う」
「僕の名前は二宮真守です。 やっぱり先輩なんですね。 これからよろしくお願いします」
ここにいるのが僕ではなかったとしても、このまま教室へと向かうのだろうと確信しただろう。しかし…
「そうか、二宮真守。 ところで…」
「どんな女が タイプだ?」
「…は?」
何を言ってるこの人は?
「…何故こんなところでそんな事を話さなきゃいけないんですか?」
「二宮よ、性癖というものにはそいつの全てが反映されるのだ。 言わばこの質問は品定めのようなものだ。
いい加減な応答は許さんぞ」
「ちなみにこの俺は…」
「タッパとケツがでかい女がタイプです!!」
なるほど分からん。
ただここで適当に答えると間違いなくこいつにボコボコにされる。
性癖と言う以上性格を答えるのはリスクが高そうだし、必然的に見た目を答えることになるが…
基本師匠の家で修行をしていたせいで、そもそも女性と会う機会が僕には殆ど無かった。
故に僕は今までに会った数少ない女性から要素を捻り出す必要があるわけだ。
ミクはどちらかと言うと姉に近い存在だ。
僕が生まれた場所にいた女性は、ほとんど覚えていない上に大体が死んだような目をしていてとても魅力的とは言えなかった。
となると…
「強いて言うなら…金髪で背が低めな人ですかね」
「━━━━!」
(この特徴は西宮……いや、二宮玉枝特級術師か!苗字からしておそらく真守は彼女が取っている弟子、詰まるところ真守は、俺と同じく師を性癖の由来としている者!!まだ実力は俺には遠く及ばないが、この先鍛錬に励み続けた上で黒閃を出したのならばあるいは… これは俺が上級生としてしっかりと導かねばなるまい!)
*この間約0.02秒
「……フッ、中々いい趣味をしているな、二宮真守。俺の
ようこそ、京都校へ」
「あ、はい」
(好みを聞いてきたかと思ったらなんか急に涙ぐみながら訳の分からんこと言ってきた…
呪術師はイカれてるやつばかりと師匠が言っていたのはこう言うことか)
京都校に入って早々呪術界の厳しさを身をもって味わうと同時に、僕は丁髷男の後ろから誰かが慌てたように飛んできていることに気づいた。
それは箒に乗った金髪でツインテールのいかにも魔女という感じの女性だった。
「ちょっと、東堂君!!その子に何やってるのよ!!」
「む、西宮か。新入生に好みを聞いていただけだが、どうかしたのか」
「どうかしたのか?じゃないのよ!!ああもう!君、大丈夫?あのゴリラにそれ以外にも何かされてない?」
「大丈夫です。まだ暴力は振るわれてません」
どうやらこの人もこの学校の生徒らしい。だが問題はそこではない。
何の偶然かこの西宮という人は僕がさっき捻り出した答えにドンピシャなのだ。
加えて、先ほどの丁髷男…東堂という奴の意味不明だと思われたブラザー宣言。
つまりここから導き出される事とは___
「…ひょっとして、西宮先輩は東堂先輩の兄妹か何かなんですか?」
「言っていいことと悪いことがあると思わない?」
スミマセンデシタ。
二宮真守
方向音痴が露呈したこの作品の主人公。
現在東堂への評価が急降下している。