真に守り抜く   作:しんぴのまもり

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東京京都姉妹校交流会①

「ルールは簡単! 東京校と京都校に分かれて、先に1人でも山頂に登って旗を掴んだ方の勝ち、ただそれだけ!

相手の妨害、術式の使用、なんでもありのチーム戦!

 

ただし! 道中には四~準二級の呪霊とよりをかけて作らせたトラップがウヨウヨといるから、そいつらを祓い、対処する余力を残しながら登ってね!

死にそうになったら上空にいる僕が助けに行くから安全対策もバッチグー!

 

開始は2時間後、お互い真反対の場所から!

それじゃ、僕は学長達と話してくるから、作戦タイム、スタート!」

 

そう言うと五条悟は睨みつけている歌姫先生とため息をついている両学長を連れて会議室のような所へと去っていった。

 

「会う度に思うが、嵐のようだな五条悟は……」

加茂先輩はそう呟きながらいち早く京都校専用の部屋へと戻っていく。

将来あれと一緒に御三家を背負っていくことを考えると、今から胃が痛くなっていてもおかしくない、手助けが必要ならすぐ駆けつけるけれど頑張れ加茂先輩。

 

僕も特に東京校と話すことも無いので、買っておいた生八ツ橋だけ渡し、話し込んでいる西宮先輩と東堂先輩に後で作戦会議をすることだけ伝えて戻ることにした。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「相手を足止めするチームを作るべきよ」

 

真依さんが全員が集合した瞬間口火を切る。

 

「私も同意見だな。 1人でも先に山頂へつけば勝ちなのだから、何も全員で登る必要はない」

 

「なら乙骨憂太と戦うのは俺で構わないな? まあ指図を聞くつもりも無いがな」

次いで加茂先輩と東堂先輩が賛寄りの意見を口にする。

多分東堂先輩は思う存分暴れたいだけだろうけれど。

 

「ええー、それ、東京校との仲にヒビ入ったりしませんよね?」

「その東京校の教師である五条悟が直々に妨害を許可している以上、その心配は無いと思うガ……

だガ、乙骨憂太と秤金次の2人を相手二、決着を左右できるほどの時間稼ぎができるのカ?」

一方三輪さんとメカ丸はやや反対よりらしい。

確かに向こうは6人で固まってそうだし、頂上へと登る人数に援護含めて2人は割くだろうから人数不利は避けられない。

とはいえ、こういうのは数分の時間稼ぎがものをいうものだ。なんなら東堂先輩の術式なら人数不利は有利になる。

 

「僕は妨害で良いと思うよ、単純な身体能力の勝負だとパンダや特級術師がいる向こうに分があるだろうし。

問題は誰が妨害役で、誰が登山役になるかだね」

それにせっかく交流会、最後まで相手チームと会わずに決着はあまりにも物悲しい。

 

「なら私は間違いなく登山役よね。 流石に木々を超えて飛行するのは禁止されちゃったけれど、それでも崖とかを無視できるのは大きいアドバンテージのはずよ」

 

「……俺と三輪も登山役の方が良いだろうナ。 あの呪骸は気に食わんガ、俺ならスズメバチだの呪霊だのを一掃しながら一直線に登り続けられルし、邪魔な木を切り払うのには三輪の刀がうってつけダ」

 

「ならば残りの四人は妨害に徹すべきだ。 相手は特級被呪者なのだから、どれだけ妨害に割いてもし過ぎということにはなるまい」

 

どうやら話は纏まったようだ。

僕と加茂先輩、真依さんに東堂先輩が相手を足止めしている間に西宮先輩メカ丸三輪さんが頂上へ一直線に向かう、名付けて殿作戦だ。

 

実力的に僕は2人を相手にすることになるだろう。

修練は積んできた、絶対に勝つと決意を決める。

 

この作戦に特に不備は見当たらないし、今年は僕らの勝利間違いなしだ。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「それでは姉妹交流会 スタァートォ!」

 

 

 

 

 

 

「……そう思っていたんだけどなあ…………

 

僕は今、どこにいてどこに向かってるんだ……?」

 

『試合開始から5分経過

 

二宮真守、現在山中にて遭難中』

 

◇◇◇◇◇◇

「二宮と東堂はどこだ?」

 

「私が知るわけないでしょ……!

 

……二宮は兎も角、あのゴリラは先に行ってるだけでしょ。

多分そろそろ……」

 

禪院真依が京都校の2トップの2人が行方不明なことに苛立ちながら苦々しく口を開くと同時に、進行方向から轟音が響き渡る。

 

「ぃよぉーし!! 全員いるな!!

まとめてかかってこい!!」

 

「あっちね。 急ぐわよ」

「ああ」

 

幸い距離はそこまで離れておらず、数秒走れば真依達はすぐに大暴れしている東堂葵を確認できた。

2人はすぐに乱入せずにすこし離れた所から弓や銃を撃ち場の混乱を狙う。

 

「うわっ! 更に2人来たよ!?」

 

「焦んな憂太! お前は二宮真守が来た時に戦うんだろ、気にせず進め!!」

だがそれで動揺するのはまだ呪術歴の浅い乙骨憂太ぐらいのもので、すぐに真依にはパンダが、加茂には狗巻がピタリと張り付きその後ろは星綺羅羅がガッチリと構える。

 

(この対応の早さ……こちらの作戦が読まれていたのか?)

 

「だが、いくら二級と言えども一年を、それも対策のしやすい呪言師をぶつけるとは、もしや私は少々舐められているのか?」

そう言って虎爪の構えを取る加茂憲紀に対し狗巻棘は……

 

「おかか」

と一言。

 

「……?」

突然おにぎりの具が出たことに困惑する加茂憲紀に対し狗巻棘は……

 

「しゃけいくら 明太子」

と一言。

 

「…………?」

どうやらこの戦いは、長引くことになりそうだ。

 

一方その頃、禪院真依は哺乳綱食肉目クマ科ジャイアントパンダ属ジャイアントパンダ種の獣……つまりパンダに毒を吐いていた。

 

「……何? あの落ちこぼれじゃなくてあんたが私と戦うの?

あいつにとって私は眼中に無いと、そう言いたいのかしら?」

 

「(めんどくせ…) いやいやそういうわけじゃなくてだな、単なる相性差ってやつだ。

俺ならお前の弾を数発喰らってもどうということはないし、真希ならそっちの三輪霞ってやつを完封できるだろうってことだ。

 

まあお前が真希にどんなこと思ってんのかは知んねえけどさ、そんな雑念マシマシの状態で会ってもあんまり良いことはないんじゃねえか?」

 

「……チッ ずいぶんと知ったような口を利くじゃないの」

 

「とりあえず、お前らが3人だけなら、ここで俺達が足止めしといたら真希と憂太が先にゴールできるだろうな」

そう言ってどっしりと受けの構えをパンダは取る。

こちらの勝負も、中々に長引きそうだ。

 

では、残る東堂葵はというと……

 

「ハハハ! やるな東堂! また腕を上げたんじゃ無いか!?」

 

「秤……会うのはこれが二回目だな、確かにお前なら相手にとって不足は無い……だが」

パン!と手を叩き東堂は真希と入れ替わる。

 

「……は!? 何だよ、久しぶりに熱くなっていたってのによ!」

 

「すまないな秤、お前との戦いは個人戦で果たすとしよう」

東堂葵はこの戦いがチーム戦だという事を忘れてはいなかった。

 

謀略の入り混じった不純な交流会なら兎も角、今回は退屈揃いだと思っていた京都校のメンバーが作戦を練り、一丸となって全力で勝とうとしている。

それは青春に身を投じる東堂葵にとって、決して不愉快ではない運びだった。

それによりマイペースの権化である彼にも、今日ばかりはチームの勝利を優先しようではないか、という心が芽生えたのだ。

 

「ねえ真希さん、この道で合ってる……うわあっ!?」

 

「とはいえ、友人の数が増えるのなら、それに越したことは無い。

乙骨憂太、戦う前に聞きたいことがある。

 

どんな女がタイプだ?」

 

「……え?」

 

「どんな女がタイプだ、と聞いたんだ。

早く答えろ、今日の俺は気が短いぞ」

 

「……好きなタイプは、よく分からないですけれど……

 

好きな人は、今も昔も里香ちゃんですね」

 

「…………!! ほう……!」

 

予想外の答えに目を輝かせ、今後の闘いに心を躍らせる東堂葵だった……が、

今回は、それ以上にその返答に心を揺さぶられた存在がいた。

 

「!!  ゆ、憂太、憂太ああぁぁあア!!!!!」

 

「里香ちゃん!? 出てきちゃ駄目だよ!」

 

「面白い! 呪霊と化した想い人を、今もなお、一途に愛し続けるとはな!」

 

東堂葵は悍ましい呪力の圧にも、折本里香の怨念にも怯まない。

むしろ気分を高揚させて嬉々として乙骨憂太にストレートパンチを叩き込みに行く、が。

 

「ゆ、ゆ、憂太を、虐めるなあぁあああああ!!!!」

 

直前に愛を囁かれた折本里香に、それはあまりにも劇薬だった。

 

試合開始から12分経過、折本里香 約6割の顕現。

 




今見返したら東京2年生組は乙骨以外交流会出てないようでした。
この世界線では真守とか玉枝とかの存在でバタフライエフェクトが起こったことにしておいてください。
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