真に守り抜く   作:しんぴのまもり

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誰の勝利か

『動くな』

 

「がっ!」

 

 耳元を呪力でガードしているのにも関わらず、一瞬真守の身体は動きを止め、乙骨の打撃が二宮丸が乙骨に当たるよりも早くあっさりと吹き飛ばす。

 

「ぐううっ……やっぱり完全には防ぎきれない……!」

 

 場外に吹き飛んだ身体を一瞬で足を伸ばして引き戻し、乙骨の追撃に備えて刀を構えつつも、攻めの姿勢を崩しはしない。

 1000倍近くに強化された術式のキレは今までとは比べ物にならず、真守の足は瞼をほんの半回瞬かせるよりも早く縮み、そしてまた磁石に引き寄せられるかのように素早く伸びて乙骨を蹴りつけようとする……が、乙骨はその亜音速にも迫る速度の蹴撃を紙一重で避ける。

 

(!? いやちょっと待て! 流石にあの速度をこの距離で避けるのはあの状態でも無理なはず! どんな種が……ま、まさか!!)

 

「……赤燐躍動!!」

 

 ただでさえ脅威な乙骨の規格外の呪力が篭った肉体が、赤血操術によりさらに底上げされた。

 

 必死の思いで真守はカウンターを突き出すが、突然パン!とどこからか音が響き2人の位置が入れ替わり、後ろ蹴りが真守の脳天に炸裂する。

 

(不義遊戯……!? でも拍手なんて絶対してなかった……そうか、魂の中の折本里香が手拍子をしたのか!

しかも顔の印からして赤燐躍動と呪言との併用ができている、普通術式を複数併用したら脳が焼き切れるはずなのに!)

 

 その拳の一撃一撃が真守の脳に死を過らせ、試合を観戦している誰もが勝負ありと考えた。

 

 だが、乙骨が真守を殴れるということは、真守の腕も届くということだ。

 乙骨憂太の、自身の防御の高さにより生まれたほんの僅かな攻撃と防御の比率の歪みを二宮丸で受け流し、カウンターで放った真守の拳がやっとの思いで乙骨憂太の肉体を捉えた。

 

 だが、だからなんだというのだ。

 変身前からすでに黒閃以外の真守の攻撃は意味をほとんど成してなかった。

 今更拳の一発や二発が当たったからといって今の乙骨にはかすり傷すらつかず、逆に真守の拳にはヒビが入っていた。

 

 真守の最後の反撃は何の痛痒も与えることなく、無慈悲に乙骨憂太の圧倒的な実力がこの試合を捻じ伏せる────

 

 

 はずだった。

 

 その身体がぐらりと揺れる。

 そして乙骨憂太の状態に明確な異変が生じる。

 

 第三の目に明確に濁りが生じ、左手の肌が微かに色味を取り戻す。

 

「………!」

 

「やっぱり、九十九さんの仮説は正解だったみたいだね……!」

 

 真守の持つ最後の隠し玉、『魂への打撃』。

 以前真守はこれを禪院直哉の動きを封じる為に使ったが、この技術の真価は別のところにある。

 

 乙骨憂太と折本里香の融合した魂と魂の境目に、真守は自身の呪力を打ち込んだ。

 

 今の乙骨憂太の強さの要因は、乙骨と里香が完全に融合したことにある。

 一年後現れる人間の呪霊が見せた『多重魂 撥体』の力からも分かるように、複数の魂が1つに融合することはそれだけで実力の爆発的な上昇に直結する。

 更に乙骨と里香の魂の相性が抜群に良く適合率が高かったことによって、拒絶反応をほとんど起こさず混じり合ったこと、2人の意識が両者ともに受肉の共生に近い形で残っていたことで呪力操作の高速化が成ったこと等の複数の要因によって、その強さは天井知らずのものとなっていた。

 

 だが、逆に言えばそれらは魂の融合が為されていてことの賜物。

 いくら『現代の異能』乙骨憂太相手でも、『呪いの女王』折本里香相手でも、魂への直接攻撃には、確かな効果があった。

 

 そして、真守のターンはまだ終わってはいない。 

 彼が禪院真希との試合の時に軽く触れた、京都校生徒の戦い方を組み合わせた連続攻撃、それを真守は繰り出そうとしていた。

 

「加茂先輩のように冷静に……三輪さんみたいに、シン陰流を使いこなして!」

 

「……?」

 

 ハイになりきった真守は、思っていることをそのまま口に出すという呪術師としてあるまじき行動をしていたが、今までの彼と一致しないその言動が逆に乙骨の思考にノイズを齎す。

 

「メカ丸のように! 砲撃を!」

 

 真守の腕に呪力でできた球体が形作られ、次々と放出されていく。

 

 本来、普通の術師が呪力放出で攻撃するのは非常に呪力効率が悪く、歴代トップクラスの出力を持たない限り威力も出ない愚策だが、真守は異常な呪力回復速度と千倍近くに跳ね上がった術式効果でそれをカバーしていた。

 

(すごい量の弾幕だ、何かわからないけど、当たるとさっきの攻撃と似たようなことが起きるのかな。 里香、これ、嫌い゛いぃい゛ そうだね里香ちゃん、全部避けよう)

 もちろん乙骨もその程度でやられるような男ではなく、融合した里香の声を聞きながら次々と放たれるそれを最小限の動きで躱していく。

 圧倒的な弾幕量が次々とリングに着弾し、土煙が巻き起こる。 粉塵それぞれに付着した呪力は呪力感知のチャフとなり、お互いに姿が見えない膠着状態に陥る──真守が、索敵術を持ち合わせていなければの話だが。

 

「シン陰流 簡易領域──範。 っそこ!」

 

 仲間がいない時にのみ発動する探索特化の簡易領域『範』で居場所を補足すると同時に投擲された二宮丸が、魂への打撃で弱体化した乙骨憂太の脛に深々と突き刺さる。

 

 だが乙骨憂太は怯まない。 即座に二宮丸を抜き取り、リングの外に放り捨てる。

 これによって真守の数少ないアドバンテージである特級呪具が退場することになり、この連撃で勝利を掴まなければ、真守の勝利は絶望的なものになるだろう。

 故に、真守は乙骨が脛傷を治すよりも早く次の手を放つ。

 

 乙骨の右足が、地中から飛び出した腕にがしりと掴まれる。

 

「そして、真依さんのように、不意を突いて」

 

 真守は裸だった。

 服とスマホに呪力を込めて固定し、自身は最小限の呪力でリングの底に穴を掘って乙骨のところにまで生身で近づき、乙骨の眼を謀った。

 故に現在の真守は術式が使えない状況にあるが、ここまで近づければ今持つ呪力で十分だ。

 狙う箇所は1つ。 あからさまに呪力が集中している上、人体の急所の眼と眉間が合わさった、格好の狙い目。

 

「東堂先輩のように! クレバーに、パワフルに!!!」

 

 ────黒閃

 

 黒い閃光が、走った。

 

「ッ、ア、アァアア!!」

 

 まだ、止まらない。

 

 黒閃

 

 黒閃

 

 黒閃

 

 

 ────黒閃

 

 

 

 

 

「はあ、はあ………」

 

(魂の境目に、最大呪力出力の黒閃を4回打ち込んだ。 今ので、まず間違いなく融合は解けたはずだ。

…‥けど、まだ終わってない。

 

──最後の黒閃、あれは僕のじゃない)

 

 真守の左腕が、ひしゃげていた。

 

「ゆ、うた……」

「大丈夫だよ里香ちゃん。 あとは任せて、ゆっくりしてて」

「…………あ゛い……」

 

 呪いの女王は地に伏すが、現代の異能はゆらりと起き上がる。

 重傷であることは間違いなく、反転術式をかけれるほどの余力も残ってはいないが、その眼は光を保ち、相手をまっすぐに見つめる。

 

「……お互い、元気いっぱいみたいだね」

 

(折本里香が戦闘不能? 魂が同化していた以上、与えたダメージはほとんど同じなはず。

まさか、呪いを掛けたのは折本里香じゃなくて……

 

いや、今考えることじゃない。 今はただ、勝つことだけを考えろ)

 

「……そう、そして最後に、連撃の時はもちろん、常にするべき心構えがあった。

 西宮先輩……西宮先輩のように、常に、最後まで前を向き続けることだ!」

 

 真守が走り出し、乙骨もそれに対抗するように走り出す。

 

(弱っているとはいえ、普通に殴り合ったらまだ僕の方が不利だ、ここで冷静に、勝ちへの最後の一手を打つ。

相手がさっきの一言で、僕が愚直に殴りかかることを前提にしていてくれているなら、勝算は高い!)

 

 お互いの拳に呪力が宿り、圧縮されていく。

 狙いは無論、相手の顔面だけだ。

 

 乙骨が拳を突き出す──よりも早く、真守の拳が乙骨の目の前まで迫る。

 あまりにも早すぎる腕の接近、そのタネはもちろん、腕の伸縮だ。

 真守はスマホを捨てる前に、穴を掘っている間の術式使用不可能と引き換えに、一回だけ術式の使用を可能としていた。

 

 全呪力が籠ったその拳は、1ミリのズレもなく乙骨の額に叩き込まれ────

 なかった。

 

 乙骨憂太は、首を大きく傾け、紙一重でその一撃を避ける。

 

(!!!? よ、読まれていた!! 最後まで冷静だったのは、向こうも同じだった!)

 

 乙骨は、真守のことを今までの戦いをよく観ているうちに、策を弄することに抵抗のない性格だと認識していた。

 乙骨には2つの選択肢があった。 秤金次のように、真守に正々堂々と戦いたいと思わせるか、または策を弄するように誘導させるか。

 

 乙骨憂太は自分の言葉に自信がない故に後者を選択し、そしてこの選択は成功したと言える。

 真守の最後の一手を手の伸縮にするように、僅かな動きの差で誘導した。

 完全に真守の策は読み切られていて、そしてそれ以上の作戦は、真守の中には存在しなかった。

 

 ミクが何か声を上げようとするが、間に合わない。 走り出した足に急ブレーキをかけることもできず、お互いの距離はさらに縮まる。

 底なしの呪力が全て籠った右手は瞬き一つしない内に真守の眉間に衝突するだろう。

 

 真守は今までにないほどの絶望に襲われた。

 思考する時間もなく、術式の使用もできない。

 

 極限まで凝縮された時間の中、真守は走馬灯を見た。

 流れていないはずの時間の中で十数年間の情報が一気に押し寄せる、何とも不思議な気分を味わう中、真守は1つの映像を見つける。

 

 真守はそれを見て何かを考えられるほどの余力はなかった。 だが、その時の状況を再現するように、自然と体が、呪力が動き出す。

 

 東堂葵が利用し、そして負けたことから真守は今までの経験は使い物にならないと思っていた。

 だが、今まで培っていた経験は、最後の最後に真守の無意識の動きを後押しした。

 

 残ったなけなしの呪力と力を全て込めた額が、乙骨の拳と衝突する。

 

 ────黒閃

 

 二つの火花が散り、リングの空間が大きく歪む。

 

 真守の意識は、それっきり、闇の中へと吸い込まれていった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 瞼に柔らかな光を感じて、意識が覚醒するのを感じる。

 なぜ僕は寝ているのだろうか。 確か、トーナメントがまだ続いてる……

 

「……はっ! そうだ、試合は、試合はどうなった!? 僕は負けたのか!?」

 

「起きた? 元気そうで良かったわ、二宮君」

 

「その声は、西宮先ぱ……い……?」

 

「やーい引っかかった。 私は結構声真似が得意なんだよ。 どうだい? 愛しの西宮先輩と私を勘違いした気分は?」

 

 思わず手が出そうになりそうな声色を出しながら、亀永千尋ことクズは話しかけて来た。

 考えうる限り最悪の目覚めだろう。

 

「……何の用ですか」

 

「命の恩人に対して随分と素っ気ないじゃないか。 

 まあそこまで間違えたことを気に病む必要はないよ。 すぐそこに西宮先輩の気配があるんだから、間違うのも無理は無いさ」

 

 そう言って亀永千尋は横へと移動して、背後で椅子に座りぐったりとしてる人を指し示す。

 言うまでもなく、西宮先輩だ。

 

「! 西宮先輩! 意識がないみたいだけど大丈夫なの?」

 

「大丈夫だとも、疲れて寝ちゃってるだけさ。

 君はいい先輩に恵まれたようだね。 丸々一晩近くで見舞ってくれる子なんて希少種だよ。

 結構大変だったんだよ、起こさないように私の体で隠れる場所に移動させるのは」

 

 なぜそんな無駄なことをするのだろうか。

 ……とにかく、聞きたいことは山ほどある。 一つづつ聞いていこう。

 

「まず、これだけは最初に聞かせてください。 ……僕は、負けたんですか?」

 

 意識を失っている以上、勝った可能性は薄いがこれだけは聞いておく必要がある。

 

「そうだねぇ……おっ、丁度いい。

 続きはその子に聞いておいてくれ。 術師の医療班は忙しいんだ」

 

 いけしゃあしゃあとそんなことを言い残しながら、突然亀永千尋は部屋を出ていった。

 止めようと手を伸ばすが、全身に鈍い痛みが走る。 どうやら相当重傷らしい。

 そして亀永が出ていくと同時に、ミクが僕の中から飛び出し、西宮先輩が眼を覚ます。

 

「おはよう西宮ちゃん! 昨日はマスターを看病してくれてありがとね!」

「あ…ミクちゃん、真守君。 目を覚ましたのね、良かった…」

 

 眠たげな眼を擦りながら、西宮先輩が起き上がる。

 

「おはよう西宮先輩。 そのままの姿勢で良いから聞かせて欲しいことがあるんだけど…」

 

「ちょっと待ってちょうだい。 最低限のカワイさは保っておかないと……よし、できたわ。

 聞きたいことって多分二宮君の勝敗についてでしょ?」

 

「あ、私も聞きたいなそれ。 マスターの近くじゃその話聞こえなかったんだ」

 

 髪を軽く整えた西宮先輩は、服の中をゴソゴソ探って、スマホを取り出す。

 

「二宮君も知っての通り私たちはカメラ越しに試合観戦してたでしょ?

その時のデータ貰ったから一緒に見て、確かめてみるわよ」

 

 心の準備をするまでもなく西宮先輩は再生ボタンをタップし、バーを右端まで動かす。

 ……ん?

 

「……なんか、途中からマスターがモザイク処理されてるんだけど」

「本当だ。 なんで僕にこんなものが」

「二宮君が突然裸になったからでしょ、それは。

 ……あの時私たち、本当にビックリしたんだからね? 突然後輩や同級生の裸を見た私達の気持ち、考えたことあるの?」

 

「…本当にすみませんでした」

 人前でになんてものを見せびらかしてしまったんだ僕は。

 身体が許すなら穴を掘って土下座をしたいくらいだ。

 

「はぁ……まあやむを得なかったことは分かっているから、私は許してあげる。

 後で真依ちゃんにも謝っておいて。 霞や真希ちゃんが治療中で良かったわほんとに。

 ほら、続きを見るわよ」

 

 僕と乙骨憂太の額と拳がぶつかり2つの黒閃が出て、同時に場外に吹き飛んでいくところから、動画は等速になる。

 僕はここで意識をほとんど失ったようで、そのまままっすぐに壁まで飛んでいき、一方乙骨憂太はまだ意識が残っていたらしく、咄嗟ながらも、見事に受け身を取ってみせた。

 

 そして、乙骨憂太の手は場外の床に触れた。

 

「えっ」

 

「このトーナメントの勝利条件は、降参、気絶、場外の3つ。

 そして五条悟の眼曰く、二宮君が完全に意識を失うよりも、乙骨君の手付きの方がほんの僅かに早かった……らしいわ」

 

「……つまり?」

 

「おめでと、二宮君。 この試合、貴方の勝利よ。 

 それで貴方がこのトーナメントの優勝者で、今年の勝利校は私たち京都校! 

 ちなみにトロフィーも貰ったわ、ほらコレ」

 

 可愛くって素敵な笑みを浮かべた西宮先輩が、僕に金のトロフィーを手渡す。

 

「……ありがとう、西宮先輩。 京都校が勝てて、僕もすごく嬉しい」

 好きな人に祝われるということはこんなにも嬉しいことなのか、また一つ知らないことを知った。

 

 ……そうなんだ。 僕は、勝ったのか。

 それ自体はすごく嬉しい。 嬉しいけど……

 

「これじゃ、完全勝利とは言えないかな…」

 これが本当の戦いなら、僕は完全に負けていただろう。

 場外に行った後の僕に意識は無かった。 多少とはいえ乙骨に意識が残っていた以上、この時点で敗北は決定だ。

 

 …………悔しい。 嬉しい以上に、僕は悔しいんだ。

 また、一つ知らないことを知った。 こんなにも、負けて悔しい気持ちになるなんて、初めてだ。

 

「クソッ……」

 手元にあるお茶を一気飲みして、熱の喉越しで気を紛らして見るが、気は晴れない。

 

「……二宮君、ちょっとこっち見て」

 

「…何?西宮先ぱ…ブーーッ!?」

 

 思わず、口に含んだお茶を全て吹き出してしまった。

 西宮先輩は、僕に向かってスゴい変顔を見せてきた。

 眉を八の字に曲げ、眼は半開きになって瞳孔が上がっている。

 歯茎と歯の両方が見えるように口を開け、極め付けに鼻の穴に両親指を突っ込んでいた。

 これで笑うなという方が無理がある。

 

「フ、ハ、ハハ、西宮先輩、何して…ハハハハッッ!!?」

 

「せっかく勝ったのに、そんなカワイクない辛気臭い顔しちゃダメでしょ二宮君。

 そりゃ、文句の残る形の勝利なんていくらでもあるわよ。

 

 心配しなくても、交流会は来年も再来年もあるわ。

 反省は一年通してできるんだから、まずは試合の勝利を喜ぼうよ。

 ほら、笑って笑って」

 

 西宮先輩の言葉に、自然と笑みが溢れる。

 

 西宮先輩の言う通り、まだまだ先は長いのだ。

 じっくりと実力をつけ、来年に必ず乙骨に勝つ。 そのことを忘れずに、今は交流会の余韻と優勝を楽しむとしよう。

 

 今夜は、みんなで打ち上げでもしようか。

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

「内容的に言えば、お前は勝っていたと思うけどな、憂太」

 

「……」

 

「元気出せって憂太! 来年頑張ろうぜ!」

「しゃけ!」

 

 一方、勝負に勝って試合に負けた乙骨憂太も、酷く落ち込んでいた。

 愛する人の力を大きく借り、友人から助言を貰っていておいて場外負けを喫してしまったのだ。 落ち込むなと言う方が無理がある。

 しかし、友人達の励ましと激励を貰って、すぐにでも彼は再び立ち上がるだろう。

 

「挫折からの成長。 これもまた青春だね」

 五条悟が、誰にでもなくそう嘯いた。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

(二宮君……)

 

(乙骨憂太……!)

 

((次は必ず、僕が勝ってみせる))

 

 今年の交流会は、沢山の若人に新たな気づきや成長を与えた。

 二度と負けない為に、彼らは鍛錬を積み続け、また大きく成長していくだろう。

 

 交流会編 終

 

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