真に守り抜く 作:しんぴのまもり
4月30日、二宮玉枝は上層部に呼び出されていた。
「どういう事だ、二宮術師。
「ああはい、あいつは迷子になって行き倒れていたところを拾って向かえ入れましたよ。
あいつが何で迷子になっていたかなんて話す必要もないでしょう?」
「チッ、まあ良い。 我々の要求はただ一つだ。 二宮術師よ、禪院甚壱の息子、禪院真守を速やかに禪院家に引き渡せ」
「禪院家の子なんて私シラナイナー。 私の家には
「貴様……!」
(思っていたより遥かに早くバレてしまったなぁ。 あいつが加茂家の跡取りに話したことは知ってるけれど、これ多分そのまま京都校の子達全員に話したやつだな。 んで保守派筆頭の楽巌寺学長にもそれが伝わった結果こうなったと。 ま、弟子の尻拭いも師匠の仕事か)
実を言うと、玉枝にはそれほど焦りはない。なぜなら、禪院家や上層部が総掛かりで玉枝を急襲してきたとしてもまとめて返り討ちに出来るほど二宮玉枝と上に所属する術師達には力の差がある。特級術師の称号は伊達ではないのだ。その上、学生の青春が掛かる以上、現代最強の術師 五条悟も味方につくことはほぼ確定している。つまり今回の件に関しては、どれだけ今後真守に対して手を出せなくするかを此方が逆に決めることのできる、言わば出来レースに近い討論なのだ。
(あ、そういえば今日はあいつの
そんな事を考えつつ、二宮玉枝は上層部との舌戦に臨んで行くのだった。
◇◇◇◇◇
━━時を同じくして
この僕、二宮真守は現在、京都校総出で休日を満喫していた。
「まさか皆の休日が被る日が来るだなんて、夢にも思わなかったわね」
とこの業界で2年目の西宮先輩が言っているあたり、この状況はとても珍しいものらしい。
「ひとまず、どこに行くのか決めませんか?」
と提案すると、
「そう言えば良い古着屋さん見つけたんです! 皆で行きませんか?」
「私は新しいハンドクリームが欲しいわね」
「あ、私も真依ちゃんと同じかもー」
「……今日はアニメ『メカ丸』の映画版の放映日なんダ。もしよけれバ、行かせてくれるとありがたいんだガ…」
「お前ら、ここに高田ちゃんのライブチケットが丁度7枚もある。本来なら全7回あるライブに使う予定だったが、せっかく
思っていた数倍の勢いで皆は口々に話してきた。 それを聞いた加茂先輩は皆を諌める。
「いや、ちょっと待ってくれ。 せっかく7人総出で休みが取れたのだ。 全員が楽しめる所へ行くべきだと私は思う」
呪術師の休みは想像以上に少ないようだ。
そういえば師匠も一日中家に居ないことの方が多かったな。
「と言うことで二宮、何か良い案はあるだろうか」
加茂先輩はどうやら仲間との外出の経験は余り無いらしく、僕に話を振ってきた。
さて、どうしようか。 僕も人との交流なんて師匠との特訓を除けば皆無に等しいどころか本当に皆無だしな。
よし、こう言う時は相談が大切だ。 ミクにはこんなことも頼むことができるのだ。
「HEYミク、7人で遊べてかつ皆が楽しめる娯楽施設を教えて」
「便利ねその式神…」
「んー、そうだね、君が少しでもしたことのある娯楽ってこれと一部のリズムゲーぐらいでしょ。 だからこういう時の為も兼ねて息抜きも大切って言ったのにー、まあ良いや。 兎も角、私のおすすめはカラオケかな」
一応式神にも関わらず必要とは思えないレベルの愚痴を吐いた後、ミクが推薦したのはカラオケだった。
「成程、確かにそれなら高田ちゃんの歌を聴かせることができるな」
と真っ先に賛成したのは意外にも東堂先輩だった。1番ゴネるんじゃ無いかと勝手に思っていたんだけどな。
「まあ、主題歌を歌う事は出来るカ」
そしてメカ丸達も提案に乗っかり、僕達は最寄りのジャンカ○に向かったのだった。
「そう言えばさっきからずっと視線を感じるんですけど、何でしょうね」
「いや理由は明白だろウ。 俺は着ぐるみの振りをしておくからナ」
「あー、そりゃそうだね。 あれでも、さっきは好奇以外の視線を向けられたような…?」
ほんの少しの違和感を感じつつも僕は、初めての友人との遊びに心を躍らせていた事で、特に警戒をする事はなかった。