*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*がくえんしゅうげき ながくなる かもしれない

あと何話で終わるだろうか…


*生み出されし 未完成。

side サンズ

 

「…終わったか?」

 

「うん、素晴らしい時間だった。満足、満足。」

 

「そりゃ良かったな…」

 

1stって言っても手応え無し。もっと言えば目の前に居るコイツの仕業で死に方を演出される始末だ。

 

「じゃあさっさと行くぞ、寄り道もここまでにしようぜ?」

 

この騒ぎで援軍でも来たら面倒だからな。…来ても本当に面倒なだけで終わるが。

 

「それもそうだね。」

 

床、壁、天井さえ赤黒く染まったその場所を放置し、さっさと目的地へ向かう。死臭が周りを漂っているが処理の時間を設けるつもりは無い。空はもう赤みがかってきている。

 

 

 

んで、その後は特に何もなく研究室へと辿り着いたのだが…

 

「どうやら先客がいるようだぜ?…それも見知った顔らしい。」

 

「ふーん…」

 

シドは特に気にする様子もなくズカズカと入っていく。コイツらしいな、とか思いつつオイラも続いて中に入っていく。

 

室内には先客…()()()がそこにいた。それと致命傷を負った二人の男騎士…両者とも意識はない。青髪の方は辛うじて生きてるようだ。

 

「何してるの?ニュー。」

 

モブモードに入って存在感を消しているシド、すれ違いざまにそう告げた。

 

「シャドウ様…と、サンズ様まで…」

 

手際良く引き出しを漁っていくシド。…じゃあオイラは反対側を見るとしよう。

 

「…この人許嫁だったんです。私個人としてはどうするも無いのですが…」

 

「へぇ、通りで浮かない顔をしてたんだな…っと、シド。この中にあるか?」

 

ニューを一瞥してそう返す。許嫁ねぇ…

ガチャガチャと手探りで弄くり回しながら、いくつか道具を取り出す。

 

「じゃあそこ置いて?後で見るからさ。」

 

シドはこっちを見もせずに言う。

使い勝手が荒い?…へへ、コイツは目の前で核をぶっ放す奴だぞ。

 

「遅くなりましたが報告を…シャドウガーデンは以前からの計画通り、サンズ様とガンマ様の指示通りに学園の周囲で待機中です。」

 

「ふーん……ちょっとサンズ来て?」

 

ん?どうしたそんな顔して…前々から知ってたのになんでもっと早く言わないの…だって?

5日前に言っただけで心臓止めてるお前もどうかと思うぜ……いや褒めてないわ。

 

「ニュー、続けてくれ。」

 

「は、はい。ご指示があれば直ぐにでも突入は可能…しかし阻害により、七陰以上の力でなければ十分に動きにくい。現状、七陰はガンマ様しかこの場には来れませんが…サンズ様は()()()そう指示されたと聞いております。」

 

ま、七陰居なくてもオイラとコイツが居ればなんとかなるだろうって話だ。腐ってもシャドウガーデンの盟主だしな。

 

「あぁ、この人数でなんとかなる。…まずは現状打破からだ。ニューも手伝ってくれ。」

 

「えぇと…探し物ですか?」

 

「そうそう。んーとね…ミスリルのピンセットと地龍の骨の粉末、あと灰の魔石の──」

 

「それなら下の棚にあるぞ。後は──」

 

それから少し経ち、シドの持つ箱には目的の物品が揃った。ニューが幾つか場所を覚えていたのはMVPだと言える。

 

「んじゃ、アーティファクト解析の件頼んだぞ。」

 

「うん。多分日が落ちる頃には完成すると思う。」

 

そのやりとりを呆然としてニューは眺めていた。何か変なことでもあったか?

するとシドが去って少ししたら口を開く。

 

「…まさかアーティファクトの解析を依頼していたとは想定外です。」*1

 

ん?そんなに驚くことか?別にシドが解析するなんて思っちゃいないだろうし。

 

「へへ、じゃあオイラ達は上手くいくことを信じて待つか。…どうしたよ?」

 

「……」

 

何やら下の方を眺めているニューの目線の先には、今も倒れて意識が無い青髪の男が居た。

 

「…元の生活に未練があるのか?」

 

「…いえ、少し思い出しただけです。本来だったら学園生活を送っていたのかもしれないのですが…何も知らないよりは今の方がいいので。」

 

本来なら、か……だったら今頃──

 

「…どれだけ強くなってるんだろうな、アイツは。」

 

「どうかされましたか?」

 

「へへ、昔を思い出してただけだよ…」

 

 

 

side シド

 

「…やりました!これで解析終了です!」

 

日が落ちて少しの時刻。どうやらアーティファクトの調整が終わったらしい。

よっしゃ!これで陰の実力者ムーヴができるぞ!

 

「あとは隠し通路を使うんだっけ?」

 

「はい!見ていてくださいね。」

 

するとシェリーは本棚に向かっていき、一つの本を奥へ押す。ガチャンという音が聞こえたら、ズズズズと本棚がスライド。その中には階段があり、これには僕も感嘆の声を上げる。こういう仕掛け大好きだ。

 

「お父様は本当の家族のように愛を注いでくれて、研究の支援までしてくれました。だから今度は私が…!」

 

階段を前にしてそう語る彼女。じゃあ僕からも…

 

「僕にできるのはここまで、あとは君次第。お父さんの無事を祈ってるよ。」

 

その言葉に微笑んでシェリーは向かっていった。

 

そう、これでモブタイムは終了だ。そして…

 

「…今宵は黒の衣がよく似合う。」

 

夜が始まる…

 

 

────────────────────

 

 

「…遅い。レックスは何を…」

 

「それが…見張りの者含め全員消えており、確認できていません…」

 

痩騎士は不満げにそう呟くと、教団員一人が焦ったように言葉を返す。

 

「会長…」

 

声を抑えて一人がローズに話しかける。

 

「無駄だ。今の我々では何も出来ない。加えて奴の濃密な魔力…万全でも敵う気がしない。」

 

ローズは痩騎士をキッと睨む。当然、それだけでは何も変わらない。

 

 

時を同じくして、シェリーは着々と通路を進んでいく。大事そうに握り締められているアーティファクトを手に。

 

そしてついには大講堂内の上の通路へと辿り着いた。幸いにもここに見張り役はいないようだ。

 

「あとはこれを…強欲の瞳はどこに……あっ!」

 

痩騎士の手元に赤く光る物体を発見し、強欲の瞳と確信した彼女は、直様アーティファクトを起動させる。

 

「これで…上手くいって!」

 

あまりやったことが無いのか不器用な投げ方で放り込む。アーティファクトは効果を発揮し、空中で眩い光を放つ。

 

その瞬間、強欲の瞳の阻害効果が消えた。

 

 

 

(あの光は一体…いや、今が好機だ!)

 

詳しい説明など一切受けておらず、何がどうなっているのかは不明だ。しかしローズは本能で最後のチャンスだと感じ取る。

 

「はああぁぁあああ!!!」

 

近くにいた教団員へ走り、勢いのまま回し蹴りを一発入れる。

 

その一撃は血飛沫を撒き散らし、彼女に魔力が使用可能であるを伝えた。

 

流れのまま剣を奪い取り、高く天へ掲げて宣言する。

 

「魔力は解放された!反撃の時だ!」

 

その言葉は伝播していき、学生全員が動き始める。

 

「うおおお!!!」「囲め!剣を奪うんだ!」「さっきはよくもっ!」「攻めろ攻めろ!」「誰か教室の剣持って来い!」「学術生徒は避難を!」

 

先程の静まった雰囲気から一変、大講堂内は壮絶な死闘が繰り広げられる。

 

「何をしている…さっさと殺せ。」

 

痩騎士は冷たく言い放つ。部下達は顔を見合わせ、焦った様子で向かっていった。

 

「奪われた魔力が戻ったわけではない…早く決着をつけなければ…」

 

ローズの目が見据えたのは痩騎士。しかし、行かせまいと黒ずくめの男達が邪魔をする。

 

(ここまでか…いや、諦めてはいけない。私が斃れても必ず誰かが立ち上がってくれる。私が…()の思いを受け継いだように!)

 

掲げた剣を振り下ろす。ローズの人生最高の一撃がこの瞬間に振るわれた。

 

(今のは…)

 

脳裏に浮かぶのは嘗てあの日に自分を救ってくれた()()()。その高みに近づけた気がした。

しかし、他の教団員はその隙を見て斬りかかる。もうローズに避ける分の魔力は無い。

 

助かる可能性など無い…

 

 

 

その筈だった。

 

 

 

天井の窓が割れ、そこからローズの隣へ()()()人影が着地する。そして唖然とする彼女へ語りかけた。

 

「見事だ…美しき剣を振るう者よ。」

 

「こっからは…オイラ達の仕事だ。」

 

天井から舞い降りた二人を痩騎士は睨みつける。

 

また、別の箇所から物音が聞こえた。目をやると大講堂の上部廊下には、黒の衣を纏った者達が既に取り囲むように並んでいる。

 

「「我らはシャドウガーデン…」」

 

中心の二人がそう告げると…

 

『陰に潜み、陰を狩る者。』

 

周りの者達も呼応して一斉にそう言い放つ。

 

そして二人が掲げた腕を振り下ろすとシャドウガーデンは黒ずくめの男達に向かっていく。

 

次々に数を減らしていくのは教団側。シャドウガーデンの剣技は凄まじいものだった。

 

(一体何が起こって…いや、ここは避難が優先だ。)

 

ローズはこの様子を見て判断し、生徒には講堂から逃げる様に伝える。

 

「おぁぁぁあああ!!!」

 

黒ずくめの一人が後ろから中央の骸骨…サンズへと斬りかかる。

だがその剣筋は突如出てきた白い障壁によって阻まれ、届くことは無かった。

弾かれガラ空きになったその隙を突くように、白い何かが顔面を強烈に押し出す。男は壁まで飛ばされ、意識を失うのは早かった。

 

シャドウも別の男の剣を軽くいなしていたが、目線はその男に向いていない。

 

「あの男…」

 

その眼が捉えているのは、もう用は無いとばかりに立ち去っていく痩騎士の姿。

 

「お父様…どこにも居ない…?」

 

一方、シェリーは暫く上から講堂を眺めるも、ルスランの姿は見当たらない。

 

「…?」

 

ふと妙な音が聞こえたと思えば、照明器具を中心に熱風が生じ始め…

 

「な、なんだ!」

 

「火です!火が回り始めてます!」

 

小規模の爆発と共に炎を起こし、講堂全体は瞬く間に火の海と化した。堪らずローズは苦い顔をする。

 

「とにかく逃げ道を作れ!手遅れになる前に!」

 

「無理です!もう火の手がここまで…」

 

「クッ…!」

 

だがそんな状況の中、一人不適な笑みを浮かべる者が居た。

 

「ありゃりゃ…折角の施設が台無しだな。…おいアンタら、逃げるんだってな?」

 

「っ!…だったら何だ!」

 

その雰囲気に気圧されつつも反射的にローズは答える。

 

「へへ…まあぶっつけ本番で使うより、今使った方がまだマシか…」

 

呟いた途端、右手の掌底を上に向け、そこに魔力が収束していく。

 

(二年の修行で青攻撃だけってのは少し物足りないって思うだろ?…実は未完成ではあるが、()()()も一応できる。)

 

魔力と共にスライムも集約されていき、やがてソレは()()()()と成す。

 

「り…龍…なのか!?」

 

ローズは思わず叫ぶ。

作り出した者の数倍は大きい()()()。その口は目の下まで裂け切っており、不気味という言葉では足りないほど凶悪な笑みを浮かべているようにも見える。

 

「…放て。」

 

右手を振り下ろす。

同時に龍の口が開かれ、ギュゥウン…と特徴的な音が聞こえ、エネルギーが更に集約…圧縮され…

 

その瞬間、全てが吐き出された。

*1
シドが解析すると思ってる




何故未完成かは次話にて…
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