*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*いきてます
   エタってました
        めちゃくちゃに

明日あたり友人の手で…ヒエッ

あと評価数70ありがとうございます。(冷静)


*事件の終幕 別れ。

放たれたその一発は大講堂に大穴を開け、その威力を物語る。そして威圧感を放っていた龍はボロボロと崩れ去り、その残骸であるスライムは吸い込まれるように回収される。

 

「へへ…逃げたい奴は逃げな。」

 

その事象を引き起こした当の本人は、何も特別な事はしていないとさっきから変わらぬ平然な態度をしたまま、言い放った。

 

呆気にとられていた生徒も、その呟かれた言葉が耳に入った途端に行動を開始。

 

「こっちだ!早く!」「怪我人優先!誰か手を貸してくれ!」「助かった…」「もうボロボロだ…」

 

生徒がドタバタと動き回る度に響く沢山の足音をBGMとしながら、サンズは背後にいる人物に向けて言う。

 

「…で、アンタはどうするんだ?」

 

「用ができた…もう此処にいる必要も無い。」

 

コートがバサリと音を奏でて、その者…シャドウは暗く染まった空へと飛び立つ。

 

「あの方角は……やれやれ、柄にも無く真面目な顔して…ま、後は任せとくか。」

 

去る様子を終始見届ける。天井の割られたガラスからは、月の光がやんわりと差し込んでいた。

 

「サンズ様…目当てのものは全て確認できました。」

 

ニューの報告にそうか…と一言返し、サンズはシャドウガーデン全体に撤退命令を下す。すると総員が消えるようにこの場から立ち去っていった。

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…一体何が…!」

 

一方、魔力が使えるようになったのを機とし、学園にはアイリス王女を中心とした騎士団が駆け込む。熱さか焦りか、その顔には汗が浮かんでいた。

 

「死体が其処彼処に転がっており、学園各地に火が回っています!」

 

「直ぐに消火を……な!」

 

アイリスの足が止まる。そこでは学園生徒が疲弊した様子で避難をしており、奥では講堂の壁と地面ごと抉られた大穴が広がっていた。

 

「ローズ王女!ここで何が…」

 

「アイリス王女…私たちを襲った賊が謎の集団によって一掃されました。双方とも『シャドウガーデン』と名乗って…」

 

その単語に反応し、アイリスは顔を歪める。

 

「そしてこの大穴…シャドウガーデンの骸骨がこのようなことを…」

 

「確かに…やり過ぎだったかもな?」

 

「「な!?」」

 

二人の背後から声がする。ただその声色はアイリスにとって聞くのは二度目だった。

 

「ま、お披露目するんならインパクトは大事だしな。…シャドウのはやり過ぎだが。」

 

「貴様は…あの時のッ!!!」

 

鋭くキッと睨みつけ、僅かな間で素早く剣を抜いて剣先を向ける。

 

「…話を聞こう、とはならないのか?」

 

「あんな屈辱的な敗北をさせた上で…よく言うな…!」

 

腕に力が無意識に入り、アイリスの剣が小刻みに震える。

 

「へへへ…そりゃどうも。」

 

「何故貴様らはここに居る。何が目的だ?」

 

「面倒事を片付けにきただけさ。生徒を助けたのも気まぐれだよ。」

 

そう言いつつ目線をズラして大穴へ向ける。

 

「ま、今回は例の件も済んだし…素直に帰るとするかな。休みたいし…

 

「簡単に帰れると…!」

 

瞬間、目の前から骸骨が居なくなる。そして…

 

「その剣を誰に突きつけるのかで…アンタの結末(ルート)は変わる。」

 

アイリスの耳にその言葉を残し、初めから何も無かったかのように骸骨はこの場から消えていった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

その者が歩く度にガチャリ、ガチャリと鎧が音を漏らす。

 

辿り着く先は…副学園長室。その男は其処へ訪れた…否、()()()()()が正しいだろう。

 

少し乱雑に棚の本を床へ投げ捨て、ライターを上から落とす。

 

積み上がったその本は瞬く間に焼けていく。この部屋も数分経てば無くなるだろう。

 

男…痩騎士はは炎を暫く見つめ、淡々と歩みを進める──その時だった。

 

「そんな格好で何してるんですか、()()()()()()()()()()()()()()?」

 

窓辺に腰掛けて本を読む、学生服を着た一人の少年の姿がそこにあった。

 

「…シド・カゲノー君。」

 

痩騎士は頭部を覆う兜を掴み、ゆっくりと外す。露わになったその顔は…間違いなく彼だった。

 

「何故、判った…?」

 

無表情に言葉を発する。いつもの優しげな雰囲気の副学園長の面影はない。

 

「…()れば判りますよ。」

 

「成程…歩き方か或いは視線か……良い眼をしているね。」

 

そう言いつつ、少年の瞳を睨みつける。

 

「…とはいえ、貴方がこんなことをする理由は僕には判らなかった。…何故か聞いても?」

 

「何故か……君が生まれるより前、私は剣の道で頂点に立った…」

 

ガチャガチャと音を立て、身に纏っている鎧を火の中へ脱ぎ捨てていく。

 

「ブシン祭で優勝…とは聞いてますよ。」

 

「フフフ…本当の頂点はまだ先にあるのだよ。第一、君は知らないだろうがね。…しかし、その地位に登り詰めてすぐに病に掛かった。苦労して手に入れた栄光は一瞬で終わったよ。」

 

広がっていく炎はパチパチと音を奏でる。鎧を全て取っ払ったルスランは、愛用の剣を手に取った。

 

「…長くなりそうですか?」

 

本のページをパラパラめくり、呆れるような口調で言う。

 

「まぁ焦らずに聞くといい…病を治すため、私は研究者の手を借りることにした。それが…シェリーの母だ。賢すぎるが故に学会に嫌われていた女だったよ……私は彼女を支援した。すると彼女は研究に没頭してくれた。その末に遂に出会ったのが…」

 

一旦言葉を区切り、何かをポケットから取り出す。

 

「この強欲の瞳さ。」

 

少年はそれを一瞥し、再び本へと目を通す。

 

「しかし、あの愚かな女はこのアーティファクトの危険性を訴え、国に管理してもらうなどと言い出した。だから私は…彼女を殺すことにした。」

 

ルスランの表情が凶悪な笑みに変わる。

 

「体の先から中心へと突いていき、最後は…心臓を刺して、捻じ斬った!」

 

話していくうちにルスランの笑みが深まり、声に感情の昂りが乗せられる。

 

「シェリーは私を仇とは知らずに研究を引き継いでくれた。可愛い…可愛い…愚かな娘だよ……どうかね、理解できたかい?」

 

「…ではもう一つ、シェリーを利用したというのは本当ですか?」

 

「ああ本当だとも…怒ったかい?」

 

「どうでしょうか…僕は自分にとって大切なものと、そうでないものを明確に分けているので。…皆、生きていくと同時に大切なものを増やしていく。友達、恋人、仕事…」

 

少年は本のページを捲る手を静止する。

 

「ただ僕は違った。逆に削いでいった。色んなものを削いで、削いで、削いで…最後には()()()()()()()()()()()()()が残った。だからそれ以外のことはどうだって良いんです。」

 

「愚かな母娘がどうなろうとも…かね。」

 

「…そろそろ始めましょうか、のんびりしてると邪魔が入る。」

 

パタリと本を閉じ、腰に刺してある剣を抜く。ルスランもいつの間にか右手に剣を握っていた。

 

「それもそうだね…」

 

両者は向かい合い、一刻の静寂が訪れる。

 

勝負は一瞬。お互いの体が同時に動き出し、相手の胴目掛けた一閃が繰り出された。

 

「さらばだ……シド・カゲノー君…」

 

勝者はルスラン。少年の体は吹き飛ばされ、窓を突き破って外に落ちていく。

 

ルスランは病を患っているとはいえ、ブシン祭での優勝経験を持ち、元ラウンズという実力者。そんな相手にただの学生(モブ)が敵う訳がないのだ。

 

 

 

そう、それが本当にただの学生ならば…

 

 

 

「何処へ行く…」

 

「ッ!…貴様は…()()()()!」

 

突如姿を表したのはシャドウガーデンの頭領。一歩一歩優雅に、されども隙を作らず距離を詰める。

 

「私も剣に生きた人間…その動きからして…今のままでは分が悪いこともよく判っているとも。だが、私にはこの力がある!」

 

手を突き出し、強欲の瞳とその制御装置を並べる。制御装置は恐らくシェリーから手放されたものを拾ったのだろう。

 

「強欲の瞳の真価は、制御装置と組み合わせることで発揮されるのだ!悪いが最初から本気でやらせてもらうぞ、シャドウ!」

 

二つのアーティファクトが融合していく。やがてそれは禍々しい薔薇のような形状へと変貌を遂げた。溢れる膨大な魔力は棘のような形を成しつつ、ルスランの体へ纏わりついていく。

 

「ふはははははは!病が癒える!魔力が吹き荒れる!私は今、人間を遥かに超えた力を手に入れたのだ!」

 

その光景をシャドウは…失望に染まった目で視ていた。何処までも冷酷に。

 

 

 

 

 

side サンズ

 

あの技のお披露目は…まぁ成功と言っていいだろう。タイミング的にもバッチリだし…ま、足りない部分はまだあるがな。

 

ガスターブラスター…いや、擬きと付けたほうが良いのだろうか?

兎も角、あれの正体はただの魔力砲ブッパだ。

スライムであの形を作り、作成時に使った魔力を全てブラスターに注ぎ込んで放出…シンプルだろ?

 

ま、文字通り『全て』注ぎ込む所為で、撃った後はすっからかん。形の維持はできなくなる。

 

そんでもって、自分の体から魔力砲を放つのとは当然話が違う。

()()で魔力を一点に集中し、ブッパするってなるとまぁ…そりゃ極限レベルの魔力操作が必要で、自分から遠く離れた位置でやれば壮絶な難易度になる。そん時は一発できるかどうかだ。

近くだったら最大で五発が同時に発動できるが…それでも五発。本家のスペシャルこうげきの一つ前の攻撃(ガスブラ洗濯機)には到底敵わない。

…改善していくしか無いな。

 

シドみたく一点集中型*1もありか…?

 

「…って訳で、改良したいんだがどう思う?」

 

何気なく声をかける。相手は『やるべき事』をやったらしいウチの盟主。

 

「うーん…もうちょっと片手を上げる角度を上に…」

 

「ポージングの話じゃないぞ。」

 

「でもあの…龍?…はなかなかにカッコいいし、魅せるのは大切だよ?」

 

やっぱアドバイスを訊いたのは間違いだったらしい。

 

「……んで、()()はつけてきたのか?」

 

「…そうだね。最後にシェリーには見られてしまったけど、知らなくていいこともあるから。」

 

シドによると、ルスランが暴走したので影の実力者ムーブの圧倒的剣技で完封。トドメはシェリーの母と()()()()で葬ったらしい。

 

「──さっきも言ったけど、運悪く彼女が来ちゃったから、『お前は何も知らなくていい…』って言い残して帰ったよ。最後まで完璧じゃない?」

 

…なるほどな、だがシド──

 

「…それって本当にムーブの為だけに言ったのか?」

 

シドはオイラに背を向けて、一言…

 

「さあ、どうだろうね…」

 

風を切る音が一瞬する。アイツの姿はもう見えなくなった。

 

 

 

 

 

あれから数日が経ち、ミツゴシの拠点内。

 

アルファが襲撃事件を聞きつけ、臨時だが帰ってきていた。この場にはアルファ、ガンマ、ガーデン員の皆々にオイラだ。

 

「王国の怨敵シャドウ…無差別殺人、監禁に放火に強盗…なんて悪い人なのかしら。」

 

新たに出回っている手配書を見ながら皮肉を込めて呟く。とはいえ流石に顔までは王国側も掴めていないようだ。

 

手配書…ねぇ、ついでにアトミック中毒者とか、狂人とか入れて欲しい。

 

因みに、大半がシャドウの罪へ変わったこともあり、元々広まっていたオイラの顔付きの手配書は見なくなった。しかし、『お、アイツに擦りつけられた!』とか思っているのも束の間、新しい『サンズ』の手配書が出ている。

 

「オイラの方のも大体同じだ…いや別に気にも……ならないが。」

 

「…どうかしたの?」

 

身体の特徴的な部分に遠回しに()()という記載が…サンズの体を愚弄するかミドガル王国…いやディアボロス教団さんよ。

 

「いや、ちょっと考え事だ。」

 

(サンズ様が険しい顔をしておられる…私たちではまだ力不足──)

 

何やらガンマが気落ちしたような顔をしている。…会議の邪魔をしてしまったかもな。

続けてもらうように軽く一言を添えると、慌てて返事をして再開した。

 

「──主様は仰いました…『我らは正義の道を往くものでも無く、しかし悪の道も道を征くものでも無い…我らは我らの道を征く者──』」

 

「『世界の罪を全て引き受けよう。だが何も変わらぬさ…それでも──我らは我らの成すべき事を成す。』…いい言葉ね。」

 

ガンマ、アルファが思い出すように笑う。…知らなかったなんて言えないな。

 

それにしても()()()()ねぇ…アンテのルートを思い出す言葉だ。アイツがやってたら…どんなプレイを──考えるだけ無駄か。

 

「私は正義の立場にあると思っていた…でも彼は違った。その覚悟は更に先にある…サンズ、貴方もそうでしょう?」

 

アルファが手配書を魔力で燃やす。親指サイズの簡易ガスブラで同じことできないかな……お、できた。

 

「…さあな。ただ一つ言うなれば……越えちゃならない一歩を踏み出した奴には──サイアクな目に遭ってもらう…そんだけだよ。」

 

その言葉に多種多様な反応を見せる。アルファには『貴方らしい回答ね』と言われた。

 

「…手の空いている()()を集めなさい。」

 

アルファが真剣な顔つきでそう告げる。会議はまだ少し続きそうだ。

 

 

 

 

 

side シド

 

「このまま休校で夏休みか…」

 

襲撃事件から少し経ち、学校に全員が呼び出された。校舎はやはりボロボロで、地面には瓦礫に燃えカスだらけ。

流石に学園として機能できないので、休校という判断になった。いくら魔剣士の脳(脳筋)でもこのまま授業とはいかないらしい。

 

「あの…ちょっと時間いいですか?」

 

「…うん、大丈夫。」

 

彼女は笑顔で僕と目を合わす。…でも今日の顔は僕にまで寂しさを感じさせるものだった。

 

「…先日の件、ありがとうございました。私だけじゃどうなっていたか…」

 

「いいよ別に。成り行きみたいなものだし。」

 

「…今日は報告があって…私、留学することにしたんです。ラワガスの方まで…」

 

ラワガスというと…最先端の学術都市か。アーティファクトの解析ができる頭脳を持つシェリーにとっては、最適の環境と言えるだろう。

 

「やらなければいけない事があるんです…それに、此処に居る理由も…失くなりました。」

 

弱い風が吹き、ピンク色の髪を棚引かせる。顔はさっきから変わらず悲しげだ。

 

「…本当はもっとお話ししたかったです。私、あっちでも頑張りますね。」

 

「またいつか会えるよ。」

 

「…はい、またいつか…」

 

一礼してバッグを両手で掴み、待たせていた馬車に歩みを進める。

 

「…ねぇ、やらなきゃいけないこと…って?」

 

僕は最後に尋ねた。彼女は振り返り、少し驚いたような表情を見せる。

 

「……秘密…です。」

 

この時の笑みは取り繕ったような、偽ったかのようなものだった。

 

「そっか。」

 

その答えを受け止め、僕はこの場から立ち去っていく。彼女も同じく背を向け、足を進める。

 

「私は…必ず──」

 

最後の呟きは小さかったけれど、確かに僕の耳へ届いた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「…ようやく休暇がとれるぜ。どこか遠出でもするかな……お、リンドブルムなんて良いんじゃないか?聖地だし何も大層なことは起こらないよな。」

 

 

 

次回──聖域動乱編──開幕

*1
例の核になるやつ




次章…何が起こるでしょうね?

あと完全版ガスブラはいつだろうか。
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