*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*おきにいり 1000にんごえ かんしゃかんげき!

ふと気づいたらこんなことに…

え?わかったらさっさと書けって?ユウジン・エーさん?


*聖域動乱編
*休暇と ケチャップと 涙と アホ。


side サンズ

 

休暇を取りたい。

と言っても、あんな真面目な七陰の前で『疲れた休む!』なんて声を大にして言えない。今回頑張ってもらったガンマが今日も働いてるし更に言えない。

 

しかし、もう休むと決めたんだ。

 

「…聖地リンドブルムへ行こうと思う。」

 

唐突に、そして少し圧を含んでアルファに言う。正直ダメ元だが…休みたいって察してくれるか…?

 

「……まさかもう()()を?…構わないわ。貴方がそう決めたのなら…」

 

…そうだよな、やっぱり困惑する……ん?

 

「何かやるべきことがあるのよね…でも時には私達を頼って。」

 

……なんか察してくれた…?*1

 

「リンドブルムへ連絡を入れておくわ。現地では宿に泊まれないでしょう?」

 

至れり尽くせりだな…兎にも角にもありがたい。アルファ…今度ケチャップを渡そう。

 

アルファさんの寛大な御心に感謝し、リンドブルムへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、オイラはまだ知るはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんなサイアクの事態が起こる、とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

シド・カゲノーは死んだ…学園の生徒達にはそう思われているだろう。

 

(忘れていた!僕はモブとして息を引きとった設定だったのに!)

 

サンズとの会話を終えた青年…シドは走る。それはもう必死に。

 

怪我人が集っている医務室へ辿り着き、身を忍ばせて入ると、偶然使われていない病床を発見した。

 

彼は以前に練習した『どこでも重症患者モブ』の技術を利用し、包帯で体中をぐるぐる巻きにする。この一瞬で『一命を取り留めたモブ』が完成した。

 

(…なんとか間に合った、よね?……はぁ、今のが一番疲れたかも。)

 

なんと、『ルスランとの死闘(?)< モブムーブ』の式が。

…ルスランは泣いても良いかもしれない。

 

(あ…眠気が…寝よう。)

 

そしてそのまま就寝時間へ突入。

…サンズは泣いても良い。

 

 

 

「…あ、あれ!シド君じゃないですか!?」

 

「ジャガ…お前幻覚が……なっ!マジかよ!」

 

その後、少ししてシドの心の友*2が現れる。

 

「なぁ、さっきここは見た気がするんだが…」

 

「影が薄すぎて気づかなかったかもですね…」

 

「だな!」

 

二人ともシドを悪く言うものの、涙ぐんでいる。多少なりとも心配はしていたらしい。

 

「お前の行動…俺の胸に響いたぜ!」

 

「自分もです!あれはガツンと来ましたよ!」

 

「だからよ、シド。お前が目を覚ますまで俺は見届ける。それくらいはしてやらねえと。」

 

ヒョロが覚悟を決めたような顔を見せる。

 

「ヒョロ君…!自分もそうします!」

 

数分後、彼らの眠る姿が目撃された。

 

 

 

更にその後、彼の病床へ訪れる者がもう一人現れた。

 

「あぁ、シド・カゲノー君!良かった…!」

 

金色の髪を揺らし、歓喜に震えるローズ・オリアナの姿がそこにあった。

 

「この奇跡…きっと貴方の努力と思いが導いてくれたものなのでしょう。──ならば私は救われたこの命を…心を捧げます…」

 

近くで寝ているモブ二人には全く気付かずに、真剣な眼差しを彼に向ける。…ヒョロとジャガが起きていたら、この光景を血涙ながして見ていたに違いない。

 

 

 

side シド

 

ローズ先輩に拾われた。

 

モブらしく聖地へ三等車両の自由席で行こうとしたのが間違いだったかもしれない。

偶々同じ列車だからって、王族御用達の車両に連れてくるのは話が違うじゃないか。

 

「シド君も目的は()()()()()ですよね?」

 

「…たぶん、そう?」

 

そうそう、何故僕がここにいるのか。

 

夏休みに暇を持て余しているところ、アルファから『暇なら聖地に来て』との一通が。

この時期は実家に帰る生徒が多いけど、正直僕は帰ってもやることないし…丁度良かったと言える。

 

話は変わるけど、この世界においての最も一般的な宗教は()()。女神ベアートリクスの教えを崇め奉る宗教だ。リンドブルムはその聖地とされている。『三人の英雄に力を与えるために女神が降臨なされた地』…らしい。

 

「シド君が試練を突破できれば、父にも勇敢な少年と話ができます。…私たちの愛に溢れた幸せな未来も、一歩近づくかもしれませんね…!」

 

ローズ先輩はずっとこの調子だ。

 

愛、幸せ、未来に聖教……これは典型的な宗教勧誘だな。ちょっと距離を置いとこう…

 

 

 

 

 

なんやかんやあって、リンドブルムへ到着した。

 

駅から出てすぐにキーホルダーのようなものが目に入る。

 

力瘤を作った悪魔の左腕を、上から剣で突き刺したようなデザインだ。

 

「…なんで全部左腕なんだろう。」

 

「嘗て、この地で英雄オリヴィエが魔人ディアボロスの左腕を切り落としたという伝説があります。…あの切り立った山、見えますか?」

 

少し首を傾げ、奥の方を注視する。うん、確かに山があるね。

 

「あの山肌の中に、『聖域』と呼ばれる遺跡が存在していて、そこに腕が封印されている…とのことです。」

 

へぇ、流石は会長。結構博識だね。

 

「だから左腕に剣…か。」

 

僕がそう頷いていると、彼女が「あれは!?」と声を上げた。

 

「ナツメ先生のサイン会!シド君知ってますか?私、大ファンなんですよ!」

 

「ナツメ…先生?」

 

「えぇ!飛び抜けた発想力と世界観でこれまでにない作品を手がけている、有名小説家なんですよ!…恋愛、ミステリー、アクションに童話、その上純文学も…多様性に富んだ作品ばかりで…まるで別人が書いているようなんです!」

 

…名前も含め、きな臭くなってきた。

ナツメ先生とやらが書いた小説を手に取る。

 

「なになに…『吾輩はドラゴンである』、『ロメオとジュリエッタ』、『シンデレーラ』、『ザ・エミネンス──…読めないな。」

 

なんだこのパク…いや、僕とサンズ以外の転生者が?

 

なんにせよ、この目で見なければならない。一冊手にとってサイン会に並ぶ。人気小説家というだけはあり、少し行列ができていた。

 

僕は本を開き、暇つぶしに読み進める。

 

…内容自体はどこか既視感があるけど、普通に読みやすい。

 

「次の方……あら?」

 

そんな間に僕の番になっていたようだ。…でも聞き覚えのある声な気がする。

 

「本をこちらに…」

 

優しく笑みを浮かべる彼女に、思わずジト目になった。ナツメ先生の正体は僕もよく知っている…()()()だった。

 

本を閉じて手渡すと、彼女は裏表紙の裏にペンを走らせる。

 

「…売れてるの?」

 

「はい、順調に名を広めております。…これも主人様の叡智のおかげ…」

 

いくら前世の知識があっても小説なんて僕には上手く書けないだろうし、ベータの様にはならないのは分かってる。…分かってるけど、ベータのことをちょっと狡いって思う。

 

僕にも書けたらなぁ…

 

「作戦の詳細はこちらに…」

 

なんて考えていたら、ベータが真剣な顔付きでそう伝える。

 

「え?…あぁ、うん。」

 

妙にサッパリしない気分で僕はこの場を後にした。

 

 

 

因みに、書いてもらった計画とやらは古代文字を崩したもので、全く読めなかった。*3

 

 

 

 

 

side サンズ

 

聖地にあるシャドウガーデン管轄の宿に着いたら倒れるように寝てしまい、窓を見ればもう日が沈みかけている。…夜寝れるだろうか。

 

とはいえ、特に緊急の用事は無いし、面倒な事は考えないようにする。この日を満喫することが一番だからな。

 

せっかくの機会だし、ケチャップの飲み比べをやってみることにする。懐を弄り、数本取り出して並べる。…壮観だな。

 

「まずは信頼と安心のミツゴシ製……オイラがいつも飲んでるやつだな。」

 

多分一番流通してるこのケチャップは安価だし、何より食感も味も非常に良い。

 

「くぅ〜…やっぱり寝起きにはケチャップが一番だな。」

 

ガンマもよくここまで再現できたなと思う。このレベルだと前世の市場に並ぶんじゃないか?

 

んで次は…パックリ食品ってとこのケチャップ。

たまーに売ってるの見かけるから、夜中のうちに金だけ置いて持ってきた。まずは一口…

 

「…しょっぱいし、なんだ…これ本当にケチャップか?」

 

なんか食感は液体と個体が完全に分離して、口の中でグチャッとしているような感じだ。味も伴ってちょっと気持ち悪い。

 

「ケチャップの風上にも置けない…いや、こんなのが好みの人もいるのか?」

 

後味も残ってしまい、正直飲み比べを後悔するレベル。

 

「ハァ、仕方ない…口直しにはとっておきのコイツを飲もう。」

 

一本のボトルを取り出す。何やら黄金のオーラ的なものが見えたのは気のせいだろう。

 

「へへへ…コイツはミツゴシのプレミアム製だ!」

 

前々から落ち着いた時に飲もうとしてたんだが、今日がその時らしい。

 

「オイラもすこーし開発携わった最高のブツだ。…失望させてくれるなよ?」

 

キャップを弾き、ボトルを握りしめる。とめどなく溢れる赤い液体が体の中へ一気に送り込まれていく!

 

「なっ!!!」

 

一瞬、世界が完全に停止したかのように硬直し、その後オイラの体が震える。

目ははち切れんばかりに見開かれ、口は信じられないものを見た…いや、味わったかのようなものへ形を変えた。

突然、頬に少し違和感。手で拭うと、水が付着していた。よく見ると手もブルブルと…

 

──あぁ、そうか。オイラは……いや、オレは…

 

 

 

 

 

 

──泣いているのか…

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

「…我々は真実が知りたい。」

 

月光にやんわりと照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出す大聖堂。

 

彼女…アルファはその窓際をコツコツと進んでいく。

 

「英雄オリヴィエ…貴方は()()という地で何を成し、何を歴史の闇へ葬られたの。」

 

ゆったりと英雄オリヴィエの像の前へ佇む。かつては勇ましい男だったのだろうと想起させるその像は、普段と異なって兜が、顔が、武器が赤く染まっていた。

 

「大司教ドレイク…貴方は何を隠していたの。…もう一度その口が開くのなら、答えて欲しかった。」

 

アルファは目線を上へと向ける。その先には像の持つ槍に突き刺され、惨たらしく血を吹き出した後の大司教がそこにあった。

 

「貴方は誰に殺されたの。貴方の地位でも切り捨てられる理由があったの。…我らは明日、()が開かれる時を待つ。」

 

彼女は身を翻し再び歩き出す。その姿は陰のように消えていくのだった。

 

 

 

side サンズ

 

女神の試練……聖域への扉が開かれる日に行われる戦いの儀式。毎年大勢の観客、挑戦者で満たされるらしい。

聖域からは古代の戦士…いわば亡霊が現れ、挑戦者は戦うことができる。といっても、大半は挑戦者の実力不足で現れることも無いようだがな。

 

加えて、きな臭いニュースが耳に入ってきた。どうやら大司教サマが殺されたらしい。

 

そしてもう一つサイアクなニュース。シドが聖地にやってきたらしい。

 

 

 

「嘗て、女神ベアートリクスは魔人ディアボロスを退けるため、英雄オリヴィエに力を授けました。オリヴィエはディアボロスと勇猛果敢に戦い、切り落とした左腕を聖域に封じたと言われています。」

 

女神の試練の開幕は、下の方でハゲのおっさん…大司教代理のネルソンとやらが演説するところから始まった。

オイラは野球ドーム見たいなこの会場の上で見学だぜ。魔力を感じなくさせる技術も込みだ。

 

「そして今も、聖域の扉の向こうではオリヴィエと共に戦った古代の戦士達が、ここに集いし挑戦者を見定めていることでしょう──」

 

視線をずらして会場中央を一瞥すると、挑戦者達それぞれが武器を空へと掲げて戦意を高めている。

 

古代の戦士というと、数年前に流浪の騎士ヴェノムとやらがオリヴィエを呼び出したとも聞いたが…

教団さんがオリヴィエというトップシークレットを安易に出すとは思えないし、恐らくはデマか全く別の奴を呼び出したんだろう。

 

「──期は満ちた!女神ベアートリクスよ、我が祈りに応え…戦士達に試練を与え給え!」

 

校長先生の如く長ったらしい話を終え、最後に宣言する。するとドーム中央の床に馬鹿でかい魔法陣が出現し、赤い光を放つ。

魔法陣からは虹色のカーテンのようなものが空へと飛び出し、それは戦士達を覆って結界へと化けた。

 

「これより…女神の試練を開催する!」

 

 

 

 

 

『一番手はオリアナ王国から、トップ・バッタリオス!』

 

入場と共に戦士の紹介が始まる。最初は野球選手みたいな格好で来たバッタリオスとか言う人だ。

 

「古代の騎士よ!我が呼び声に応えたまえ!」

 

持っている剣をフルスイングしながら待つ、が……出てこない。チューブラーベルの『カーン』という強制終了の音と共にトボトボ帰っていった。

 

『二番手、ミドガル王国騎士団──』

 

 

 

 

 

その後も続々と挑戦者は登場するも、『アンネローゼ・フシアナス』とかいう女性騎士が一度古代の騎士を出しただけで、大きな動きは無かった。

一人づつだから時間の消費が大きい。…ま、オイラはゆったりと過ごせていいんだが。

さて、そろそろこのイベントも終盤だろうか。

 

『次!ミドガル魔剣士学園生徒、シド・カゲノー!

 

次はシド・カゲノーって挑戦者。シド・カゲノー……シド・カゲノー?

 

「シド・カゲノー!?嘘だろ…」

 

瞬間、どこからか分からない魔力の光が上空にて輝きを放つ。……お手本のような視線誘導。

 

そして舞台に降臨したのは…

 

「ハァ…このアホが。」

 

紛れもなく、我らが盟主のシャドウ(トラブルメーカー)だった。

*1
確かにアルファは察した。("超"拡大解釈)

*2
諸説あり

*3
ベータによる『シャドウ様なら読める』という無限の信頼




皆さん、最近出たサンズのファンアニメーション見ましたかね?
ここでは名前を出すのは控えますが…是非とも検索してください!

あと、Xを始めましてですね…リンクは自分のプロフィールに載っけてます。
でもほとんど動かないと思います。返信は見つけ次第しますがね。

追記
誤字報告がありがてぇ!あったけぇ…!
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