*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*しせいかつ キツイよ〜
*さくしゃは たすけを よんだ!

テミーの手も借りたい…

あと9評価のバーに青色が見えて来たんですが!?


*オイラ 何も見てないぜ。

side シド

 

アルファに誘われたのは女神の試練があるからだ、と思って来てみたのは良かったんだけど…

 

『次!ミドガル魔剣士学園生徒、シド・カゲノー!』

 

なんでこんなことになってるんだろうか。

 

第一、この試練って予約制でしょ?飛び入り参加は不可能。じゃあ誰が僕を……いや、誰がやったかは今は関係ない。重要なのはどうやって切り抜けるか、だ。

 

プランA、普通に参加する。

…リスクが大きい。もし本当の実力で判定されたりしたら、古代の戦士が出てきてしまって…

モブムーブが今後できないじゃないか!

 

プランB、逃げる。

もし逃げたなんて姉さんに知られたら、ボコボコにしばかれるね。論外。

 

ならば…

 

 

 

 

 

ボウッ!と手の平で魔力を燃やし、爆発させると共に上空へと飛ばす。

 

「なんだ…あれ?」「光…?」「何か始まる?」

 

次の瞬間、強く放たれた紫色の輝きは会場中を照らし、注目は自然とそこへ集まった。

やがて魔力は勢いを失い、光は弱々しく変わり始め、注目は散らばっていき…

 

「み…見ろ!舞台に誰か!」

 

一人が叫ぶのを発端として、会場がざわめきに包まれていく。視線は再び一点に集った。

 

「あれは……シャドウ!?

 

 

 

 

 

プランC…全部有耶無耶にする!

 

圧倒的強者が何の前触れも無く現れるインパクトは計り知れない。シド・カゲノーなんて、簡単に無かったことにできるのだ。

故に僕はこの選択を選ぶ。全ては平凡なモブライフのために。

 

「我が名はシャドウ…陰に潜み、陰を狩る者……聖域に眠りし古代の記憶を、今宵…我らが解き放つ!」

 

バチバチと異質な魔力が揺れる。空気をうねらせながら収縮していき、僕の遥か頭上で禍々しい赤黒い魔法陣が生み出された。

その魔法陣からは…やはり、古代の戦士らしき者が現れる。

長い髪、紫色の瞳をもった女性が現れた。しかも中々に強そう。

 

「なんだか凄いことになってきたな。」

 

 

 

side サンズ

 

色々ツッコミたいところだが、あの古代の戦士…

 

「災厄の魔女…アウロラ。」

 

「…へへ、後ろからとは…オイラの真似事かい?──()()()()。」

 

「…やっぱり、貴方にはお見通しよね。」

 

背後に立つのは第一席に相応しい彼女、アルファ。

こちらに歩み寄ってくるとシャドウの動きを目で追い始める。

 

「血液を操っての攻撃…魔女の名はやはり伊達では無いわ。」

 

血液は赤く長い槍…ビームのようにも見えるものに化け、それぞれが鋭く襲いかかる。

耐久性を脆くすることで速度が増す。速さに伴って攻撃は鋭くなる。

 

…これが古代の戦闘技能か。オイラにとって骨の硬度は高い方がいいという観念があったが…成程、速度に重点を置くのもアリか。温故知新とはこのことかもな。

 

対してシャドウは避ける、槍を断つ、壁や槍の上に飛び移る。

一見、防戦一方にも見えるそれは、アイツにとっての拘りだとオイラは知っている。

 

「アルファ、『戦い』とはなんだと思う?」

 

「『戦い』とは何か…答えの無い問いとも受け取れるわね。」

 

「へへ…オイラ自身の答えとしては『戦い』とは()()()()()()()()()だ。

…戦いにはそれぞれが『目的』を持ってる。『信念』を持ってる。『自分』を持ってる。そして単純にその『ケツイ』が中途半端な奴が負ける。」

 

「戦いに於いて、精神が最も大切。そう言いたいの?」

 

「ま、そんなとこだ。ただ……中途半端な目的の癖して、とんでもないケツイを抱く奴は──」

 

必ず止めなければならない(サイアクな目に遭う)

 

「…そんで、アイツ自身の考えでは『戦い』とは対話だ。戦いの中での『動き』にはすべて相手の意思がある。

片方が相手に『攻撃(問い)』、片方はその『反撃(解答)』を導き出す。攻撃(問い)反撃(解答)を重ねて互いに高まっていく。その瞬間の一つ一つをアイツは愉しんでいる。」

 

シャドウは風が流れるように槍を躱し、会場の広さと持ち前の剣技を活かして捌いていく。

 

「──つまり、彼はまだ彼女からの問いに悩んでいる途中?」

 

「そうとも取れるが…違うぜ。アイツは見据えようとしているんだ。あの魔女の()()をな。」

 

刹那、無数の斬撃が槍に向かって放たれる。赤い槍はバラバラと分解され、アウロラへ続く一筋の道が作り出された。シャドウが足元に魔力を集中させ、爆発的な推進力を生み出す。

 

そして……深い一撃がアウロラへと入った。

 

「先を見ているのね…彼も、貴方も。」

 

……さて、シド。説教の準備はできているか…って飛んで逃げていきやがった。

追いかけようとしたがアルファに声をかけられる。…聖域が答えた?

 

会場の結界が戦いの余波によるものか破壊され、同時に噴火する勢いで飛び出た赤黒い魔力に覆い尽くされる。

漸く魔力の放出が収まったと思えば、扉の形をした紋様が現れた。そしてバカほど大きい。

 

聖域の扉か。大聖堂の奥にあるものが何故……いや、十中八九アイツが呼んじまったんだろうな。

 

「彼は行ってしまったけれど、貴方は来る?」

 

「ヘヘ…飛び入り参加になるがな?」

 

 

 

 

大司教…ハゲ頭のアイツが命じたのか、観客は会場から立ち去っていく。…まったく、聖地だから何も起きないだとか変な妄想してた自分を殴りたいぜ。今は何故かアイツの尻拭いをやらされてるし。

 

目的はあのハゲを拉致って扉に突撃すること。当の本人は何やら大慌てしているようだがこちらにとっては好都合。

 

アルファが合図を出すと、大司教の元へシャドウガーデンの面々が接近する。よく見ればナンバーズも居る。

…聖域に突入するとなれば、大規模な人員が動くのも納得できるな。

 

結果的に十数人の面子が集まって、大司教の背後へ並ぶことになった。あと全員が黒いフードを被っていたので、オイラも合わせる。

 

ん?アルファの隣に居るのはデルタじゃないか?

 

「…何者よ!」

 

最初に気づいたのはハゲではなく、二人の女騎士と女性。二人は剣を構え、一人はアワアワと…

 

…お?誰かと思えば、シド(ポチ)の名付け親じゃないか。アレクシア王女だったっけ。もう一人もブシン祭予選でシドと戦ってた…ローズ王女だったか?

この二人は王族の来賓として呼ばれたっぽいな。

 

んで、女性の方は……ベータ?

 

「き、貴様らは…まさかシャドウガーデンか!?」

 

「そのまさかだ。賢い行動を取るのが身のためだぜ?」

 

一歩後ろへ下がり、狼狽える様子の司教。冷や汗も止まることを知らない。

 

「イプシロン、この場は任せてもいいかしら?」

 

「了解です…アルファ様。」

 

柱にもたれかかったイプシロンの後ろに広がるのは、教団員の屍で埋め尽くされた通路。彼女の見せるクールな表情は余裕だと示している。

 

「…デルタ、行くわよ。」

 

その返事に気の抜けた欠伸をしたのはデルタ。何故かオイラに噛み付いて来ない。…明日はホネでも降るのだろうか。

 

二人はそのまま扉の前に移動して手を翳すと、体が光のように変化し、吸い込まれていった。

後に続く数人も同様に入っていくのが見える。

 

「聖域に入ってはならん!あの場所は…」

 

「あの場所が何だって?是非とも聞きたいとこだな。」

 

「ぐぅ…貴様らに話すことなどないわ!」

 

「そうかい…」

 

オイラが呟くと、ガーデンの構成員がネルソンとナツメ…いやベータの首元に剣を突きつける。

 

「きゃあ!たすけてくださいぃぃ!」

 

正直なんとも言えない演技だな。…アレクシア王女から胡散臭いだとか言われてるぞ。

 

「我々も内部へ侵入しましょう…来いハゲ。」

 

「ふん!そんなに行きたければ貴様らだけで行くがいい!…処刑人ヴェノムよ!この者共をあの世へ送ってしまえ!」

 

瞬間、イプシロンの頭上に現れたのは謎の剣士。全身を軽い鎧で覆い、魔法陣の紋様が入った仮面を付けている。

 

着地と同時にイプシロンに斬りかかる。対して彼女は体を思い切りのけ反らす事で避けようとしたが……それが良くなかった。

 

「「!!」」

 

スパッと切れてしまったのは彼女の双丘。偽乳であるが故、ダメージこそ無かったが…これは非常にまずい。

 

何故ならベータがこちらを向こうとしている。

ベータの持つ胸は天然。だからこそ、彼女はいつも対抗心を燃えたぎらせている。しかし、イプシロンの持つ秘密が…胸がスライムであるという事実がバレてしまうと…

 

「天然に…勝利するために!」

 

宙に浮いた二つの()()をスライムで掴み取る。ソレらは吸われるように完全に元に戻った。

 

「こんなところで…ヴァれてたまるかぁぁぁぁあああ!!!」

 

その流れのまま、彼女は全力の剣技をぶつける。無数の剣筋が瞬く間にヴェノムとやらに突き刺さった。

 

「処刑人ヴェノム!どうした、動けい!」

 

ハゲが声をかけるとほぼ同時に、グシャリとヴェノムの体が崩れる。…へへ、これはガチの時の剣だな。

 

おい……何か見たか?

 

「ひぃぃぃいいい!!!」

 

明らかにブチ切れてる声色で、血気迫った表情でハゲに詰め寄る。…何故かオイラに言ってるようにも感じるのは気のせいか?

 

「さっさと行くぞハゲ…」

 

未だ嘗てない程に口が悪くなっているイプシロン。乱暴にハゲの頭を掴み、一直線に扉へと向かっていった。

 

「へへ…こりゃ本当にホネが折れるぜ…」

 

イプシロンに続き、頭を抱えつつオイラも聖域へ突入する。こりゃ、聖域内でも何かあるという予感がどうにも拭えなかった。

 

 

 

 

 

「サンズ様…あ、あの…その…」

 

「…へへ、オイラはなーんにも見てないさ。」

 

入って早々にイプシロンとそんな会話。そんな泣き出しそうな顔で見られるとちょっとなぁ…

 

「貴様ら!こんなことをしてタダで済むと思うな!」

 

後ろの方でギャアギャアと騒ぐ司教をそっちのけにして、聖域内ではシャドウガーデンが調査に明け暮れていた。

 

聖域というからには遺跡のようなものを想像していたが…どうにもそうじゃないらしく、極めて近代的な建築だ。パイプみたいなのもあるし。

各々が様々な方法で調査に臨んでおり、メジャーやら新開発のインスタントカメラやらが見られる。

 

そんな感じで首を動かして見回していると、後方からドタバタと騒がしい足音が聞こえてくる。

 

「さぁあああんず様ぁぁあああ!!!」

 

満面の笑みで近寄ってくる四足歩行の獣…デルタが近寄ってくるではありませんか。ハハ…

 

声をかけて止めようとするも、そんな時間はもう無い。間髪入れずに指を鳴らす。

デルタとオイラの間に挟まるようにガスターブラスターが召喚されると、それは口を目一杯開き…

 

バクン…!

 

「んえ!?」

 

デルタが足だけとなってしまったぜ、へへ。

 

「サンズ様!これなんなのです!暗いのです!」

 

とりあえずブラスターには頭をブンブン振っておくように指示しておく。

 

一息つけると思ったら再び後方から悲鳴。

首を傾げると、ベータと王女二人が入ってきていた。重なった状態で。

 

どこか開き直った様子でここに来た説明をするアレクシア王女。結構気が強い人らしい。

 

もしかしたら真実を知るべきかもと言って、アルファは同行を許可する。確かに、王族だって時点で関係は大アリだな。

 

アルファはコツコツと歩みを進めていく。その先はこの空虚な場所にある、たった一つだけの像。それは存在感を醸し出していた。

 

「私たちは真実を知りに来た。ディアボロス教団のね…大司教、何か話すことはあるかしら?」

 

「し、知らん!何のことかさっぱりだ!」

 

「えぇ、そうやってシラを切る…だからここに来たのよ。」

 

足が止まる。彼女は像の目の前に立つと、頭を覆い隠していたフードを外した。

 

「…英雄オリヴィエの像。」

 

それは明らかに女性のエルフの像だった。伝承にあるオリヴィエの話では男だったよな。聖地でも男の像だった。

 

「我々には大凡の目的は読めている…でも確証は無いの。だから、みんなで見に行きましょうか。」

 

彼女は右手を突き出し像へと魔力を込める。ゴゴゴと聖域全体が大きく揺れを起こし…

 

「何故だ!何故駆動していくのだ!?」

 

「この先は命を散らした戦士たちの古代の記憶と魔人の怨念が閉じ込められた墓場…さて、お伽話の世界へ旅立ちましょうか。」

 

アルファの隣で佇むのは…英雄オリヴィエ。事前に知ってはいたが、こうして見ると本当にそっくりだ。

誰でも考えられそうな中身の無い感想を思い浮かべつつ、オイラ達の体は光に包まれていった。

 

 

 

「ぬううううう!抜けないのですぅぅ!そんなに動くじゃないのです!」

 

 

 

ついでに何か聞こえた気もした。




更新ペースと一話あたりの進展具合がアレ過ぎて…
まあ、最終話の構想はできてるんですけどね(スッゴイ突然の告白)

追記
日間ランキングに入るのは聞いてない…
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