*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*こんかい サンズ めだたない かも?

次回アクション起こしたいなー…


*命名 ストレスコスプレオッサン。

side シド

 

「…ふう、このくらい遠くなら誰も来ないでしょ。サンズが居たら別だけど。」

 

あの場から逃げるように聖地郊外までやって来た。

会場では「シャドウ…何者なんだ!」って話題で持ちきり。シド・カゲノーなんてモブは忘れてしまっているのだろう。そうに違いない。

 

「今日はもう疲れちゃったなー…さっさと帰って反省会でも……ん?」

 

目の前に突然現れたこの扉はなんだろうか。

あの女神の試練で見た紋様にも似てる気がする。

 

「困ったなぁ。こっちは寄り道の予定などないのに…」

 

ささっと高速移動を駆使して立ち去る。

…よし、ここまでは来な──

 

「…想定外だ。なんだろうねこれ。」

 

ドヤ顔で歩き出した自分が恥ずかしいね。

扉がまたまた目の前に出てきたよ…

 

「はぁ…そんなに僕を呼びたい感じ?」

 

分かったよ。入ればいいんでしょ?

観念して扉へと進んでいく。

どうやらもう一悶着あるのかもしれない。

 

 

 

 

 

ガチャリと開いた扉の先には、白く何も無い空間にベルトで全身を椅子ごと拘束された女性…さっき女神の試練で戦った人だ。

彼女が居ると思わず、一瞬惚けた顔をしてしまった。

 

「やあ。……君が僕を呼んだの?」

 

「やあ?……私が呼んだつもりはないけど、さっきの戦いは楽しかったわ。」

 

結構軽い口調で話しかけてくる。

あれ、さっき見た紋様的に連戦だとかそういった流れかと…

 

「そうだね。あんな楽しい戦いは久しぶりだったよ。」

 

「私の記憶は不完全。でも貴方が今までで一番強いわ。…私の時代にいて欲しかったくらいに。」

 

それは光栄だね。

昔の時代はこの人みたいに強い人だらけだったのだろうか。

 

「それで…貴方はどうしてここに?」

 

「扉に鬱陶しいくらい付き纏われてね…諦めて入ったらここに。出口とか知ってる?」

 

「さあね。私もここから出られた試しが無いの。」

 

「さっき戦ったのは?」

 

「気づいたらあの場所よ。貴方に倒されたら帰ってきてしまったわ。」

 

思ったより複雑かもしれない。面倒になってきた。

仕方ないので来た道を戻っていくことにする。

 

「待ちなさい…貴方の前にいるのは、拘束された美女。一度助けてみない?」

 

体を反対方向へ向けたとき、そんなことを言われる。

 

「その拘束、修行のつもりかと思ってたんだけど。」

 

「あら、それは予想外の答えね…」

 

本当にやったことあるよ、と言えば困ったような、呆れたような顔を見せる。

 

拘束具をズバズバ切る。

彼女が椅子から立って背伸びをすると、体のラインが目立つ。

この世界、美人多いのかもね。

 

「大体千年ぶりの自由よ…ありがとう。」

 

「千年…」

 

いいなぁ。僕も千年先まで生きられるだろうか。

 

「記憶の限りでね?飽くまで最低でも、よ。

…それで、私たちの目的は一緒。貴方はここからの脱出、私はここからの解放。協力していきましょう?」

 

「それに関しては別にいいけど、方法は分かるの?」

 

「ええ、大体はね……この聖域は古の戦いで作られた記憶の牢獄。中心にある魔力の核を破壊すれば、脱出も解放もできるの。」

 

「それって聖域が…」

 

「壊れるわ。何か困る?」

 

いいや、何も関係ないね。

 

「あと、魔力の核の影響で魔力は練れない。」

 

なるほど、通りで魔力が乱れるわけだ。

使おうとしても、水が蒸発するみたいに消えていく。

 

「じゃあ行きましょうか。私のこと、守ってくれるかしら?」

 

そう言って扉を指差し、僕を見つめる。そんな余裕があるなら大丈夫じゃない?

 

「──そういえば、解放されたら…その先は?」

 

「…消えてなくなるわ。」

 

バタリ…と扉が閉まる音だけが、白い空間だけに取り残された。

 

 

 

side サンズ

 

へぇ、ここがオリヴィエの記憶…なんとも近未来な設備だな。

 

「かつて、教団によって身寄りのない子供たちが集められ、ある実験の被験者となった。」

 

人間、獣人、エルフと種族を問わず大勢の子供が、出血、肉体の崩壊、自我の消失と…中々に惨いことになっている。

大人…教団員の全てが子供を眺めてデータを取り、笑みを浮かべる。

肉体の変貌の中には見慣れたものもあった。

 

「あれは…悪魔憑き!?」

 

王女二人が気づき、口を覆って青ざめた顔をする。

確かに地獄絵図でしかないな。

 

そんな中、アルファは前へと視線を向けていく。

 

その先にはオリヴィエの姿が間違いなく存在していた。

 

「──オリヴィエは実験に適合した成功例だった。」

 

「…その実験ってのはなんなの?」

 

「ディアボロス細胞…オイラ達はそう呼称してるんだが、ソイツを人体に適合させる実験だ。」

 

最も、適合できるのはその代だけ。

だからこそアルファを筆頭に、子孫からは悪魔憑きなんてもんが生まれる。

 

「仕方なかったのだ!ディアボロスに対抗するにはそれしかなかった!」

 

ネルソンは苦渋の選択だったと言いたいらしいが、状況が状況。

言い訳をしているようにしか見えないだろう。

 

「魔人ディアボロス…お伽話ではないのですか?まさか実在したと…」

 

「作り話と思おうがそれは自由だぜ、ローズ王女。信じるか信じないかはアンタ次第ってやつだ。」

 

「魔人の力を得て成長したオリヴィエには任務が与えられた。それはディアボロスの討伐…と伝えられているけど、教団の真の目的があった。」

 

「新たな細胞の搾取…だな。この地で左腕を切り落としたって伝説があるが…それも建前だろうよ。」

 

ガラスにヒビが入り、壊れるような音が聞こえると辺りの光景が切り替わる。

外のようだがどうにも雲が重くて暗い。加えて大量の死体が転がってるし…

 

「これは…戦場なのですか?」

 

「みたいだな。そんでもって、奥に禍々しい魔力が感じられる。」

 

指摘した場所からちょうど大きな爆音と微かな悲鳴が聞こえる。

全員が音を頼りに歩み出すのに時間はかからなかった。

 

「──()()は生きていた。左腕だけになっても朽ちない高すぎる生命力を持っていた。」

 

もはやこの世のものと思えない大きすぎる腕。

斬り落とされても『骨』が、魔力が人を襲う。

…どこかで見たことのある能力だな?

 

「教団は古代の強力なアーティファクトで腕を封じた。肉は切り刻まれ、血は採取され…その全てはディアボロス細胞の力を得るために。」

 

『これ、見覚えあるかしら?』とアルファが瓶に詰まった赤い錠剤を取り出す。

するとアレクシア王女が反応を見せた。

 

「それ、ゼノンが持っていた…?」

 

「だがな、強化されるのは精々魔力の量。肉体が人じゃなくなったり、意識が飛んだり、寿命が縮まったり、そのまま死んだり…とにかく副作用が強いクセして得られるモンが少なすぎる。」

 

まさにハイリスクでローリターンな産業廃棄物。

好き好んで飲む奴はどこかぶっとんでいる野郎だ。

再びヒビ割れる音が聞こえると、今度はだだっ広い実験室へやって来た。中央の水槽には拘束された大きすぎる腕が閉じ込められている。

 

「ここは…まさか!やめろ!貴様らが見ていいものではな…ウグッ!」

 

一番最初に声を上げたのはネルソンだが、話し切る前にイプシロンが思いっきり力を込めて黙らせる。

それほど奴らにとって重要な場所なんだろう。

 

水槽の前に立つ一人がカードを差し込むと、金属製の厳重な仕掛けが作動し、最後に小さな器が現れる。

それは赤く誘惑的に輝く()()を乗せていた。

 

「ディアボロスの血の如く輝く錠剤は、莫大な力と老いることの無い肉体を授ける。

──さて、あそこに居る研究者と、ネルソン大司教…似ていると思わない?」

 

全員の注目が彼の元へ集まる。

話すことを拒もうとすれば、イプシロンに間接をキメられる。

 

「当事者の貴方ならもっと楽しい話を聞けそうね。この薬の名前は?」

 

「ディッ…ディアボロスの雫だ!」

 

「ありがとう。でも、この薬には欠点が二つある…そうでしょう?」

 

「それなら私にもわかるわ!」

 

自信満々と言った様子でアレクシア王女は指を差す。

その先は…ネルソンの頭か?

 

「昔のアイツには髪がある!けど今のコイツには無い!

だから欠点の一つは髪が抜けるこ「ちがあぁぁぁう!」…え?」

 

「髪が抜けたのは『ストレス』だ!どうしてアイツらは不老の肉体を得たばかりに調子に乗って、ワシに面倒事ばかり押し付ける!普段はいがみ合っているクセに後始末のこととなれば口裏を合わせおって…少しはワシの苦労を知れええい!だいたいディアボロスの雫の開発にも関わっているワシに敬意が足らん!足らんのだ!」

 

呆気にとられるとはこのことだろうか。

水を得た魚のように愚痴をこぼしやがった。王女達も引いてるな。

流石に同情の目では見てくれているようだが。

 

「…欠点の内の一つは定期的に摂取しなければ効果を失うこと。…一年で一粒といったところね。」

 

奥の方では狂気的な笑みを溢しながら輝きを放つ錠剤を飲む過去のネルソンの姿。

まだ髪はフサフサといったところだ。

 

「そして二つ目。一度に生産できる数が少ないこと。一年に幾つかしら?」

 

「じゅっ…十二粒だ!」

 

「十二…そういえば。教団の最高幹部である『ナイツオブラウンズ』の総人数も十二人。偶然?」

 

司教は着々と問い詰められていく。

黙って回答から逃げようにもイプシロンによって隙が無い。

…ん?ミシミシ鳴ってたのがボキボキに変わってないか?

 

「薬はまだ未完成で、完全にするためには英雄の子孫と更なるディアボロスの体が鍵と見ている…そうよね、()()()()殿?」

 

凄いな。まるでミステリー小説の推理シーンが目の前で起きているような感覚だ。

対してネルソンは顔を下に向け、冷や汗を吹き出している。

 

少し続いた沈黙の後に第十一席は突如顔を上げ、目をカッと開いて不気味な笑みを浮かべた。

 

「教団では雫を求め、誰もがラウンズという高みを望む…如何にも!ワシこそが選ばれたナイツオブラウンズが一人、『強欲』のネルソン!」

 

ガーハッハッハという悪者特有の笑いを響かせると、空間が再び割れ始める。

今回は何も無く、ただただ真っ白なだけの空間に辿り着いた。

 

「ここまで知ったからには生きて帰すことは許さん!聖域は我ら教団の領域である以上、貴様らなど袋叩きよ!」

 

「さて、袋のネズミはどちらかな?ストレスハゲ野郎。でも…昔のアンタも老け顔だったし、よく似合ってると思うぜ?」

 

そう言って煽ってやれば青筋をピクピクさせて睨みつけられる。

へへ、目線だけじゃ何も伝わらないぜ。

ハゲ野郎はさっきと打って変わってピチピチの変なタイツに身を包んでいる。

…前世的に見ればオッサンがコスプレしてる。

 

「イプシロン達とは分断されている…これも防衛機構の一つかしら。」

 

「何を余裕ぶっておる!そちらから来ないのならこっちから行くぞ!」

 

構えの姿勢をとると、オッサンの体が増えていく。

どうやら数で対抗するようだが…

 

「ならこっちにも考えがあるぜ。…来い!」

 

後ろの方にスー…っとガスブラが現れると、その口を大きく開く。すると…

 

「…うぅ、やっと出れたのです!…ん?こいつは何なのです?」

 

「デルタ、命令だ。そのハゲを狩れ。」

 

デルタは目をゆっくり閉じると、次の瞬間…

 

「わかったのです!久しぶりのサンズ様のめいれー、デルタはやるのです!」

 

目をキラキラさせて構える姿がそこにあった。犬だなこりゃ。

オイラが頷くと、チーターのように駆け出す。ネルソンの敗北へのカウントダウンは今、始まった。




二話連続デルタエンドってマ?

アニメみると『デルタ可愛いよなあ』って思うんだよ。
でもこの声優さんジョジョ6部主人公やってんだよな…って次に思って、
やっぱ声優さんってすげえー…って語彙力のカケラもない感想に浸るまでがルーティーン。
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