*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*この タイトルは…?

書きたい展開を書きました。後悔はしてません。


*じごくで もえて しまえば いい

side サンズ

 

ハゲが教団の方が有利だと言い放ったのは魔力阻害がかかってるからだろう。

前回の学園のように波長合わせの裏技は、ネルソンの魔力を直接分析しなきゃできない。

ま、だからといって魔力が使えない訳じゃないんだがな?正直扱いにくくなっただけだ。

 

その状況下でデルタの動きを見てみる。

 

「がるううううううう…ガアアア!」

 

『狩り』を始めてからものの数分。白い空間に赤い血飛沫が飛び交い、グロテスクな絵面がそこにあった。

 

殴る、蹴る、突く、握りつぶす。

魔力すら使わず純粋な体術で分身したネルソンを根絶やしにしていく。

剣を使っていないにも関わらず、切り裂かれたような攻撃となっているのは彼女のスピードと力の能力値が秀でているからなのだろう。

…知力にも少し欲しいところだな。

 

そんで、こんな戦い方を目の前で見せられてる王女組は唖然とした表情で冷や汗を浮かべた。

 

「バカな!魔力は制限されているのだぞ!?」

 

あっという間に一人となってしまったネルソンは更なる分身を送り込む。

 

だがそれはデルタのボルテージを高めるだけだ。

 

「ウゥ……ガアアアアアアアア!!!」

 

叫び声を中心として吹き荒れる魔力の嵐。

雑な魔力操作だが、威圧感が逆に出ているため良しとするかな。

そして左腕にはスライムで形成されたデカ過ぎる剣。まさに…鉄塊。

 

しかしそのまま剣を振っても全員は倒せないぞ、と思ってカバーの準備をしようとしたのも束の間。

 

なんとデルタは大剣を横向きにして振り下ろし始める。

大剣の幅の広さを活かして全部狩り尽くすつもりらしい。

これじゃ斬るってより押しつぶすだな。

シドが剣を教えるのを諦めたって話もわかる。

 

「な…化け物め…」

 

奴が潰される瞬間、微かにそんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

side シド

 

「…無事?」

 

「なんとかね…助かったわ。」

 

あの後、彼女と行動を共にしながら数々の記憶とやらを潜り抜けて来た。

そして最後にここ、ドーム状の建物らしきところ。

奥には鎖でガチガチに封じられた扉、その手前には如何にも抜けって感じの剣。カッコいい。

 

彼女の話ではあの扉を開放したらいいって話だけど…取り敢えず鎖に触れてみる。

 

「…だめだね、壊せそうではあるけど…この剣じゃ無理だ。」

 

普通の鎖じゃなかった。当然だね。

このままじゃ、先に剣が死んじゃうなあ。

 

「壊すことから考えるの…?

こういうのは鍵のようなものが…ほら、やっぱりこの剣で鎖を断ち切れってあるじゃない。」

 

ふむ、その剣か…しかし、僕のパーフェクトなテンプレ網羅によれば…

 

「この剣は抜けないな。一応試してはみるけど。」

 

柄を握り、思い切り上に引っ張ってみるけど…ダメだ。

 

「…本当だわ!聖剣は直径の子孫しか抜けない…確かにそう書いている!…この一瞬で解読したのね。」

 

「こういうのはよくあるんだよ。選ばれし者しか抜けない…聖剣が抜かれるのを拒んでいる。」

 

「文字の暗号をパターン化して網羅している…そう言いたいのね?」

 

「きっとたぶん、そういうことだ。…それで他の方法は?」

 

「知らないし、書かれてないわ…ごめんなさいね。」

 

そっか……まあ、そろそろチャージ完了次第脱出できるけどね。

 

この空間に入ってからずっと閉じていた右目…そこには緻密に、緻密に魔力が集中していた。

 

 

 

 

 

side サンズ

 

「ねぇあれ、本当にシャドウの仲間なの?」

 

「…アレクシアさん、どういうことか伺っても?」

 

止まらぬネルソンの増殖と、止まらぬデルタの蹂躙。

どちらが優勢かは言うまでもなかった。

 

「私が見たシャドウの剣…あれはまさに究極の技法。常人では辿り着けない剣技…でも、今見せられているこれは…」

 

デルタは強い。

ただシャドウの強さとはベクトルが違う。

彼女のコレは技術などなく、ひたすらに暴力。

 

「アレでいいのかしらね。」

 

「アレが特別脳筋だという話もあると思いますよ…」

 

作家に変装したままのベータが答える。

オイラも内心頷いたのは内緒だ。

 

「ガルウッ!……うう?」

 

またまた空間が崩壊し始める。今度はどこに飛ぶのだろうか…

 

「…へへ、どうやら戻ってきたらしい。」

 

聖域に入って最初に見た近未来的な空間。だが何故今になって……ん?

どうしたことかネルソンも慌てている…単純に何らかの操作をミスったのか?

 

「なぜだ…なぜこんなにも容易く…」

 

「貴方がするその分身…結局頭脳は一つである以上、それはただの案山子でしかないの。増やした体の制御を練習すべきだったわね。」

 

「ウグゥ…やめろ!ワシに近寄るんじゃない!

…こんな、こんなことが許されるはずが…ん?」

 

ハゲがアルファに気圧されて奥へ奥へと逃げると、何かに当たる。

あれは…オリヴィエの像か。確かに見覚えがある。

 

「オリヴィエ!来いぃ!オリヴィエェェエエ!」

 

叫び声が耳に入ると共に魔力が収束していく。それは人の形を形成していき、再び現れる。

 

「…こうも簡単に英雄を呼ぶことができるとはな。やっぱ攻略は次回にした方がいいんじゃないか?」

 

「フフ…元よりそのつもりよ。」

 

「アルファ様、サンズ様。情報は全て回収できました。帰還の準備も既に…」

 

「ありがとう。…私たちはそろそろお暇させてもらうわ。この施設の防御構造は把握したし、後は力の源を断つだけ…」

 

「か…帰るぅ?ほ、ほんとうに?」

 

気の抜けた声でネルソンはそう言う。その隣、オリヴィエは無表情を貫き続けており、ただ剣をもって佇んでいる。

 

「今度来るときはこちらの好きな時で来させてもらうわね。」

 

「そんなことが許されると思うかぁッ!オリヴィエ、今すぐに奴らを…」

 

アルファ達が迎撃の体勢をとる。オリヴィエも構え始め、まさに一触即発…

 

なんだかアイツ、調子乗ってないか?

虎の威を借る狐でしかないだろ、オマエ。へへへ…

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

その瞬間、大気が轟くかのような錯覚がこの場に居る全員を襲う。

体の全てに錘が乗せられたかのように、指の一本も動かせない。

呼吸すらも許されない…そんな空気が流れる。

 

──ただの一人を、否…スケルトンを除いて。

 

 

 

 

「…オマエ、サイアクな目にあわされたいか?…それ以上近づくと…

 

こころの そこから こうかい することに なるぜ?」

 

 

 

 

その眼が映し出すのは、紛れもなく深淵。

見つめれば見つめるほど、まるで自分が飲み込まれるような感覚に陥る…眼があった。

 

どれほど経っただろうか。永遠とも思える時間が過ぎていった。

もしかしたらそれは数分、数秒…ひょっとすると一瞬だったのかもしれない。

 

「さて、帰るか。今ここに居てもタイクツなだけだ。」

 

その言葉と共に、全員の体を縛る重さが消える。

この場に居る者達は何も言えなかった。

腰を抜かしたり、過呼吸に見舞われたり、その威圧の中心人物を恐れる(崇める)目で見たり…

ネルソンに至っては真っ直ぐに圧を浴びせ続けられたためか気を失っている。

オリヴィエはなんとかといった様子だ。

 

最初に動いたのは七陰とナンバーズ。準備されていたゲートを展開し、この場から去る。

結局、意識がないネルソンを除いた全員が去るまでの間…誰も、何も言えなかった。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

side サンズ

 

脱出には当然の如く成功。

あの時のゲートは二つ展開されていて、ベータと王女二人だけは別のところに飛ばされているはずだ。

オイラ達シャドウガーデンは女神の試練の開催されたあの会場へ戻って来た。

観客の溢れていた証拠としてゴミや飲み物が散乱している。

…きっと慌ただしく出ていったのだろう。

 

「結局、これといった活躍できなかったな。今回はデルタが暴れっぱなしだったぜ…」

 

「さて、この有り様を見ても言える?」

 

アルファに声をかけられ、後ろに振り返ればグロッキーなガーデン員の面々。

 

「突然貴方が威圧を出したから、皆こんな状態よ?」

 

確かにちょーっと加減をミスッちまったかもな。

…だからどこか意味深な笑みを浮かべるのをやめて欲しい。

 

「ま、反省会はこのくらいにしてだな…今日はもう解散の流れか?」

 

頷くアルファとイプシロン。それとよくわかってない様子のデルタ。

…あ、シドをとっちめる予定も組み込んでおかないとな。次はどんな手でアイツに一撃を…

 

 

 

ピーン…

 

 

 

「…なんだ?楽器…?」

 

「…えーと?楽器ですか?確かに私、音楽には強いですけど…」

 

イプシロンが答えるが、オイラの求めていた回答じゃない。

…流石に気のせいか?

 

 

 

───を感知、これより────の────を転送します。────生成の完了まで…1%…

 

 

 

今度は声だ。しかし聞いたことのない…これは一体…

 

「「「!?」」」

 

刹那、魔力が台風のような勢いで舞う。

アウロラのときの数倍は派手な演出だ。

 

「サンズ様、これは…」

 

 

 

完了まで…32%…

 

 

 

「魔力の動きがおかしい。…なぜそこまでブレるんだ?」

 

ゲームのバグが発生してるかのようなブレを起こしつつ一箇所に集まっていく。

そして…今度は空間ごと歪みが発生していく。

 

「何かが起こっている。それも特大の…そんな予感がピンピンするぜ…」

 

 

 

完了まで…69%…

 

 

 

歪みは中心を黒く染めていき、やがてその黒は空中にただ佇む穴と化した。

 

 

 

完了まで……100%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()は現れた。この世界に…

 

()()は恐れられた。現れた瞬間に…

 

()()は強者だった。底が見えない程に…

 

 

 

()()は笑っていた。ただ一人を見据えて…

 

 

 

*みおぼえのある ホネをまえにして ケツイがみなぎった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず、目を疑った。

この光景が夢であることを願った。

だが相手から伝わる威圧が、己の中で鳴り響く心音が、それを否定している。

 

へへへ…こりゃ、なんて悪夢だ…

 

「全員、引けえぇぇぇぇぇぇえええ!!!」

 

叫んだ。相手が何をするよりも、自分が迎撃体勢になるよりも先に叫んだ。

思えば、異世界に来てこのくらい声を張り上げたのは初めてかもしれない。

 

茶髪のストレートに子供のような体つき。

濃い緑色に、一本ベージュが入った服。

可愛らしくも、どこか狂気が混ざったような笑み。

 

手に持った『ほんもののナイフ』…

 

間違いない。アイツは…

 

 

 

キャラ(Chara)

 

 

 

オイラが言った通りにアルファ達は動いてくれた。

守りながらの戦闘は避けたかったから助かるぜ。…ま、元々殺気はオイラの方にしか向いてなかったけどな。

この場にはキャラとオイラの二人だけ…一応アルファが離れたところに居るらしいが、手出しはしないだろう。

 

「オマエ、どうやってここに現れた?」

 

「……」

 

「…そうか。…すまないな、()()()()。」

 

今までずっと浮かべていた口元の笑みがフッと消える。

…パピルス。最後にオレには笑顔が一番だって言ってくれたけど…

 

「…この時間だけ、許してほしい。」

 

両手を正面で合わせる。練られた魔力が体中を駆け巡るのがわかった。

 

そして、両手を後ろに回す…

 

 

 

きょうはステキな日だ 花が咲いてる 小鳥たちもさえずってる

 

こんな日には オマエみたいな ヤツは…

 

じごくで もえて しまえば いい




さて、更新早めですがいかがでしょうか?

次回、キャラ戦
お楽しみに…
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