*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*UAが16000をこえた。 ありがとう! かんしゃかんげき!


前回突然のアンケート申し訳ありません!
結果としては一週間に1回は出せるようにしたいです!

あと更新が1日遅れてしまった!重ねて申し訳ありません!

話は変わりますがコメント、誤字脱字報告、気軽にしてくれると有難いです!


*王女誘拐編
*サンズスペシャルって なに?


 

side シド

 

あれから二年経った。

え?あっさりすぎるって?

…じゃあ少し話そうか。

 

まずは新たなシャドウガーデンの拠点だね。七陰が去って暫くしたら、猫の獣人のゼータが拠点になりそうな場所を見つけてきてくれたらしい。

 

その場所は『古都アレクサンドリア』。ベータが言うには『深淵の森』を抜けた先に存在する、古代の伝説に語られた都。

そこに七陰が調査に行く前にアルファが報告しに来たんだけど、()()()が居るとかなんとか。面白そうだから七陰には内緒で着いて行くことにしたんだ。

 

そしたらマジでドラゴンが居てね。これには堪らず、隠れた僕は飛び出て戦ったんだ。

中々の強さだったけど、相手が負けを認めて『古都アレクサンドリア』の土地を使わせてくれるようになったんだ。他所の奴から守るための霧も付けてね。

 

…まだ行けてないんだけど。

姉さんが居なくなったから両親の目が僕に向いちゃってね。前の教団襲撃事件もあったから監視の目が厳しく…

長時間の外出が出来なくなったんだ。

 

あとはガンマが商会の運営を始めたらしい。確か…ミツゴシだっけか?王都で拡大してるらしい、機会があったら寄りたいけど…まぁ学園が先かな?

 

…まあ大体はこんな所か。

 

 

 

 

ん?今、僕は何をしてるかって?

 

──王都行きの電車に乗ってる。

 

そう、二年が経ったから僕は15歳。つまりはミドガル魔剣士学園に通うことになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミドガル王国王都。人口100万人を超える大都市だ。

 

王都の駅から降り、外を見渡す。

この世界の最先端の技術がふんだんに使われていると一目で分かる王都。そして、目の前には一際目を引く大きな学園があった。此処こそが僕が通う『ミドガル魔剣士学園』。

国内、国外から将来有望な生徒が集う、超名門校。

…なんだけど、階級社会によって僕のようなモブでも入れてしまう。まぁ、扱いもモブなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

入学後…

 

 

 

 

「お待たせー!」

 

寮の部屋から、待っていた二人に声をかける。

 

「うーす。」

 

「シド君、遅刻しますよ。」

 

いかにもチャラそうな反応したのが、金髪自称イケメンでセンスの悪いヒョロ。丁寧な言葉を返したのが、坊主の野球児っぽいジャガ。

どちらも生粋のモブだ。

 

現在、入学して七か月が経った。そして、僕の中でモブとしての()()()()()()が起ころうとしている。

それは…

 

学園のアイドルに告白してこっ酷く振られる

正に、これこそがモブ!

 

内容としてはヒョロとジャガにテストの点数で負けたから、罰ゲームとして告白するというもの。勿論わざと負けた。

 

そしてその相手は……

 

「あぁ、麗しの()()()()()()()。どうか清く正しい交際を!」

 

「……興味ないわ。」

 

いきなりやってるね。

 

「流石王女です。卒業したら政略結婚確定とは言え…」

 

「遊び相手には悪くないだろうに…」

 

ジャガ、ヒョロの順で言う。

 

「…なぁ、シド。今更怖気付いた…とか無しだからな。」

 

「大丈夫、告白の仕方は夜なべして考えてきたんだ。」

 

刮目せよ、これが世界一モブっぽい告白だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は過ぎ放課後…

 

 

 

アレクシア王女を呼び出し、校内の庭に僕とアレクシア王女、そしてヒョロとジャガが近くの茂みに居る。

 

もう既にモブの演技はスタートしている。

まず、小刻みに震え、男らしさの欠片もない動きを告白する前から見せておく。冷や汗もダラダラと出す。

 

「あ、あれ!、アレクシアッ!お、おうにょ!」

 

緊張でまともに声も出せない様子を見せ、『おうにょ』で渾身の滑舌を披露。

 

「すッ!ススススス、好きですぅ!つ、つつつつつき合ってくださぁい!」

 

足をガクつかせ、肝心の告白の言葉は何の捻りも面白みもない。

…完璧だ!シュミレーション通り!演じ切れただけで幸せだ。これこそが僕が目指したモブの姿!

 

いやまだだ…フラれた後につまずいてコケるまでがセット。

さあ早くフってく…

「…分かりました。」

 

「え?」

 

「貴方のような方を待っていたの。宜しくね。」

 

「あ…はい。」

 

 

 

 

 

 

…なんで、

なんでラブコメ主人公ルートに入ってんだよおおおおお!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

「…ほらあの子が。」「嘘!?普通過ぎ!」「何かの間違いじゃ?」「…マジコロス。てか誰?」

 

…周囲の視線が痛い、モブにあるまじき事態だ。

 

「…ねぇ、おかしくない?」

「「おかしい(ですね)。」」

 

口を揃えて答えるモブ友の二人。

 

「正直言って、お前にアレクシア王女と付き合えるだけのスペックは無い。俺ですら怪しいレベルだぜ?」

 

とヒョロが言うが、安心しろ。僕が認めたモブなのだからそんなことは絶対に無い。

 

「シド君でオッケーなら自分もいけたと思います。告白すればよかったなぁ。」

 

ジャガに至ってはもっと無いな。

 

「…なんか裏がありそうで怖いなあ。」

 

「なら変わるか!?」「自分が変わっても!?」

 

などと愚痴を聞いていたら…

 

「ご一緒しても宜しいかしら?」

 

なんと話題の張本人。アレクシア王女がそこに居た。

 

「ど、どどどどど、どうぞ!」

 

「こっ、こここここ、こんな席であれば!」

 

なんだこの豹変ぶり、とツッコミたくなるだろうが、これでこそ僕が認めたモブ!さっきまでの大口叩いていた様子は見る影もない。

 

速攻で用意された席に王女が座ると、テーブルにはメイドによって料理が並べられる。どれもこれもモブの僕じゃ手をつけられない一級品だ。

 

「やたら量が多いね。」

 

「ええ、いつも多くて食べ切れないの。」

 

「そうなんだ。なら貰っていい?」

 

と言って返事をもらう前にメインディッシュをいきなり食べる。そして、次々と食べる、食べる…

 

名付けて、『さっさとフれやオラァ!』作戦。

どうだ!幻滅しただろう。

 

「…貴方、午後の実技は王都ブシン流だったわよね?一緒に受けようと思って。」

 

なっ!動じていない!?

いや、それよりこの誘いは断ったほうが良い気がする。

 

「僕は一番下の9部だから無理だよ。だって1部でしょ?」

 

「大丈夫よ、私の推薦で1部に席を開けてもらったから。」

 

何やら企んでそうな笑みを浮かべながら答える王女。

 

…作戦も失敗に終わったし、どうやら1部に行くしかないようだ。

 

因みにずっとヒョロ、ジャガは置物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後にて…

 

 

「今日から新しい仲間が入った。」

 

1部の顧問がそう言うのでテキトーに自己紹介しておく。

 

「シド・カゲノーです。よろしくおねがいしまぁす。」

 

1部の顧問。ゼノン・グリフィ先生はこの国の剣術指南という大物。モブとしては関わりたくない人物なのだが。

 

「知っての通り、王都ブシン流はブシン流から派生した新しい流派。最初は風当たりが強かったが、アレクシア王女の姉であるアイリス王女のご活躍により、今や本家に迫る勢いだ。…君の力はどれほどかな?シド君。」

 

…てな感じで、稽古が始まった。

今回はペアで行うもので、僕はアレクシアと組まされた。でしょうね。

 

打ち合ってみて分かるが、アレクシアの剣は『地味』だ。

ただ、僕は知っている。

この地味さは努力の結晶。基本に忠実、無駄が排除され、研ぎ澄まされた剣だ。

 

 

 

 

…授業終わりの鐘が鳴り、稽古の終了を告げる。

 

「…良い剣ね。……けど嫌いな剣。」

 

そりゃどうも。

僕の剣も手加減しているから、技術・力・スピードなどが抜けて残るのは基礎だけ。

 

「…自分を見ている様だわ。」

 

ボソッ、と告げると顧問のゼノン先生の元に行く。

…何を話すのだろうか?

 

「それが君の答えということかな?アレクシア。」

 

「えぇそうよ、彼と付き合うことに決めたの。ゼノン先生?」

 

「やれやれ、子供の相手をしているようだな。…僕と君の婚約は確定しているというのに。」

 

「大人の事情は子供には分かりませんもの。」

 

少し聞き耳を立ててみれば……なるほどな。僕はまんまと利用された訳だ。

本人に詳しく伺わないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後…

 

「…つまり君はゼノン先生との婚約が嫌だったから僕を当て馬にしたんだな?下級貴族だったら扱いやすいし。」

 

「えぇ!そうよ。」

 

「…君たちの事情に僕を巻き込まないでくれるかな?」

 

「へぇ、罰ゲームで告白してきたのによく言えるわね。シド・カゲノー君?」

 

何故知っている?…まさか、

 

「貴方のお友達に話したらペラペラと聞いてもないことまで全部話してくれたわ。酷いわね、乙女の純情を弄ぶなんて。」

 

喋っていたか…モブの友情は脆く儚い。

 

「悪いのはお互い様なんだし、取り敢えずは恋人のフリを続けて貰うわ。期限はあの男が諦めるまで。」

 

なるほど、相当長くなりそうだな。

ただ、僕とて忙しいんだ。時間を余計に使う訳にはいかない。

 

「諦めるかな?僕じゃあ力不足にも程がある。…それに、嫌な予感しかしない。」

 

「ごちゃごちゃ五月蝿いわね。」

 

アレクシアは懐を探る。すると見えたのは……金貨!

一枚10万ゼニー、10万円に等しいそれが僕の目に入った。そして、その金貨を指で弾いて飛ばす。

 

「…僕が金でなびく男に見えるとでも?」

 

「見えるわ。」

 

「フッ…その通りだ。」

 

地面に転げた金貨を拾う。…陰の実力者の活動資金は仕送りだけじゃ全然足りない!これは好機だ!

 

「よしよし、いい子ねポチ?」

 

耐えろ…プライドなど今はどうでもいい。

 

「ほーら、取ってこーい。」

 

「ワンッ!」

 

まぁ…そんな訳でアレクシアとの交際は続いた。

幸いなことにアレクシア王女にばかり目がいき、僕はモブ恋人として目立たなかった。

ゼノン先生は特に何も行動がない。アレクシアはそれに腹立っているようだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二週間後…

 

別れた。

アレクシアの剣を褒めたらそれが地雷だったらしく、別れられた。まぁ、金貨も集まったから全然良かったんだけど。

因みに恋人らしいことは一切やってない。

 

そして、今日も朝から普段通り学園に行ってるんだけど…

 

あ、ゼノン先生だ。…なんか僕を見つけた途端向かって来てる。

 

周りを他の騎士によって包囲され、ゼノン先生が喋り出す。

 

「ちょっといいかな?…実はアレクシア王女が昨日から寮に戻っていない。騎士団が調査した結果、最後に接触した君が容疑者として浮かび上がった。…協力してくれるね?」

 

周りには更に騎士が見える。

 

…あ、これあかんやつだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!さっさと吐けばどうだ?」パァン!

 

現在僕は尋問中。体の痛みは我慢すれば何も問題ない。

…それよりコイツら、なんてモブっぽい尋問するんだ!

 

「事件の犯人はお前しか考えられないんだよ!」ドゴッ!

 

モブ度の高さで引けを取る訳にはいかない!

 

「な、何も知らないんです!ほ、本当に!」

 

「オラァ!」グサッ!

 

針のようなものを突き刺す。なるほど、そう来たか。なら…

 

「ギィヤァアアアアア!!!!」

 

どうだ!?中々モブらしくないか?

 

「どうか命だけわあああァァァ!!」

 

ダメ押しの命乞いも入れて、完璧だ。

…しかし、これいつまで続けるんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…結局、解放されたのは5日目の夕方。僕はパンツ一丁、荷物は投げられて外に放り出された。騎士団って結構手荒なんだなぁ。モブとしてはこれで良いけど。

 

電車に乗って寮に帰っていると、騎士団からの監視役二人が目につく。

 

電車から降りて寮へと歩くと、白いフードを被った人物とすれ違う。そして、

 

『後で。』

 

と一言。…アルファか、久しぶりだな。

 

後ろからは二人ほどの悶絶する小さい声が聞こえた。

 

 

5日ぶりに寮に帰り、扉を開くとアルファが待っていた。

 

「久しぶり、アルファ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、これ。」

 

帰って暫くした後、『まぐろなるど』のバーガーを手渡してくれる。5日間まともに食べてなかったからありがたい。

 

「なんでアルファはここへ?」

 

「連絡があって戻ってきたのよ。厄介なことになっているわね。」

 

そうだね、大変な事になっている。

まぁ、このバーガーを食べて食欲を満たすのが先だ。

 

そして、バーガーに齧り付く……?変だな、何かベチョっとしたような感覚がしたんだが。ついでに甘酸っぱいけど適量を超えた味がする。

 

なんだと思って目を開けると、バーガーが赤一色に染まっていた。

 

 

 

……これ、()()()()()じゃん。

 

「アルファ、イタズラでもした?」

 

「そんな事しないわ。…何そのバーガー?」

 

「…おっと、オイラ特製のサンズスペシャルはお気に召さなかったか?」

 

久しぶりに聞くのはその声。

 

「…二年から七か月も経ったぞ。大遅刻じゃないか。

 

 

 

 

 

 

サンズ。」




サンズスペシャルってなんぞや?

だいぶカットした部分もありますが、シド君が入学しましたね!おめでとう!オリ主君は大遅刻にも程がある。
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