*ホネの 実力者に なりたくて!   作:セッジョー

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*ひょうかにんずうが 50にんとなった。
*さくしゃは しんだ(n回目)

読んでくださる皆さん本当にありがとうございます。
作者としても処女作でここまで伸びるとは全く考えていなかったのでこんな作品に付き合ってくださり、どれだけ感謝しても足りないくらいです。

少し長くなりましたが本編どうぞ。


*動くな 死ぬぞ?

side アイリス

 

遊んでやる、…その骸骨は確かにそう言った。

 

遊ぶとは…どういうことだ。

 

返される答えは既に分かっている。だからこそ怒りで震える声で私は問いただした。

 

……舐められている。私は、私自身の剣に自信がある。皆も認めている。

しかし、この骸骨は私の実力を理解した上で舐めている。…つまり勝負にならないということ。

 

すると、奴から返答があった。

 

「…へへ、言い方を変えよう。

 

 

かかってこいよ。」

 

その言葉が聞こえた瞬間。体はもう動いていた。

間合いを詰め、容赦なくその体を捉えて斬る…が。

 

「なっ!?」

 

「何驚いてんだ?ただ避けただけだぜ。」

 

「クッ!!」

 

剣を構え、攻撃が当たるようにスピード重視の斬撃を繰り出しているが、それらは全て躱される。

 

シュンシュンシュン…!

 

…当たらない。聞こえるのは剣が風を斬る音だけ。

これ程までに避けられたことは嘗て無かった。必ず掠りはしていた。

ただ、現在起きていることは紛れもない事実。攻撃は掠りすらせず、骸骨には余裕のある笑みを浮かべられている。

 

「…まだまだっ!!」

 

「…甘いな、何もかも。」

 

声が聞こえたと思えば、そこに奴の姿は無かった。

 

「何だ!?」

 

あり得ない…直前まで体勢は変わっていなかったはず。なのにどうして私の前から消えた?

 

「うーむ、『近道』を速攻で使おうとすれば距離はあまり伸びないか。10mが限界か?」

 

後方、骸骨が何か呟いているのが聞こえた。…瞬間移動……アーティファクトの部類か?

…いや、使う動作は見なかった。何より、瞬間移動が可能になるアーティファクトなど聞いたことがない。

 

「どうした?突っ立ったままで…もう終わりか?」

 

「何故貴様は武器を使わない!反撃など直ぐにでも可能なのだろう?何故攻撃しない!」

 

「ハァ……遊びに凶器を使うなんて聞いたことないぜ?」

 

舐められている…明らかに。

しかし、何も出来ない私が居る…その現実に無性に腹が立ち、自分の顔が歪んでいくのが分かる。

 

……私は…無力なのか?

 

「…ウオォァァァ!!!」

 

否、そんなことはない。そう信じたい。

再び剣を向け、その骸骨の体を捉える。

勝たなければならない、実力を示さなければならない。

ここで引いてしまえば王都随一の剣士として顔向けできない。

 

剣を持つ手に力が加わり、柄が少し軋む音がする。

そして私はまた剣を動かすのであった。

 

side サンズ

 

本当に…残念だな。

怒りに任せた斬撃。この有様じゃ、さっきの方がまだマシだな。煽っちゃ悪かったかな?

怒りは人を奮い立たせると同時に、普段からできている当たり前のことが出来なくなっちまう。今、こっちに接近して来てる王女も体勢からして力が入り過ぎだな。

 

そして、今振りかぶられたこの剣も…

 

「ハァァァァ!!!」

 

ビュォウ!

 

ほら、さっきより大振り。避けるのも楽だ。

 

「甘いって。力任せ過ぎるぞ?さっきの方がマシだ。」

 

「黙れ!!!」

 

まだまだ攻撃飛んでくるし…なんかデルタ相手してるみたい。王女が本能のまま戦ってる気がしなくもない。

 

 

…そろそろ、()()()()()()()だな。

 

「5、4、3、2、1……5分経過だ。」

 

「?……何のことだ。」

 

「知ってるか?剣道のルールじゃ5分が時間制限だぜ?…って剣道はこの世界にあるのか知らんが…」

 

「時間がどうした!私は貴様を斬り続けることには変わりないぞ!」

 

「いや、終わりだな…遊びは。ここからは……

 

 

審判の時だ。」

 

 

「ッ!?」

 

威圧と黒目を同時発動。…ってか威圧したら勝手に黒目は出るんだけども。

 

「アンタ色々残念だな。」

 

そう言った瞬間、オイラの左目に光が灯り、黄色と水色に点滅。そして…

 

「ア"ァッ…!グッ!」

 

アイリス王女は()()()()()()()()()()()()()

 

「無理に動かない方が良いぞ?体力が持たないと思うぜ?」

 

「グッ…!アーティファクトなのか!?」

 

「いや、そんな姑息なマネはしねえよ。…ハァ、これで落ち着いてろ。」

 

そう告げれば突然…

 

 

 

骨がアイリスを貫通した。

 

 

 

「…よう、骨で貫通された気分はどうだ?王女さんよ。」

 

「はっ!?なっ…!」

 

おー、情緒不安定で何よりだな。

 

今オイラがやったのは青攻撃

コイツは二年の修行の賜物でな?

魔力は普通体外に出ると霧のように分散するって話は随分前にやったと思うんだが…

敢えてその特性を利用し、魔力を絶妙な程度で操ることで()()()()()()()()()という相反した二つの性質を持った骨を使える。

 

二年かかった理由は単純に難しいから。

…全力の半分の力で走れって言われて最高タイムの半分ピッタリで走りきるのは難しい、ってのと同じだな。今では完全にコントロール出来てるけど。

 

因みに骨が青色になったら技の成功の合図。魔力操作が出来過ぎてると白い骨だけが残って、甘すぎると骨が引っ込む。

そして中間になれば青くなって完成。ゲームで言うバグを想像してもらうと分かりやすいかもしれないな。

 

 

そして話はアイリス王女との戦闘に戻る。

 

「死にたくなけりゃ絶対に動くな…忠告しとくぞ?」

 

「グッ!早く解け!」

 

ま、重力操作ガチガチに積んでるから、体は動かないんだろうけど。

まあそう焦んなってアンタの負けなんだから、と刺激するのは止めとくことにした。怒って今動かれたら困る、ってか王女が死ぬ。

 

そう考えつつ、青い骨を王女の剣に突き刺し、この技の説明をする。

 

「いいか?この剣を青い骨で突き刺すと、普通は何も起きない。けど、動かせば…バキッ!……この通り貫通する。言いたいことは分かるな?」

 

説明を終えると、王女は万事休すといった表情をしていた。

 

「ま、オイラからアンタに言うことは二つ。強くなりたきゃ魔力操作を徹底しろってこと、上には上がいるってことだ。

……じゃ、言いたいこと言ったし帰るわ。」

 

「は?」

 

「あ、そうそう。その青い骨は魔力操作が原理上通常より甘くなるから、長時間の維持はできない、とは言っとく。

…あ、妹さんは無事かもしれんぜ?」

 

そう言って『近道』を使って去る。

 

一方アイリス王女はというと…

 

重力操作と青攻撃が解かれ、自由となった。が…

 

「!!…アレクシア!」

 

打ち付ける雨は勢いを増すばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アレクシア

 

拘束から解放された私は地下施設から抜け出し、続いていた水道で彷徨っていた。本当はすぐにでも地上へ行きたいのだけれど、ここで焦ってチャンスを逃す訳には…

 

「勝手に逃げられては困るな。」

 

「!?」

 

声がした方へ視線を向ければ、()()()()()がそこに居た。どうしてここに…

 

「ここは私が用意した施設でね?あの研究者も私が投資した。…君の血には需要がある。来て貰うよ。」

 

「どいつもこいつも『血』の話ばかり…」

 

「君の血と研究があれば、私は()()()()()()()()()()に内定する。今とは比較にならない富と名声を得られるのさ。…手土産にはアイリスが良かったが、君で我慢することにしようか。」

 

その言葉は私にとって地雷。キレさせるのには充分だった。

先程拾った剣でゼノンに斬りかかる。

 

ガイイイン!

 

金属同士が激しくぶつかる。ゼノンが私の一撃を防いだのだ。当然といえば当然。

 

「あぁ、君は姉と比べられるのが嫌いだったね。」

 

「ハアァァァ!!!」

 

そうして私はゼノンを殺す気で勝負を挑んだ。が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実は厳しいものだった。

 

「ハァ…ハァ……」

 

結果から言えば惨敗。現に私は水路に叩き落とされ、剣は手元に無く、地面に手を突いていた。にも関わらず…ゼノンにはまともな一発も入っていない。

 

「君は姉の様にはなれない……私について来てもらおうか。」

 

もう…ここまでなの?

 

カツ、カツ、カツ…

 

足音?…誰かこちらに向かって来る…!

 

そして姿を現したのは…

 

「我が名はシャドウ…陰に潜み、陰を狩る者。」

 

()()()()と名乗る、漆黒の衣を纏った者だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シャドウ

 

話は少し前に遡るけど、招待状は僕を貶めようとした教団の差し金だったと言っとく。まあ、問題無く対処したけど。

 

閑話休題。

 

漆黒のロングコートを着てフードを深く被る。そして颯爽と登場する陰の実力者…!シチュエーションとしては完璧過ぎる。

 

そして、決まりのセリフを低い声で発した。

 

見る感じ、ゼノンは教団側らしいな。

 

「近頃、教団に噛み付く犬が居ると聞く…君のことだね?ただ、君達が潰している拠点には教団の主力など一人も居ない。雑魚狩りに徹している卑怯者だろう?」

 

「何奴を狩ろうと何処で狩ろうと同じ事だ。」

 

「残念だが、教団の主力は此処に居る。同じにはならないさ。……次期ラウンズ第十二席、ゼノン・グリフィ。君の命、手柄にさせて貰おう!」

 

ゼノンから放たれたのは突き。手練れの魔剣士ですら避けることが難しい速さで迫るその剣を避け、見えない程の速度で背後へと回る。

 

「それで…教団の主力とやらは何処に居る?」

 

「なッ!?」

 

今のが躱されるとは思いもしなかったのだろう。冷や汗がゼノンの額に見られた。

 

「なるほど…少し見くびっていたよ。潰したのは小物だけとは言え、教団に楯突く実力はあるようだ。だが、次期ラウンズの力の前には敵ではない!…ハアァァァアアア!!!」

 

ゼノンの魔力が荒々しく高まっていく。

 

「なんて魔力…」

 

アレクシアが言葉を漏らす。確かに魔力量という点では目を見張るものがあるな。

 

 

 

二年ほど前に、間合いを掴み、魔力を十分に込めて戦うことが大事だと言ったが、ゼノンはそれがまあまあできている典型的な例と言っていいかもしれない。

…では、それにどう対処するのが正解か。

 

その答えは()。力もスピードも魔力の前では効果が薄い。相手の魔力が高ければフィジカル面はどうにかなってしまうからだ。…まあ高ければの話になるが。

しかし、技量となると魔力があるだけでは当然どうにもならない。それが魔力に対する明確な回答なのだ。

 

そして、僕は前世で培った現代剣術を習得済みと伝えておこう。

 

 

 

襲いかかって来るゼノンの剣を受け止め、衝撃を逃がす。

 

一度後ろに引き、剣を構える。

 

「ヘアァァァアアア!!!」

 

先程受けた剣と同じ軌跡を描いた剣が来る。再度受け止めるが、今度は力を入れて押し切る形でゼノンの体勢を崩す。

 

「何だ!?」

 

「鈍いぞ?」

 

ガラ空きになった腹に重い拳を入れる。

 

「ガァッ…!!ハッ…!」

 

「…来ないのか?次期ラウンズ。」

 

倒れ込むゼノンの顔に漆黒の剣を向けながらそう言う。

 

「クッ、グゥッ…ア"ァァァアアア!!!」

 

そうして剣同士の激しい打ち合いが始まった。地下に響き渡る鈍い音は連続して聞こえ、剣の速度が耳でも充分に伝わる。

 

 

 

…シャドウの剣は努力の賜物。それはアレクシアがこの打ち合いを見て分かったことだ。

アレクシアは剣の才能が姉に大きく劣っている。それ故にアレクシアが振るう剣は()()()()と呼ばれている。

アレクシアはその剣が嫌いであった。

 

ただ、アレクシアの目の前にある光景はその()()()()の完成形。理想でしかなかったそれが此処にある。

そして…姉が私の剣が好きと言った理由が分かる、と…

図らずとも、シャドウの剣はアレクシアの認識を大きく変えることになったのだった。

 

 

 

激しい攻防の末、ついに…いや、必然と言うべきか。シャドウの剣がゼノンへと見舞われた。

 

「グハァァッ…!!…ハァ、ハァ……貴様、何者だ!それだけの力を持ってして、何故正体を隠す!?」

 

「…フッ……我等はシャドウガーデン。陰に潜み、陰を狩る者。我等はただ、それだけの為に在る…」

 

シャドウの右目に魔力が集まり、燃えるように輝く。

 

「…正気か?貴様。」

 

「…シャドウガーデン?教団、血…一体何なの?」

 

「…フフッ、いいだろう!貴様が本気だと言うなら…私もそれに応えようじゃないか!」

 

そう言って立ち上がり、懐から…ん?あの赤い錠剤何処かで……

 

コレ(錠剤)によって、人は人を超えた()()()となる!常人が使えば死に至るが……」

 

赤い錠剤の入った瓶の蓋を開け、ゼノンは乱暴に幾つか噛み砕いた。

 

「グウゥッ!ア"ア"アァァァ…!!!」

 

魔力による嵐が引き起こされ、禍々しい雰囲気が漂う。

 

「…()()()3()r()d()。この力を制御できる者こそラウンズに入る資格を得るのだ!!!

最強の力を、見せてやろう!!!」

 

先程とは比べ物にならない力と速度…だが。

 

「醜いな。」

 

「…その程度で最強を騙るな。それは最強への冒涜だ。」

 

第一、僕は戦いにフィジカル頼りで臨む戦い方は好みではない。

細部まで技巧を組み込み、力に頼りきりの醜い戦い方はしない、それが僕の目指す陰の実力者なのだ。

それに、コイツに至ってはドーピングしただけで最強と言う。…流石に放置する訳にはいかない。

 

「借り物の力で最強に至る道など…無い!!」

 

この瞬間、僕は魔力を解放した。今までは殆ど魔力を使ってなどいなかったのだ。青紫色の魔力が辺りに広がり、無数の線の紋様を示す。

 

「…遊びは終わりだ。」

 

「何だこれは…緻密で膨大過ぎる。これが魔力だと、個人の魔力とでも言うのか!?」

 

「嘗て……核に挑んだ男が居た。男は肉体を鍛え…精神を鍛え…技を鍛えた。だが、それでも届かぬ高みがあった。」

 

続いてシャドウは告げる。

 

「…しかし、僕は諦める訳には行かなかった。だから修行を重ねた果て…一つ、答えに辿り着いた。

 

核で蒸発しない為には…

 

 

自分が核になればいい」

 

 

「真の最強をその身に刻め。…これぞ我が最強。

 

 

アイ…

 

 

アム…

 

 

「よう、シャドウ。こっちは終わったぜ。って…ゑ?」

 

 

 

『アトミック』

 

 

 

王都は青紫色の閃光に包まれたのだった。




オリ主君退場!?…えぇ?

さぁどうなるのやら…(あなたの匙加減)

今回長めとなってしまった…
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