黒い太陽に憧れて!   作:ポンノ

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アンケートのご協力、ありがとうございました!m(_ _)m
結果の通り、おうにょに告白するのはクロノにします!
やったねクロノ!また負担が増えるね!
これからも「ここの展開どうしよ……」ってなったら皆様に協力してもらいますので、よろしくです!
そしてそして!評価9感謝です!
豚汁飲みたい


10話 覚悟して見届けよ……人間共

 

 アルファ達『七陰』が離れ、シドと別れたあの日から2年が経ち、俺もシドも15歳になった。

 この2年間、そこそこ……いや、だいぶ衝撃的な2年だったと思う。

 

 『シャドウガーデン』関連の方では、新たな拠点である『古都アレクサンドリア』を手に入れる為に霧の龍と戦闘した。

 最終的には着いてきてたシドが美味しいところを掻っ攫っていったが、そのおかげも相まって霧の龍に認められ、『古都アレクサンドリア』の所有権を手に入れた上に毒の吐息で守られている。

 それでも俺の拠点はあの掘っ立て小屋である。

 たまに『アレクサンドリア』にも顔は出すが、正直居づらい。

 『悪魔憑き』だった娘は二次関数のグラフみたいな感じに増えて、今や600人以上は居るのに、『シャドウガーデン』で男は俺とシドしかいない。

 わかりきってることではあるのだが、マジで居づらい。

 俺もシドみたいに性欲を捨てれるようになれれば……。

 

 『ゴルゴム』関連の方では2つ、嬉しかったことと悲しかったこととの2つだ。

 まず嬉しかったこと。

 馬鹿みたいなペースで襲ってきた怪人共が、1週間に1回程度のペースで襲ってくるようになった。

 更に、出てくる怪人が毎回種類が違う。

 この2年間、1回もダブった事が無かったのだ。

 地味に見た目が似てるやつは何体か居たが、能力がそれぞれ違ったから楽しめた。

 ホントに楽しかった。

 全員仲良くあの世に送ってやったが。

 

 んで、悲しかったこと。

 もう一人の『世紀王』にて、俺の親友、ソーン・フォルムーンがシャドームーンとして蘇った。

 もう一つの『キングストーン』が見せた幻影ではあったが、しっかりこの目で見た。

 ビルゲニアと戦って、一時的に『BLACKSUN』になったあの日、ビルゲニアを殺った上で蘇ったらしい。

 弱ってるところを殺ったんじゃないかと煽りを入れてみたのだが、完璧に再生して、『ビルセイバー』に『ビルテクター』も使わせてあげた上で勝って殺ったとのこと。

 それだけなら良かったのだが、完璧に洗脳されてる。

 三神官許さん。創世王許さん。絶対殺してやる。

 

 でも何故かまだこちらに突撃したりはしていない。

 それにコチラも本拠地の場所が分からない。

 厄介にも程がある。

 多分今頃、無限に湧いてるであろう怪人共を利用して鍛えているのだろう。

 何としてでもソーンを取り戻さなくては……。

 まぁ最悪「殺してくれ……」とか言われたら容赦なく殺すが。

 

 

 

 そんでもって今、俺はシドと共に王都行きの電車に揺られている。

 目的の場所は『ミドガル魔剣士学園』、これこら俺たちが通う学園だ。

 

 本来、元貴族……というか、家族なし家なし金なし権力なしの俺が通えるはずはなかったのだが、シドが両親に頼んだ結果、カゲノー家の紹介で入れる事が出来た。

 シドの両親には感謝してるが、本人には感謝してない。

 どうせ何かしらの形で利用してくるのだろう。

 電車に轢かれりゃ良いのに。

 

「ねぇクロノー」

「んだよシド。今景色見てんだから話しかけんな」

「今トンネルだよ?……まぁいいや。多分王都になら居るよね?」

「あん?何がだよ」

「この世界の主人公かラスボス」

 

 何故かキリッとした顔で、俺の疑問の内容を答えるシド。

 マジでこの2年間、ずーっとこういう事考えてたんだろうな。

 

「聞いた俺が馬鹿だった。三回電車に轢かれろ」

「うんうん、やっぱ変わらないねー。それでこそ我が右腕!『黒い太陽』!」

「降りたら覚悟としとけよ……」

 

 嬉しそうな顔をしながら、囃し立てるように言葉を述べるシド。

 降りたら殺すとだけ心に決め、トンネルから抜けた電車の外を見つめる。

 車窓から射す太陽光が心地よい……

 

 ……あ、そうだ。

 太陽光で思い出したのだが、拠点が進化したことによって、表情ではわからないもののハイテンションになったイータによって実験台にされ、肉体を解剖され、それで『キングストーン』の新しい力があるって事わかったんだった。

 

 確か……『その石、力を収束出来るなら……発散も、出来る……はず』だったか?

 そんな事を言っていた。

 今もそれの修行中だった。

 

 それにしてもあの時のイータの笑顔………うっわ、思い出すんじゃなかった。

 ……てか、忘れてたのバレたら薬盛られるな。

 もし俺の元にイータが来たら、その時は俺の命日になることだろう。

 

 ……今の内に遺書だけでも書いておくか。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 んで、入学の日から7ヶ月が経った本日。

 俺は膝から崩れ落ちていた。

 

 原因は今俺が両手に持っているマークのテスト。

 なんと途中から回答のマークがズレており、その結果点数は31点。

 終わった。 

 

「ぅぁぁ………」

 

 自分でも認めれるほどに情けない声を上げながら、悲惨な結果になったテストをみる俺。

 何もテストの点数が低かったからこんな絶望感に襲われているというわけではない。

 その後に待ち構えていることに絶望しているのだ。 

 

「クロノ〜……って、どうしたの?そんな絶望感に苛まれてる様な表情しちゃって」

 

 ウキウキとスキップしながらこちらに近付いてきたシドが、俺の今の姿を見ていつものテンションに戻る。

 もはや言葉を発する程の気力が無い。

 ただプルプルと震えながら、シドを見る。

 

「……あ、そうだ。ほら見てよクロノ!この点数!」

「ぁ……?」

 

 そう言い、シドは俺にテストを見せようとする。

 

 そうだ。

 シドはこの学園内で、学力を中の下で維持している。

 理由は「モブっぽいから」だろうが……もし、もしもだ。

 このテスト、すっごく難しかったら?

 テスト中にみんなが唸りに唸りまくる程の難問揃いだったとしたら?

 もしそうならば、シドの点数は俺を下回っているのではないのか?

 

 ……駄目だ。

 このテストアホみたいに簡単だったわ。

 なんなら全員すぐに解き終えてたわ。

 多分それのせいで気付かなかったんだろう。

 ズレてることに。

 

 畜生こうなったら神頼みだ。

 シドが32点以下である事に全てを賭け、俺はシドが見せてきたテストを見る。

 

「35点!如何にもモブっぽい点数でしょ!」

 

 終わった。

 神なんて居ねぇんだ。

 

「いや〜今回は相当考えたんだよ?ヒョロもジャガも、今回のテストに向けて全く勉強してなかったらしくてさ、だから赤点ギリギリのラインを攻めてみたんだ〜」

 

 頼む喋るな。

 それ以上俺の傷を抉るな。

 二度と喋れなくしてやるぞ。

 

「それで、クロノはどうだったの?まぁクロノはあの二人と比べてまともに勉強してたし、大丈夫だと思うけど……見せてもらうね」

 

 本来なら抗う程の力があるはずなのだが、あまりのショックで握力がゼロになってるらしく、無抵抗のままテストを取られてしまう。

 シドの表情が笑顔から真顔に変わる。

 

「……え?31点?」

 

 真顔になったシドは、ぺしゃんと座り込んでいる俺を見て、妙に優しい目でこちらを見てきやがる。

 

 なんだその目は。

 呆れか?憐れみか?

 やめろ見るな。

 見るな。

 

「その……ドンマイ」

「やめてくれシド。そうやって優しくされると果てしなく虚しくなる。今の俺に関わらないでくれ」

 

 さすがのシドでも今の俺を煽るのは駄目だと察したのか、俺の元を離れようとする。

 シドはそういうところは弁えてくれるから良い奴っちゃ良い奴だ。

 

 ……仕方ない。

 こうなれば勉強してなかったらしい2人が俺以下であることに賭けよう。

 

「……お、居た。おーいシドにクロノー」

「僕たちどっちも49点だったんですよねー」

 

 ハイ終わり。

 この世には仏もいねぇな。

 ホントクソみたいな世界だ。

 

「これ、僕たちが最下位だったら同時に告白する……って、どうしたんですかクロノ君。そんなこの世の終わりみたいな顔して」

 

 おお、よくわかったなジャガ。

 今この瞬間、俺にとってこの状況は「終わり」の3文字がふさわしいんだよ。

 

「なぁクロノ。お前もしかして……」

「……そのまさかだよ」

 

 今の俺の姿を見て大体察したヒョロに、シドが俺のテスト用紙を見せる。

 ヒョロに渡された俺のテスト用紙は、ジャガの目にも届いたようで、2人揃って先程のシドと同じ目でこちらを見る。

 

「……シド」

「ど、どうしたの……?クロノ」

「俺は俺の腹を斬る。お前は俺の首を斬れ」

「この中世みたいな雰囲気の世で切腹するつもり?」

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ……ってな感じの最悪の一日を過ごした翌日。

 昨日のショックで表情筋が滅亡したのか、無表情で満員電車に揺られる俺。

 そんな俺を見ながら昨日のような哀れみの目でコチラを見てくる3人。

 もう……疲れたよ俺は。

 

「ま、まぁ約束は約束だからな」

「そうですよ。それに、もしかしたら受け入れられるかもしれませんよ?」

「あのThe高嶺の花な王女様がか?無理だろ。俺平民以下だぞ」

 

 そう。

 昨日のテストで負けた敗北者は、罰ゲームとしてとある生徒に告らなければならないのだ。

 

 そしてその告白相手こそ……

 

「あぁ……!麗しのアレクシア王女!学園の女神よ!どうかこのわたくしと、清く正しい交際を!」

「興味ないわ」

 

 このそこそこデカい花束を持った男の告白を無慈悲に断った白銀の髪の第二王女様。

 アレクシア・ミドガルである。

 

「流石王女です。卒業したら政略結婚確定とは言え……」

「遊び相手には悪くないだろうに……」

 

 振られたショックで動けなくなってしまった男を見ながら、ジャガ、ヒョロの順に言う。

 哀れだ。

 俺もこれと類似した何かになるんだけど哀れだ。

 

「な、なぁクロノ。今更怖気付いたとか言うなよ」

「誰が怖気付くか。適当にやって適当にフラレりゃいいんだろ」

 

 すでに『振られる(勝つ)』道筋は出来てるんだよ。

 覚悟して見届けよ……人間共。

 

 

 

 ってな訳で、既に空が橙に染まった放課後。

 皆さんに告白で振られる男のポイントを教えてしんぜよう。

 俺のことは反面教師だと思い、これからの人生に活かしてほしい。

 

 俺直々にアレクシア王女を呼び出し、校庭の庭で待っていてもらうことにした。

 

 POINT 1 、目的の場所で待たない。

 

 女の子を待たせるということは駄目なことだって父さんが言ってた。

 俺はそれを信用し、待たせることにした。

 これで振られる確率は上がるだろう。

 

 近くの茂みに隠れるシド達を横目に、俺は慣れない猫背で待たせているアレクシア王女の元へ近寄る。

 

 POINT 2 、極力柄を悪くして対応する。

 

 初対面で告白をしてくるというシチュエーション。

 本来なら誠実そうに向かうのがベストだと思うが、今回の目的は振られる事。

 全力で柄を悪くして歩み寄る。

 この際、制服のポケットに手を突っ込んでいると振られる確率はさらに上る。

 

 ゆっくりとした歩みではあったが、ちゃんとアレクシア王女の前に辿り着く。

 んで、王女様も告白の相手である俺が来たことを認識したようで、コチラを向く。

 

 こっからは仕上げだ。

 この第一声、それで全てが決まるのだ。

 俺は浅く息を吸い、人生において初めてのプロポーズを行うべく、言葉を発する。

 

「アレクシアおうにょ」

 

 POINT 3 、噛む。

 

 滑舌もまともじゃない人間に、女の子が、それも一国の王女様が興味を示すわけがない。

 これにより、振られる確率がぐーんと伸びる。

 もはや振られるのは確定事項と言っても過言ではないほどだ。

 

 さぁ、最後の一押しと行こう。

 

「アナタノコトガダイスキデス。オレトオツキアイシテクダサイ。ヨロシクオネガイシマス」

 

 FINAL POINT 、全身全霊の棒読み。

 

 棒読み。

 それは全ての発音において、最も感情が顕にならない、まるで機械のような発音法。

 感情が顕にならないということは、告白で最も必要な「想い」というのが傳わらないのだ。

 これで振られる確率は跳ね上がっている。

 俺の頭には『勝利』の2文字だけが浮かんでいる。

 

 告白の言葉とともにポケットから右手を出し、返答を待つ。

 さぁ、後は俺を今朝のように断るんだ王女様。

 人の心が無さそうな貴方ならきっと盛大に振ってくれるだろう。

 

 というか、この告白方法でOKを貰えたのなら、それは相手側の腹が黒いか、相当頭がおかしくなってるかのどっちかだ。

 

 勝ったな。

 こうやって告白すれば、今の俺のように告白した相手と……

 

「……あら、大胆な告白ね。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 付き合えるのだ!

 

 

 

 ……あ゛?

 

 今なんつったこの王女。

 「よろしくお願いします」とか言わなかったか?

 それとも幻聴か?

 幻聴なのか?

 

「……今、よろしくお願いしますって言ったのか?」

「……?そうよ、貴方のような方を待っていたの」

「ああそう……」

 

 ざっけんな。

 ここは振るのがお約束だろうが。

 空気読めよボケナスが。

 

 ……だが、受け入れられたからには仕方がない。

 

「それじゃ、これからよろしく頼む。改めて、クロノ・フォルムーンだ」

「ええ。もうわかってるでしょうけど、アレクシア・ミドガルよ」

「……取り敢えず一緒に帰るか」

「そうね」

 

 告白をした後に互いに自己紹介をするという、あまりにも奇妙な事を行った俺等は、そのまま一緒に寮へと帰宅した。

 まぁ住んでる寮の場所がかけ離れてるから途中で別れて、シドが隣に居る部屋へと戻ってきた。

 

 今日改めてわかったことは一つ。 

 『マイナスとマイナスを掛け合わせるとプラスになる』と言うこと。 

 これに限るだろう。

 

「あぁ……明日からどうしよ」

 

 窓越しに見えた月を見つめ、俺はそう呟いた。

 




今回のアンケートでシドの方を選んでた24名の読者様、申し訳ありませんが4名の差でこのルートを選ばせていただきました
大変申し訳ない
<(。_。)> モウシワケナイ

どうにか満足していただけるような罵り合い……じゃなくてラブロマンスを書いてくつもりですので、どうか!どうか読んでいってください!
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