黒い太陽に憧れて!   作:ポンノ

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せめて連休中は毎日投稿できるように……全力で筆を進めておりますのでもっと感想という燃料をください……!
玉ねぎの入ってないポテサラ食べたい


3話 足から順に滅びろ中二病

 

 きっかけが何だったのかは覚えていない。ただ物心がついた頃には僕はもう『陰の実力者』に憧れていた。

 

 そんな僕、影野 実はようやくの思いで魔力を手に入れた。

 その道中で異世界に転生したり、シド・カゲノーって名前になったり……まぁ色々とあった。

 

 なんやかんやあって9年。

 今、僕は『陰の実力者』になる上で、必ず必要って訳じゃないけど、居たら便利な存在と邂逅している。

 

 何故か掘っ立て小屋で生活してて、この世界には無いはずのバイクに乗ってて、僕と年齢は同じはずなのに何処か大人びてて……何より、魔力以外の別の力を持っている。

 魔力よりも強大な何かを。

 

 こんな千載一遇の出会いを逃すわけには行かない!

 何度断られようとも『陰の実力者』の右腕に、最低でもNo.2のポジションになってもらうんだ!

 僕が望む『陰の実力者』には、自身を支える優秀な存在、組織でのNo.2は必要不可欠だ!

 

 だから今日も、31回目の勧誘を行う。

 

「ねぇクロノ!僕と一緒に『陰の実力者』に成ろうよ!」

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ウッキウキな気分でスキップしていた俺の足を止めたのは、眼の前に音もなく現れやがった男。

 シド・カゲノーだ。

 コイツは俺と同じ転生者であり、『陰の実力者』とやらを目指す危ない奴。

 そんな奴がここ1ヶ月程付き纏ってくる。

 

「……はぁ」

 

 如何せん見飽きた顔なもんで、そこそこ深い溜め息を吐く。

 ついでに言っとくと、今日で3轍目なのだ。

 気が狂う。

 そんな俺を見て、何故かウッキウキな顔で話しかけてくる。

 

「えー溜め息しないでよ。溜め息吐いてると幸せが逃げてくよ?」

「それ迷信だろ。それに、仮にお前の言ったことがホントだとしても俺に逃げる分だけの幸せはねぇよ」

「だったら僕の右腕になりなよ。きっと幸せになれるよ」

「どうしてそうなんだよ……はぁ」

 

 イカれた宗教みたいなトンデモ理論をぶつけてきやがるシドに対し、2度目の溜め息を吐き、雨が少々弱まった空を見る。

 そろそろ晴れてきそうだわ。

 

「……つーか、なんでお前はそこまで俺に執着してくんだよ。俺以外にも良さげなやついるだろ。突出してすげぇとこなんてねぇだろ」

「いやいや〜そんな嘘付いちゃって。僕の目は誤魔化せないよ?」

 

 そろそろ厄介になってきたんで話を終わらせようとすると、シドは親指と人差指で輪を作り、その穴から俺を見る。

 なんでコイツはやる行動の一つ一つがムカつくのだろうか。

 

「クロノは魔力以外の何かを持ってるんだからさ?その力を僕の為に活かしてみない?」

「お断りだ。どうせろくな事に使わないだろ」

「そんなことないよー」

「……うさんくせぇな」

 

 そう言うと共に、曇り気味だった空の隙間から陽が差し込む。

 この日差しが心地よい……それこそ、今目の前にいるイカれ中二病のことを忘れれるくらいには。

 あ〜あ、なんでこんなのに付き纏わられるようになってしまったのか。

 

 

 ……とは言ったものの、実のところこうなってしまったのは俺の確認不足から始まってしまっているのだ。

 んじゃ、今回もちょっくら過去を振り返ってみよう。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 これは今から約一ヶ月前のお話。

 まず前提として語っておくのは、この時既に父さんは殺されてて俺に変身する力があるということがわかっている。

 父さんが殺され、初めて怪人を倒したあの日から怪人狩りの日々が、約5ヶ月続いた。

 正直な話、来やがる怪人が毎回同レベル過ぎててつまらない。

 いやまぁ、色んな倒し方出来るから実践トレーニングとしては使えるんだけど……対戦の面で見ればとてもつまらない。

 もっとこう、熱い戦いがしたいんだ俺は。

 

 そんな事を考えながら掘っ立て小屋周りで食料の草を回収してると、いつものイベントが発生する。

 

 

 

 背後から急激に近付いてくる殺気を感じ取り、軽く足に力を入れて空に跳んで回避。

 んでもってパルクールの着地のように、転がって衝撃を和らげてから立ち上がる。

 

 突っ込んできたのは犀……じゃなくてサイ怪人。

 これにて5度目の戦闘である。

 まぁ別個体だろうけど。

 

「……毎日毎日襲ってきやがって」

 

 砂埃だらけになったコートを脱ぎ捨て、言葉の通じない怪人に嫌味を言う。

 それに反応した……ってわけじゃないとは思うが、サイ怪人は鼻息を荒げる。

 

 周りに人っぽい気配あるけど……仕方ない。

 

 俺は右腕で力こぶを作り、左拳は右拳の高さを超えないように、右腕に添える。

 力強く拳を握り、右手を左腰方向に勢いよく降ろし、それと同時に左手を開き、右肩方向に伸ばす。

 

「変……」

 

 伸ばした左腕で円を書くように回し、左腕が左上に到達したところで両手を右肩方向に伸ばし、言う。

 

「身ッ!」

 

 腹部から赤い『キングストーン』がベルト状の装具として出現し、中央のエナジーリアクターが光り輝く。

 それにより俺の身体は、人とバッタが融合したような姿を経て、全身を漆黒の強化皮膚が覆うと共に左胸に白い『ゴルゴム』のマークが刻まれた、黒い戦士に変化する。

 

 変化した肉体の節々から、変身時に発生した熱が蒸気になって溢れる。

 辺り一面にまで拡散した蒸気を腕で切り払い、変化した俺の姿が顕になる。

 

 黒く光るボディーに真っ赤な目。

 首周りや手首、足首に仕込まれた赤と黄色の2色のライン。

 何故か無い両肩のバッタの脚。

 

 俺が憧れたBLACKSUNとは違うものの、何処か似ている仮面の戦士。

 だからこそ憧れの存在の名前では無く、それと似たような、あの白ローブが言っていた『世紀王ブラックサン』の名前から取り、こう名乗るようにした。

 

「仮面ライダー……ブラック」

 

 己の名を名乗りつつ、右腕を前に出し、左腕を腰元に添えて、構えを取る。

 

 変化した俺の姿を見て、サイ怪人は先程よりも鼻息が荒くし、もう一度突進するべくしてか足を鳴らす。

 そして勢い良くこちらに突進してくる。

 

「もうそれは見飽きてんだよ!」

 

 サイ怪人の突進は直線でしか動いてこない。

 となれば、対処法は2つある。

 

 1つ目は回避。

 サイ怪人の突進は洒落にならないレベルで痛い。

 だからそれを回避し、避けたことによって生まれる隙を狙って殴って蹴れば間違いなく勝てる。

 これは3回目で取った安全策だ。

 

 ……だがこれじゃあまりにもつまらない。

 これは雑魚のやる選択だ。

 そんなんじゃ、強くなった実感というものがなくなってしまう。

 

 だから取るのは2つ目の選択。

 4回目で見つけたベストアンサー。

 真っ正面から打ち当たって、ヤツの角をへし折る。

 ヤツの突進が強い要因の1つは、その聳え立った角があるからなのだ。 

 故に初動でへし折る。

 

「ライダーチョップ!」

 

 空中に跳び、掌に『キングストーン』の力を溜め、サイ怪人の角目掛けて振り下ろす。

 反撃を想定していなかったであろうサイ怪人は、そこから回避行動をできるわけもなく、そのまま突っ込んで、チョップが当たる。

 見事命中したチョップは、しっかり角をへし折り、それにより生まれた隙を付き、サイ怪人を奥へと蹴り飛ばす。

 

 ちょいと早いが、トドメを刺す。

 

「キングストーン……バイタルチャージ!」

 

 腹部の前で両拳を重ね、身体中の全エネルギーを『キングストーン』に集め、そのエネルギーを体内で何倍にも膨張させ、身体能力を大幅に増加させる。

 瞳が今まで以上に真っ赤に輝かせ、立ち上がろうとするサイ怪人目掛けて駆け出し、空に跳ぶ。

 右足に全エネルギーを収束させ、足が赤熱発光するほどのスピードで喰らわせる。

 

「ライダァーキック!」

 

 技名を勢いよく叫んで放ったキックは、既に満身創痍であったサイ怪人の鎧の隙間に命中し、爆散させる。

 

「……ふぅ」

 

 サイ怪人が完全に消滅したのを確認し、先程まで込めていた力を抜く。

 それとともに変化した身体は、変身時と同じように蒸気を上げて人間の形に戻る。

 

 ……それにしても、怪人共は死ぬと爆散するんだか。

 俺も死んだらそうなんのかな。

 

「まぁ簡単にくたばる気は無いが」

 

 怪人は数万年は生きれるってことは『ゴルゴム』を調査した時にわかってんだ。

 まだ怪人になって1年も経ってねぇんだ。

 最低でも300年は生きてやる。

 

 そんな事を考えつつ、脱ぎ捨てたコートを着直して、砂埃を払い落とす。

 んでもって、掘っ立て小屋に戻るべくして歩みだす。

 

 すると、俺の前に同年代位の男が現れる。

 恐らくサイ怪人を蹂躙する前に感じた人の気配の正体だろう。

 俺よりも魔力は多いが、それでと平均値ってところだ。

 でも何故だろう。

 コイツからは底知れぬ何かを感じる。

 

 ただ言えるのは、本能がコイツは危険だと知らせているって事だけだろう。

 そんな感じで多少の警戒心を持っていると、現れた男が口を開く。

 

「君、No.2のポジションに興味ない?」

「は?」

 

 その言葉は俺の警戒心を一気に消滅させ、俺の脳を?マークで埋め尽くすことになった。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 ……改めて思い返せばイカれた展開だ。

 人じゃない姿になれる存在を見つけて、怯えて逃げるわけでもなく、立ち向かって戦おうとするわけでもなく。

 自分の理想のために俺を使おうとするなんて。

 

 それに加えてコイツ、初回の勧誘断ってからずーっと付き纏ってくるんだよ。

 ここ1ヶ月ずーっとだ。

 それこそ、今日みたいに雨が降っていようが、俺がバトルホッパーの手入れをしていようと、昼寝していようとお構いなく。

 いつノイローゼになっても可笑しくない。

 

 もうホントヤダコイツ。

 マジで消滅しろよこの中二病

 足から順に滅びろ中二病。

 

 不平不満を心の中で大量に述べ、シドのことを見る。

 何故か真っ直ぐな目をしている。

 こんな狂人でもこんな目出来るんだな。

 

「……ん?どうしたのそんなじーっと顔見てきて。遂にNo.2になる気になった?」

「まさか」

 

 声の抑揚はそんなに無いが、キラッキラとした目で俺を見つめてきやがるシドに、ノータイムで拒否する。

 

 ……とは言え、コレ以上付き纏ってくるとなるとホントに面倒くさい。

 そろそろ『ゴルゴム』を潰しにかかりたいのに、コイツが居ると何かとめんどくさそうだ。

 というか、こんなイカれた野郎ではあるが、俺の戦いまでは巻き込みたくはない。

 せめてもの慈悲ってやつなのだろうか。

 

 

 

 ……いや待てよ?

 今ここで俺がコイツの言う「No.2」になって、それ以降の関わりを最小限にすれば良いんじゃないか?

 あくまでやるのも定期的な連絡だけで、それ以外は何も無いようにすれば完璧じゃないのか?

 

 我ながらパーフェクトアイデアだな……これで論文とか書いたら一儲けできそう。 

 んじゃまぁ、思い立ったならすぐ行動だよな。

 

「あー……シド?さっきの発言ちょいと訂正する」

 

 俺は頭の中で生み出した結論の元、シドの前に立ち、サングラスを外してから言う。

 

「俺がお前の右腕にでも相棒にでも何にでもなってやる。この俺、クロノ・フォルムーンがな」

「おお!遂になってくれるんだね!」

 

 俺のその言葉に、シドは目に見えて喜んだ表情を浮かべ、俺の手を握り、ぶんぶんと振る。

  

「それじゃあこれからよろしくね、クロノ!」

「おうよ、シド!」

 

 かくして俺はシドの右腕、後の組織のNo.2となったわけだ。

 

 

 

 この後、この選択を一生後悔し続ける事になるのは、明々白々ってやつなんだ。

 まぁなんというか……睡眠の必要性を改めて確認できたよ。

 感謝はしてないけど。

 




最近ブルアカでレベル上げしたり気分転換にイラスト描いたりカラオケで歌歌ったりアホみたいな量の課題やったりブルースカイで生活したりで幸せで多忙な毎日迎えててコレ
  ↓
└(՞ةڼ◔)」
気が狂う
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