いよいよ第二回モンド・グロッソが始まった。
一日だけで全種目が終わるはずがなく、三日間にわたり行われる。
「さて……無事に誘拐されてくれるかな…?」
無事に誘拐というかみ合わない日本語だが、彼の心境は言葉通りである。
彼としては無事に織斑一夏が誘拐され、千冬に救助されることで、優勝を逃すというシナリオであってほしいのだ。
もちろん、絶対にその流れになれというわけではない。
彼だってもしものときのために準備をしている。
現在、織斑一夏の上空に、シリウスが制御している偽装型介入EB<
このモジュール、電磁遮断装甲を用いているため、外部からはただの金属の塊と同様になるのだ。
更に各種ステルス機能を搭載しているため、EBコアネットワークを探知する手段を持たないと、存在を認知すらできないというチートっぷりである。
そして、第三者の介入を疑われないために、近くの物質をそのまま再生成する簡易物質生成機を装備してある。
何気に初登場のEB機体だが、今回は偽装介入型であることからドローンのような形状である。
「シリウス、状況は?」
「見てるでしょ~マスター?問題ない感じだよ!」
織斑一夏、現在、飛行機に搭乗し開催地ドイツに向けて移動中。
織斑千冬、ドイツにて試合待機中。
篠ノ之束、現在地不明。おそらくラボにて織斑千冬を監視していると思われる。
第二回モンド・グロッソ、一日目が始まる。
side ???
「計画の進捗は。」
「現在、手のものが織斑一夏の搭乗している機体に乗っています。」
「また、手配したチケットで、現地ガイドによる案内を行います。」
「そのタイミングで決行します。」
「よろしい。万事滞りなく進めていけ。」
「承知しました。」
「うお~~!ここがドイツかぁ!人多いなぁ。」
「おりむらサン、あまり離れないでくだサイね。」
一夏は現地のガイドと合流し、宿泊先のホテルに向かって歩いていた。
「いや~しかしガイドさんまでいるとは至れり尽くせりだな~」
初めての海外ということもあり、浮かれ気分のようだ。
「(まったく怪しまれてないな。それはそれで怖いが…)」
「さ、おりむらサン、ここが今回宿泊するホテルです。」
そうして案内されたのは、かなり豪華なホテル。
看板には5つの星が描かれている。
「すっげぇ!これ五つ星ホテルってやつか!」
「こ、これってお金とかかからないですよね…?」
洗練されたデザインのフロントに圧倒され、思わず尋ねる一夏。
「大丈夫デスよ。今回のプランに含まれていますので、ルームサービスもなんでも頼み放題です。」
「まじか…」
さて、このホテル。
一見、普通の五つ星ホテルであるが、もちろん組織の手が入りまくっている。
組織を支援している各国企業が共同で出資し、設立したグループ企業がオーナーであり、組織がターゲットの動向を把握するために活用している。
織斑一夏も漏れなくそのターゲットであった。
「それではごゆっくり……」
「ふむ……織斑一夏、がっつり組織の関係しているホテルに泊まってるな。」
「作戦が決行されるのは、おそらく総合部門決勝が行われる最終日だと思われます。」
「逆に言えば、それまでは身の安全は確保されている、ということか。」
俺はレオと状況について確認する。
現状を見た限り、1,2日目で誘拐や襲撃される心配はあまりなさそうだな……」
「シリウス、一応常駐しておいてくれ。万が一何かあったら連絡を頼む。」
「おっけ~マスター!
さて……介入するかどうかは状況次第だ。
ふと思ったんだけど、ここまで生きてきた感想として、この世界の人たちって武力に頼りすぎでは??
特にISが登場してからが顕著だよね。
何でもかんでもISで解決しようとしてる。
ぶっちゃけISなんて整備する人間と資材が消えたらただの重い機械だし。
それこそ資金力を使って、敵対国の人材をヘッドハンティングしまくればあっという間に骨抜きにされるぞ?
中華とかやってもおかしくないんだけどなぁ……
ISが登場してからの中華って、自国の人口にものを言わせた物量作戦と、一部の天才を活用することで成り立ってるし。
やっぱり<女性専用>って響きがダメな雰囲気だよなぁ。
【女性にしか扱えないから、女性を優遇します!】って、それ人口の半分を切り捨てるって意味とほぼ同義なんだよな。
おかげで出生率もISが登場してから急降下してたり、未婚率が上昇。
更には男性の犯罪率も増加しているっていう、損でしかない構造。
やっぱり異質な世界だよ、ほんとに。
閑話休題
こんな話をしたのは、ぶっちゃけ将来のことを見据えてだ。
宇宙に飛び出してからしばらくは、最終テストと不足物の確認のために衛星軌道上に停留する予定だ。
停留中には一時的にステルスを切るタイミングもあるから、どうやっても見つかっちゃう。
だけど、そのタイミングがちょうど原作時期と重なりそうなんだよね。
ISって原作開始してから、一気に2世代も進化しちゃってるし、もっと言えば終盤で宇宙に出てきた気がするんだよね…うろ覚えだけど。
そんなこともあり、将来的にはISと対峙しそうな予感はしてるんだよな。
となると、対ISの装備も作っておかないといけない。
アンチIS装備の構想はできてるし、割と早く完成するだろうけど、実地試験をしないと不安なんだよね……
かといって原作の事件に乱入するのもなぁ…って感じだし。うーん。
俺のチート能力って、防衛の時にしか発動しないから、前もってつぶしておくのはできないし……
「マスター。発言をよろしいですか?」
「お、どしたレオ。何かあったか?」
珍しくレオから発言があった。
「マスターの悩みは、自身の生活を脅かされないようにするにはどうしたらいいか、ということだと推測します。」
「む…うん、そうだね。」
「そしてその根本的原因はISであると思われます。」
IS……そうだ。
ISがあるから人類は<女尊男卑>という概念が蔓延しているし、ISがあるから人類が宇宙に近くなっている。
「であるなら、世界からISをなくしてしまえばいいのではないでしょうか。」
「それは……そうだけど。」
「界線が問題なく稼働していることもあり、現存するISコアすべての所在を確認できます。」
「我々の手で、467機すべてのISコアを回収し、保管すれば問題は解決します。」
大分大胆なことを提案しますねレオさん。
でも、言っていることは間違いではない。
……やるか?
コアの3分の1は研究用に保管されているし、回収は簡単だ。
残りのコアも、アンチIS武装を積めば、ほとんど問題なく回収できる。
懸念点は、篠ノ之束の存在だけど……
原作が始まれば、彼女の動向はわかりやすくなる。
視点がIS学園に向いているから、そこに注力すれば自ずと対峙するだろう。
ISさえなくなれば、人類が宇宙に進出するまでの時間は長くなる。
ISなしで人類が宇宙に出てくるころには、俺は外宇宙に出ていけてるはずだから、大丈夫。
…よし。
「レオ、その案採用するわ。」
「織斑一夏がIS学園に入学したタイミングで、少しずつ各国からISコアを回収していく。」
「最後にIS学園にあるコアすべてを回収したのち、我々は航海にでる。」
「さて……これから忙しくなるな。」
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