さて、ワープ技術もしくは寿命を引き延ばす必要があることがわかったんだけど。
「どーすっかなぁ……」
ワープ、というか超空間航行技術って、なんとなく原理をイメージすることはできるんだよ。
空間に穴をあけて、時間軸のある四次元空間に入ることで、短時間で長距離を移動する形なんだろうけど……
「問題はどうやって空間に穴をあけるか。なんだよな…」
理論上はプラズマを当てれば穴が開くっぽいんだけど……
専用の装置を作って、実験してみるか?
人間が入っても大丈夫かどうかの検証も必要だしな。
そんなわけで、困ったときのチート頼みで作成します。
テッテレー
超高圧プラズマ発生器~
いつものように、対消滅ジェネレーターからの電力を発生器のコンデンサに蓄積させて、一気に放出する。
PICの技術を流用して、放出先の空間を固定。
そんでもって、二基のプラズマ発生器からの電気をぶつけることで、空間に圧力を加える。
恐らくこれで空間に穴が開くはず。
これは地上でやると、強力な電磁波を隠すことが難しいな。
試験運用機として小型船を作って、実験してみるか。
試験艦は単純にサイズを小さくした旗艦でいいな。
人間が通れるかを確認するために、肉を設置しておこう。
それと、各種計測器も積んでおいて。
あとは、位置把握のためにコアネットワークを繋いで。
「よおーし、試験運用艦、完成!」
「あっ……こいつ大気圏出るほどの推進力もってないやん。」
これを宇宙に運ぶ必要が……
「大気圏突入型EB作るか!」
そうしたら他目的でも運用しやすいし。
こいつはISサイズである必要ないし、多少大きい方が安定するな。
というわけで制作!
大気圏突入型EB<
ステルス機能と推進力、装甲保護、量子変換容量にリソースを割いた、輸送機だ。
そこそこ積む必要があったから、サイズが7mくらいになったけどヨシ!
こいつもシリウスが運行する形になる。
「というわけでシリウス~。流星使って試験運用艦運んでくれ!」
「まっかせて~!」
「試験運用艦はレオが操舵するから、宇宙空間に送ったら戻ってきていいからな。」
「ほいほ~い!」
余談だが、普段割と暇なシリウスには、戦略シミュレーションゲームをやってみてもらっている。
万が一大規模戦闘になった際に、前線指揮官となるのはシリウスだ。
総指揮はレオが担うが、前線での兵の運用はシリウスなので、その能力を養ってもらっている。
……戦闘なんて起こらない方がいいけどな。
閑話休題
さて、流星によって宇宙に試験運用艦が運ばれたし、実験を始めようか。
「レオ、発生器の蓄電状況は?」
「二機ともに充電率100%。ジェネレーターも問題なく稼働中です。」
「OK。んじゃ、スタート!」
「プラズマ発生器、起動開始。同時にPICによる空間固定開始。」
戦艦の先端に付けられた発生器から、青白い光が迸る。
貯められた電力が減っていくと同時に、固定された空間が少しずつ歪んでいく。
「レオ、空間歪曲の状況観測はできているな?」
「yes、計測器も問題なく稼働中です。」
蓄電量がゼロになると、そこには真っ暗な宇宙の中に、ぽっかりと虹色のような色をした空間が形成されていた。
「よし、超空間らしきものへの入り口ができた。」
「試験艦、突入開始。」
ゆっくりと空間に入っていく。
そして、試験艦が入りきると同時に、空間が閉じる。
空間が完全に閉じられる。
「! マスター、異常発生です。」
「何があった!」
試験運用艦の姿が見えなくなると同時に、レオから報告が上がる。
「試験運用艦の反応がロストしました。コアネットワーク上にも検出されません。」
「うわ、マジかぁ……」
どうやら超空間に入ると、一切の通信が遮断されるようだ。
「いや……理屈を考えれば理解できるのか。」
流石に電波や特殊なコアネットワークでさえも、空間を超えて通信することはできなかったようだ。
「レオ、どうする?」
「万が一、コアネットワークが遮断された際のために、試験運用艦のデバイスに帰還プログラムを設定してあります。」
「ネットワークが遮断された際に起動し、再度プラズマ発生器を稼働させ、空間を開く想定です。」
「でかしたレオ!」
まさか俺が忘れていた設定をしてくれてるとは!
着実に自己進化していってくれてるな!
自分の失敗の反省とレオ達の進化を喜んでいると、再度レオから連絡を受ける。
「信号ロストした試験運用艦の反応が確認されました。」
「えっ!早いな。場所はわかるか?」
「確認中…… 信号は地球から約3天文単位離れた場所です。」
※1天文単位で、約1億5000万km(太陽から地球までの距離)
「嘘だろ……まだ数分しか経ってないぞ。」
ワープってそんなにすごいのか……
「レオ、プログラムの起動って、通信不能になった瞬間に起動するんだよな?」
「yes、その通りです。」
じゃあ、超空間にいたのはエネルギーがチャージされるまでのわずかな時間になる。
「俺の設計したプラズマ発生器のチャージって、急速充電でも30分はかかるぞ。」
時間経過さえ違うのか。
これはまた、とんでもないなぁ……
「よしレオ、同様の手順で地球まで帰還させてくれ。」
「yes、進路を設定します。」
チートのおかげだけど、とんでもない技術を生み出してしまったな……
「けど、これで移動速度の問題は解決したな……」
寿命に関しては、別の銀河に渡って延命か疑似転生技術かを見つけて、おいおい解決していこう。
元々公開するつもりもなかったけど、誰にも知られるわけにはいかんぞこれ……
「レオ、情報秘匿設定で最高機密扱いとして、設計図を保管しておいてくれ。」
「yes、マスター」
別に対抗意識じゃあないけれど、
「篠ノ之束……貴女が地球で遊んでいる間に、俺は宇宙に飛び出せる準備を整えているぞ……!」