超空間への移動ができたことを確認したのち、戻ってきた試験運用艦を確認する。
「えーと、ひとまず外見は、装甲がちょっと融解しているな。」
「それと、内部空間に置いておいた肉は……お、焼けてない。」
居住環境整備装置の機能は問題なく働いているっと。
「レオ、計測器のデータはどうだ?」
「外装に近い居住空間において、温度の上昇を確認しております。また、プラズマ発生器の照射部分に多少の劣化を確認。再使用には、一定時間の冷却が必要かと思われます。」
「空間移動に伴うネットワーク切断の影響で、一部計器の時間にズレが発生しています。」
「地球時間換算で、約10分の1程度の修正が必要です。」
ふむ……今のところ大きな問題はなさそう…と。
「割といいんじゃないか?」
とりあえず装甲はより高性能なものに置換して。
あと装甲を覆うように発生させているエネルギーシールドを二重にするか。
……よし、修正できた。
こういう時に物質変換器は楽だね。
量子変換した状態で配列をいじるだけだから、一度設計した後の修正がしやすい。
「よおおし!できた!」
これでひとまず、宇宙空間に繰り出す準備ができた!
「よしレオ!明日明朝、宇宙に出るぞ!」
「yes、マスター」
こうして俺たちは、宇宙に飛び出すこととなった。
翌朝
「各種計器確認……異常なし。」
「装甲・エネルギーシールド状況確認……異常なし。」
「物質変換器……異常なし。」
「レオ、レクト、シリウス、イプト。」
「みんな大丈夫か?」
「yes、問題ありません。」
「自己診断、異常なしです。」
「もんだいな~し!」
「いけるよ……!」
なんだか、感慨深いものがあるな。
空を飛びたかった。自由でありたかった。
誰にも束縛されずに、ゆったりとした生活を送りたい。
偉大なる宇宙に飛び出して、たくさんの未知と出会いたい。
そんな夢への第一歩が、いま。
「外宇宙航行用旗艦<
「―――発進!」
始まった。
某所にて
「なっ!?男性がISを纏っているだと!?」
「とにかく関係各所に連絡を!!!!」
「ど、どうしてだよ……!?」
「一体どうしてこうなったんだ……!」
原作が、始まる。
「おやおや~?どうしていっくんがISに乗れてるんだろ?」
「ちーちゃんと似た遺伝子に反応しちゃったのかな??」
「でもま、面白くなりそう~!」
「そうだ!いっくんのために専用機作ってあげよ!」
「せっかくだし、白騎士のコアを使っちゃって~」
「名前は―そう
―――<白式>―――
なんてのはどうかな?」
「どうして一夏がISを動かして……」
「せっかく一夏をISから遠ざけてきたのに……」
「くそ……!」
「(……これで、俺はみんなを。千冬姉を守れる……!力が手に入った。)」
「マスター。織斑一夏がISを動かしました。」
「宇宙に出てすぐに、か。」
ここからが正念場かもしれない、な。
「レオ、最終試験運用を開始。各種防衛設備の確認後、全ステルスを解除してくれ。」
「yes、マスター。」
主人公の姿が、世界に知られる。
『臨時ニュースです。』
『世界初の男性IS適合者が発見されました。』
『名は織斑一夏。かのブリュンヒルデの身内です。』
『緊急速報です!』
『たった今、地球の衛星軌道上に、謎の巨大戦艦が突如出現しました。』
『対象は沈黙を保っています。』
『現在、各国の首脳陣による臨時会談が行われ、ISによる偵察が決行されました。』
「マスター、早速偵察が行われるようです。」
「んじゃ、その前にこちら側から声明を出しておくか。」
「レクト、偽装用ホログラムとボイスチェンジャーを噛ませて<中界>で全ネットワークをハッキングしてくれ。」
「かしこまりました。」
『あーあー、全世界の諸君。聞こえるかな?』
『私の名は<エトワール>。もちろん偽名だが、れっきとした地球人だ。』
『そして、たった今衛星軌道上に出現した戦艦の主だ。』
『私の目的は、外宇宙への航行。』
『現在、地球の衛星軌道上にて、最終試験運用中だ。』
『地球に危害を加える意思は、ない。』
『最終確認が完了し次第、地球を離れる。』
『攻撃を加えないでくれたまえ。』
『こちらから攻撃することはないが、防衛行動はとる。』
『私たちに関わらないでくれれば、それで十分だ。』
『以上だ。諸君の理性ある行動を願う。』
side 篠ノ之束
「……は?」
「なにあいつ。」
「どうして束さんより先に宇宙に行ってるのかな?????」
「ちょーっと束さん、怒っちゃったかも。」
据わった瞳で、目にもとまらぬ速さで、キーボードを叩く。
「……なにこれ。」
「束さんでもわからない技術で通信が阻害されてる。」
「私を超える技術力がある……?」
「……ふざけるな…!」
彼女は一目散にラボを飛び出し、外に出る。
技術の粋を込めて作り上げた、彼女の専用機<玉座の謁見>を起動させる。
「私より先に宇宙に行くな……!」
「つぶしてやる……!」
普段のおっとりとした、眠たげな眼は十二分に開かれ、血走った目で、獣の如く歯をむき出した表情で。
大空を駆けていった。
天災との対峙まで、あと数刻。