IS ~宇宙に憧れた男~   作:narakumogara

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対峙

俺が全世界に声明を出してから、約1時間が経過した。

 

「レクト、各国の状況はどうだ?」

 

「現在、国連にて対応を協議中のようです。」

 

「傍観派と、ISの軍事利用だとして接収を要求する派で対立していますね。」

 

「現在は接収派が優勢のようです。」

 

 

ふーむ。

 

俺としては、速攻で強制接収するために部隊を派遣してくるかと思っていたんだが……

 

織斑一夏がISに乗れることが判明したのと同時に声明を出したのが効いてるか?

 

あと単純に宇宙に出てきにくいというのもありそうだな。

 

 

そんなことを考えていると、レオから連絡が入る。

 

「マスター、一件報告が。」

 

「篠ノ之束が単独で本機へと接近中です。」

 

「先ほど大気圏を離脱したことを確認しました。」

 

「お、来ちゃったか。」

 

 

来るのは割と予想できてたけど、早いな。

これはキレてるかな……?

 

「旗艦にダメージが入るのは嫌だし、出ていくか。」

 

こんな時のために、俺専用のEBを作っておいてよかった。

 

「シリウス、念のためアシストよろしく。」

 

「任せろ~!」

 

篠ノ之束は一体どんな目的があってきたのかね……

勝手に宇宙に行ったことにキレてるとかありそうだけど……

本格的に防衛チートが活躍するかもしれんなぁ。

 

 

「さて……防衛用人型兵装<天岩戸(あまのいわと)>起動。」

 

その言葉と共に、腕につけていたデバイスから量子反応が起こる。

 

光が収まると、そこにあったのは純白のボディカラーに、アクセントの茶色のラインが入った装甲。

全長は3m程度で。西洋騎士のような外見をしていた。

 

「ふぅ……試験起動はしてたけど、実践運用は初めてだからちょっと緊張するなぁ……」

 

「マスター、間もなく接敵します。」

 

「うい。んじゃあ、出るぞ!」

 

イメージインターフェースによる思念操作で、体を動かすことなく飛行していく。

 

篠ノ之束は一体、何をするのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「あれだね……」

 

空を飛んだことで多少頭が冷えたのか、冷静な声で旗艦を見据える。

束が近づくと、艦から一機のISらしきものが飛び出してくる。

 

そして、その機体は束の正面まで来て、停止した。

 

「さて……初めまして、篠ノ之束。顔を見せない不作法を許しておくれ。」

 

余裕綽々な雰囲気を漂わせながら、会話を始める。

 

「ふん!そんなのどうだっていいよ。」

 

敵対心マシマシな束に、騎士らしき機体は困ったように頬をかく。

 

「おや、そうかい……それで、一体どういった御用かな?」

 

「そんなの簡単だよ。お前の行動が気に入らないから、消しに来たんだよ。」

 

 

高尚な理由なんてない。ただ単純に気に入らないだけ。

私より先に宇宙に行っているのも気に入らない。

いっくんのISが使えることが分かったタイミングで、こんなことをしたのも気に入らない。

 

つまらないと思っていた世界で、私を出し抜いたことが気に入らない。

 

そして、私のISを真似た“それ”も気に入らない。

 

「お前の行動の全てが気に入らないから、潰す。それだけだよ。」

 

 

「……ふぅむ。そう言われても、こちらとしても『ハイわかりました』でつぶされるわけにはいかないのだよ。」

 

 

「私は宇宙で旅をしたいのだよ。」

 

「広大な宇宙を駆けていきたいのだよ。」

 

「今この場にいるのは、その準備をしているだけだ。」

 

「社会のためだとか、人類のためだとかそんなものではない。」

 

「ただ自分の夢を叶えたいだけなのだ。」

 

「別に誰かに危害を加えようとは思っていない。」

 

「だからこうして、丁寧に話をしているし、地球の皆さまにも連絡をした。」

 

 

「君のエゴで、潰えたくはない。」

 

静かな声で、はっきりと語る。

私の思いと一緒。

宇宙に行きたい。空を飛びたい。

 

「お前の気持ちは、わからなくはない。」

 

 

騎士は以外だったのか、おや、と首をひねる仕草をする。

 

けど。

 

「でも、気に入らないのは変わらないから。」

 

潰す。

 

 

そう言い切ると同時に、現行のどのISであっても出せないような速度で襲来する。

 

「そうか……残念だ。」

 

胴体を分割するように斬撃。

 

騎士は反応できていない。

 

 

 

 

 

―――はずだった。

 

「な……っ!?」

 

防がれた。

 

それも、先ほどまでなかった片手剣で。

 

 

ありえない。

 

ハイパーセンサーで見ていた限り、刃が当たるギリギリまで動いていなかった。

 

それは確かだ。

 

即座に飛び退き、距離をとる。

 

 

「なにを……したっ…!」

 

「んん?ただ防いだだけだが?」

 

 

だから……っ!

 

「どうやって防いだか聞いてんだよっ!!!!!」

 

 

 

「おやおやおやおや…… 天下の天災様が凡人の私めに質問ですか。」

 

「では、課題を与えましょう。」

 

「次相まみえる時までに、あなたなりの答えを出しておいてください。」

 

瞬間

 

私の眼前に騎士の姿が

 

 

 

 

私は反応することすらできずに、大気圏まで吹き飛ばされる。

 

 

「くっそっ……!!」

 

 

これは、篠ノ之束の初めての敗北。

 

 

初めて味わう、挫折感であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

side 主人公

 

 

「……やっべ。緊張してろくな事話せてなかった。」

 

『ていうかマスター。めちゃめちゃ煽ってたよ?』

 

「マジ?やらかしたな……」

 

何気に原作登場人物に会ったのが初めてだったので、舞い上がっちゃった。

 

身バレ防止のためにキャラ変えなきゃっていう考えと、原作キャラに初めて出会った興奮でハイになってた。

 

「でもまあ、関わらないでくれればいいよ~とは伝えられたと思うし、大丈夫か?」

 

『全然大丈夫じゃないね。間違いなくまた篠ノ之束、来るよ。』

 

「あ゛~。しんどい。」

 

 

でもまあ、護身チートの性能を確認できたのはよかったかな。

まさかセミオートで防御してくれるとは思わんかった。

防衛専用とは言え、こんなにえげつない性能だとは……

 

 

 

ま、あとのことは未来の自分にまかせるとして……

 

「何はともあれ、ここから原作が動き出す。」

 

「こっちもしっかりと準備しなくちゃな。」

 

 

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