プリキュアオールスターズ&仮面ライダー&スーパー戦隊vsクレヨンしんちゃん&ドラえもん  ギガントヒーローヒロイン大戦    作:マスターKU

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 エターナルセーラーちびムーン VS キュアエコー、仮面ライダーバース 

 キュアハニー VS 仮面ライダーオーズ、セーラーサターン、セーラーカルテット


第11話 スーパーヒーローヒロイン激突!!(後編)⑥

 砕けた石柱の間を、乾いた風が吹き抜けていた。円形広場の中央で、エターナルセーラーちびムーンは足を止めた。白い翼が背中で揺れ、胸元のピンク・ムーン・クリスタルが淡く瞬く。正面には仮面ライダーバース。

 その斜め後ろには、キュアエコーが立っていた。バースの足元には、セルメダルを収めた補給容器が置かれている。右手に構えたバースバスターの銃口は下がっていたが、指はいつでも引き金を引ける位置にあった。ちびムーンは二人の位置を見比べた。

 距離を詰めればバースが迎え撃ち、離れて光を放てば、その後ろにいるエコーを巻き込む。

 簡単に踏み込める配置ではなかった。

 

エコー「ちびムーン。まだ、話せるよね?」

 

ちびムーン「話を聞いても、ここを通すわけにはいかないわ」

 

バース「だったら、まずはその足を止める」

 

 バースが銃口を上げた。

 

 ダダダダッ!

 

 セルメダルの力を変換した弾丸が、石畳を一直線に砕く。ちびムーンは横へ跳んだ。着地するより早く次の射撃が迫り、身体を低くして石柱の陰へ滑り込む。柱の表面が削れ、白い破片が肩をかすめた。

 

ちびムーン「そこから動かさないつもりね……!」

 

 ちびムーンは柱の反対側へ回り、短く跳躍した。バースが照準を追わせる。

 しかし、ちびムーンは空中で身体をひねり、隣の柱を蹴った。軌道を変え、そのままバースの側面へ飛び込む。

 

ちびムーン「やあっ!」

 

 振り抜かれた蹴りを、バースが左腕で受け止めた。

 

 ガンッ!

 

 装甲を打つ音が広場に響く。バースの足が半歩滑った。ちびムーンは着地と同時にもう一歩踏み込み、銃を持つ右腕を押し上げる。銃口が空を向いた。その懐へ拳を突き込もうとした瞬間、バースの左肩が前へ出た。

 

バース「近づいてくれるなら、こっちもやりやすい!」

 

 肩当てを受け、ちびムーンの上体が揺れる。

 

 続く拳を両腕で受けたものの、踏ん張りきれず後退した。

 

 バースは追わなかった。

 

 空いた距離を利用してセルメダルを取り出し、バースドライバーへ投入する。ハンドルが回され、左腕の接続部が開いた。

 ショベルアームが装着される。大きな鋏状の先端が、重い音を立てて開いた。

 

ちびムーン「捕まえるための腕……!」

 

バース「動きを止めれば、話をする時間も作れる」

 

 バースが踏み込んだ。ショベルアームが横から迫る。ちびムーンは身を沈め、頭上を通過させた。だが、バースは腕を振り抜かず、途中で止めて下へ押し込む。

 

 ドガンッ!

 

 先端が石畳を砕いた。

 

 跳び退いたちびムーンへ、右手のバースバスターが向く。

 

 発射。

 

 ちびムーンは腕を交差させた。弾丸の衝撃が防御を叩き、靴底が地面を削る。

 

ちびムーン「くっ……!」

 

エコー「もうやめよう! そのまま受け続けたら――」

 

ちびムーン「受け続けたりしない!」

 

 ちびムーンが顔を上げる。

 

 手元に集まった桃色の光が、ハートの形を結んだ。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 連なる光のハートが、バースへ向かって放たれた。

 

 バースはショベルアームを前へ出す。

 

 最初の光が金属の先端で弾けた。

 

 二発目、三発目。

 

 連続する衝撃が腕を押し返し、その隙間を抜けた一発が肩の装甲を打った。

 

バース「ぐっ!」

 

 火花が散った。

 

 バースは射撃で押し返そうとしたが、ちびムーンは光を放ちながら横へ移動していた。

 

 狙っているのは、装甲の厚い正面ではない。

 

 銃口を追わせるたびに生まれる、腕と胴の隙間だった。

 

 バースは低い石壁の後ろへ身を引いた。

 

 桃色の光が壁を砕き、頭上へ破片が降り注ぐ。

 

 エコーは胸元へ両手を寄せた。

 

エコー「お願い。届いて……!」

 

 白い輝きが、二人の周囲へ静かに広がった。

 

 ちびムーンの放つ光が、その明るさの中へ入る。

 

 ハートの輪郭が揺らいだ。

 

 爆ぜるはずだった光が細かな粒へほどけ、石畳へ降り注いでいく。

 

 完全に消し去ることはできない。

 

 それでも、バースへ届くまでに勢いは弱まった。

 

 バースが壁の陰から飛び出す。

 

 ちびムーンは攻撃を止め、後方へ跳んだ。

 

ちびムーン「エコー……あなたの光が」

 

エコー「傷つけたいんじゃない。止まってほしいの!」

 

ちびムーン「それでも、わたしの邪魔をするなら……!」

 

 ちびムーンが再び光を集めた。バースは補給容器へ手を伸ばし、メダルをまとめて掴む。一枚をドライバーへ。ハンドルが回る。今度はクレーンアームが右肩へ装着された。射出されたフックが、ちびムーンの頭上を越える。

 

ちびムーン「外れ――」

 

 言い終える前に、背後で金属音が鳴った。フックは石柱の上部へ食い込んでいた。巻き取られるワイヤー。傾いた柱が、ちびムーンの退路へ倒れてくる。

 

ちびムーン「っ!」

 

 ちびムーンは前へ跳んだ。背後で柱が砕ける。着地した先へ、ショベルアームが迫った。

 両足で地面を蹴り直し、間一髪で先端をかわす。だが、広がった石の破片に足を取られた。体勢が崩れる。バースは銃を向けた。

 引き金へかけた指が、そこで一瞬止まる。ちびムーンは転倒しかけた身体を片手で支え、低い位置から蹴りを放った。バースの膝へ命中する。

 

バース「うおっ!」

 

 揺らいだ身体へ、ちびムーンが体当たりした。二人が地面を転がる。バースバスターが手から離れ、石畳の上を滑っていった。ちびムーンは先に起き上がった。バースの胸へ手を向ける。近距離で集まる桃色の輝き。

 その前へ、エコーが駆け込んだ。

 

エコー「待って!」

 

ちびムーン「どいて!」

 

エコー「どかない!」

 

 ちびムーンの手が止まった。エコーは拳を構えていなかった。ただ両腕を広げ、バースの前に立っている。

 

エコー「あなたも、誰かを守るために戦ってきたんでしょう?」

 

ちびムーン「……そうよ」

 

エコー「だったら、守りたい気持ちまで傷つけないで!」

 

 ちびムーンの指先で、光が揺れた。しかし、背後で崩れかけた石柱がきしむと、彼女は唇を結び直した。

 

ちびムーン「ここで止まったら、守れなくなるものがあるの」

 

 光が放たれた。エコーも両手を前へ差し出す。白と桃色が、至近距離でぶつかった。

 

 ドンッ!

 

 圧力に押され、エコーの足が滑る。ちびムーンもその場に踏み止まれず、後方へ弾かれた。

 

エコー「ああっ!」

 

ちびムーン「きゃっ!」

 

 バースが立ち上がり、倒れかけたエコーを支えた。ちびムーンは片膝をつき、乱れた息を整える。胸元のクリスタルが、呼吸に合わせて明滅していた。バースはエコーを柱のそばへ下がらせると、散らばった装備を見た。

 バースバスターまでは遠い。

 補給容器には、まだメダルが残っている。

 

バース「長引かせられないな」

 

エコー「最後まで、呼びかけるよ」

 

バース「ああ。俺は、その時間を作る」

 

 メダルが次々とドライバーへ投入された。ハンドルが回るたび、機械音が響く。ドリルアーム。キャタピラレッグ。カッターウィング。

 そして、胸部へ展開されるブレストキャノン。既に装着していたショベルアーム、クレーンアームと合わせ、六つのユニットがバースの全身を覆った。

 バース・デイ。

 重武装の輪郭が、土煙の中から現れる。ちびムーンは立ち上がった。

 

ちびムーン「全部、使うのね」

 

バース「出し惜しみして止められる相手じゃないからな」

 

 キャタピラレッグが地面を噛んだ。バースが突進する。先に伸びたクレーンのフックを、ちびムーンは跳躍して躱した。その着地点へ、ショベルアームが振り上げられる。ちびムーンは光をぶつけ、腕の軌道を押し下げた。金属の先端が足元を通過する。しかし、回転するドリルが続いていた。

 

ちびムーン「くうっ!」

 

 直撃を避けて身をひねったものの、巻き起こる衝撃に弾かれた。ちびムーンは石畳へ足をつき、何歩も後退する。バースの重い一歩が迫る。ちびムーンは両手を突き出した。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 密集した桃色の光が、ドリルとショベルアームの間へ流れ込んだ。バースの胸部で火花が散る。突進が止まった。ちびムーンも膝を折る。息を吸うたび、肩が大きく上下した。エコーは二人の間に残る、わずかな空間を見つめた。そこには砕けた石と、使い切られたメダルの輝きが散っていた。

 

エコー「もう、これ以上は……!」

 

 彼女の胸元から、白い光が立ち上った。傷つけ合う力を鎮めようとする輝きが、広場全体を包み始める。バースは両脚を開いた。キャタピラレッグが石畳に食い込み、胸の砲口がちびムーンへ向く。ちびムーンも逃げなかった。胸元のクリスタルへ手を添える。その指が、ほんの少し震えた。

 

ちびムーン「わたしだって……ここで負けられない!」

 

 桃色の光が、彼女の前で幾重にも重なった。バースの胸部で、圧縮されたエネルギーが唸る。エコーは両腕を広げた。

 

エコー「プリキュア・ハートフルエコー!」

 

 白い輝きが、円い波となって広がった。

 

バース「これで止まれえっ!」

 

 セルバースト。ブレストキャノンから、巨大な光の奔流が撃ち出された。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 桃色のハートが重なり、正面から奔流へ突き進む。激突。広場の中央が白く染まった。砲撃を押し返そうとする桃色の光。その両方を包み、鎮めようと広がるエコーの輝き。三つの力が重なった場所で、光が激しく震えた。エコーの光に包まれ、表面の奔流は粒となって解けていく。だが、その奥へ次々と新たな力が流れ込んでいた。解けるより早く、圧力が増していく。

 

バース「まずい……!」

 

 バースが砲口を上げようとした。重い機体がきしむ。しかし、押し返される力に胸部を固定され、角度を変えられない。ちびムーンも光を収めようとしたが、膨れ上がった輝きが両腕を前へ引いた。

 

ちびムーン「止まって……!」

 

 エコーが一歩前へ出る。

 

エコー「二人とも、離れて!」

 

 その声を追い越して、光の中心が縮んだ。一瞬、風が止まった。次の瞬間。

 

 ドッゴオオオオォォォンッ!!

 

 圧縮されていた力が、球状の爆発となって解き放たれた。バースはエコーへ腕を伸ばした。

 ちびムーンは白い翼を広げ、地面を蹴ろうとした。どちらの動きも、押し寄せる光には間に合わなかった。桃色の輪郭が閃光の中へ溶ける。重武装の黒い影が、白い波に包まれる。

 エコーの伸ばした手も、その指先から光の中へ消えた。爆発は石柱をのみ込み、石畳を剥ぎ取り、広場の外周まで押し広がった。やがて、轟音が遠のいた。巻き上がった砂が、深くえぐれた地面へ降り積もる。

 そこに、ちびムーンの姿はなかった。バースの装甲も、エコーの白い衣も残っていなかった。三人は、必殺技の衝突が生んだ爆発の中心で、跡形もなく消滅していた。 砕けた石柱の間を、乾いた風が吹き抜けていた。円形広場の中央で、エターナルセーラーちびムーンは足を止めた。白い翼が背中で揺れ、胸元のピンク・ムーン・クリスタルが淡く瞬く。正面には仮面ライダーバース。

 その斜め後ろには、キュアエコーが立っていた。バースの足元には、セルメダルを収めた補給容器が置かれている。右手に構えたバースバスターの銃口は下がっていたが、指はいつでも引き金を引ける位置にあった。ちびムーンは二人の位置を見比べた。

 距離を詰めればバースが迎え撃ち、離れて光を放てば、その後ろにいるエコーを巻き込む。

 簡単に踏み込める配置ではなかった。

 

エコー「ちびムーン。まだ、話せるよね?」

 

ちびムーン「話を聞いても、ここを通すわけにはいかないわ」

 

バース「だったら、まずはその足を止める」

 

 バースが銃口を上げた。

 

 ダダダダッ!

 

 セルメダルの力を変換した弾丸が、石畳を一直線に砕く。ちびムーンは横へ跳んだ。着地するより早く次の射撃が迫り、身体を低くして石柱の陰へ滑り込む。柱の表面が削れ、白い破片が肩をかすめた。

 

ちびムーン「そこから動かさないつもりね……!」

 

 ちびムーンは柱の反対側へ回り、短く跳躍した。バースが照準を追わせる。

 しかし、ちびムーンは空中で身体をひねり、隣の柱を蹴った。軌道を変え、そのままバースの側面へ飛び込む。

 

ちびムーン「やあっ!」

 

 振り抜かれた蹴りを、バースが左腕で受け止めた。

 

 ガンッ!

 

 装甲を打つ音が広場に響く。バースの足が半歩滑った。ちびムーンは着地と同時にもう一歩踏み込み、銃を持つ右腕を押し上げる。銃口が空を向いた。その懐へ拳を突き込もうとした瞬間、バースの左肩が前へ出た。

 

バース「近づいてくれるなら、こっちもやりやすい!」

 

 肩当てを受け、ちびムーンの上体が揺れる。

 

 続く拳を両腕で受けたものの、踏ん張りきれず後退した。

 

 バースは追わなかった。

 

 空いた距離を利用してセルメダルを取り出し、バースドライバーへ投入する。ハンドルが回され、左腕の接続部が開いた。

 ショベルアームが装着される。大きな鋏状の先端が、重い音を立てて開いた。

 

ちびムーン「捕まえるための腕……!」

 

バース「動きを止めれば、話をする時間も作れる」

 

 バースが踏み込んだ。ショベルアームが横から迫る。ちびムーンは身を沈め、頭上を通過させた。だが、バースは腕を振り抜かず、途中で止めて下へ押し込む。

 

 ドガンッ!

 

 先端が石畳を砕いた。

 

 跳び退いたちびムーンへ、右手のバースバスターが向く。

 

 発射。

 

 ちびムーンは腕を交差させた。弾丸の衝撃が防御を叩き、靴底が地面を削る。

 

ちびムーン「くっ……!」

 

エコー「もうやめよう! そのまま受け続けたら――」

 

ちびムーン「受け続けたりしない!」

 

 ちびムーンが顔を上げる。

 

 手元に集まった桃色の光が、ハートの形を結んだ。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 連なる光のハートが、バースへ向かって放たれた。

 

 バースはショベルアームを前へ出す。

 

 最初の光が金属の先端で弾けた。

 

 二発目、三発目。

 

 連続する衝撃が腕を押し返し、その隙間を抜けた一発が肩の装甲を打った。

 

バース「ぐっ!」

 

 火花が散った。

 

 バースは射撃で押し返そうとしたが、ちびムーンは光を放ちながら横へ移動していた。

 

 狙っているのは、装甲の厚い正面ではない。

 

 銃口を追わせるたびに生まれる、腕と胴の隙間だった。

 

 バースは低い石壁の後ろへ身を引いた。

 

 桃色の光が壁を砕き、頭上へ破片が降り注ぐ。

 

 エコーは胸元へ両手を寄せた。

 

エコー「お願い。届いて……!」

 

 白い輝きが、二人の周囲へ静かに広がった。

 

 ちびムーンの放つ光が、その明るさの中へ入る。

 

 ハートの輪郭が揺らいだ。

 

 爆ぜるはずだった光が細かな粒へほどけ、石畳へ降り注いでいく。

 

 完全に消し去ることはできない。

 

 それでも、バースへ届くまでに勢いは弱まった。

 

 バースが壁の陰から飛び出す。

 

 ちびムーンは攻撃を止め、後方へ跳んだ。

 

ちびムーン「エコー……あなたの光が」

 

エコー「傷つけたいんじゃない。止まってほしいの!」

 

ちびムーン「それでも、わたしの邪魔をするなら……!」

 

 ちびムーンが再び光を集めた。バースは補給容器へ手を伸ばし、メダルをまとめて掴む。一枚をドライバーへ。ハンドルが回る。今度はクレーンアームが右肩へ装着された。射出されたフックが、ちびムーンの頭上を越える。

 

ちびムーン「外れ――」

 

 言い終える前に、背後で金属音が鳴った。フックは石柱の上部へ食い込んでいた。巻き取られるワイヤー。傾いた柱が、ちびムーンの退路へ倒れてくる。

 

ちびムーン「っ!」

 

 ちびムーンは前へ跳んだ。背後で柱が砕ける。着地した先へ、ショベルアームが迫った。

 両足で地面を蹴り直し、間一髪で先端をかわす。だが、広がった石の破片に足を取られた。体勢が崩れる。バースは銃を向けた。

 引き金へかけた指が、そこで一瞬止まる。ちびムーンは転倒しかけた身体を片手で支え、低い位置から蹴りを放った。バースの膝へ命中する。

 

バース「うおっ!」

 

 揺らいだ身体へ、ちびムーンが体当たりした。二人が地面を転がる。バースバスターが手から離れ、石畳の上を滑っていった。ちびムーンは先に起き上がった。バースの胸へ手を向ける。近距離で集まる桃色の輝き。

 その前へ、エコーが駆け込んだ。

 

エコー「待って!」

 

ちびムーン「どいて!」

 

エコー「どかない!」

 

 ちびムーンの手が止まった。エコーは拳を構えていなかった。ただ両腕を広げ、バースの前に立っている。

 

エコー「あなたも、誰かを守るために戦ってきたんでしょう?」

 

ちびムーン「……そうよ」

 

エコー「だったら、守りたい気持ちまで傷つけないで!」

 

 ちびムーンの指先で、光が揺れた。しかし、背後で崩れかけた石柱がきしむと、彼女は唇を結び直した。

 

ちびムーン「ここで止まったら、守れなくなるものがあるの」

 

 光が放たれた。エコーも両手を前へ差し出す。白と桃色が、至近距離でぶつかった。

 

 ドンッ!

 

 圧力に押され、エコーの足が滑る。ちびムーンもその場に踏み止まれず、後方へ弾かれた。

 

エコー「ああっ!」

 

ちびムーン「きゃっ!」

 

 バースが立ち上がり、倒れかけたエコーを支えた。ちびムーンは片膝をつき、乱れた息を整える。胸元のクリスタルが、呼吸に合わせて明滅していた。バースはエコーを柱のそばへ下がらせると、散らばった装備を見た。

 バースバスターまでは遠い。

 補給容器には、まだメダルが残っている。

 

バース「長引かせられないな」

 

エコー「最後まで、呼びかけるよ」

 

バース「ああ。俺は、その時間を作る」

 

 メダルが次々とドライバーへ投入された。ハンドルが回るたび、機械音が響く。ドリルアーム。キャタピラレッグ。カッターウィング。

 そして、胸部へ展開されるブレストキャノン。既に装着していたショベルアーム、クレーンアームと合わせ、六つのユニットがバースの全身を覆った。

 バース・デイ。

 重武装の輪郭が、土煙の中から現れる。ちびムーンは立ち上がった。

 

ちびムーン「全部、使うのね」

 

バース「出し惜しみして止められる相手じゃないからな」

 

 キャタピラレッグが地面を噛んだ。バースが突進する。先に伸びたクレーンのフックを、ちびムーンは跳躍して躱した。その着地点へ、ショベルアームが振り上げられる。ちびムーンは光をぶつけ、腕の軌道を押し下げた。金属の先端が足元を通過する。しかし、回転するドリルが続いていた。

 

ちびムーン「くうっ!」

 

 直撃を避けて身をひねったものの、巻き起こる衝撃に弾かれた。ちびムーンは石畳へ足をつき、何歩も後退する。バースの重い一歩が迫る。ちびムーンは両手を突き出した。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 密集した桃色の光が、ドリルとショベルアームの間へ流れ込んだ。バースの胸部で火花が散る。突進が止まった。ちびムーンも膝を折る。息を吸うたび、肩が大きく上下した。エコーは二人の間に残る、わずかな空間を見つめた。そこには砕けた石と、使い切られたメダルの輝きが散っていた。

 

エコー「もう、これ以上は……!」

 

 彼女の胸元から、白い光が立ち上った。傷つけ合う力を鎮めようとする輝きが、広場全体を包み始める。バースは両脚を開いた。キャタピラレッグが石畳に食い込み、胸の砲口がちびムーンへ向く。ちびムーンも逃げなかった。胸元のクリスタルへ手を添える。その指が、ほんの少し震えた。

 

ちびムーン「わたしだって……ここで負けられない!」

 

 桃色の光が、彼女の前で幾重にも重なった。バースの胸部で、圧縮されたエネルギーが唸る。エコーは両腕を広げた。

 

エコー「プリキュア・ハートフルエコー!」

 

 白い輝きが、円い波となって広がった。

 

バース「これで止まれえっ!」

 

 セルバースト。ブレストキャノンから、巨大な光の奔流が撃ち出された。

 

ちびムーン「ピンク・シュガー・ハート・アタック!」

 

 桃色のハートが重なり、正面から奔流へ突き進む。激突。広場の中央が白く染まった。砲撃を押し返そうとする桃色の光。その両方を包み、鎮めようと広がるエコーの輝き。三つの力が重なった場所で、光が激しく震えた。エコーの光に包まれ、表面の奔流は粒となって解けていく。だが、その奥へ次々と新たな力が流れ込んでいた。解けるより早く、圧力が増していく。

 

バース「まずい……!」

 

 バースが砲口を上げようとした。重い機体がきしむ。しかし、押し返される力に胸部を固定され、角度を変えられない。ちびムーンも光を収めようとしたが、膨れ上がった輝きが両腕を前へ引いた。

 

ちびムーン「止まって……!」

 

 エコーが一歩前へ出る。

 

エコー「二人とも、離れて!」

 

 その声を追い越して、光の中心が縮んだ。一瞬、風が止まった。次の瞬間。

 

 ドッゴオオオオォォォンッ!!

 

 圧縮されていた力が、球状の爆発となって解き放たれた。バースはエコーへ腕を伸ばした。

 ちびムーンは白い翼を広げ、地面を蹴ろうとした。どちらの動きも、押し寄せる光には間に合わなかった。桃色の輪郭が閃光の中へ溶ける。重武装の黒い影が、白い波に包まれる。

 エコーの伸ばした手も、その指先から光の中へ消えた。爆発は石柱をのみ込み、石畳を剥ぎ取り、広場の外周まで押し広がった。やがて、轟音が遠のいた。巻き上がった砂が、深くえぐれた地面へ降り積もる。

 そこに、ちびムーンの姿はなかった。バースの装甲も、エコーの白い衣も残っていなかった。三人は、必殺技の衝突が生んだ爆発の中心で、跡形もなく消滅していた。

 

 ハニーバトンの先端が、石畳を軽く打った。澄んだ音が、無人の庭園へ広がる。キュアハニーはゆっくりと息を吐き、正面に立つ六人を見渡した。

 仮面ライダーオーズ。

 サイレンス・グレイブを携えたセーラーサターン。その左右に、セーラーセレス、セーラーパラス、セーラージュノー、セーラーベスタが散っている。

 中央を押さえるオーズ。

 少し後ろに立つサターン。

 カルテットの四人は、互いに離れすぎず、ハニーの移動先を囲う位置を取っていた。

 

ハニー「みんな、ずいぶん息が合っているのね」

 

ジュノー「六人いるからって、ただ順番にかかっていくと思わないでよ」

 

ベスタ「逃げ道を探しても無駄だよ」

 

セレス「でも、無理をなさらずに。そこでバトンを置いてくださればいいのです」

 

ハニー「それはできないわ」

 

 ハニーがバトンを握り直す。

 

 オーズは腰を落とした。

 

オーズ「だったら、動けなくなる前に止める」

 

 赤、黄、緑。タトバコンボの身体が、地面を蹴った。バッタの脚力による跳躍。

 オーズは低い植え込みを一息に越え、ハニーの目前へ降り立つ。振り出された拳を、ハニーはバトンの柄で受け流した。続く左拳をかわし、オーズの腕の外側へ踏み込む。

 

ハニー「近すぎると、周りのお友達が困らない?」

 

オーズ「それは――」

 

 ハニーがバトンを回した。黄色い光が弧を描く。オーズは腕で受け、後方へ跳んだ。

 

オーズ「こっちも同じだ!」

 

 ハニーの背後へ、ジュノーが飛び込んでいた。鋭い蹴り。ハニーは振り向かずに身を沈める。頭上を抜けた脚を追うようにバトンを引き、軸足の前へ差し出した。

 

ジュノー「っと!」

 

 ジュノーは踏み切り直し、転倒を避けた。その間にベスタが側面へ回る。拳がハニーの肩を狙った。ハニーはバトンを縦に立てて受ける。

 

 ガッ!

 

 衝撃が腕へ抜けた。さらに反対側からパラスが迫る。

 

パラス「こっちもいるよ!」

 

ハニー「ええ、見えているわ!」

 

 ハニーはベスタの拳を押し返し、その反動で身体を回した。パラスの踏み込みを横へかわし、二人の間をすり抜ける。しかし、その先にはセレスがいた。逃げる方向を読んでいたように、一歩だけ進み出る。

 

セレス「お一人では、見続けるだけでも大変でしょう?」

 

 ハニーは足を止めた。左右からベスタとジュノー。前にはセレス。後ろではオーズが構えを直している。ハニーはバトンを持ち上げた。

 

ハニー「だったら、少しだけ場所を空けてもらうわね」

 

 バトンから、光のリボンが伸びた。

 ハニー・リボンスパイラル。黄色い帯が螺旋を描き、四方へ広がる。セレスが後退した。ベスタは跳び越えようとしたが、足元で立ち上がったリボンに進路を遮られる。ジュノーも腕へ絡みかけた光を振り払い、距離を取った。

 その隙にハニーは上空へ飛ぶ。包囲が下へ遠ざかった。だが、サターンが顔を上げた。

 

サターン「上に行けば、自由になれるわけではないわ」

 

 サイレンス・グレイブが斜めに持ち上がる。刃の周囲に集まった力を見て、ハニーは空中で進路を変えた。すぐ横を、鋭い衝撃が走る。

 庭園の奥で石の欄干が砕けた。ハニーは落下する破片を避け、噴水の縁へ降り立った。

 

ハニー「貴女は、ずっとそこから見ているのね」

 

サターン「貴女が、どこへ動こうとするのかを」

 

 サターンの視線は揺れなかった。ハニーは、その視線の先に自分だけがいるわけではないことに気づいた。オーズの進路。カルテットが散る方向。

 サターンは味方の動きまで見ながら、鎌を振るえる場所を選んでいた。背後でメダルの触れ合う音が鳴る。オーズがドライバーのメダルを交換していた。オースキャナーが、斜めに傾いたベルトをなぞる。

 

オーズドライバー『ライオン!トラ!チーター!ラタラタ~ラトラーター!』

 

 黄色い輝きが全身を走る。ラトラーターコンボ。オーズの姿が変わりきると同時に、ハニーは噴水の縁を蹴った。

 次の瞬間、先ほどまで足のあった場所へ黄色い影が突っ込む。石が爆ぜた。

 

ハニー「速い……!」

 

 着地へ追いつく二撃目。ハニーはバトンを横にして受けた。腕が押し込まれる。

 オーズは止まらず、側面へ回り込んだ。ハニーが振り向く前に、低い蹴りが迫る。跳んで躱した所へ、トラクローが振り上げられた。

 

ハニー「くっ!」

 

 バトンと爪がぶつかった。火花のような光が散る。ハニーは押し返す力を逃がし、後ろへ回転して着地した。追撃しようとしたオーズが、そこで急停止する。足首へ黄色いリボンが絡んでいた。

 

オーズ「しまった!」

 

ハニー「速く動くなら、その先に置いておけばいいの」

 

 ハニーがバトンを引く。オーズの体勢が崩れた。だが、倒れ込むより早く、ベスタが駆け寄っていた。

 

ベスタ「一人だけ見てちゃ駄目だって!」

 

 振り下ろされた一撃を避けるため、ハニーはリボンを緩めた。オーズが足を抜く。ジュノーとパラスが左右へ散り、再びハニーの移動先を塞いだ。ハニーは小さく息を吐いた。

 一人を止めても、その間に別の誰かが動く。広く光を放てばサターンが備え、近接戦を続ければオーズが間合いを詰める。六人を同時に見続ける負担が、少しずつ足を重くしていた。

 

ハニー「……困ったわね。みんなを一度に休ませるには」

 

パラス「休むのは、そっちだよ!」

 

 パラスが踏み込む。ハニーはバトンでその腕を受け流し、空いた手を胸元へ寄せた。プリチェンミラーが輝く。衣装が光に包まれた。

 ポップコーンチア。明るい色彩をまとったハニーが、両腕を大きく振る。

 

ハニー「ハニー・リボンスパイラル!」

 

 先ほどより広く、幾重ものリボンが舞い上がった。ジュノーの足元へ。ベスタの腕へ。パラスとセレスの間へ。光の帯が四人を分け、連携のための通り道を塞ぐ。

 

セレス「離れすぎないで!」

 

ジュノー「わかってる! でも、こいつ……!」

 

 引きちぎろうと力を込めるほど、リボンが別の方向から巻きついてくる。オーズが走り込もうとした。その前にも光の壁が立つ。

 ハニーはさらにバトンを振り上げた。その手が、頭上で止まる。サターンが鎌を構えていた。

 

サターン「サイレンス・ウォール!」

 

 静かな障壁が広がる。迫る黄色い光を受け止め、四人の前に隙間を作った。カルテットがそこへ退く。ハニーはリボンを引き戻し、元の姿へ戻った。額へ汗が浮かんでいる。

 サターンも無傷ではなかった。障壁を支える両腕に力が入り、鎌の柄が小さく震えている。

 

ハニー「守りながら攻めるのは、貴女も大変でしょう?」

 

サターン「それでも、守るためにここにいるの」

 

ハニー「……そう」

 

 ハニーは一度だけ目を伏せた。その短い間に、オーズが再びメダルを交換する。赤い三枚。スキャナーが走った。

 

オーズドライバー『タカ!クジャク!コンドル!タ~ジャ〜ドル〜!』

 

 タジャドルコンボ。鮮烈な赤が、オーズの全身を覆った。腕のタジャスピナーが輝き、背中に炎を思わせる翼が広がる。

 ハニーはすぐに飛び退いた。赤い光弾が、足元へ連続して突き刺さる。

 

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 

 噴水の縁が砕け、水が高く噴き上がった。ハニーはその水幕の向こうへ移動する。オーズは上空へ舞い上がった。高い位置から、ハニーの進路を見下ろす。

 

オーズ「そっちだ!」

 

 光弾が水幕を貫いた。ハニーはバトンを回し、正面から迫った一発を弾く。二発目をかわす。三発目が足元で炸裂した。

 

ハニー「ああっ!」

 

 身体が浮いた。そこへジュノーが跳び込む。ハニーは空中で腕を交差させ、蹴りを受けた。石畳へ落ち、片膝をつく。続くベスタの拳を、バトンで止める。押し合い。パラスとセレスが横へ回ろうとした瞬間、ハニーはバトンをひねった。光が足元から噴き上がる。四人が距離を取った。ハニーも後退し、荒くなった呼吸を整える。オーズがその前へ着地した。

 赤い装甲に、黄色い光の傷跡が幾筋も残っている。カルテットの四人も最早軽々と跳び回ってはいなかった。何度もリボンを振り解き、光を受け流してきた腕が下がりかけている。

 サターンは鎌を地面についた。刃先ではなく、柄の端を支えにする。それを見て、ハニーは静かにバトンを胸へ引き寄せた。

 

ハニー「もう、長くは続けられないわね」

 

オーズ「ああ」

 

セレス「次で、決めましょう」

 

パラス「四人で合わせれば、抜けられる」

 

ジュノー「こっちの息も、もう十分合ってる」

 

ベスタ「最後まで崩すんじゃないよ」

 

 四人が横へ広がった。その手元に、それぞれの輝きが集まる。ハニーは頭上を見た。崩れた噴水から上がる水煙の向こうに、暗い空がある。バトンを握る手へ、もう一度力を込めた。

 

ハニー「わたしも、全部の力を込めるわ」

 

 ハニーバトンが、高く掲げられた。黄色い輝きが、空へ伸びていく。オーズはオースキャナーを手に取った。ベルトをなぞる。

 

オーズドライバー「スキャニングチャージ!」

 

 赤い翼が大きく開いた。オーズが飛翔する。

 空中で両脚が変形し、猛禽の爪を思わせる形状へ展開した。サターンはサイレンス・グレイブを両手で握った。

 静まり返った刃に、紫の輝きが宿る。カルテットの四人は、互いの位置を確かめた。

 

セレス「今です」

 

パラス「一緒に!」

 

ジュノー「外さない!」

 

ベスタ「これで終わりだ!」

 

 四人の輝きが、一本の鋭い光へまとまる。

 

 アマゾネス・ジャングル・アロー。

 

 放たれる直前、ハニーの頭上に巨大な光が現れた。四つ葉のクローバーをかたどった、金色の輝き。雲を押し分け、庭園へ向かって降り始める。

 

ハニー「プリキュア・スパークリングバトンアタック!」

 

 空が金色に染まった。オーズは落下する光の側面へ回り込んだ。狙うのは、その中心。両脚へ炎のようなエネルギーが集中する。

 

オーズ「せいやあああっ!」

 

 プロミネンスドロップ。

 

 赤い翼を引き、オーズが急降下した。カルテットも同時に両腕を前へ向ける。

 

セレス・パラス・ジュノー・ベスタ「アマゾネス・ジャングル・アロー!」

 

 束ねられた光の矢が、下方から金色の巨塊へ突き進んだ。サターンが鎌を振るう。

 

サターン「サイレンス・グレイブ・サプライズ!」

 

 紫の奔流が地面を走り、金色の光の真下から立ち上がった。三方向から迫る力。ハニーはバトンを下げなかった。金色の巨塊が、真っすぐ落ちる。最初に、オーズの蹴りがぶつかった。

 

 ガアアアァァンッ!

 

 巨大な鐘を打ったような轟音が、空を震わせた。オーズの脚が金色の表面へ食い込む。赤い輝きが内側へ走った。そこへ、カルテットの矢が突き刺さる。

 別の方向から深く入り込んだ光が、オーズの蹴りの先へ到達する。直後、紫の奔流が下から押し上げた。落ちる力と、押し返す力。異なる方向から突き進む光。巨大なクローバーの輪郭が、空中で大きくゆがんだ。

 

ハニー「まだ……!」

 

 ハニーが両足を踏ん張る。バトンの先端から、新たな金色の輝きが伸びた。オーズの身体が押し戻される。

 

オーズ「ここで……止める!」

 

 翼が羽ばたいた。蹴りへ、さらに力が加わる。カルテットの四人も腕を伸ばしきった。

 

セレス「もう少し……!」

 

パラス「押されないで!」

 

ジュノー「わかってる!」

 

ベスタ「いけええっ!」

 

 サターンは鎌を握り締めた。刃の光が増す。だが、その目がわずかに見開かれた。光の中心が、押し返されるのではなく、膨れ始めていた。

 

サターン「みんな、離れて!」

 

 警告が響く。ハニーが顔を上げた。オーズの視界も、急激に白く染まっていく。金色の巨塊に入った亀裂から、赤と紫と四色の光が噴き出していた。互いを打ち消せないまま閉じ込められた力が、出口を求めて内側から暴れている。

 ハニーはバトンを引こうとした。カルテットの四人も、両腕を下ろそうとする。だが、既に放たれた力を戻すことはできなかった。金色の輪郭が砕けた。その内側から、白い球が生まれる。オーズは翼を広げた。球の表面が、その脚へ追いついた。

 

オーズ「みんな――!」

 

 声が、轟音にのまれた。

 

 ドッゴオオオオオオォォォンッ!!

 

 空中の衝突点から、巨大な爆発が広がった。最も近くにいたオーズの赤い姿が、閃光の中へ消える。爆風はそのまま地上へ落ちた。

 サターンが鎌を前へ立てた。

 

サターン「サイレンス・ウォール!」

 

 障壁が広がる。セレスがパラスの手をつかみ、ジュノーとベスタがその内側へ飛び込もうとした。しかし、障壁の前後から光が回り込んだ。庭園全体が、既に爆発の内側にあった。

 透明な壁が白く染まる。サターンの手元で、鎌の輪郭が見えなくなった。カルテットの四人が、互いへ腕を伸ばした。その姿も、押し寄せる輝きの奥へ消えていく。ハニーは一歩、前へ出た。六人の姿を見つけようとした。だが、視界にあるのは光だけだった。

 

ハニー「みんな……!」

 

 ハニーバトンが、最後に一度だけ金色に輝いた。次の瞬間、その輝きも白い爆発へ溶け込んだ。石畳がめくれ上がった。

 噴水も、欄干も、周囲を囲んでいた柱も、膨張する閃光にのみ込まれた。轟音が幾重にも重なり、やがて遠ざかる。

 長い時間をかけて、土煙が薄れていった。庭園のあった場所には、底の見えないほど大きくえぐれた窪地が残っていた。

 赤い翼は、どこにもなかった。沈黙の鎌も、四人の戦士の影も見つからなかった。金色のバトンを手に立っていた少女も、戻らなかった。七人は、必殺技同士の衝突が引き起こした爆発にのみ込まれ、その中心で消滅していた。

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