輪廻ノ姫   作:瑠璃音 永遠

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第一話 目覚める瞳

窓から光が指す朝、カフェラテを飲みながらテレビを見ていた

ニュース番組のアナウンサー「続いてのニュースです。3年ほど前から続いている大量失踪事件、その捜索届が先日160通に達したそうです。政府はこの問題に対し──……」

悠「またこれか…いつまで続くんだろ…」

神崎 悠(かんざき はるか)、幼い頃に事故で両親を亡くし、祖父母に育てられてきた

今はここ『神苅街(かがりまち)』で一人暮らしをしている

カフェラテを飲み終わるとスマホから通知音が鳴った

悠「ん、楓からだ…」

〈おはようー!昨日の課題やるの忘れちゃってたから学校ついたら課題写させてーッ!(>人<;)〉

悠「はいはいっと。さて、そろそろ準備しないと…」

ソファから立ち上がり制服に着替え、支度を済ませ家を出る

悠「行ってきます」

誰もいない家に挨拶をし、学校へと向かう

校門にて

???「おっはよう悠!」

後ろから突然抱きつかれる

悠「おはよう楓」

楓「わお、相変わらず全然驚かないネ」

風宮 楓(かざみや かえで)、クラスメイトの幼馴染で席も隣同士である

悠「歩きにくいからとりあえず離して、課題見せないよ」

楓「ごめぇん!それだけは勘弁してぇ!!」

楓は素早く離れ、悠と並んで歩き始める

悠「はぁ…どうせ昨日も忘れてたんじゃなくて夜中までゲームしてたんでしょ?」

楓「あ、バレた…?」

悠「バレるも何もいつものことでしょ、急いで終わらせるからね」

楓「ありがとう悠様ぁー!」

悠「…お礼期待してるね」

楓「パンでいい…?」

悠「ダメ、この悠様を美味しいお店に連れて行きなさいそして奢りなさい」

楓「鬼だァ…!」

悠「課題見せないよ」

楓「それはダメーッ!」

そして放課後、2人は喫茶店で話をしていた

楓「それでね〜、そこのボスがめちゃくちゃ強くてさ〜、どうやっても倒せないから攻略サイト見たらそんなの絶対わかんないだろって感じで〜!」

悠「そうなんだー」

楓「も〜悠ってば聞いてないでしょ〜!」

悠「それなりに聞いてるよ」

頬に手を当て飲み物を飲む悠は全くもって聞いていないのであった

楓「むむむ…あ!じゃあさ!」

テーブルに手をつき楓が顔を近づける

楓「最近ウワサの公園の怪物…って、知ってる?」

悠「なにそれ」

楓は大のオカルト好きであり、悠も少し興味があった

楓「この間ネットで見かけたんだよね〜、なんでも夜中に公園で1人で休憩してたら怪物みたいな大きな異形の影が見えたんだとか!!」

楓はキラキラした目でとても楽しそうに語っている

悠「ふーん…ただの見間違いなんじゃないの?」

楓「私も最初はそうかもって思ったんだけど、同じようなもの見たって人の書き込みが結構あってね?似た写真も何枚か貼られててさ、ほら!結構ぽくない?」

悠「ほんと楓はそういうの好きだねぇ…」

楓「あぁ〜、私も早く魔法とかに目覚めてこういう怪物と仲良くなったりできないかな〜!」

悠「できるといいねー。…そんなことより楓、バスの時間大丈夫?私は徒歩だからいいけど」

楓「え?…あっ!?ほんとだ!?」

会計を済ませ急いでバス停へ向かう

楓「ま、間に合ったぁ…!」

悠「今日は課題やるの忘れないでよ」

楓「は、はぁい…」

悠「それじゃまた明日ね」

楓「うん!悠またねー!」

楓のバスを見送った後、歩いて自宅へ帰る

そして夜、帰路の途中…

悠「そういえば…」

悠は近くにある公園にやってきて、スマホを見る

悠「楓が言ってたの…やっぱり、この写真ってここの公園だよね」

すると悠は公園の隣の林から視線を感じて振り返る

しかし特に変わった様子はなかった

悠「…気のせい…だよね…」

恐る恐る確認しに行き、茂みを掻き分けようと手を伸ばしたその時…

悠「きゃあっ!?」

なにかに手首を掴まれ林の中に引きずり込まれてしまった

目を開けると目の前には知らない男が立っていた

悠「え…えっと…」

男は言葉を発することはなく、焦点の定まっていない目で悠を見つめていた

そしてその手には赤黒いなにかが握られていた

悠「ヒッ…!」

おそらくこれは何者かの血肉だろう

男は狂気的な笑みを浮かべ、ゆっくりと悠の方へ歩いてきた

歩きながら、男の身体は姿を変えていった

腕は鋭利な包丁のような形となり、胴体は裂け、それはもはや生き物と呼べる姿ではなかった

楓に聞いた異形の怪物はきっとコイツで、この街で起きている連続失踪事件も、おそらくコイツの仕業だ

そして次の失踪者はそう、自分だ

悠「ヤ…ヤダ……」

すると、突然悠の左眼の瞳が蒼くなり、淡く光り出した

悠「…お願い…来ないで…っ…!!」

そしてどこからともなく青白く光り輝く無数の鎖が怪物の全身を貫き、怪物の動きは止まり、その身体は塵へと変わっていく

悠「ハァッハァッ…ハァッハァッ…!!」

身体は震え、呼吸は荒くなり、心臓は張り裂けそうになっていた

少しすると足跡が聞こえてきた

悠「こ、今度は何…?」

近くに身を隠すと、やがて2人の武装した男性がやってきた

男性A「死苅(しがい)が出たって報告があったから来たんだが…なんだ、もう終わってるじゃんか」

男性B「他のやつらに先を越されたか…」

悠「(なにこれ…さっきのやつの仲間…!?)」

男性A「ん?おい、そこに誰かいるのか?」

男性B「別の死苅がいるかもしれない、俺が見てくる」

1人の男性がこちらに近づいてくる

悠「ッ…!?」

震える脚で立ち上がり、その場から走って逃げ出す

男性B「おっと、待ちな」

悠「きゃっ!」

突然光の輪っかが現れ手足を拘束され転んでしまった

男性A「さて、どっちかなっと…」

男性が悠の前髪を上げ眼を見つめる

男性A「………」

悠「(こ、殺されるっ…!)」

男性A「…これは…」

男性B「どうだ?」

男性A「死苅でも一般人でもない、こいつは能力者だ。だが片目だけに発現してやがる、こんなの初めて見たぜ」

男性B「おいおいマジかよ…あー、いきなり拘束して悪かったな。メンバーとはぐれちまったのか?お前心聖だろ、どこの班だ?」

悠「……?…??」

悠は恐怖と動揺で酷く混乱していた

死苅?能力者?何を言ってるのかさっぱりわからない

すると突然意識にノイズが走り、気絶してしまった

男性B「お、おい?大丈夫か!」

男性A「ひとまず医療班のところに連れて行くぞ!」


目を開けると、悠は真っ暗な空間に立っていた

悠「ここは……」

???「ようやく目覚めたんだね、悠」

どこからか女の子の声が聞こえてきた

悠「だれ…?どうして私の名前を知ってるの…?」

???「それはいずれわかるよ、今はありがとうとだけ言っておくね」

悠「「ありがとう」…?どういうこと…?」

???「それもまたいずれわかるわ…これから頑張ってね、悠」


そして悠は目を覚ました

悠「…夢…」

体を起こし、辺りを見回す

悠「…ここは…」

保健室のような部屋のベッドに横になっていた

???「あら、目が覚めた?」

机で作業していたメガネをかけた女の人に話しかけられた

悠「えっと…」

???「いきなり男子棟の子たちが入って来たと思ったら女の子抱えてるんだもの、びっくりしたわよ」

悠「(昨日の人たちのこと…?悪い人じゃなかったのかな…)」

???「目立った怪我は何もなかったから安心したわ」

悠「あ、あの…ここってどこですか…?」

保健室の先生「え?あぁ、寝ぼけてるのかしら?ここは心聖高等学園の女子棟の保健室よ」

通っている学校とは違う別の場所にいるようだ

悠「どうして私がここに…?」

保健室の先生「…ちょっと待って、きみ名前は?」

悠「神崎 悠です…」

保健室の先生「ふむ…生徒表にないわね…あなたここの生徒じゃないの?」

悠「えっと…はい…」

保健室の先生「なるほど…入学前に発現した一般人か…待っててね、先生方に電話するわ」

悠「は、はい…」

昨日の出来事は一体なんだったのだろう?自分はこれからどうなるのだろう?疑問は増えるばかりだった

保健室の先生「おまたせ。連絡が取れたわ、ついてきて」

先生に連れられて校長室にやってきた

保健室の先生「ここに座って」

真ん中に用意されている椅子に座る

校長「君が、神崎くんだね?」

見上げるとそこには威厳のある老人が座っていた

悠「はい…」

校長「昨日、死苅が現れ男子棟の生徒を派遣したが、既に死んでいた、その場にいたのは女の子が1人だけだったと報告があったそうだ。あの死苅は君がやったのかね?」

おそらく昨日襲われた時のことだろう

悠「たぶん…そうです…」

校長「ふむ、君は既に力を持っているようだな。我々としても優秀な戦力となる生徒が欲しいところだ…どうだ、この学校の生徒にならないか?」

悠「…まず、ここってなんなんですか?」

校長「ここは心聖高等学園、ごく普通の学校…というのはあくまで表向きの話。この学校では、人間を襲い寄生し、擬態しながらその数を増やす…通称『死苅(シガイ)』を倒すことができる力、『アーツ能力』を持つ戦士を生徒として育て、日々死苅と戦っているのだ」

悠「…それで私にも戦ってほしいと…?」

校長「うむ、まだ実感がないだろうが、君は昨晩の死苅との接触の際にアーツ能力を発現させている。それも前例のない片目だけの発現だ。」

悠「は、はあ…」

校長「私含め教師一同君のアーツにはとても興味を持っていてな、まだアーツ能力者は数が少なく実の所アーツ能力のことも死苅のこともまだ詳しくわかっておらんのだ…類稀なる能力者である君にもぜひ協力してほしいのだ」

もし今起きている失踪事件がその死苅の仕業なんだとしたら、その被害を少しでも減らすことが出来るかもしれないし、楓も危険な目に遭うかもしれない

昨日のことが怖くなかったのかと聞かれたら、正直とても怖い

でも、自分の力で誰かを助けることができるというのなら、選ぶ道は……

悠「…やります……私、戦います」




校長「ではこれより、神崎 悠のアーツ能力者としての適性試験を始める」
悠「あ、今日はこれから学校なのでまた後日お願いします」
校長「あ、うん」
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