オペレーターとドクターがイチャイチャしたり、傷ついたりする話   作:古魚

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スカジ 〇

「あのースカジ? そんなに引っ付かれると歩きにくいんだが」

「何を言ってるの? 私はあなたの護衛をしているの、側によるのは当然だわ」

 

 イベリアの町を歩いているドクター。そんなドクターの左腕は、スカジによってしっかりと抱きしめられている。

 

「そうかもしれないが、ここまで近づく必要はあるか?」

 

 ドクターの文句に、スカジは不満げな表情を浮かべる。

 

「あなた、この前イベリアに来た際、護衛をサメに頼んだそうじゃない」

「ん? ああ、確かにスペクターと一緒だったな、向こうもイベリアに用があったからなんとかって、なし崩し的に護衛として付いてきていたが……」

「その時、あなたは怪我をして帰って来たわ」

 

 確かに、ドクターは2週間ほど前に、恐魚たちの活動や海の様子等の現地調査のために、イベリアを訪れ、その際スペクターが護衛として付いてきていた。深海教会の手先と不幸にも接触してしまい戦闘になったが、スペクターはそれを撃退した。

 だが、その戦闘の中で、流れ弾がドクターの腕を掠めてしまった。そのせいでドクターに傷がついたことをスカジは激昂し、ロドス訓練室の壁を突き破る勢いでスペクターを吹き飛ばした。

 そして今回、前回の深海教会のことを調べるため、ドクター含めた数十人がイベリアを訪れて調査をしており、ドクターの専属護衛として、スカジが付いてきている。

 

「確かに怪我をしたが、あれは私の不注意だし、大した傷でもないから気にしないで――」

「無理よ。私の大切なあなたが傷つけられたのだから、黙っている訳にはいかないの」

 

 スカジはドクターと会話をしているこの時にも、限界まで周囲の意識を観察し、脅威がないかを確認している。

 

「でも、ここまでくっつかなくても……」

「少しでも離れたら、私があなたの盾になれないでしょ」

 

 嘘である。スカジは、自分を差し置いてスペクターと行動を共にしたことに嫉妬していた。その為、こうして少しでもドクターとくっついていたいと、そのためにこのような行動に出ている。

 そして、そのことをドクターは薄々察していた。スカジに吹き飛ばされたスペクターのお見舞いに行った際、ドクターは「スカジがだいぶ嫉妬心を燃やしていたから、もしかしたら今夜夜這いにでも来るかもしれないわね」とスペクターに言われていた。

 結局夜這いにスカジは来なかったものの、今日この日まで、異様にスカジが距離を詰めてきているのをドクターは感じていた。

それこそ、アイリーニが「あれは、誰ですか? え、スカジ? 冗談はやめてください、スカジって大剣を力いっぱい振り回す、人見知りバーサーカーですよ? あんなに人前で他人にべたべたするような人ではありませんよ」と、頭を抱えるほどだ。

 

「それとも、私にくっつかれるのは……いや、だったかしら……?」

 

 曇るスカジの声に、ドクターは押し黙る。

 

「分かった……だが、せめて手を繋ぐぐらいの距離にしてくれないか? さすがに、周りの目も気になるし」

 

 先ほどから、イベリアの町行く人々の視線が、ドクターとスカジに注がれている。白髪美女がフードに仮面の男に抱き着いてもいれば、そのような視線も仕方がないだろうか。

 

「分かったわ、今は、これで勘弁してあげましょう」

 

 スカジは腕を離した後、自身の右手をドクターの左手に重ね、指を絡ませて握る。俗にいう恋人繋ぎの形だ。

 ドクターは、これ以上の抵抗は無意味だと諦め、大人しくそのつなぎ方のまま町を巡ることにした。

 町の様々な人に声をかけたり、深海教会の痕跡を探すなどしているうちに時間は立っていった。

 

「もうこんな時間か……」

 

 腕時計を見ながら、ドクターはそう呟く。

 

「そろそろ引き上げの時間ね」

 

 集合して、ロドスへと帰還する時間だ。

 

「情報もそれなりに集まった、これをすり合わせて……スカジ?」

 

 帰ろうとしたその時、スカジの足が止まった。

 

「……あ、ごめんなさい。帰りましょう」

 

 スカジの視線は、店頭に並ぶアクセサリーへと向けられていた。ドクターはそれに気づくと、スカジの手を引いて、その店へと向かった。

 

「あ、ちょっと」

「少し寄り道していくぐらいなら、問題はない」

 

 店頭に並ぶキラキラとしたアクセサリーたち、それに限らず、日用品なんかも売っていた。

 

「何か欲しい物があったんじゃないのか?」

 

 それらをじっと見つめるスカジに、ドクターはそう声をかける。

 

「いえ、私にこうゆうのは似合わないわ。ただ、キラキラして見えたから、少し気になっていただけ」

「そうか……」

 

 そうは言うが、スカジの目はアクセサリーから一向に離れようとしない。ドクターは考える。スカジは自身でアクセサリーを似合わないと言った。それでも興味があることは間違いなさそうだ。スカジは陸での生活に慣れて来たとは言え、普通の女性とは到底言えない生活を行っている。ぜひこの機会に普通の女性として成長してもらいたい。その考えに至ったドクターは、スカジと一緒にアクセサリーを見つめる。

 しばらく時間が経つと、スカジは思い出したようにドクターへ声をかける。

 

「ドクター、そろそろロドスへ戻らないと」

「そうだな……うん、ちょっと待ってて、すぐ戻る」

 

 スカジの手を放し、ドクターは店の中へ入っていく。

 

「あ、ちょっとドクター!」

 

 手を離したこと、自分から離れたことに不満げだったスカジだが、戻って来たドクターの手元の小包を見て、小首をかしげる。

 

「ドクター、それは?」

「いつもお世話になっている君への、感謝の気持ちだ」

 

 包みを開けるドクター。そこには、真珠で飾られているブレスレットが入っていた。

 

「これを、私に?」

 

 ドクターは頷いてカジの腕を取ると、ブレスレットを通した。

 

「本当は、個人的な贈り物をオペレーターへ渡すのは、会社内の軋轢を生むからとケルシーに止められているのだが、君にはお世話になりっぱなしだからな。本当はまた昇進させてあげたいんだが、生憎ロドスには昇進二以上のオペレーターはエリートオペレーター扱いになるから、簡単には出来ないんだ」

 

 スカジの手を握りしめ、ドクターはスカジへ感謝を告げる。

 

「いつもありがとう、スカジ。これからもよろしく頼むよ」

 

 自身の腕にあるブレスレットを見つめ、頬を赤らめるスカジ。

 

「真珠のアクセサリーで、しかもブレスレットなんて……意味が分かってやってるの?」

 

 小さな声でそう呟くスカジ、首を傾げるドクター。

 

「ブレスレットなら戦闘の邪魔にならなそうだし、真珠の柔らかいピンクがスカジに似合うかなって思ったんだけど……」

 

 そんな言葉に、スカジは呆れたような顔でため息をつく。

 

「まったく、あなたって人は……」

 

 スカジは、さっと店内に入って行き、会計を済ませて再びドクターの前に立つ。

 

「貰いっぱなしは嫌だから、私も、あなたにこれを送るわ」

 

 スカジが購入してきたのは、シャチの飾りがついたピアスだった。

 

「耳に付けろとは言わない。フードのここに付けるだけで、綺麗に見えるはずよ」

 

 ドクターが何かを言う前に、スカジは手際よくピアスをドクターのフードへと付ける。

 

「ははは、まさか贈り合いになるとはな……でも、ありがとう。大切にするよ」

「そのピアスが、貴方がくれた贈り物への答えよ。いつかは、言葉で聞きたいものだけど」

 

 もじもじしながら、スカジはそうドクターへと告げる。ほぼ同じタイミングで、無線機が鳴った。

 

≪ドクター、どこにいらっしゃるのかしら? もうとっくに集合時間は過ぎているのだけれど?≫

 

 グレイディーアの声が無線機から聞こえる。

 

「すまない、少し寄り道をしていた。すぐに向かう」

≪分かりました。お急ぎください≫

 

 無線機はそこで途切れた。

 

「皆待っている様ね」

「そうだね、早く帰ろうか」

「ええ……そうね」

 

スカジは何を言うこともなく、再び恋人繋ぎの形をとった。ドクターはその動きを咎めることなく、歩き始めた。

 合流地点でグレイディーア他オペレーターに凄い目で見られたが、スカジはそんな視線を一切気にせず。ドクターの必死な弁解の方に不満気であった。

 

 それから、ロドス艦内でスカジを見かけるとブレスレットを、ドクターを見かけるとシャチのピアスを付けている姿を見かけるようになった。

 

 アーミヤとケルシーは、若干機嫌が悪くなった。

 

ブレスレット:私を側に感じてほしい、束縛 真珠のアクセサリー:本当に愛しています

ピアス:側にいたい、貴方を守りたい

                        【スカジEND:いつかは言葉で】




 正直、上手く書けんかった……スカジへの愛が大きすぎて、書きたいことが4000字以内には上手く納められなかった。
 スカジイチャイチャはまた書くと思う……。
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