ゲゲゲの謎 龍の花嫁ルート(旧題:龍の花嫁)   作:負犬惜志夢

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遅れました
後、サブタイトル変更しました
紛らわしくてすいません




「この辺りはほとんど人が来ませんからッ、道路もほとんど舗装されてなく、てねぇ。」

 

不安定な道により大きく揺れる車体に翻弄されながら、運転手は俺に話しかけた。

 

「あなたみたいな人はとても珍しいですよ。」

 

「恐れ入ります。」

 

「こんな辺鄙なところに来たかと思えば、さらにおくに。」

 

「...仕事ですので。」

 

好き好んでこんな場所にくるやつなど気が知れているとは思うが、人間に自分以上に大事な目的ができると虎穴に入るほどの愚行を起こすものである。

限りなく、今の自分の状況に近い。

 

「そうですね。こちらも仕事でこんなところまで来ていますからねぇ。人のことを言えたもんではないですな。」

 

「ありがとうございます。この運転がなければ私は仕事場にすらまともに行けなかったですから。」

 

「...お互い、たいへんですな。」

 

本当にそのとおりだなと、思う。

彼の仕事は私が作ったものだから、声に出さなかったが。

 

それきり、会話を交わすことなく、目的地に着いた。

 

「ありがとうございました。ここからは、歩きで───」

 

「これは、私の独り言だと思ってほしいのですが。」

 

ふいに運転手が口を開く。

 

「はい」

 

「あなたは本当に、ここに。来たことありませんか。」

 

「...。」

 

先ほどとは打って変わって真剣な口調で問いを投げかけてきた。

 

そして

 

「申し訳ありません。」

 

「...。」

 

「わたしは、それをこたえることができません。」

 

「─────。」

 

「ただ。」

 

「?」

 

「もし仕事が終わりましたら、一杯奢らせてください。」

 

「───お気をつけて。」

 

誘いへの返事はなかったが、納得はしてくれたようだ。

しかし、先ほどのやりとりで俺は来たこともないここに

忘れ物があることを確信した。

 

俺は道を辿り、目的地へ進んだ。

 

─────────────────────

 

そして、森の中を進む。

 

石垣の道を進む。車は通れないほど狭い道を進む。

 

その石垣も完全でなく、一歩踏み外せば二度と森から帰れないと錯覚させるような恐ろしさを抱えながら進む。

 

それは木でできた小屋だった。

 

目的地に着いたようだ。

 

表札はないが、ここらあたりにヒトの手についたものが見当たらないため微かな希望を胸に戸を叩いた。

 

「ごめんくださーい。」

 

返事はない。

 

「しかたがない、縁側にまわるか。」

 

半ば押し入りだが、家の中に入るのは気が引けるためだ。

 

「許してくれとは言わない。そちらにはできるだけ危害は加えない。」

 

そう呟きながら、縁側に向かった。

 

まず、目に入ったものは縁側に枯れ木が横たわっていた。

 

「・・・?」

 

奇妙な光景だった。

 

横たわる枯れ木のようなものにつく葉は炭のように黒く、生え方は柳のようで──。

 

「‼」

 

倒れていた。枯れ木のようなヒトが。

 

「...息をしていない。」

 

それは、死後からしばらくたった看護師の姿であった。

──────────────────

 

小屋を通りすぎるとそこには墓場があった。

そこに彼女を埋めた。

ほとんど、日が暮れてあたりが暗くなり

 

ザ、ザー

 

夕立が降り始めた。

 

「・・・」

 

なにも、言えなかった。

目的のために動かされていたからだが動機を失い。ここまで来た疲労が押し寄せてきた。

 

その上、得たものは何もなくあんな無残な現場を見れば心もやられる。

 

しかし、状況は許さないこのまま雨が強くなれば、凍え死ぬだろう。

 

ここは、不謹慎だがあのこやを借りて──。

 

...ぎゃあ。

 

聞こえた。

 

おぎゃあ。

 

聞こえる。この大雨の中、確かに聞こえた。

 

おぎゃあああ

 

「ッッ!!」

 

赤子の声だ!

 

どこから、聞こえているのかもはや考えるより先に身体が動いていた。

そして

 

声は土の下から聞こえてきたものだった。

 

あの看護師を埋めたところから這い出て外の世界へ誕生したのだった。

 

「ぁぁ...おぎゃあぁぁ。」

 

「化物だ。」

 

そういうのも無理もない。

 

死んだはずの体から息を吹き返すなど、人の身では起こりえない。

 

「ぁぁ」

 

この子はここで殺した方がいい。

 

水木は赤子を抱き上げた。

 

「あああああぁぁぁ!!!!」

 

嗚呼、嗚呼。

なんて大きな声で鳴くのだろう。

 

さみしいだろう。

母親も、父親もいない。

生まれてすぐに、息の根を止められそうになっている。

 

この子は望まれて生まれてくるはずだった。

それが叶わなかった。

この世に生きることすら、拒まれることがこの子が生まれてきた理由なのか。

 

「できない。」

 

水木は腕を止めた。

そして、赤子を雨から守るように抱きかかえた。

 

「ぁ」

 

「...ここは、冷える、から、早く。」

 

「水木さん」

 

名を呼ばれた。

ここにいないはずの声で。

 

「沙代、さん?」

 

色の淡い浴衣を身に包み、髪を下しこちらを見る少女の姿があった。

暗い闇に映る彼女はまさしくこの世のものとは思えなかった。

 

「似たようなこと、前にもありましたね。」

 

「なんで、ここに。」

 

「全てお話ししますよ。ただ、約束をしてください。」

 

彼女は笑顔で。どこか悲しげな顔をしながら。

 

「どうかその子を殺してください。」

 

「。。。」

 

「それか。」

 

「───。」

 

「私を、殺してください。」

 

雨に打たれる彼女は。

泣いていたのだろうか。




超遅れた。
文字が二〇二四文字だ。
ここから、書きたかったもの掻くので醜いですが、それでも見たい方へ。
何があっても目をそらさないでください。
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