殺気と幕末とシャンフロと   作:荒ぶるバスタブ

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 いつの間にかこんな投稿頻度がクソみたいなシャンフロ二次創作が自分がめっちゃ書いてる他の二次創作のお気に入り数を軽く超えてくるのなんでぇ?(喜びと疑問の入り混じった困惑)
 嬉しいんだけどね......なんか.....うん...。(複雑な感情)


 これがシャンフロの人気....ってことなのか?
その謎を解明すべく我々は新大陸へと向かおうとしたが、インテリジェンスが足りないせいで船が転倒して深海のタコにTS化されちゃった。あーあ



PKとはすなわち

 

 シャングリラ・フロンティアにおいてPKをする人間は大きく二つに分けられる。

 前者は対モンスターの戦闘では得られない対人戦においての動き、人間同士ならではの心理戦、そして何よりAIではなく人間と向かい合った時のスリル、心の昂ぶりを求める者。このタイプは高レベルプレイヤーや廃人と形容するプレイヤーに向かう場合が多くシャンフロ内において恐れられている。

 

 後者はPKを目的ではなく手段と頭の中で明確に区別しており、レアアイテムを持った上級者、もしくは何か情報を持っている初心者を騙し討ちしてまで追い詰めるタイプ。多くがそのプレイヤーの強さに関係なく何が得られるかを指標としてPKをする。

 

 例外としてシャンフロ内でPKをした際に現れる賞金狩人に露出度が高いビキニアーマーを着させるためだけにお互いをPKするという変態達もいるが、害はなくただただ変態なだけで始まりの街「ファステイア」に常駐しているので廃人からも変態だけど無駄に対人能力がある奴らとして認識されている。男性プレイヤーからは無表情幼女が露出度高い服を着て街に出てくるので心の奥底で感謝の念を感じているという情報もある。

 

 話は戻して一つ目のタイプはそういうスリルや興奮を求めてシャンフロにおいてPK行為に及ぶのだ。PKを目的として日夜「天誅」と叫び笑顔で殺し合うゲームも存在するように、戦闘狂と呼ばれるような心に誰にも言えぬような熱を持ったプレイヤーは意外と多く居る。彼らは「ゲーム」という大義名分を持ってその熱に従い行動しているのだ。

 

 ならば、二つ目のタイプはどのような経緯からPKをするようになったのか?

彼らの誰を見渡してもゲームが下手なプレイヤーは居ない。

 

 彼らはゲームが少し、そう少し上手いからこそ最初はどのゲームでも上手くいく。そして思う。自分は人とは違う。自分はゲームの中でだったら人の上に立つ人間だ、と。そんな驕りとも呼べる彼らの思いは自然の摂理のように、林檎が枝から離れたら落ちてしまうように、当たり前かの如く踏み躙られてしまう。

 

 彼らは抵抗する。センスでたった少し上手くいってたことが先に進めば進むほど何もかも上手くいかなくなる。

 そして色んなゲームをやっていく中で絶望する。最初からできるかどうかは決まっていて、最初から自分は出来ない側の人間だった、ただそれだけだと。

 

 誰もがゲームで自分より上手い人間を目の当たりにして「自分は下手」だと落ち込むことはある。普通の人間であったならば、自分も上手くなろうとさらにゲームに励むか、自分はエンジョイ勢だと割り切ってゲームをまた楽しむかのどちらかだろう。

 

 ただそんな中で最初に上手く行き過ぎた人間も存在する。彼らはどう上手くなろう、という思考ではなく今この瞬間に自分がそのゲームで他プレイヤーよりも先にいこうという思考回路をする。またそんな最初のまぐれとも言えるたまたまの成功を引きずって、勝つことこそが楽しいのだと自分の脳内で方程式が出来上がる。そして挫折から他人を見下す位置に自分が存在することを強く望む。

 

 そもそもシャンフロ内でPKをする人間はどういう思考回路なのか?

 答えは簡単、システム上「許されている」だ。

もし本当にPKを禁止するならばプレイヤー同士の攻撃の場合は無効とするバリアでもシステムに組み込めばいい。それが出来る技術があり、詰まるところただPKでさえもシャンフロの日常として容認されているのだ。

 

 それは何故か?

ただのこだわりだ。

 それが一切の世界観の妥協を許さない天才二人の内の一人がシャングリラ・フロンティアの世界においてPKが存在しない世界は自分の想像していた世界と違っていたのか。何はともあれそんなPKを取り締まるシステム自体はあるが「PK」を根本的に廃止するようなアプデは行わない。

 PKをやる者達にとってはそれだけでいいのだ。PKを行うことが出来る世界であるならば、PKそのもの、PKによる利益、目的に相違はあれどやることは変わらない。

 

 

 

 そんなPKerの一人はサードレマの門の近く、少し道から外れている場所にてまた1人のカモを標的とする。

 

 そのプレイヤーが選ばれた理由は、複数ではなくソロであったからとか、その場所がモンスターの旨味的に人が滅多に来ない所だったりだとか色々あるだろうが、一番はジョブごとにおよそ最適化されてくるシャンフロ内において異彩を放っているその装備にあるだろう。

 

 漆黒と言っていいほどに黒が強調されているそれはプレイヤー内において「デザイナー絶対に力の入れどころミスってるわ」と言われており、知名度としてはシャンフロ内で随一である。

 

 その特性上、全プレイヤーに一度は知られてなんとか活用できないか幾度となく考察されたがデバフが重すぎて実用化には至っていない。

 そんな装備をしているそのプレイヤーは挙動から初心者というオーラが漂っており標的となるのは必然だったのかもしれない。

 

 

「おい、そこの初心者」

 

「………え何、カツアゲ?」

 

武器を手にした軽戦士は目の前のプレイヤーに殺気を放つ。

 

「恨みはねえが……まあ運が悪かったってことだな」

 

 恐らくこんな装備をしている初心者だ、ネタプレイを目的としているのだろうし、ガチ勢の俺がPKをしても許されるだろう。そんな「PK」という行為に対して目を逸らし許される理由を考え、「ゲーム」という世界で如何にして自分が楽に上にいけるのかを常に考えている男にその初心者はしばし無言になる。

 

 

 

「……………あるじゃん、PK」

 

「あァ!?何だ?」

 

 ボソッと何かを言ったプレイヤーに苛立つ軽戦士だったがネタ装備をやる奴なんて会話の通じるはずもないと考えるのをやめる。

 

「まあ全部お前が弱いのが悪いんだ。恨むなら自分を恨めよ」

 

それは過去の自分への劣等感からか、そう言い軽戦士は斧を振り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 さて此処はどこなのだろうか?

 対モンスター楽しいぃぃぃ!!と素材集めに精を出していたが、サードレマの近くで何故か迷っていた。

 

 誤解のないように言っておくと方向音痴とかいう地理に親の仇かの如く嫌われているあれではなく、まず第一に僕がゲーム初心者。そして幕末や世紀末と違い、フィールドがえげつないほど広いシャンフロ。この条件が運悪く合わさったという訳なのだ。

 

 行ったことはないが聞いた話によるとフィールドの端っこ、つまりこの大陸の端まで物凄い距離があり、辿り着くのに転移魔法なんかを使わないと速度特化にしてしてさえ時間がかかるらしい。

 

 おいおい、これがクソゲーとの差なのか?使っているコンピューターのスペックが絶対違うな。なんとなく店長さんと斎賀さんの言っていたことが分かってきたな。要はこのゲームは現実世界と同じレベルの新しい世界って訳か。そりゃ皆やるよな。

 

「なんで当たんねえんだよ?!」

 

「よっと」

 

 迷った挙げ句ヤンキーみたいな奴から絡まれて久々の対人戦かと興奮したが何というか期待外れというか、はっきり言ってつまんないな。毎日幕末に居るからスリルが足りないというか。あれあれ?なんか最初にやるゲーム選び完全にミスってないか?リセマラ可能?

 

「ハアッ!?チートだろ!お前!!」

 

「おっとそれはマズイ」

 

 顎に手を当て本格的にバイトの先輩の感謝の十連天誅の計画を練っていたが、ヤンキー君が斧を大きく横に振り回してきたので脱力して身体を後ろに倒して避けて、その勢いのままバク転の要領で顔面の具体的に言えば顎の部分を下から蹴り上げる。

 

「チッ....!舐めてんのかお前!?」

 

「いや、だから初めて1日目の初心者だって。ここはいっそ和解とかどう?」

 

 レベル差と装備差によって5分近く攻撃してるにも関わらず削れたのは1割という現状。先輩をボコボコにすることを考えながら反射でやったにしては上々か。

 

「なんで俺だけいつもこうなんだよ!?」

 

なおも振り回してくるヤンキー君。ここはもう潮時かな?

 

「ちょいと失礼」

 

「なッ?!」

 

斧を振り回した瞬間に手を相手の手首に回し斧を奪い取る。

 

そしてなおも素手で殴りかかってくる相手に対して飛び上がり首に斧を振るう。

 

「ま、たかがゲームでそう熱くなるなって。もっと楽しくやった方がいいぞ」

 

首に多くのダメージエフェクトが広がる男に向かって最後にとどめを刺す。

 

手にある斧はキルしたと同時に光の粒子となって消えた。

 

「やっぱティーアス師匠になんか武器もらった方がよかったな」

 

 斧避けミニゲームをしてる最中に正規の道っぽいものを見つけたためそこへと歩を進める。迷ってるときはまずは立ち止まる、これ人生の格言ね(押し売り)

 

 

あながち世紀末の経験も馬鹿には出来ないな、と感じながら待ち合わせの場所へと急いで向かう。

 

 

 

案の定、遅刻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今なら理由を聞いてやらないこともないよ?」

 

「言い訳のしようもございません......」

 

 怖いくらいの笑顔で此方に顔を向ける様子は一つの王国を牛耳っていた鉛筆戦士の面影を思い出す。

 

 ここはサードレマの蛇の林檎のカウンターから少し離れた席。数時間前に居た場所なので気分はさながら休日に散歩をしてヤンキーに絡まれた後の家の落ち着く空間のようだ。向かい合っているこの悪魔が居なければ。

 

「お客様、こちらサービスで御座います」

 

「あら、どうも」

 

アップルパイを持ってきたマスターの顔を見て和む。マスターだけが癒しだ....。

 

「……ここの店サービスなんてあったんだ。初めて見たよ」

 

「ラ、ランダムで来る仕様なんじゃないかな?.....」

 

 マスターァァァァ!!!ヤバいヤバい!目の前に居るのが一つのゲームを人を動かすことだけで掌握していた鉛筆戦士だということが完全に抜け落ちていた。些細な出来事、常人なら気にもとめない小さなことからこの人は何かに気づく。

 

 大丈夫か!?別に仇討人のことを最優先で秘密にする訳ではないがこの人にだけは教えたら駄目な気がする。絶対になんか悪用しそうだし、最終的に濡れ衣をパリコレモデルかのように早着替えで着せられそう。

 

「ふーん……ま、いいや」

 

 神に願いは届いたようで目の前のペンシルゴンはアップルパイを仕方なしに食べ始めた。何か薄々気づいてそうだけど何も問題ないな、ヨシッ!(問題先送り)

 

「ていうか夕日くんさあ、本当にそれでやるの?」

 

「いやだって一番やりやすいし.....」

 

恐らく装備のことをいってるようなので答える。

 

 

 僕が今装備してるこれは敏捷性は今現在この世界で最大だがそれと同時に装備していた場合「どんな攻撃でも確定でHPが1になる」という鬼仕様もある。

そんなゴミといっても差し支えないネタ装備が何故こんなにも知られているのかというと、それはこの装備特有の特性にある。

 

 

漆黒(ロサノワール)の外套』

 どんな攻撃でもたった一撃は耐えるというシンプルな仕様だ。パット見はそんなもんかと誰もが思ったがその真価は最前線の考察クラン「ライブラリ」がこの特殊な装備の情報を集めていくごとに判明していった。この耐えるという特性は文字通り(・・・・)どんな攻撃でも一撃は耐えるということであり、それはユニークモンスターも例外ではなく一時期はぶっ壊れとまで言われていた。

 

 しかしそれは理論上での話。

 シャンフロをやってるプレイヤーならば分かるがこのゲームで攻撃が当たらない(・・・・・)ということは絶対にあり得ない。そしてどんな攻撃も耐えるといってもシャンフロ内で不可避の攻撃というものは案外少なくこの装備を使う理由もない。

 ましてや不可避のふの字も見当たらない前半の街でこの装備をしているのは何かしらの縛りプレイをして再生数を稼いでいる配信者だけであろう。

 

 文字通りネタ装備。攻撃が何発か当たることを前提としている、もしくは絶対に一発は当たるプレイヤー達にとっては理解し難い装備だろう。

 

 ただ僕はよっぽどの攻撃じゃなければ大体は目を覆ってスイカ割りしながらでも避けられる。そうなると必然的に「僕が避けられない攻撃」は僕が通用しない相手である可能性が高いということになる。

 

 つまり殆どの攻撃を避けるスタイルの僕と耐久は皆無だが敏捷性は最大となるこの装備は抜群に相性がいいのだ。よくこんな装備誰が使うねん枠があると思うのだが正常な判断で使われることがあるんだな。まあゲーマーにとってアイテムや装備は尖ってる方が良いって聞いたことがあるしね。

 

 このような理由から僕が周りを見渡しても誰一人として装備していないような外套に身を包んで若干浮いている状況という訳だ。ちなみにネタ装備プレイヤーの中にもレア度みたいなのがあるらしく一番レアなのがこの装備らしい。

 比較的第一エリアの「跳梁跋扈の森」で見かけるネタ装備プレイヤー(同類)は半裸に馬頭と鳥頭のプレイヤーらしく、あんなトチ狂った装備のプレイヤーから生暖かい目を向けられたのは流石の僕でも少し堪えた。

 

 まあ半裸と馬、鳥頭の組み合わせのプレイヤーは根底にあるのが「半裸願望」か「金銭節約」という理解できる理由だけど「漆黒(ロサノワール)の外套」はマジでネタという言葉がしっくりくるからしょうがないんだけどね。僕真っ当に選んだんだけど......

 

 さっきもプレイヤーとすれ違う度に苦笑と嘲笑と興味が混ざったような視線を向けられた。挙句の果てには一緒に写真いいですか?って言われた。なんでゲームでこんな苦労してんの?

 

 まあ永久に外せないって考えると妥当なのか?リスポーンしたら一撃で0に削られるクソ雑魚耐久値がリセットされる凝った仕様のものがなんで初心者も装備できるのかは永久の謎だぞ

 

「前々から思ってたんだけどなんか変わってるよね、君」

 

「僕ほど平凡という文字を表した人間も中々居ないぞ」

 

「初対面で土下座する人のどこが普通なのさ?」

 

「いやあれは不可抗力というかなんというか」

 

 だってめちゃくちゃ笑顔でこっちに来る鉛筆戦士が見えたら誰でもビビるでしょ。土下座とは不意を突いた時が一番威力が高いからね。

 

「それで君も気がついているようだけど呼び出したのは他でもない、勧誘だよ」

 

 本題に入り始めたペンシルゴンを他所にアップルパイを頬張る。サクサクのパイの生地と主張し過ぎない(ゲーム的仕様)林檎の甘み、流石マスター。

 

「それで君も阿修羅会に入らないか、って話なんだけど」

 

「此処に来る途中、そのなんとか会の一人に会ったよ」

 

「…………」

 

アップルパイを片手に話し始めた僕にペンシルゴンは顔を変えずに静かに聞く。

 

「その集まりがどれだけのものかは知らないけど多分いつかは機能しなくなるんじゃないかな?」

 

僕の言葉に無言になるペンシルゴンだったが不意に頭をテーブルに突っ伏す。

 

「はあ……もう会ってたか。誤算だったなぁ」

 

顔を半分上げて上目遣いで見ながらペンシルゴンはため息を吐く。

 

「確かにまともな………いや本当の意味でPKをするメンバーもそのうち抜けるだろうって私も思ってるよ」

 

 マスターに頼んでおいたメープルシロップをアップルパイにかける。実際にはゲームだから口の中に広がる薄い甘味がほんの少し強まるだけだがゲームにおいて重要なことは見た目だ。

 

「まあそれが無かったとしてもその阿修羅会だっけ?それには入らないよ」

 

「ダメ元だったんだけどやっぱりそっかぁ」

 

「シャンフロではほのぼのライフを歩むからね。そんなことよりなんで僕を誘ったのさ?」

 

「阿修羅会を創って色んな人を見てきたけど君ほど勧誘したいと思った人は居なかったからね。正確には敵に回したくないというか」

 

なんかめちゃくちゃ失礼なことを言われてる気がするのだが気の所為だろうか?

 

「それはそうと、メールで知ったんだけどサンラクくんはまた大きなクソゲーを始めたみたい。今回は結構手こずってるらしいね」

 

「流石クソゲー登山家。そこにクソゲーがあるからやるのか.....」

 

シャンフロなんてやり始めた日には他の惑星からビームでも降ってきそうだな。よし完食!

 

「ま、次また何かあったら連絡してよ」

 

ペンシルゴンにフレンド申請をする。

 

「……うん、また何かあったら」

 

「?またね」

 

何かを考えてたような間があったが気の所為だろう。

 

 

 

 

 

 蛇の林檎を出てサードレマの路地裏、ちょうど時間帯も相まってか人が殆ど居ない通りを歩く。

 

今日は何故か疲れたので幕末にでも気分転換しに行こう。

 

 「対レイドボスさん天誅心得其の八」である刃が触れるように左腕を叩きつける事で意図的にクリティカルをズラす『錆光殺し』を復習していたら誰かに声を掛けられる。

 

 

「おい、お前が夕日ってプレイヤーか?」

 

 向こうの角から出る前から存在は感じていた。

 そこに居たのは凛々しさが感じられる茶髪のポニーテールに左頬に傷跡がある女キャラのプレイヤー。

 

声から中身が男だということが分かるがそんな些細なことはどうでもいい。

 

 こいつ強い。

そのプレイヤーから発せられる荒々しくそして隙のない殺気を感じながら間合いを取る。

 

 僕が感じている殺気というのは比喩みたいなものでその殆どが殺気の一歩手前、攻撃をするときに無意識に発しているものを感じているだけだ。

 だがごく稀に無意識ではなく此方を完全に敵として、排除するべきものとして認識してくる者も居る。曖昧な「ゲーム」としてではなく、獲物を見つけた肉食獣のような一本の闘争本能。

 

 いつぞやの幕末を思い出す。サンラクが天誅するときに発していたあれはきっと偶然じゃない。本人は気づいてない様子だったが、きっと昔どこかのクソゲーで存在していたのがあのときのサンラクだ。

サンラクと目の前のサバイバアルって奴が過去に何かあったのかは知らないが、今は距離を取る。

 

 正確に言うとこいつの半径1メートル圏内はやばい。黒くなっている。あれはゲームのエフェクト的なあれじゃなく僕だけが見ることができる一種の安全ラインみたいなものだ。

 

 もし仮にFPSにおいて目の前に銃があって避けられますか?と聞かれたら即答で無理だと答えるだろう。多少は撃ちどころを変えることは出来るだろうが、当たりはするだろう。

 銃、素手、その他様々な武器をは攻撃する本人にとってそれがどれほどの威力、速度なのかは把握してる。そんな攻撃の予兆と自分の動作範囲から避けることが出来るギリギリのラインが見える。

そして過去色々な殺気を見てきたがあの黒いのは絶望的な範囲だ。

 

 あそこは目の前に居るプレイヤー、サバイバアルにとっての領域であり予備動作も知らない僕にとっていくら攻撃の予兆が分かるといってもあの中に入るのは自殺行為だろう。

 

 

「ああ、そう警戒すんな。一個用があるだけだ」

 

「……で、何?」

 

「アイツらから聞いたぞ、ティーアスちゃんから何か言われたんだってな」

 

「まあ、そうだけど」

 

 

そこでサバイバアルは凄い速度と勢いで頭を地面に擦り付ける。

 

「お願いします!何か教えて下さい!!」

 

 清々しいほどの土下座。これがジャパニーズ様式美か.......。ガワがクール系美人な分残念さが増してるぞ。情けねえ、形なりにも「ティーアスちゃんを着せ替え隊」だとかいうガチ勢のリーダーなんだよな?そんな奴がにわかofにわかの一日目の初心者に堂々と土下座すんなよ。

 

あ、上目遣いに見てきた。

 

「…………(キラキラ)」

 

「こいつッ......、なんて綺麗な目をッ......!土下座してるとは思えねえ!」

 

「足でも舐めますぜ!夕日の旦那!」

 

「ハハハッ.....」

 

「ガチ愛想笑いやめて、ねえ?」

 

この変態をどうするべきか?

ふむ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いやお金とかは………はい」

 

「聞いた後になんだが、本当にいいのか?この情報、場合によっては金なんかとは変えられない価値だぞ」

 

「いいんだよ。そもそも、たまたま条件を満たしただけだしな」

 

「………色んな奴を見てきたが、お前ほど掴み所のない奴も珍しいな。運も実力の内だって言うぜ」

 

「僕はただその時の感情に身を任せてるだけだよ。ゲームは楽しく在るべきだ」

 

 サバイバアルの殺気が少しだけ消える。日本刀から家の包丁くらいの差だけど、少しは警戒を解いてくれたようで何よりだ。

 

 

 

「それに」

 

サードレマの表通りの喧騒を近くに感じつつ去り際にサバイバアルに言う。

 

 

 

 

 

「ゲームは自由で在るべきだ」

 

 

 

 

 

 




サバイバアル「(変な奴だったなぁ.....ん?)」

夕日(……トコトコ)

サバイバアル「………………」

夕日「……………(チラッ)」

サバイバアル スッ(10万マーニ)

夕日 シュバッ(……トコトコ)

サバイバアル「………………」
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