此奴等が正規派閥なのは間違ってますか? 作:絶対偽悪
その眷属達が通った後には血の川が流れ、死肉の山が築かれ、草木一本に至るまで命を吸い付くされる。
嬉々として、だ。団長と紅一点は特に楽しそうに笑い、極東のサムライは呆れながらも斬る時は獰猛な笑み浮かべエルフは死体を集め自分の武器や、家具を作る。
そして、周りの被害を考えない。
人質を捕らえ立てこもった
そうなると人質などただの荷物。慌てて捨てて、逃げようとするも斬られ、殴り殺され、毒に侵され、貫かれ殺された。一般人の目の前で。
彼等は家から出ることはなかった。
人質の家族や友人が文句を言ってくれば、首を傾げ「なら闇派閥の要求を呑んで自殺すれば良かったのか?」と尋ね、「まあ断るけど」と返した。
別の人質事件では「じゃあ自分で戦えよ」とも。
彼等は人助けなど微塵もするつもりはない。そういうのは英雄チビ人形や頭が赤いアッパラパーに任せろと住民に堂々と言い放つ。
正規派閥一の嫌われ者。
周りの被害を考えない。
故に最恐最悪の正規派閥。
誰もが言う、取り締まれ。
誰かが言う、閉じ込めろ。
誰でも言う、闇派閥共々殺してしまえ。
当然、そんな彼等は冒険者の名を貶めるとして冒険者からも嫌われ、ギルドにも睨まれる。だが、彼等は犯罪行為は何もしていない。盾にされた人質を刺したこともない。
【ロキ・ファミリア】のフィン・ディムナは小人族が居ないことに安堵しつつも闇派閥が居なくなれば危険な、そして何より重要な名声の邪魔になる彼等を闇派閥と共倒れを狙い情報操作するも全員傷付きながらも生きて戻って、一週間も立たぬうちに嬉々として人を殺しにいく。
【アストレア・ファミリア】は団長以外は顔を顰め、極東の姫は汚物でも見るような目で彼等を蔑んでいた。
「ヒッ……!」
闇派閥と繋がっていた商会の店主以外を爆破させ、血だらけのまま食材を買いに来たアレク。誰もが目を合わせないようにしている。
「あら、アレク!」
「ん? おお、アリーゼ」
と、そんな中声をかけてくるのは都市でも人気な正規派閥にして正義派閥。美少女ばかりで構成された、別に男人禁制のルールはないけどもうそういう雰囲気が出ちゃってる【アストレア・ファミリア】の団長だ。
「奇遇ね! あら大変、頭が真っ赤よ?」
「マジで? アリーゼとお揃い?」
「ふふーん、私の髪はそんな血の色をしてないわ! そう、これは正義の炎の色!」
「炎はどちらかと言えば橙色…………今日のデザートは冷凍と焼き蜜柑にしよ」
と、そこまで言ってアリーゼの髪の毛をじっと見る。
「飯はタバスコパスタ! メアリーには血でもぶっかけておけばいいか」
「あら私喧嘩売られてる? よーし、買っちゃうぞ☆」
「アレク達は、もう少し住民に配慮するべきなの!」
「十分してるぞ」
「う〜ん、確かにアレク達にとってはしてるのかなあ」
途中まで一緒に帰りましょう、とアリーゼとともに歩くアレク。
「本当は、彼処で手を繋いでる母親を爆破させて子供を毒で苦しませて荷物持ってる父親を燃やしてみたいが、配慮のできる俺はそんな事せず我慢している」
偉いだろ、と得意げなアレク。まあ普通の人間なら当たり前なんだけど、彼等は普通じゃない。
自意識を持った日から人を殺したかった少年、剣を握った日から全てを斬りたい青年、老を恐れている訳でもなく、ただ美しい女の血を浴び飲みたい老婆、人体を切り刻み組み換えたいハイエルフ。
魂に根差した彼等の欲望。いっそ本能に近い下界の瑕疵。神々さえ認める異質を抱えながらも、彼等は人として生きてきた。
そんな彼等に人の道を外れえる動機を与えたのもまた人なのだ。
人を殺し、人を犯し、人から奪う。多くの者に死を願われる人間はいる。そんな人間なら殺して良いはずだと、彼等はオラリオに来たのだ。
「………………」
もし、闇派閥が居なくなれば彼等はどうするのだろ? そのまま人里を離れるか、何処かで悪人、あるいは人殺しが正当化される戦場を練り歩くのか………それとも、一度血の味を覚えた獣の如く血を求めるのだろうか?
そうなれば、自分達が止めなくてはならないだろう。それは、つまり………。
「アレク………」
「ん?」
「私達は、友達よね?」
「そうだな」
「そ、よかった………」