師匠が出来たその日俺は1度家に帰ることにした。
俺は小さな村に住んでいる。
住民は30人程度の何も無い質素な小さな村だ。
だが俺はこの村が好きなのだ。変なことを考えずに生活できるから。
俺は自分が特訓していた森の中を離れ20分ほど歩いていると
小さな一軒家の我が家に着いた。
そして扉を開ける
「ただいま」
家の中に入り声を上げた。
すると毎日聞いている声が聞こえてくる。
「「おかえり(なさい)」」
それは俺の最愛である母と、歳の近い妹の声だった。
「最近疲れているみたいだけど何かあったの?」
母には剣の特訓の事は伝えていない。
俺の母は心配性で変な心配をかけたくないからだ。
「何も無いから心配しなくて大丈夫だよ」
俺は毎日このやり取りをしている気がすると思いながらも問に答えた
すると母は心配そうな顔をしながらこっちを見た。
「何も無いなら良いのだけど無理はしちゃだめよ」
これは母の気遣いなのだろう。薄々何かをしていることに気がついているきがする。
俺はありがとうと返事をし自分の部屋に行こうとした時に妹に声をかけられた。
「お兄ちゃん無理しないでね!」
内心かわいいと思いつつ冷静に返事をする。
「ありがとう」
妹は笑顔をこちらに向けながら頷いて母の所へ戻って行った。
俺は部屋に入りそのまま眠りについた。
☆
「行ってきます」
俺は日が出かけている薄暗い早朝に家を出た。
当然それは師匠との鍛錬があるからである。
家からまっすぐ20分程歩き森の茂みをかけ分けながら進むと目の先には
少し開けた場所と師匠の姿が見えていた。
「おはよう。ダイン」
「おはようございます師匠」
師匠と挨拶を交わし、俺は持っていた剣を木に立てかけた。
ちなみにこの剣は家の物置に置いてあったボロボロの剣だ。
そして師匠の方に戻ると師匠は俺に問いかけた
「ダインにとって剣とはなんだ」
俺にとっての剣……。
頭の中に武器、装備、自分の身を守る物。この3つが浮かんだが恐らく
こういう答えは必要とされていない気がする。
俺は必死に考えた。俺にとって剣とはなんなのか。俺が師匠と出会うまで考え続けていたことだ。
俺は必死に考えてこの答えを出した。
「自分自身を表す物です」
俺がこの答えを出した時師匠は少し驚いた表情をしていた。
「ダインは剣を持ち始めてどのくらい経っているのだ……?」
「恐らく2.3ヶ月程前だと思います。」
俺が初めて剣を持ったのは物置に行ったら剣が置いてあり、それを遊び程度に振るい始めたのがきっかけだった。
「ダイン。いきなりこんなことを言ってはなんだがお主には剣の才能がある」
俺はこんなことを言われ戸惑った。俺に剣の才能など絶対に無いと思っていたからだ。あったらもっと形になっていはずだ、、と。
「お主がそれに気づいていないのはそれを教えてくれ、形にしてくれる人が居なかったからだ」
俺はそういう事かと頭の中で納得し、内心才能があると言われたことに喜んでいた。しかしそれが師匠にバレていたのか
「だがら才能があるからと言って調子に乗ってはだめだ」
出鼻を折られてしまった。少しガッカリしたがそれはそうかと思い俺は笑った。
「それでは特訓を始めよう」
俺は勢いよく返事をし、覚悟を決めた、、のだが。
俺は死にかけた。
ダメだ。キツすぎる。これはもう特訓というか拷問に近い気すらしてきた。
それは何故かって?内容が鬼なのだ。
まず素振りを1万回だ。しかも師匠に構え方から教わり綺麗な振りが出来てこそ
1振り。それを1万回だ。途中で崩れたら1からやり直し。
そして武器を使わずに師匠との組手。
師匠はあほ程強かった。鬼強かった。俺は1発当てるどころか気づいたら顔面にパンチを当てられ全身蹴られ殴られ投げられて。
気絶しては叩き起されて再戦。おかしいのだ。これはいじめだと思う。
組手を100戦ほどして結果発表全敗。1発も当てることすら出来なかった。
「すまん。少しやりすぎたかの」
「大丈夫でふ、、」
俺の顔面は酷かった。唇が切れ、歯が折れているので喋ることすらままならなかった。
俺が初めて特訓を受けた感想はもちろん辛いのはそうなのだが、それより
あまりにも師匠が強い。
師匠の攻撃は俺の目には追えなかった。そして動きも尋常じゃない程速く
剣技も美しかった。目では追えないがそれでも分かってしまうほどにだ。
これは単に自分にが弱すぎるのもあるが、それ以前に師匠の実力がとんでもないことを示していると思う。
「師匠はどうしてそんなに強いのですか」
俺はたまらず質問を投げかけた。
だがそれに対して師匠は、、
「それは言うことは出来ない、、」
師匠は下を向きながら言った。
俺はこの時確信した。師匠は何かを隠していると。
だが俺はそれを追求しようとは思わなかった。だから隠し事に対してではなく
純粋に問いかけた。
「俺は師匠のように強くなれますか?」
師匠はこちらを向きながら自信に満ち溢れた顔でこう答えた。
「いずれ私を超えるだろう」と。
次回からは時間が少し経ちます