ワイバーンワイ、世知辛すぎて火を吹いてしまうwww 作:Ωが来た!
ROoooooOOOOO!!!
「くっそ…やっぱり嗅ぎつけてき来ました!…んお!あっこら!落ち着け!逃げるな!!!駄目だよ!駄目!置いてかないで!お願い!………ダメみたいでしたね……。」
「え?何やってるんですか!?荷竜逃しちゃ僕らが逃げれないでしょうがぁ!」
「いや、待て、落ち着きましょう勇者様、こうなった時のための貴方です、頑張って下さい!こんなコソ泥にやるタダ飯はありませんって所を理解させてやってください!」
「いやおま本当に……だぁしょうがないですねっ!もう!隠れるなりして取り敢えず死ぬ気で引っ込んでください!」
獣脚類の様な姿をした中型の竜は、突如現れた外敵の群れに恐れ慄き手遅れになる前にと全てをかなぐり捨て逃げ去った。
そしてそこには放棄された荷車と、二人の人間が残された。
方やその竜の主人でありながらも見捨てられてしまった、荷車の主である若い商人の男。
方や中性的な見た目をし、その男よりも小柄ながら……その纏う雰囲気たるやいなや、正しく戦う者。…若干の青筋を立てつつも、続々と姿を現す咆哮の主たちを見据えて剣を構える勇者であった。
「…
アテノシン、そしてそれらを率いるアテラカミ。その生態は常に太陽と共にあり、陽に吠え、陽の元に生きる、狼の様でそうでは無い、そんな怪物だ。
その体格は群の長にもなれば大型の竜種に迫り、配下ですら一般に見る荷竜と遜色無い体格を誇る。強靭な毛皮と共に各所に点在する『毛殻』と呼ばれる装甲化された部位により、更に高い防御力を誇っており、奥の手と合わせれば攻防一体を表す存在と言えるだろう。
…… 因みに、その姿を始め魔族の人狼との接点が多く見られた為、同種として見られていた時期もあるが今ではただ似ているだけとされている。
総じて、立ち向かうには一線級の実力者が複数人駆り出される様な相手である事には違いない。
「………。」
はぁ…なってしまったのは仕方ない………コイツらの連携は本当に厄介だけど、…だけどだけど、それ以上に厄介なのは『陽輪形態』…移行させてしまえばいよいよ後がなくなる。望ましいのは短期決戦!
……なんだけど…。
RO!!
やや左後方からの奇襲!右手に武器を持っている状態に目をつけ一番反撃が少ないであろう方向からの一撃が襲う!
「その正確さは凄いけど、流石に素直過ぎ!」
既に読み切られた置きの一閃、剣を振るえば
「………はぁ。」
「これが『不殺の勇者』の剣技!」
……なんだけど、この剣、あり得ないほどになまくらなんだよなぁ。
………
……
…
「ぜんっぜん数が減らないんですけどぉ!」
そりゃ殺してないからね!殴り飛ばしたとて撤退後すぐ復帰してくるから無限におかわりがくる!
……何千年も前から存在し、勇者だけが使えると言うこの聖剣。まぁ確かに強い、身体能力を底上げし、回復力を強めて状態異常への耐性も高める。そして謎の技術で作られたこの剣は壊れることは無く研ぐ事すら受け付けない。
ドスンッ、おおよそ剣で切り付けたとは思えない音が低く響く。
ただ、なぜ?何故こうなった?刃はご丁寧に丸く丸く潰されて、剣の先端で突こうものなら謎の障壁が展開されて強制鈍器化するおまけ付き。
ズドン!
研げないから切れ味は戻せないし、てかそもそも特性からして元から潰されてた可能性の方が高いし。
ドズン!
これ作ったやつ本当は聖槌でも作りたかったの?槌作りたかったけど剣作れ言われて、でも槌作りたかったから反抗心出して刃潰したの?バカか?仮にも後世に残る大切なものでしょ?ちゃんと仕事してよ!!!
バズン!
それに何故か魔力は補助してくれないから自前でなんとかしないといけないし、てかそもそも強化の中身が余りにも脳筋過ぎる!
この剣作ったやつを僕は許さない。
「早くしないとアテラカミが参戦してく……成る程、そう言う評価って訳?」
陽輪形態はかなりの負荷がかかる様なので初手から詰めてくる事はない、とは言えどあまりにも時間をかければ覚醒したアテラカミが参戦してくるから、それはなんとしても避けたかったんだけど……。
「これでも勇者なんですけど…ねっ!!」
………ROOO!?GKyaunッ!!?
脳天に決まった一撃は頭をカチ割り……はせず、てか出来ずにしかし脳は揺らされたようで……。しかしそこはアテラカミ、全力で後退を行い此方を睨み………森の中へと姿を消した。
「………たはぁ…。どっかいってくれた…。」
「凄い!素晴らしい!!!やはり貴方は噂に違わない優しく、そしてそれを貫けるだけの強さを持つ人だ!」
「そんなんじゃ無いですよ、それにまだ安心出来ない、というか今すぐにでも逃げるべきです!」
「え?でも、アテラカミは勇者様の痛快な一撃により撤退しましたよ?」
「その一撃は本当ならもっと苦労する筈だったんだよ、じゃあなんで打ち込めたかと言うとアテラカミが別の何かを気にしてたから。」
「……てことは、アテラカミが我々を差し置いて警戒する存在が近くに居ると?………それ、不味くないで………。」
「なぁに呑気な事言ってるんですか!非常〜に不味いですよ!荷車捨ててまでも逃げるべ、何ですか?……あっ、スゥ〜。」
背後から放たれる、これでもかと言うほど巨大な存在感。一瞬の風切り音とその後の地響きと共にそれは降り立った。
Grrrrrrrrr……
「りッ竜!?しっしかもこの竜、あの残火じゃ!?!?」
降り立つは赤き乱入者。樹上スレスレ、超低空、それも高速で突っ込んできたそれは大量の土煙と共に運がいいのか悪いのか、丁度勇者の背後にてその速度を落としきった。
現したのは今や見る事も珍しき竜。しかも最近世間を賑わせた二つ名持ち。しかし、その残火は此方を一瞥する事もなくまるで煩わしい、苛立たしいとでも言う様な唸りと共に空を見上げている。
「なにを、見てるんですかね?……何も、いない様ですけど。」
「………ッ。」
釣られて空を見上げる商人の男とは反対に、降り立つ竜から目を離さず、抜刀の姿勢を崩さず構えを続ける勇者。
……………
竜が初めて此方を向いた。………竜と対峙した事は片手で数えるくらいしかないけど、この竜はそのどれとも…違う。凄く直感的な事でしか分からないけどとにかく違う、用心しなければ………んなッ!?
「………ッ!」
何!?今の感覚!?殺気とも敵意とも違う、先程から言語化できない現象が続いてもう訳が………。この竜は、何を伝えたがっているの?
GAaaaaAAAA!!!
睨み合いが続く事数十秒程度、沈黙を破り先に動き出したのは竜、器用に二足で直立し、上に上に、頭上にて重なる程に広げられた両翼は己の存在をより顕著に示す様に、放たれた咆哮はその地に自身を刻む混む様に。それが、威嚇である事は容易に想像出来た、誰に向けて?それは勿論自分達……。
いや待てよ?竜の視線が既に僕らを見ていない?………ッ!
「タダでは引けないって事…諦めの悪い奴らだよ。」
「え?誰!?…なんですと!?追い払えたんじゃないので!?」
竜へ意識が持ってかれていた。アテノシン達はまだ諦めてはいない!
…………
囲まれても尚それを止める事はなく、ただ堂々と居座り続ける、そして遂にその冷ややかな争いは…アテノシン達の方が折れた様だ。
Rou………
「凄い!あのアテノシンが引いていってる!」
「………いやまだだよ!ほら耳澄まして……本当に勘弁してよとんでもないの来ちゃったよ、今までのこれ全部前座とか泣きそう…。」
bbbbbb…
閃電が走る。光に包まれたその実体を捉える事は、誰であっても出来ない。
震電が響く。強引に捲られた空間は凄まじい音となって響き渡る。
縦横無尽の雷跡を残すそれは驚異的な速力と機動力の暴威に任せ迸る稲妻を撒き散らしそして一瞬の後に、出現した。
「
FOoooOOOON!!!!
正しく奇妙奇怪、甲高くも騒々しくそしてやけに耳に残る響音を上げる。
透き通ったその4枚の翅は凄まじく、人智を超えた羽撃きによって轟音を立てその軌道に稲妻の残像を残す。
強靭なかつ巨大な顎は小刻みに開閉を繰り返し、太く頑強なでいて刺々しい六脚は規則正しく折りたたまれ、腹部は淡い雷光を宿していた。
自分達を写す翡翠色の瞳の数々は散りばめられた宝石と比べても遜色なく、故にそれが生物にある事が冷え冷えするほど恐ろしい、感情なき無機質な視線は根底から隔てられた絶対的な確信が感じた。
そう、何があっても分かり合えない、と言う確信を。
「エアルメラン!?もうこんなところにまで生息域を広げて!?これは大変な事態だ!!」
先程のアテラカミと比べても遜色なく、線は細いが十分な巨体を有する飛行虫、アテラカミとの、そして竜との遭遇よりも尚、大事と言わんばかりの反応を示す商人。しかしこれには退っ引きなら無い事情があるのだろう。
「……これは本当に覚悟を決めたほうがいいよ、竜とエアルメラン、それにアテノシンだっておこぼれを狙ってるはずだ。……逃げ場は、無い。」
「………。わかりました。この際損切りも致し方なし、出来る事はほとんどないですが…荷車の中をぶち………撒ければ気ぐらい引けるでしょう。」
「いやそこは葛藤しないで下さいよ。やるにしても今すぐは辞めてください、場が余計に混乱しますから。」
さて、状況整理だ。まず、竜は既に僕らの事は眼中には無い、エアルメランも僕らよりは竜を優先してる、アテラカミは噛みつけるやつを吟味してる、つまり。
竜はアルメランとアテラカミを敵視している。
エアルメランは竜を敵視している。
アテラカミ達は今んとこ傍観姿勢。
状況的に僕等にとって一番危険度が高いのはエアルメラン。
なら僕がする事は……。
「エアルメランと竜の潰し合いに賭けてアテラカミを警戒する!」
「なんとなく察してはいましたけど勇者っぽくは無いですね。」
「うるさいやい!誉で飯は食えん!そもそもエアルメランと戦った事ないし!」
「言っちゃいましたよこの勇者!さらっとやばいこと言っちゃいましたよ!」
GaaaaAA!!
そんな会話は後にして、状況は着地と進んで行く。
まず動き出したのは竜、唐突に近くの樹木を尻尾で折り倒し、それをこれまた器用に尾で巻き取るとすぐさま上空へ飛び立つ。
bbbbb!
それに反応しない訳がないエアルメラン。未来予知じみた反応速度を持ってあっという間に竜の背後へと喰らい付く。
「あんな重りぶら下げたらやられちゃいますよ!」
「……なんで丸太なんか、何に?」
竜の飛行能力を過小評価する訳では無いけど、エアルメランの飛行能力は全生物の中でも次元が違う、このままでは一方的にやられて……ん?
…………
「………え?僕?」
え?なんでこの状況で僕を見てるの!?後ろ見てよ!……てか!
「何してるの!?そんな振り回してたら絶対飛行に悪影響が!……何が起きてるの?これ。」
勇者をチラ見したかと思えば丸太を掴む尻尾を大きく振り回す竜に戸惑いを隠せない一行。そんなことをすればただでさえ今にも背後から覆い被さる様に迫り来るエアルメランの餌食に……とはならず、むしろエアルメランは速度を落とし振り回される丸太に釘付けになっている様な飛行を見せるでは無いか!
「???魔法には明るく無いのでわかりませんが、あれ、魔法ではありませんよね???」
「…うん発動してない、だからますます意味不明なんですよ……こっち向かってきてる!?」
GOOOO!!!
「まただ、何を伝えたがっているの、良くかわかんないけど……。多分、こう言うことでしょ!」
腰に据えてある鞘を背中へ回し、納刀する。
……これは一度で決めないといけないやつだ、だけどお膳立てしてくれているとはいえど飛んでる目標にこの剣は余りにも届かない……得意では無いけど、魔法も視野に入れないとね。
「『吸気』『圧縮』」
渾身の技。いつか見たあの絶技、その再現。
言葉を紡げば見る見るうちに外気が鞘へと吸い込まれていく、ガタガタと震える剣を抑え付け、その瞬間を待ち侘びる。
GOaAAAAッ!!!
BBBBBBB
景色を思い浮かべる、まだまだ足りてない、だから被せる。……こうしただろうと狂い無く。
「カァッァ“!!!!」
竜が頭上を過ぎ去るのとほぼ同時、全身全霊、大声疾呼の大音声共に鋭く、疾く、溜められた力を解放する。
その刃は飛んでいた。
BBOBBBOBBBBBBB
「……嘘、でしょ……。」
僕は……いや、私は別に侮っていた訳じゃ……。
じゃなんで無傷なの?
何故って、そりゃ外したから…。
bbbbb!
エアルメランは健在であった。
「………あぁ"ぅう……折れるな!…ここで折れちゃ……。」
迫り来る絶望と落胆、それに抗おうとも苦しくて顔が歪む。折れちゃいけない、折れちゃいけないのにぃ…ダメなのに、こんなんじゃ勇者になれないよ…。
「勇者?」
あれ?僕、いつから勇者になりたいなんて思って?だって最初はなし崩し的に引き受けて、緩くやっていくうちになんか称えられてて、そして……。
体が固まる。
エアルメランは何故かこっちには来なかった。ひたすらに竜を追いかけてる、その竜も既に丸太を掴む力はない様でスレスレで回避に努めているものの時間の問題という有様であった。
「勇者様!………ッ!気を…気を確かに持ってください!まだある筈です!諦めてはダメです!」
…あ〜あ、情け無い。今はその言葉が、その真っ直ぐに抗おうとする姿勢が、とても苦しいよ。
別に勇者なんてやりたくてやってる訳じゃ無いし、こんなもの押し付けられて、よいしょされてそんでいい気になって、慢心して、つけ上がって、何も出来ずに終わっちゃう。
だって僕はもう。
…………
「その歳でようやっとる。」
老人の声がする。ぶっきらぼうで、声だけで硬い表情が思い浮かぶ。
「アテラカミ、アテノシン、エアルメラン、残火、色々なことがあったのでしょう…ごめんなさい、全て貴女一人に全て押し付けてしまって、あとは私達に任せて下さい。」
若い女性の声がする、優しいくて、哀しげな。
「………?」
「あなた方は!」
「はい、もう大丈夫です、とは言えないのがもどかしいですが、なんとかして見せます。」
「………。」
現れた内の一人、老人は徐に固まる勇者に声を掛けた。
「……おい。」
「……?」
「俺は上等な剣の振り方は教えてもらっちゃいないし……あ〜なんだ、此処では魔法だったか、それも最低限しか知らん。」
「……??」
「セン…いや、ここじゃエアルメランだったか…アイツに正面から仕掛ける奴など、初めて見たわ。」
「……???」
「プフッ褒めるの下手ですね。」
「黙れ。そら、幾らアイツと言えどもうそろそろ限界だな。」
そう言うと老人は重厚な銃を構える。
「……。」
甲高くも乾いた音が一つ、響けば上空は眩く辺りを照らす。
GuOッ!?
突然の閃光により驚いたエアルメランは竜の追跡を中断した。
エアルメランの追跡から逃れ一行の目の前に降り立つ竜は、此方を一瞥するとまるでギョッとしたかのような声を上げた。
「久しいな。残火。」
「覚えている様で、なんだか嬉しいです!」
「……。」
urrrrrr……
その割に、竜の方は歓迎とは程遠い様だが、それとはまた別と沈黙する勇者が気にかかる様で、薄く唸りを掛ける竜。
BBBBBBB
「此方を完全に外敵認定しましたね。それにしてもここまで生息域を広げているとは、事態は深刻です。」
宝石を集めたかの様な複眼は眩く黄金に発光し、体の節々から大量の電気が漏れ、迸る。
FOoooOOOON!!!!
「やる事は変わらん。……小娘!…まだ、折れるにしては早いぞ?俺がお前くらいの歳ならそんくらい、普通だ。」
「貴方の幼少期と比べたら全部普通ではないですか?」
………
……
…
僕でも知ってる有名人が2人…他でもない、不甲斐ない僕達を助けに来てくれた。
しかもあの変な竜も共闘するらしい。そんな中でも僕は情け無く動けずにいる。
でも、僕は…折れちゃったし………勇者としている意味だって薄っぺらいし……………………不甲斐ない?…不甲斐ない、不甲斐ない、不甲斐ない…情け無い。
……成る程、歯痒く思えるくらいには僕は勇者という事に思い入れが…………あぁ…ぁあ!…悔しいな…悔しいな悔しいな!おんぶに抱っこ、薄っぺらくてもちゃんとあるはずなんだ!
「おん?ようやっと立ち上がる気になったか?勇者。」
「やられたままではいられませんよ狩人さん…それに、竜に慰めを受けたら腐ってられませんよ。」
「カハッ!百理ある!………自分の機嫌を自分で取った。上等だ。」
Guo!
「うんうん!久しぶりの共闘です!いいとこ見せちゃいますよ!」
「さて、こりゃ久々に骨が折れそうだ…。」
「大丈夫ですよ、なんたって僕がいますから。」
成る程、僕は意外にも目立ちたがり屋で負けず嫌いだったらしい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
勇者様
大事な場面で奥義的なのスカしちゃった。今までヤバめのミスはしてないからダメージが深刻化しちゃった。
一応丁寧な口調で話そうとはするけどよく崩壊する。
商人
一番弱いから一番無視されてた、絶賛カメになって隠れてます。流れ弾は……なおきです。
アテラカミ
覚醒までが長いし負荷も相当だから部下に相手させて時間稼ぎと相手の損耗を狙う戦法を取る。今回はボスが出るまでも無いと判断して他のヤバい奴を警戒に徹してたら無事しばかれた。
エアルメラン
本当は勇者ロックオンしてた、けど固まってて認識出来無かったから見逃した。
ワイバーン
ゲッ(絶望)andおっ大丈夫か?大丈夫か?
爺さん
久しぶりの登場その一、竜を追ってたらドラゴンフライと遭遇する。
どう足掻いても正面から行く相手では無いのでかなり真剣。
学者のおねさん
久しぶりの登場そのニ、実は勇者の正体はずっとムキムキのバーサーカだと思ってたら真逆を行ってて……。
(次話を見つつ)トンボまあまあ強くて草。