ワイバーンワイ、世知辛すぎて火を吹いてしまうwww 作:Ωが来た!
「え"!?…私達が王都を離れてる間に?」
おおよそ麗らかな若い女性から出ていいような声を出力しながらも、念を押して確認するかのように問いかける。
「………。時系列を……考えれば…うん、そう。」
「〜〜〜ッ"!!そんな重大事変に関わらなかったなんて!!!しかも残火がそりゃもうガッツリ関与してたわけなんでしょ!?」
「……ガッツリ………確かに……そうなります。」
「カハッ…。」
ノックアウト。真っ白に燃え尽き、口から白いモヤが出てくるのを錯覚する程には衝撃を受けたようだった。
「…背中に乗って……飛び立ち…温もりを………勇気を…貰った。」
未だに思い出す。手を握ればあの火を感じる。
「ふふふ…早く…会いたいな……お父さん。」
出会いから此処まで表情を変えることがなかった彼女ではあるが、この時ばかりは纏う雰囲気諸共に何処か、ふわつき、柔和な表情を…感じ取れるようだった。……が、それに気付けた者は少なく、又そもそも四人はそれどころでは無いようで。
「「「……?」」」
「……?」
四人一行の足が止まる。
「今…お前さん、なんて言った?」
初めに切り込んだのは老狩人。しかしその声は疑念と驚愕に満ち、いつもシワを重ねて無愛想な表情ですら目を見開いて驚きを露わにする。
「り、竜に?しかもいくら残火とは言えど…大型の竜種に?」
続くは一行最年少、伝説の剣に選ばし勇者。残火の異常性を認識しつつも自身が対峙した竜達は、とてもじゃ無いが乗らせてくれるようなものではなかった。
「………。」
「……?」
ガツっ!
「!!?」
いきなり肩を掴み、どうにも影って伺えない顔をズンと近づける。
「エキナさん」
「……?」
全くもって追いつかない。エキナとは自分の名前ではあるが…なぜ今になって唐突に………ッ!?!?
「乗ったァ!?」
「………ッ!?(ビクッ)」
唐突に爆発してからは早かった。
「え?え?え!?如何にもこうにも自分で言っててアレですけどかなり茨の道進んできたんですよ!?それ語ったら人間関係三敗したので此処では言いませんがそれでも頑張ってきたんですよ!?なぁ〜に一瞬で飛び越えちゃうんですか?長寿故のアレですか?吊り橋効果ですか?背中の甲殻の形状は覚えてますか?傷とか有りました?後ろから見た頭部はどんな感じでした?他に乗った人は?速度は?乗り心地は良かったですか?「おい。」どの程度くれましうえ?グェ"ッ"!?」
「いいから(グイッ)……イッペン、黙れ。」
「(コクコクコク)」
「おお……。……?(あれ?)」
止まらない口撃に痺れを切らした老狩人。呼びかけに応じなかった為にやむなし、頭を強制的に自身へ回転させて確実に黙らせる。その動作は無駄に無駄が無く、無理矢理に見えてダメージは一切無い、そんな無駄な神技に感心しそして、勇者はその感心に疑念を抱いた。
「他は…三人の……ならずもの?……あと、冒険者のひと。」
「五人乗り!?」
「……速かった…。あっという間。」
「……流石に外的要因があっての結果だとは思いますけれど、帰ったら冒険者とお話ししなければ。」
……王都の何処かで一際大きなくしゃみが響いたそうな?
「火災という状況や神樹特有の地形考えれば…上昇気流を利用?………でも野生下の個体がぶっつけで五人乗り?ぶつぶつぶつ………」
「……お前さん、立て続けになって悪いが一つ聞かしてはくれねぇか?………アレを父とした、何故に?」
「確かに……話を聞く限りでは初対面…ですよね?」
「……私に…記憶にある限りの父は居ない。………だから…判らない。……だけど……あの感情は、あの感触は、確信がある。私が求めて止まなかった、私に必要だったものだと………ッ!」
「えっと…さ、そ、さいですか…。」
彼女と過ごした時間は途方もなく短くはあるが、それでも残火を語るその様子は彼女にしては饒舌でありだからこそ、その真意はありありと伝わった。
「成る程な。悪かったな、余計な事を聞いた。」
「…え?今、謝りました?え?聞き間違いじゃありませんよね?どういう事ですか?そんなことできたんですか?貴女も聞きましたよね!?」
「え?はっはい!?…確かに聞きはしましたけど、何もそこまで…ぬわ!?何を!?」
「いいですか?よく聞いてくださいこの頑固ジジイが非を認めるなんて天地がひっくり返る前触れと言っててもいいくらい無いくらいにはありえないことなんです!」
「ハァ……お前はなんだと思ってるんだ…。」
「え?
堅苦しいのは嫌いではあるが、初めの有力者としての威勢や誠意ある面影はすっかり無い。親しき中にもなんとやら………ん?……親しき…か。
「…フンッ…随分と丸くなったものだな…。」
「え?今何か?」
「警戒心が足りとらんと言ったんだ……近い。」
老狩人がぶっきらぼうに警戒を促せば、浮ついた空気は何処へやら。なんであろうとそこは皆、その道のプロフェッショナルであるのだ、切り替えは素早く…ふと、言葉を勇者が溢す。
「……改めてありがとうございます。」
改めて感謝の意を述べる勇者。
「まさか魔王討伐を本当に手伝って頂けるなんて…。」
そう、元々は残火を追っていたはずの一行ではあるが、では何故魔王討伐など脱線もいいところといった行動をしているのかといえば。
「………魔王の名を冠した魔族による『残火』の捕縛。これが本当であるならば、黙ってはいられません。」
「…捕縛、一体何が目的なんでしょう…。」
基本、飛竜を含む竜種自体、生きたまま運用される事はない。それは成体は勿論の事、幼体や卵であってもだ。前者は言わずもがな、後者は成長するに反比例し、親の重要性が下がる為懐き続ける事はないからだ。
だからこそ、故に不自然。そもそも既に強大な魔王が今更に竜を手懐けたとてである。大方良からぬことを考えているのであろうという結論に至るのは自然であった。
「関係ない……絶対に、助ける…。」
「その通りです!粗方何かの生贄的なのに当てられたのでしょう、絶対に阻止しなければ!」
「落ち着け、そもそも可能性の話だ。……だが、まさか助ける為に事を構える事になるとは……。」
「あはは………聞くとこによると王都にも飛来したとか、ここはやってることはおとぎ話の魔王ですよね、それなのに今度は魔王に捕まったから助けに行くなんて、不思議なものですね。」
「確かに、立ち位置の反復横跳びが凄いですね。」
「常識破りはアイツの常だが……つくづくその常に付き合う事は出来ん。」
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「ここのどこかに……お父さんが。」
「そうです、間違いありません、が。……僕…毎回思うのですが、魔族はどうやってこんな所に僕達人間が作ったかのような建物を用意できるんでしょうかね?」
「聞き齧りですが、色々説はありますよ。それこそ強大な魔力に物を言わせてゴリ押しで作っただの、此処は元々人類の生存圏だっただの。建築士を拉致ったとか。聞いたところで答えないので分からないですけどね。」
「……どうにも歓迎しているらしい。こういう輩は決まって奥でふんぞり返っている。今回は魔王が相手だ、油断はなしだが……そういうことの方が多いというのは頭に入れとけ。」
一人でに開いた扉は明らかに人間向けではない。ポツポツと奥へと続く道を、蝋燭が頼りなく照らしていく…。
………
……
…
「幾年ぶりか…此度は随分と早く、又遅い挑戦だな?勇者達よ。」
対峙
これみようがしに最奥に座し、あらゆる点から見下ろし言葉を発したのは魔王。人型であり、そして男。その容姿は正に"整い"、絵に描いたようという言葉が相応しいものであるのだが、それがどうしようもなく冷たく、似て非なるモノを体現していた。
「極端に人に近い…まさか…これが噂に聞く『魔人』、希少種という分類を受けてるが故にその発見例もごく僅か…。」
「……やはり貴女は凄いですね、僕は魔王相手にそこまでの分析は出来ませんよ…。」
「学者ですからね。」
「えっと、そこじゃなくてその…物言いというか…後ででいいです。」
魔王の目が露骨に狭まる。不機嫌、不愉快とでもいうように。
「随分と下に見られたものだ…。不愉快だ、不愉快極まり無い、計画は破綻し、愚かな小娘の癇癪に全てを乱された後に、格を弁えない無礼者ども。」
「………ッ!計画!?……お父さんをッ!何処へやったッ!!」
「ちょっとエキナさん!?」
流行る気持ちは抑えられず、相手が魔王であるという事実は止まる理由にはならない。
「エルフか…?……、これは珍しい物を見た。…父……エルフなど相手をすれど何処へやるなどすることも無いのだが……。」
怪訝な表情を浮かべる。正に「何を言ってるんだ?」と言った様子だ。
「魔王であっても表情は豊かなんですね。…話も通じますし、ここは交渉して見ませんか?」
「れっ冷静…これ冷静でいいんですかね?」
「貴様らの知的好奇心を満たす為に付き合ってやっているわけでは無い。…ふむ、戦闘経験の浅い女の学者、全盛期を過ぎた老齢個体、気の触れたエルフ、そして未熟な勇者か……これはなかなかどうして面白い組み合わせ……。これも余興か、いいだろう、疑問に答えてやろう。」
「……(僕達は…勝てるのか?)」
何処までも上から目線、あらゆる主導権は我が手にあり。そしてそれが当たり前である事を信じ疑わない、その態度。滲み出る気迫は非常に重く、故にいつも通りを通せるこの状況を作り出す仲間達には頭が上がらない。
その言動の一つ一つが爆弾の様な気がして気が気では無いのだが。
「では!魔王!!此処に!残火の名で通る、赤き飛竜が此処にいるのは本当か!…ですか!」
答えたのはやはり彼女だ。正直な話、物理的に一番弱いのは彼女だ。だと言うのに、まるで慣れっことでも言うように怯む事なく言葉を発するその勇気には驚かされる……驚かされたんだけどなぁ…。
「……ほう。…不思議な話だ。そうは思わないか。」
表情も、声色も大した変化はないものの、何故かそこには確かに疑念が紛れている。
「つい先日愚かな吸血鬼が同じような事をほざき、ここで暴れた。殺すには惜しく地下に封じたが…そして件の竜は、計画を破綻させた不届き者であり、ゆくゆくは然るべき対処を取るべきだと考えていたのだが。」
「計画?…やはり考察通り!?」
「すみませんが少しだけ黙りません?」
「…気になるか?…既に破綻した計画だ。特別に語ってやろう。」
余裕の権化たる態度、どう転ぶ…いや、どこへ運ばせようと自身の圧倒性は揺るがないからこそ、魔王は話を続けるのだ。
「神樹。"いつから”など、この名魔王を持ってしても計り知ることのできず、溜め込まれは魔力は途方もない、悠久の存在。だが、樹は文字通り表の存在、樹を生きながらえさせ、魔力を溜め込み、エルフ共をそばに置いた、裏がいたのだ。決して、表に出ることのなかった名も無き古生物が。」
「それって、まさか…ッ?」
二人はパーティ唯一のエルフの方を見る。
「…なんだ?知っていたのか?…成る程、そこのエルフは……エキナ、と言ったか…?愚かにも煽動受け、利用され続けた挙句に、あの様な過程で持って漸く気付かされるとはな。」
「………。」
何処か挑発を含んだ物言いにしかし、彼女は反応する事はなかった。
「この魔王急に人の事刺してきますよね。」
「ちょっと!」
「神と形容するに相応しい、質、量共に規格外、正に、己こそのみ使うことにふさわしい。」
思考を巡らせ、考察する。…ふと、事前に勇者が語った魔王の情報が思い出される。
「僕達が相手取る【心害の魔王】…『精神侵入』をもって相手の精神空間で戦い、そして勝利する。……精神空間の出来事はその主が絶対であり、実力差なんてあっという間にひっくり返してしまう。だからこそ、それすら跳ね除け数々の実力者を討ち破り、その心をへし折った。この悪辣さこそ故に魔王と呼ばれるとか何とか…。」
…極限まで相手を立て、その上で叩き潰す事を是とする。なかなかの悪辣さにあのエキナさんですら眉を顰めてましたね…。
……『精神侵入』は自分と相手を繋ぐ魔法。もしそれが単純に拡大化した場合…不特定多数の誰かの意思が強引につなぎ合わされて…いや更に拡大すれば……もしかして…そんなことしたら本当に取り返しが!
「解ったか?話せ、その結論を。」
「……最終的な結果は…その力が及ぶ全ての存在の意識結合、夢も現実も有る様で無い、想像もつかない程の混沌……一体何を考えて?こんな事を行う必要が何処に!?」
「ほほう、流石学者と名乗るだけのことはある。しかし、なぜ?と、くだらない事を聞く、それを成す力があるならば、やらぬ選択肢など有りえはしない。」
ありたいていに言えば「出来るからする」その先など特に考えてはいないのだろう。…いや、もはや本当に成功するかどうかすら怪しい。これはただ、自身の能力を高める事のみに執着しているだけだ。それによって起こる結果など考える事も無いのだろう。
「……。」
人と魔族は分かり合えない。今この瞬間の事だけを持ってこの結論に辿り着いた、訳ではない、その結論はまだ早い。が、ただ今は、目の前に対峙する存在と自分たちがわかり合うような事はないと言える事は確信した。
「一つ、貴方は今後似たような機会が訪れた場合、それを成しますか?それによって起こる結果がどのようにして訪れようと。」
「是、足踏みをする必要など何処にもない、奇妙な事を言うものだ。……名を名乗れ、勇者、学者、守人、そして片時とてその警戒を緩めることのなかった老狩人、有象無象にして置くには些か惜しい。」
「有象無象判定どうのこうのは癪に触りますが…いいでしょう、私はフリシード、フリシード・シモス。」
「僕は、ハイント。苗字は特に持ち合わせてはいない、です。」
「………エキナ……。メイショト。」
「………。」
「……どうした、老狩人よ。この場を借りて名を名乗るほど名誉な事もない。」
これも魔王なりの気遣いと言う物なのか、しかしそれを無碍にされたと感じたのか威圧が一段と強まる。
「……名乗る訳がない、何が機転になるか解ったもんじゃない。そこの小娘共もだ、そうだエキナお前もだ、べらべらと喋りおってからに警戒心が足りとらんと言ったばかりだろうが。」
「ふん、まあ良い…まずはエキナ、貴様だ。あぁそうだ、件の飛竜、その答えは否だ。」
「………ッ!?……。」
「魔王が消えた!?まさか本体を消してまで侵入しているとでも!?………エキナさん!?」
「大丈夫!?そうでは無いですね、瞳も虚…何の反応もないですが…すごい量の汗…呼吸も荒い。」
「……まさか肉体ごととは…もし相手の精神内で死ねば、それは現実の死と同義であると言うのに…。」
「……ハァァ…何が何でもタイマンしたいらしい、俺が一番苦手な型だ。」
これは…予想外…。想定していた戦闘とは全く違う。何分魔王であるがために少ない情報のみが頼りではあったのだが……
「「「………。」」」
無理に第三者が弾き出そうとすれば取り返しがつかない事態になる事もある……ましてや相手は魔王、不用意な接触ですら何が起きるかわからない。自分たちに出来る事は……無い。
………
……
…
「……カハッ!?」
「エキナさん!?」
「……気絶してる…。」
「エルフとは戦うのはいつ振りか、なかなか思い出させてくれる。」
栓を切ったような声と共に膝が崩れ落ち、天を仰ぐように気絶するエキナ。……彼女は今、相当不安定な状況で有る事は理解できた。硬直した体は休まる姿勢にすらさせる事はできない。
そしてそれとほぼ同時に、姿を表した魔王。
「他者を心配している場合か?勇者ハイント。」
「くっ、受けてたってッ!?」
有無を言わせない、再びの侵入。その威勢は残酷にも。
「…あ"が"!?」
「やはり未熟そのものであったか……。しかしその一撃、まさかまだ続いていたとはな。」
首を抑えて蹲る。恐らくは首に致命傷を受けたのだろう、精神世界とは言えどその心には確実な害が及びそして、現実にもその傷跡を浮かび上がらせる。
「しかし面白い、その形で女だったとは……舐められない様に…ふむ、外観ばかりを気にする、実に人間らしい。特別効果は期待できなかった様だが。」
「……次は私…ッ!」
「貴様はいい、学者と戦うなど不毛極まり無い。」
「………(ピキ)」
「それよりもそこの老狩人、全盛期を過ぎている事は実に残念だが……良く、楽しめそうだ。」
「悪いが遊ぶつもりは…無い。」
「勿論だとも。」
………
……
…
「貴様はいい、学者と戦うなど不毛極まり無い。」
腹が立つ、こんな事言われて、ここまで蔑ろにされて、腹が立たない訳がない。ただ、何よりも怒りを覚えたのは、その言葉に安堵してしまった自分にこそ、腹が立つ。
まるで前座とでも言う様に、既に二人…日は浅くとも大切な仲間が下され、自分は何一つとして貢献する事ができない、前座にすら足り得なかった。
「悪いが遊ぶつもりは…無い。」
「勿論だとも。」
頭から離れない。侵入を受けた時、僅かながらに聞こえたあの言葉を、普段からは想像も付かないあの声色を、表情こそいつも通りに厳しかあるが、その何処か申し訳なさげで、後ろ向きなあの発言を。
「……今のうちに逃げとけ。」
「…『安堵』」
心を傷つけられては回復魔法も役には立たない。私に出来るのは気休め程度の安らぎを与えるだけ……。
ハイントに膝枕をし、その頭を優しく撫でる。恐怖に染まり悪夢にうなされている様に呻き声を上げている。
逃げられる訳がない。元はと言えば、発起人たる私の責任なのに。
巻き込んだ事が申し訳ない。
その意思を無駄にしつつある自分にも情けない。
選べない、置いていく事も、とどまり続ける事も。
………何をすれば……何が出来るのか…果たして未来はあるのかどうか……
心の何処かで慢心があったのは否定出来ない、ただひたすらに盲目的だった。
この旅、怒涛の困難を跳ね除けた。だから“今回も”行ける、そう思ってしまった。慣れは危険、次もそう“だろう”は危険だと言う事は身をもって経験した筈なのに………ッ!
「悔しいよ…。」
とん…
こんな所で反省したって意味なんてないのに。
握り拳で床を叩くが、それはあまりにも頼りない音……。
ドスンッ!
「え?」
ドゴァッーーッ!!!!
突然として鳴り響くあまりにも場違いで、凄まじく壮絶な破砕音と共に床下からその半身を飛び出させるは何者か?
ガチャガチャ、バキバキと体に纏わりつく瓦礫を払い、強引に下半身を床から引き抜かせるその存在は、舞う土埃が落ち着くに連れ、今まさに求めていた存在のシルエットが浮かび上がる。
やけに見覚えがある赤い体色、そしてその瞳は鋭くも柔和。雰囲気は大火と思えば種火とも。
GOOOO!!!
……今はっきりとした事が一つある。
「あのクソ魔族、やっぱり嘘付いてやがりましたね。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
老狩人
ベラベラと喋る三人に内心引いてた。
……ただ後悔と申し訳なさがある。自身が節穴であったばかりに、だからこそ、死にかけが一人程度で助かるならば、それでいい。
女学者「フリシード・シモス」
竜研究に脳を焼かれてしまった女性。小型の陸生竜種を手懐け、人の制御下におく技術を編み出すものの、それは半ば支配であり、とても納得のいくものでは無かった。
実は名のある家の産まれ。だったんだけどなぁ…。例え性別が男性であっても変人扱い待った無しの経歴の為実家とは疎遠気味。
勇者「ハイント」
ガチガチの平民。近所に凄い人がいてその剣術はその人に稽古をつけて貰ってた。訳ではなく、その人が時々する剣術鍛錬を良く見に行って、真似てみたり飽きて何もしなかったりしてた。
中性的な見た目とその言動から一見男性にも見えるが、その実は歴とした女性。「見栄を張りたい」が、「俺と言うのはちょっと」だからこその「妥協の僕」
良くも悪くも緩かった。彼女には経験が必要だった。そしてそれを消化する時間が。
守人「エキナ・メイショト」
両親、ご先祖共に優秀であった。父は産まれるのを前にして死去、なまじ一人で完結していた事、そして母が居るからとそれでも満足していたが……、感性が違うばかりに爆弾発言を量産しその内に母とも疎遠になっていた。下手に一人でも回せていたからこそ、あの体験は熱を持って深く刻み込まれることとなった。
魔王
不法侵入者に生物図鑑の希少種扱いされた挙句に、冤罪ふっかけられて窓と共に床抜きされた。
ただ強く、ただ長い生を彼は心の底から飽きていた。だからこそ見出したのだ。極限の戦いと、その勝利と、得られた成長にこそが全てだと。
文才を、…文才を拝領するのだ…。