老狼の子守唄 作:萎びた豆の妄想
書き上げた順としては前話よりこちらのほうが先。
おまけにしては長かったから分けた次第。
閑話なのでめちゃ短めですが読み飛ばして、どうぞ
バー・大地の果て、そこはペンギン急便の社長であるエンペラーが持つ数多のアジトの一つ。
今日も今日とて彼らはパーティーをする。酒と料理、デザートにアップルパイを添えたらあとは乾杯。
しかし喧騒はいつまでも続くわけではない。騒がしい夜も更けて皆が酔い潰れると店内はすぐに静かになった。
起きてるのはテキサスとエンペラーだけである。2人は寝てる仲間たちを肴に静かにグラスを傾けている。
不意にテキサスが口を開く。
「ボス、今度の休日に少しばかりシラクーザに行ってくる。」
「あん?またかよ。じゃあついでにシラクーザ方面の荷物を運んでけ。しっかし、お前も面倒な道を選んだなぁ。シラクーザの変革に関わるなんてよ。」
「たしかに大変だがあんなのでも故郷だからな。過去のしがらみが追いついて来ようとしてきたからさっさと清算しようとしてるだけだ。それに、今回の用件は違うんだ。」
「ほう、じゃあ何だってんだ?またあのしょーもないピザが恋しくなったか?それとも本場のチョコレートパスタか?」
「…あれを好んで食べるやつはそういないんじゃないかな。それにボス、チョコレートパスタはガリアのものだ。そうじゃなくて…その、会いたい人がいるんだ。」
「なるほど、テキサスにも春が来たか。俺はてっきりロドスのドクターを狙ってるんだと思ってたが。」
不意に背後からエクシアの声が響く。
「テキサス…彼氏…いた…もっと早く…言ってよ…」ムニャムャ
誰も居ないはずのテキサスの左側からクスリと笑い声が聞こえる。
「聞いたかい2人とも、いまのレミュエルの寝言。相変わらずやけにピンポイントな寝言だよね。」
「おう、帰ってきてたのかモスティマ。」
「ただいまボス、ついさっき帰ってきてたところさ。それにしても、テキサスにいい人がいたとはね。」
そう言うモスティマの顔はニヤニヤと誂うような表情を浮かべている。
「そういうんじゃないさ。その…昔、世話になった人なんだ。今だともうかなり老齢なんじゃないかな。」
「ふーん、どんな人なんだい?」
「そうだな、怒ると恐いが基本的には穏やかな好々爺といった感じの人だ。あのラップランドもあまり強くはでれないな。ただ…」
「ただ?」
「あまり、自分の過去を話さない人だったな。当時の私はそれが気になっていろんな人に話を聞いて回ったものだ。」
テキサスはそう語るとグラスを傾け酒で唇を湿らせる。
酔いが回ったのか普段の彼女よりはすこしばかり饒舌だ。
「私が小さかった頃には既にほとんどなくなっていたが、昔はシラクーザで一つの噂話があったらしい。」
「へぇ、どんな話なんだい?」
モスティマが続きを促す。
「なんでも勢力としては小さいが、当時のマフィアとして最強はどこかという話がでたら真っ先にその名が上がるファミリーがあったらしい。」
「うん?勢力として小さいのならマフィアとして最強になるのはおかしくないかい?」
「どうやらそのファミリーは勢力拡大に興味がなかったみたいだ。そんなもんだから舐めてかかる奴らは多かったらしい。それで潰そうとして仲間と縄張りに手を出してきた奴らの手を悉く食い千切ってるうちに、最強の一角として名を挙げられるようになったらしい。」
「へえ、随分と異色なんだね。それで、そのマフィアの名前は?」
「それがファミリーとしての名は覚えてなくてな…。ただ、そのリーダーは畏怖と尊敬をを込めて‘‘狼王‘‘と呼ばれてたそうだ。」
〜〜〜〜〜
ハックション!
「あらやだ、ロボさん風邪でもひいた?子どもたちには感染さないでくださいよ」
「う〜む、悪寒はしないんだがのぅ。誰かが噂でもしたのかもしれんな。」
夜、孤児院にて。
子どもたちが寝静まったあと大人たちは静かに茶をしばく。
しかし今夜は珍しい客が来た。
「それって極東の迷信でしょ。かの"ウルヴス"も風邪をひくのね。」
「古くから伝わる迷信は時としてよく当たる。そう馬鹿にしたものではないよ、ミズ・シチリア。」
ミズ・シチリアが来たことで新しくお茶を淹れてきますと言って厨房へ行ったゼーヴを見送りながら世間話をする。
「それが真実を言っているのであればそれは格言よ。当たらないから迷信というのよ。」
「はは、これは手厳しい。それはそうとミズ・シチリア、今夜はどうしたので?」
ゼーヴが新しくお茶を淹れて席についたのを確認して、本題を切り出す。
「この前、私の裁判所に襲撃を仕掛けた人たちがいるのは知っているわね?」
「ええ、よく覚えているわミズ・シチリア。ここは裁判所と近いもの。あの時は少し怖かったわ。」
「よく言うよ、ゼーヴさん。発砲音や剣戟の音をBGMに菓子を焼いていただろうに。…すまんかった。」
ゼーヴの返答にロボが茶々を入れるが、睨まれてすぐに黙ることになる。このへんは土地も種族も関係なくいつだって女性のほうが強いのだ。
「それで、その一連の事件は片付いたのだけれどね。成り行きでベッローネファミリーの跡取りを筆頭に新たに移動都市を建設することになったのよ。」
「へえ、それはそれは。あの子も大きくなったものだね。」
「ふむ、子供たちに建設業務を手伝わせようという話かい?」
「ええ、そのとおりよ。とはいえ、ある程度は体が出来上がった子供に限定されてしまうけれど。そうそう、これは強制ではないから安心して頂戴。」
「わかりました、ミズ・シチリア。とりあえず条件に合致する子たちに興味があるか明日聞いてみますよ。」
「ええ、お願いねゼーヴ。それじゃあ迎えも来たことだし私は帰るわ。」
「お見送りしますよ、ミズ・シチリア。」
夜は更ける。部屋の窓から頂点に上った月が沈みゆくのを眺めながらロボはウイスキーを口にする。
くしゃみをした時から彼にはある予感があった。近々懐かしい再開と良い出会いがある、そんな気がするのだ。未来への楽しみに顔を綻ばせながら彼は床につく。
今夜はいい夢が見れそうだ。
表現できなかったこと
・エンペラー―ロボとは友人ですがテキサスと関わりがあったことは知らなかった
・テキサスの説明―色々と暈されてるのは彼女自身が人から聞いただけのため断片的にしか知らないから。
・ゼーヴ―ミズ・シチリアの部下という扱い。あくまでも書類上の話で結局はただの肝の座ったおばちゃん。"ウルヴス"に関しては何も知らない。
・ロボ―ドンパチがあったことは知っているが詳細は知らない。もっと言えばその時テキサスやラップランドがシラクーザに戻ってきていたことも知らない。
整合性は置いてきた、ハッキリ言ってこの作品にはついていけない。
いつになるかはわからないけど過去編の掘り下げとかロドス日常とかやりたいなぁ…。
評価、感想、その他諸々お待ちしてます。
アークナイツやらブルアカやらFateやら色々書いてはぶん投げてる状態で恥ずかしい。大学受験で修正する時間もないんだもの。ネタとしては我ながらいいと思うんだけどなぁ…
日常回って何だ…?
-
ロドス・バー(ラ・プルマたち)
-
鬼の飲み会(ホシグマたち)
-
戦闘任務(フェン、クルースたち)
-
ペンギン急便バイト(テキサスたち)
-
アーツによる医療部手伝い(ケルシーたち)