俺が悪役に転生するのは間違っている   作:グレンリアスター

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プロローグ

 暗い雲に覆われた空の下で、冒険者たちの街―――オラリオは地獄を味わっていた。

 誰もが悲鳴を上げ、いくつもの建物が崩壊。

 闇派閥(イヴィルス)による襲撃で多くの血が流れ、倒れて行った。

 そんな悪の派閥に付き従う絶対悪の化物である二人は、たった一人の冒険者によって追い詰められていた。

 

「ぐっ」

「がっ!」

 

 吹き飛ばされる灰色の髪の女と臙脂色の髪の男。

 オラリオが誇る巨大闘技場で『武人』と『魔女』は連携しながら戦うが、追い詰められる。

 あらゆるものを喰らい、陸の王者(ベヒーモス)を倒したゼウス・ファミリアの男—――【暴喰(ぼうしょく)】のザルドは顔を歪める。

 

「クソ……こんな奴がいるなんて聞いてないぞ」

 

 才能に愛され、海の覇王(リヴァイアサン)の討伐に貢献したヘラ・ファミリアの女―――【静寂(せいじゃく)】のアルフィアは閉じていた目を大きく見開く。

 

「こいつは……なんなんだ」

 

 獣の爪に引き裂かれたような深い傷跡を持つザルドが纏う漆黒の全身型鎧には、いくつもの皹が走っていた。

 灰色と翠色の瞳を持つアルフィアの黒いロングドレスには、あちこちが破られていた。

 多くの者を殺し、絶望を与えた『覇者』。

 LV7という力を持っており、絶対悪としてオラリオの前に立ちはだかる最強と最凶。

 そんな化物達を追い詰め、苦しめていたのは、

 

 たった一人の『魔王』だった。

 

「どうした絶対悪……俺はまだ立っているぞ?」

 

 冷たく、聞いている者を恐れされるような声を漏らすのは一人の男。

 禍々しく、刺々しい漆黒の鎧を纏い、四つ目の猫の顔を模した兜を被っている。

 剣と翼のエンブレムが刻まれたマントが風で激しく揺れた。

 左手に握り締めた白と金の刀から雷が激しく迸り、右手に握り締めた黒と赤の両刃の剣から炎が激しく燃え上がる。

 かつて自分達に敗北を与えた『黒竜』の如き、恐怖と威圧に二人の『覇者』は汗を流す。

 

「来ないならこちらから行くぞ」

 

『魔王』は一瞬でザルドに距離を詰め、右手に握り締めた炎の剣を振り下ろした。

 咄嗟にザルドは黒塊の大剣を盾にし、『魔王』の一撃を防ぐ。

 しかし剣から発生した業火はザルドを包み、吹き飛ばす。

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 灼熱の炎に焼かれながら、ザルドは壁に激突する。

 一撃でザルドを吹き飛ばした『魔王』は視線をアルフィアに向けた。

 

「!福音(ゴスペル)

 

 鐘の音が聞こえた直後、音の衝撃波が『魔王』を襲う。

 しかし『魔王』に傷一つ付いていない。

 

「バカな……」

 

『魔王』は左手に握り締めた刀を振るい、白と金の雷を放つ。

 力強く光る雷撃はアルフィアに直撃する。

 彼女が纏う魔法衣がさらに破けた。

 

「くっ!」

 

 圧倒的な強さで二人の化物を追い詰めていく『魔王』。

 絶対悪である二人を嘲わらうように苦しめる真の化物。

 そんな『魔王』にザルドとアルフィアは問う。

 

 

「お前は……」

「貴様は……」

 

 

 

「「なんなんだ!」」

 

 二人の化物に対し、真の化物は静かな声で答える。

 

「正義の女神アストレアの眷属であり、アストレア・ファミリアの団長」

 

『魔王』は己の名を告げる。

 

「ジュラ・ハルマ―だ」

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