翌日、アナティアのところにやってきた俺は、彼女の工房で鍛冶と魔道具製作の鍛錬をしていた。
アナティアに指導されながら、赤熱化している金属を俺はハンマーで何度も叩く。
カンカン!と金属音が鳴り響き、火花が飛び散る。
「もっと力強く!もっと繊細に!」
「おう!わかった!」
汗を流しながら、俺はアナティアの技術を吸収した。
いや、より正確に言うには……継承された彼女の技術に慣れさせていく。
俺に才能はない。
だがそれでも鍛錬をやめなかった。
『彼女がどんな結末になっても……心を折れないで』
『そしてその子の『技』を……ちゃんと受け継ぎなさい。それが彼女の望みなら』
昨日、アストレア様が言っていた言葉を思い出す。
なんで俺にあんなことを言ったのかわからない。
だけど一つだけわかることがある。
俺はなにがなんでもアナティアの製作技術を完全に受け継がなければならない。
でなければ後悔する。
一生後悔するのは間違いない。
だからこそ、俺は……作るのをやめない!
「あと一時間やったら次は魔道具製作の鍛錬だよ」
「わかった!」
<><><><>
「ジュラ……もっと慎重に……たけど豪快にやって」
「お、おう」
静かにそして慎重に金属を切断し、削っていく。
別の意味で頬から汗が流れる。
集中力を高め、魔道具製作の鍛錬をしていた俺は手を止めて、後ろにいるアナティアに視線を向けた。
「なぁ……アナティア。本当に俺でよかったのか?技術を継承させるの」
「うん。よかった」
アナティアは即答した。
「君しかいないよ。私の『技』を受け継ぐのに相応しいのは」
「……そうか」
「だからほら、集中してやって」
「へいへい」
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それから俺はアナティアのところで製作修行を続けた。
赤熱化した金属を叩き、繊細に金属を変形させる。
慎重に、だけど豪快に。
力強く、だけど繊細に。
俺自身が器用だったのと、アナティアから継承した技術と知識のおかげで修行はうまくいった。
そして一週間、ついに……完全にアナティアの『技』を身につけた。
「できた……」
汚れた手で俺は額に浮かんだ汗を拭う。
「うん。できたね……私の……私達の一族の技術を」
アナティアは嬉しそうに微笑む。
「しかし……改めてこんなものを考えるなんてすごいな……お前は」
そう言って俺は机に置いてあるものに視線を向ける。
俺がアナティアの指導のもとに作ったのは、二つ。
一つはバックパック。
そしてもう一つは盾と剣。
一見するとどこにでもありそうなものだが、中身が違う。
「試しにやってみるか」
俺は近くにある大剣を手に取り、バックパックに突っ込んだ。
すると吸い込まれるように中に入っていく。
バックパックの大きさと大剣の大きさではありえないことだ。
これがアナティアから受け継いだ魔道具製作技術―――空間収納。
バックや箱などに別の空間を作り、見た目以上の量を収納することができる。
「そしてこっちが……こうっと」
次に俺は剣を盾に強くぶっ刺した。
すると盾と剣はガチャガチャと音を立てて変形を始める。
変形が終わった時には、盾と剣は片刃の大剣へと形を変えていた。
これがアナティアから受け継いだ鍛冶技術―――変形機能。
他にも色々と受け継いだが、一番すごいのはこの二つの技術。
「空間収納に変形機能……とんでもないな。これは」
「これはお母さんとお父さんが考えたものなんだ。すごいでしょ?」
「ああ、すげぇよ。尊敬する。なぁ……もしよかったらお前の両親のことを詳しく―――」
俺がアナティアに視線を向け、問い掛けようとした。
その時、
「ガハッ……」
彼女は口から血を吐き出した。
「え?」
意味が分からず呆然とする俺の頬に、アナティアが口から吐いた血が飛び散る。
「ははは……ついにダメみたい……だ……ね」
アナティアはゆっくりと目を閉じ、床に倒れた。
「アナティア!!」