なぁ、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?』って知ってるか?
英雄に憧れた少年、ベル・クラネルが冒険者として活躍する物語だ。
戦いあり、感動あり、恋愛あり!
とても人気でアニメ化や映画化するほど面白いファンタジーストーリー。
さて、なぜこんな話をするのかと言うと……実はこの俺、
いや~最初は喜んだよ。トラックに撥ねられて死んだと思ったら、ダンまちの世界に生まれ変わって……マジでテンション上がった。
だが……ある事に気が付いて、俺は酷くショックを受けた。
なににショックを受けたのかって?
ショックを受けたのは二つ。
一つは俺が転生したのは原作が始まる前ーーー暗黒期時代だったということ。
知っている人もいるだろうが、暗黒期とは
ハッキリ言って地獄。建物は壊され、人は殺され、びくびく怯えながら生活しないといけない。
しかも主人公であるベル・クラネルにも会うことができない。ダンまちファンとしては非常にショックです。
そして一番ショックを受けたのは、転生した身体だ。
いや別に不細工とかそういうんじゃないよ。顔は少し悪そうな感じで、種族は人間ではなく猫耳と猫尻尾を生やした
そこまではいい。
ただ…転生した身体の名前が問題だった。
転生した身体の名前は、ジュラ・ハルマ―。
闇派閥の一つ、【ルドラ・ファミリア】の団員で、調教師として活躍していた悪役キャラクター。
二つ名は【
主人公ベル・クラネルを何度も助けた美女エルフ、リュー・リオン。彼女が所属していた正義のファミリア、【アストレア・ファミリア】が壊滅した原因。
そしてジャガーノートという化物を操作しようとして失敗し、殺される猫人。
マジで最悪だよ。よりによってジュラに転生するとかマジないわ。
不幸中の幸いは、まだ【ルドラ・ファミリア】に入っていない子供時代に転生した事だ。
あと故郷はアニメの舞台となるオラリオとは、遠い離れた小さな村。
自分があのジュラに転生した事に気が付いた俺は、死なないために原作に関わらないことにした。
村で平穏に生きよう!
そう決めたのだが、そう簡単にはうまくいかなかった。
村がモンスターによって滅ぼされ、住む場所を失った。
仕方なく家族と共に近くの街に引っ越し。
そこで一生懸命働いた。
だがまたトラブルが発生し、街に住めなくなった。
また俺達家族は引っ越し、仕事を探し、働く。
だけどまたトラブルが発生して住めなくなり、移住。
それを何度も繰り返した。
自分は呪われていると思ったよ。
しかも最悪な事に引っ越し中に、モンスターに襲われ、家族とはぐれてしまった。
モンスターから逃げて逃げて…なんとか逃げ切った俺は、ある場所にたどり着いた。
そこは巨大な壁に囲まれた都市。
多くの神が住み、あらゆる種族が集まっている。
そしてダンジョンが存在する。
そう。たどり着いたのはダンまちの舞台となる迷宮都市オラリオだ。
絶対に呪われていると思ったよ。
だって関わらないようにしていたのに、逃げた先がオラリオって…呪われている以外にないわ。
正直、オラリオには入りたくないが、他に行く場所もないし、なによりまたモンスターに襲われるかもしれない。
だったらいっそのことオラリオに住んで、良いファミリアに入って、死なないように強くなろう!
そう思った俺は、オラリオに住むことにした。
<><><><><>
「にしても…どのファミリアに入ればいいのか」
オラリオの中に入った俺は、公園のベンチに座って考えていた。
ファミリアに入る…それは神の眷属になるということ。
どの神の眷属になるのか、慎重に考えないといけない。
闇のファミリアは論外。
できるだけいい神様の眷属になりたいな。
「どのファミリアにするか…ヘスティア・ファミリアは今はないし、ヘファイストス・ファミリアは鍛冶の能力がないとダメだし、ロキ・ファミリアは俺が入れるかどうか…ヘルメス・ファミリアは面倒くさそうだし、フレイヤ・ファミリアは殺し合いをしなくちゃいけないし……」
俺は深く悩んだ。
どのファミリアに入るのか。そしてどのファミリアが自分に合っているか。そしてどのファミリアなら、俺を受け入れてくれるか。
「……マジでどうすっかな~」
頭をガリガリ掻きながら、俺は悩んでいた。
そんな時だ。
「あなた…どうしたの?」
女性の声が聞こえた。
振り向くと、そこには胡桃色の長い髪を伸ばした美しい女性ーーーいや、女神がいた。
「……」
俺は思わず見とれた。
なんて美しい女神なんだろうと思った。
というかこの女神…どこかで。
「あの…私を見つめてどうしたの?」
「あ、いや…綺麗な女神さまだなと思いまして」
「ふふふ、ありがとう。そう言ってくれるのは嬉しいわ。それで…どうしたの?なんか困ってそうだけど?」
「いや実は……どのファミリアに入ろうか悩んでて」
「あらあなた、冒険者になりたいの?」
「はい。でもどの神の眷属になればいいか…分らなくて」
「そうなの……ねぇ、あなたがもしよかったら、私の眷属にならない?」」
「え?」
俺は目を丸くした。
まさか自分が女神に誘われるとは思わなかった。
「いいんですか?その…俺、いかにも悪そうな見た目しているのに」
「見た目なんて関係ないわ。一番大切なのは、ここよ」
そう言って女神様は自分の胸に手を当てた。
大切なのは心。
彼女はそう言っているのだ。
名前は知らないけど、この女神様は見た目だけじゃなく、心も綺麗なのか。
「あの…本当にいいのであれば、あなたの眷属にしてください」
俺は頭を深く下げて、お願いした。
この人の眷属になりたい。
心からそう思った。
「ふふふ、よろしくね。私の初めての眷属さん」
女神様は優しそうな微笑みを浮かべて、そう言った。
やべぇ……マジで惚れそう。
<><><><><>
それから俺は女神様と共にとある建物にやってきた。
その建物は、二階建ての小さな家だった。
「さぁ入って。ここが私のホームよ」
「お邪魔します」
俺は女神様のホームに上がった。
中はとても綺麗で、毎日掃除しているのが分かる。
「さぁ今からあなたに『
「分かりました」
俺は言われた通りに上着を脱いで、上半身裸になった。
女神様は棚の引き出しから、細い針を取り出す。
そして自分の人差し指の指先に針を刺した。
刺した場所から血が流れ、その血をーーー神血を俺の背中につけた。
すると俺の背中が光り出す。
分かる。『神の恩恵』がーーー【ステイタス】が刻まれるのが。
「これであなたは私の眷属ーーーあら?」
「女神様?」
少し驚いたような声を漏らす女神様。
え?なに、なにか問題でも発生?
「どうしたんですか?」
「いえ、ちょっと…あなたのステイタスが……見てもらった方がいいわね」
女神様は羊皮紙に俺の【ステイタス】を書き写す。
「これが…あなたのステイタスよ」
俺は羊皮紙を女神様から受け取り、【ステイタス】を確認する。
ジュラ・ハルマー。
LV1
・『力』:I0
・『耐久』:I0
・『器用』:I0
・『敏捷』:I0
・『魔力』:I0
《魔法》
【
詠唱式『異界の商品よ、買わせたまえ』
・食料や医療具、道具などをお金で購入することができる。
・お金を消費する。
《スキル》
【
・何かを行う時、『器用』が上昇。
・不幸に補正。
【
・高確率でモンスター、ダンジョンなどからドロップアイテムが手に入る。
・モンスターに遭遇率に補正。
「なんだよ、これ」
俺は頬を引き攣った。
スキルや魔法の発現条件は、恩恵を受けた者の経験や想いなど。
【商品購入】は間違いなく、前世の影響だろう。
そして【器用貧乏】や【素材発見】はジュラ・ハルマーの影響だ。
今世の俺は自分で言うのもあれだがめちゃくちゃ器用だ。
だが【素材発見】はよくわからない。なぜ手に入ったのか、わからない。
しかしそれよりも重要なのは、魔法とスキルのデメリットだ。
なんだよ不幸補正に、モンスター遭遇率補正って?
まだ【商品購入】のお金を消費するはいい。
ただ【器用貧乏】と【素材発見】のデメリットは酷い。
絶対に呪われているだろう、俺。
まぁ……ダンまちの主人公みたいにメリットばかりの魔法やスキルは手に入らないのかもな、トホホホ。
「まぁ、元気を出しなさい。いいことはあるわ。それに恩恵を与えた時に、スキルや魔法を持ってるなんてすごいわ」
「そう……ですね」
女神様の優しさに、俺の心は癒された。
「そういえば女神様の名前を聞いていませんでした。名前を教えてもらっても?」
「えぇ、いいわよ。私の名前は
「……え?」
俺は硬直した。
今……なんて言った?
「すみません。もう一度、言ってもらっても?」
「私の名前はアストレア。正義を司る女神よ」
「アストレア?」
「そうよ」
「正義を司る女神?」
「えぇ、そうよ」
「……マジか」
俺は気絶しそうになった。
嘘だろ。まさか自分が……アストレア様の眷属になるなんて。
読んでくれてありがとうございます。
月に一回は投稿するので、よかったら暇な時に読んでみてください。
読者様がこの作品で少しでも暇つぶしになるなら嬉しいです。
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