防具と武具を買い、アイテム屋で回復薬とそれを入れるポーチ、そして頑丈なバックパックを装備した俺はダンジョンに向かった。
向かうは一階層。
俺はドキドキと胸を高鳴らせながら、歩んだ。
そして……到着した。
「ここが……ダンジョン」
視界に埋め尽くすのは薄青色に染まった壁と天井。
天然の迷路が広がっている。
すげぇとしか言えない。
ここが主人公であるベル・クラネルが活躍する場所。
「さて……いつモンスターが出現するのか……」
俺は警戒しながら一階層の中を歩き回ろうとした。
その時、壁から音が聞こえる。
音の方に視線を向け、俺は盾と斧を構えた。
しかし壁から現れたのはいくつもの鉱物。
「これは……」
俺はしゃがんで戦斧を地面に置き、ザクロ状の鉱物を拾う。
まさか……これって、
「
最上級の硬度を持ち、強力な武器の材料として使われる鉱物。
図鑑でしか見たことがないが、間違いがない。
それも五個ぐらいある。
しかし超硬金属は下層で採れる希少な鉱物。
それが上層で採れるなんてありえるのだろうか?
「これは明らかに【素材発見】が関係しているよな」
モンスターの遭遇する確率が高くなる代わりに、モンスターやダンジョンからドロップアイテムが手に入る確率が高くなるスキル。
このスキルが影響しているのは間違いない。
まさか上層で超硬金属が手に入るとは思わなかったが。
「とにかく持ち帰ろう。売れば金になる……いや、これはアナティアにお願いしてこれで武器を作ってもらうか」
俺はバックパックに超硬金属をしまい、立ち上がった。
その時、背後から気配を感じる。
視線……と殺意。
「!」
振り返るとそこには三匹のモンスターがいた。
小鬼の姿をしており、肌が緑色。
ゴブリンだ。
「初めての戦闘……だな」
緊張を感じながら、俺は斧と盾を構える。
フゥ―と静かに息を吐き、集中力を高めた。
「グギャギャ!」
ゴブリンの一匹が襲い掛かってきた。
俺は戦斧を力強く振るい、迷わずゴブリンの首を叩き斬る。
首を失ったゴブリンは灰と化し、魔石が地面の上に転がった。
「まずは一匹!そして……二匹目!」
俺は戦斧を素早く投げ飛ばした。
クルクルと回転する戦斧はゴブリンの頭に直撃。
赤い血が飛び散り、最後の一匹であるゴブリンは驚愕の表情を浮かべる。
「三匹目!」
俺は地面を蹴り、ゴブリンに突撃。
そして左腕に装備している円形の金属の盾でゴブリンを殴る。
重い一撃を受けたゴブリンは痛みで顔を歪めながら、地面に倒れた。
地面に倒れたゴブリンに俺は盾でもう一度殴る。
そしてまた殴る。殴る。殴る。
殴る度に赤い血が飛び散るが、ゴブリンが死ぬまで殴り続けた。
「グ…ギャア……」
盾で何度も殴られたゴブリンは灰と化し、魔石と牙のみが残る。
俺はフゥ―と息を吐き、肩の力を抜く。
初めての戦闘だが、なんとかうまく倒せた。
「いきなり三匹のモンスターが現れたからビビったけど……なんとかなったな」
俺は魔石と牙を拾い、バックパックにしまう。
それにしても《牛影》とか言う戦斧……なんて切れ味なんだ。
五十万ヴァリスするだけのことはある。
「うん。いい武器だ。しかし……これだけいい武器が作れる鍛冶師なら原作で登場してもいいぐらいなのに」
《牛影》を作った小人族の鍛冶師であるアナティアの腕は本物だ。
ここまで凄い武器を作れる者は、あまりいないだろう。
むしろなんでこれほど凄い武器を作れる鍛冶師が原作に登場しないのが不思議なぐらいだ。
少なくともモブキャラとして登場してはいいだろう。
「なにかしらの原因でアナティアはオラリオからいなくなったとかか?……ん?」
アナティアのことを考えていると、壁からまた音が聞こえる。
また鉱物かなと思っていると、壁から現れたのはモンスターだった。
ゴブリンだ。
「よし……もう少し狩りまくっ……て」
俺は戦斧を構え、兜の中で汗を流した。
なぜか?
それは壁から現れたゴブリンがバカみたいに多かったから。
その数……四十体以上。
「これも……【素材発見】……の効果か?」
俺は頬を引き攣った。
「「「「「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」」」」
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!?」
雄叫びを上げながら襲い掛かるゴブリンの大群。
俺は全力で走って逃げた。
畜生!やっぱりそう簡単にはいかないか!!
ダンジョンで無双するのは間違っているだろうか?
はいそうです。間違ってました!!
転生したから無双できると心のどこかで思ってました!!
俺がバカでしたよ、クソったれ!!