ニャンコ・ファミリア大戦記   作:薔薇尻浩作

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感想、評価ありがとうございます。
また感想返信が遅れてしまい申し訳ございません。

誰とは言いませんが軽くボコボコにされます。


戯言日記 其の十五

 

 

✕月Å日 長すぎる追記

 

 

 満点の星空と大きな月をこうして見上げていると、いかに私という猫人がちっぽけな存在なのか思い知らされる。

 ぼんやり光る三日月は見事に大きくて、まるでチェシャ猫のニンマリした口のように見えて来るから不思議だ。

 ちなみに『不思議の国のアリス』シリーズで有名なチェシャ猫であるが、チェシャという名前の猫。という意味ではなく、チェシャー地方に住む猫。だという事はあまり知られていない気がする。

 じゃあチェシャー地方って何処なのよ? なんて聞かれても私は知らんがな。としか答えられないのだが。

 

 そう言えばこのオラリオには様々な塵紙……じゃなくても神々が降臨している訳だが、何故月の数は一つなのだろうか?

 ここはファンタジー世界なのだから、神々の数と同じ数の月があっても良いのでは無いだろうか?

 ……いや、やっぱり良くないか。

 月を司る神なんて、ちょっと思い出しただけでも相当数だ。

 『ツクヨミ』、『ホルス』、『ナンナ』、『ソーマ』、『ディアーナ』

 あとは今は居ないらしいけど『アルテミス』もか。

 そんなに月が沢山あったら、夜は常に明るくてきっと毎日ぐっすり眠れなくなってしまうだろう。

 うん。やはり月は一つでいいや。

 

 

「おーい。いつまで寝っ転がってるつもりだニャ?」

 

 

 さて、私が何故長々と夜空の月に思いを馳せていたかというと、ただの現実逃避である。

 

 まあ結論から言うと酔っ払った狼人に顔面を蹴り飛ばされ、壁を突き破ってこの路地裏まで吹っ飛ばされたのだ。

 故に今の私は割と満身創痍である。

 シャツはボロボロだし、髪は砂埃まみれ。きっと鼻は折れていて、血が出ている事だろう。

 

 ああ、もはやこの儚い猫人生は終焉を迎えるのかも知れない。 

 最期のお願いだ、愛しき人よ。

 どうか私に別離の接吻をくれないだろうか?

 

 

「アホなこと言ってねーでとっとと起きろニャ」

 

 

 痛い。ゲシッと擬音が鳴る勢いでクロ姉ちゃんは私の頭に蹴りを入れた。

 曲がっていた鼻の骨をポキリと音立てて直し、パンパンと砂埃を払いながら立ち上がる。

 ふと足下を見やれば、まるで轍でも引いたかのようにして、私がぶっ飛ばされた軌道が地面に刻まれているではないか。

 相手も酔っていたから全力ではなかったとは言え、結構な距離を吹っ飛ばされたものである。

 豊饒の女主人があそこまで小さく見えるならば、100メートル以上。否、100メドル以上は蹴り一発で吹き飛ばされたのだろう。

 

 だと言うのにクロ姉ちゃんよ。何故に私を足蹴にするのだ。

 少しは心配してくれても良いではないか。

 抗議の声を上げると、彼女はものすごいバカを見る目で言った。

 

 

「おミャーがあのキモい生き物を召喚して防がなかった時点で、わざと受けたのなんか丸わかりだニャ」

 

 

 まあ、仰る通りである。詳しく説明した覚えは無いとは言え、付き合いの長いクロ姉ちゃんには【自動演算(ニャンピューター)】の存在も何となく理解っているのだろう。

 確かに私はあの狼人の右脚が私の顔面に食い込む直前、スキルの影響でほぼ無意識の内に『ちびネコカベ』を召喚して攻撃を防ごうと動こうとしていた。

 だが、あえてそれを自分の意思でキャンセルし、かの狼人の攻撃を受け入れている。

 結果、こうして酒場の壁を突き破って吹っ飛ばされて夜空を見上げて大の字に寝転んでいたという訳だ。

 

 

「……つーか武装していなかったとは言え、あの『凶狼(ヴァナルガンド)』の蹴りを食らってほぼ無傷の人間の何を心配しろって話だニャ」

 

 

 まあ、それは確かに。

 実のところ私のステータスは基本的にどのアビリティもカンストしている。

 これもまた、転生特典と思わしきチートスキルのおかげだ。

 

 

個人階位(ユーザーランク)

 

・ステイタスはユーザーランクに依存する。

・経験値蓄積によるステイタス上昇、下降不可能。

・ユーザーランクは使用可能キャラクターの合計レベルとなる。

 

 

 前世の世界にて『にゃんこ大戦争』のやりこみ度を表すポイントとして表記されていたのが、このユーザーランクである。

 使用キャラクターのレベルと施設レベルの合計数で表される、このランクが高ければ高い程、沢山のキャラクターを集め、なおかつレベルを上げまくっている証明となり、結果的にゲームをやり込んでいる証となるのだ。

 

 恐らくはそのユーザーランクが元となったであろうこのスキル。

 簡単に言ってしまえば通常の戦闘やダンジョン・アタックで経験値が得られない代わりに、全てのアビリティが私のユーザーランクの値に反映されるという事だ。

 ユーザーランクが999になれば、レベル1の時点ならば全アビリティが999のSランクになるという、なかなかのチートスキルだ。

 

 ただし、レベルアップに関しては他の冒険者と同じで偉業達成の必要があるのだが……ガチャを回しまくり、キャラクターを育てまくった私はレベルアップと同時に、全てのアビリティがカンストする事を今まで何度も繰り返して来た。

 

 

「は? 全ステータスが999まで伸びている? おミャーは本当に化け物だニャ……」

 

 

 ちなみに私の現在のユーザーランクは7600。

 仮に私がレベル7になったとしたら、速攻で全アビリティがS999までカンストするし、レベル8まで至ったならば、無条件で全てのアビリティが600近くまで上がる仕様となっている。

 まあ、レベル5止まりの今では少々もて余し気味のスキルではあるが、有用であるのは間違いない。

 現に、レベル5の現在でも防御のアビリティS999の硬さは伊達では無かったようだ。

 

 そのおかげか、蹴撃を喰らった鼻以外は骨も折れて無いし特に脳が揺れた感覚も無いのでダメージ自体はそこまででも無い。

とは言え、やはり体重が軽いのは私の弱点だろう。

 もう少し筋肉をつけた方が良いのかもしれない。

 ところでクロ姉ちゃん。どうしてここに?

 

 

「今さらだニャ……おミャーが蹴っ飛ばされたからミア母ちゃんに様子見と、伝言を任されたのニャ。全く、母ちゃんったらカンカンだニャ。店内で喧嘩した挙げ句にテーブル壊すは壁はぶち破るわ」

 

 

 いや、テーブル壊したのはロキ・ファミリアのアマゾネスだし、壁を突き破った件も私を蹴り飛ばした狼人が悪いとしか言えないのだが。

 

 

「いくら相手から手を出したとは言えおミャーも煽り過ぎだニャ。もうロキ・ファミリアの連中もブチ切れてるわ、ミア母ちゃんはもっとキレるわ、幹部連中は頭を抱えているわで店内はめちゃくちゃだニャ」

 

 

 ジト目でそんな事を言うクロ姉ちゃんに私は思わず目を逸らした。

 いや、だって、ほら。私にだって言い分はある。

 ロキ・ファミリアの面々に対しての怒りがようやく引いて来たので帰ろうとしたタイミングで向こうの主神、つまりロキ神がエントリーして来たのだ。

 しかも、超上から目線でズケズケと物を言って来たものだから、私も思わず怒りが再燃したのも無理は無いだろう。

 

 

「いや、相手は超越存在(デウスデア)なんだから上から目線で当然だニャ」

 

 

 まあ、オラリオの常識的にはそうなのかも知れないが。

 とは言え眷属に命がけで金を稼がせておきながら、自分だけはのんべんだらりと遊び呆けている馬鹿な悪神の分際で偉そうにしゃしゃり出られたらいくら私とは言え面白く無い。

 多少、あのオナベ神とその眷属に嫌味を言うくらい多目に見ても良い筈だ。

 

 

「おミャーは手さえ出さなきゃ何をやっても良いって考えを何とかしろニャ。それとオナベ神って何ニャ?」

 

 

 オカマの親戚である。

 

 

「釜? 鍋? ……まあ、おミャーの頭がイカレポンチなのは今更だニャ」

 

 

 酷い言い草である。

 とは言え、手を出したのはロキ・ファミリア側だ。

 これは紛れも無い事実である。

 確かに私は彼等に嫌味も言ったし、煽りもした。

 だが先に友人を公然の場で侮辱し、酔った勢いで噛みつき、挙げ句の果てにはブッ殺すだなんて殺人予告までされたのだ。

 多少、やり返すのは許されて当然である。

 

 

「いや、やり過ぎだニャ。何なんだニャ、あの世界のフィンガー『くたばりやがれ』ポーズ集って。ロキ様めっちゃブチギレてたニャ」

 

 

 アメリカ方式、フランス方式、日本方式、イタリア・ナポリ方式まで完璧に網羅してやった。オマケにギリシャ方式までつけたのは御愛嬌である。

 まあ、これが欧米でやったなら割と洒落にならないかも知れないが、ここは異世界だからセーフだろう。

 何故か神には意味が通じていたっぽいが、そこは結果オーライだ。

 

 

「いや、あのキレ方は全然オーライじゃニャイだろ。大体何処なんだニャ、ニホンとかナポリとかって」

 

 

 まあ、ぶつくさ言っているクロ姉ちゃんはさておき。

 

 その他の仕返しとしては、眷属の前でロキ神の『悪戯』として伝わる神話の数々を暴露したあとに、「親は子に似るって本当なんですねー。邪神の子供は流石邪悪ですわー」とニコニコ笑ってみたり。

 

 麗しきエルフの王族様に「ロキ・ファミリアって邪智暴虐な行いがデフォなんですか? 私、尊敬しちゃいます♡」と男の娘フェイスを最大限利用した上目遣いに、甘ったるーいアニメ声を作ってまで純粋な疑問をぶつけてみたり。

 

 唸っている狼人の目の前で、召喚した数体の『ネコザイル』と『ネコダンサー』、『ネコカーニバル』をバックダンサーにして「ねぇねぇ今どんな気持ち? 惚れた女に不様にフラレて今どんな気持ち? ねぇ今どんな気持ちー⁉」と繰り返しながら踊ったり。

 

 まあ、これぐらいは許される筈だろう。

 

 

「完璧にやり過ぎだニャ……『凶狼』がおミャーを蹴っ飛ばすのも無理はないニャ」

 

 

 クロ姉ちゃんが頭を抑えて何やら言っているが、私からしたら十分に許容範囲の筈である。

 私は口で売られた喧嘩を、口で買っただけなのだ。

 

 だが暴力はダメだ。手を出したら戦争である。

 私は小心者の平和主義者で、なおかつ理性的な猫人だ。

 故に、内心では友人を侮辱したロキ・ファミリアに対し腸が煮えくり返るような怒りを覚えていたにも関わらず、終始冷静に話し合いと多少の口論で収めようと努力して来た。

 にも関わらず、彼等は私に対して実力行使に出てきたのだ。

 それも、私のような高いステータスを持つ猫人で無かったなら命を落としかねない致命的な暴力という形でだ。

 

 もはや論ずるまでも無い。

 ロキ・ファミリアの面々は私に対し、否。

 我が『ニャンコ・ファミリア』に対し、今、この時を持って、宣戦布告したと同義である!!

 

 平和主義者である私に対して凄惨なる暴力を振るう輩は許してはおけない。

 これは自衛の為の殲滅も致し方ないと言えるだろう。

 

 

「ミア母ちゃんからの伝言だニャ。喧嘩両成敗って事で後日店の修理代と迷惑料はきっちり徴収するって。あと『やり過ぎるな』だってニャ。具体的に言うといくらムカついたとは言え、神様に手を出すのは御法度だニャ」

 

 

 クロ姉ちゃんやミアさんは何を心配しているのだろうか。

 私は平和主義者であり、根が善良で、寛大な猫人だ。

 もちろんオラリオのルールは弁えている。

 私個人の考えとしては、人を超越した技術や知識を持つ『デメテル』様や『ヘファイストス』様。

 経営者兼、領主として優れた統治能力を持つ『イシュタル』様や、神格者である『ヘスティア』様などの、極小数の例外を除いた神々などは私の邪魔をするならば須らく皆殺しにしてやりたいのが本音だ。

 

 だがここはギルドが幅を利かせるオラリオだ。

 繰り返すが、私だって道理というものは弁えている。

 傭兵時代にこちらを散々扱き使った挙げ句「ヤベッ☆今手持ちが無いのを忘れてたー。頭下げるから許してチョ」と報酬を出し渋った馬鹿な神を血祭りに挙げたり、クロ姉ちゃんが酔った時にポツリと漏らした過去の話があまりにも胸くそ悪かったので古巣を襲撃して主神諸共、皆殺しにしたりだとか。

 あの時から私は成長したのだ。最低限のルールだとか不文律だとかを出来るだけ守ろうと努力するぐらいの事は出来る……筈だ。

 

 いや、まあ確かにロキ神をぶち殺した後に恩恵(ファルナ)を失った面々をプチプチ潰した方が話が早いので、うっかり事故をゴリ押ししてロキ神をぶち殺そうかなぁ、とは考えていたが。

 クロ姉ちゃんがそう言うならば、この案は無しにしよう。

 

 

 

「……ねえ、本当に勝てるの? 相手はロキ・ファミリアだよ?」

 

 

 おや、クロ姉ちゃんのあざとい語尾が抜けているではないか。

 どうやらクロ姉ちゃんは私が負ける可能性があるとでも勘違いしているようだ。

 私は苦笑しながら心配しないで欲しいと告げる。

 

 もしもこれが戦争遊戯(規則だらけ)での戦いなら、恐らく勝ち目は薄かっただろう。

 例えば『フィン・ディムナ』との一騎打ちだなんてルールを定められたら、ほぼ負け確である。

だが、よりによって奴らは元傭兵である私に対して戦争(何でも有り)を仕掛けて来た。

 この時点で私に負ける要素はない。

 というか、私は『既に勝っている』と言っても過言では無い。

 既に『別働隊』には指令を与えているのだ。

 ぶっちゃけ、此方から動かずに時間稼ぎに徹しているだけでも、勝ちはほぼ確定している。

 

 だから心配しないで欲しい。

 私は大好きな女性にそう微笑んだ。

 

 

「……まっ! おミャーがそこまで言うなら大丈夫なんだろうけどニャ。んじゃ、まあ。はい」

 

 

 私の言葉に安心したのか何処か軽薄な態度に戻ったクロ姉ちゃんは、そう言うと私に向かって右手を差し出した。

 何だろう。まさか今から一緒にタンゴでも踊ろうというお誘いだろうか。

 

 

「はぁ? アホ言ってんじゃねーニャ。今日の食事の代金。結果的に食逃げしたツレの分と今日の迷惑料込みで、有り金全部置いてけニャ」

 

 

 ……あ、ハイ。私は大人しくクロ姉ちゃんに全財産を財布ごと渡した。

 

 

 

「んニャ、これは母ちゃんに渡しておくニャ。くれぐれもやり過ぎるニャよー。ミャーだっていつまでもリューの奴を抑えられるか分からないんだからニャー」

 

 

 クロ姉ちゃんは掌と尻尾をフリフリさせながらあっという間に闇に溶けて行った。

 その、何だろうこの気持ち。これからオラリオ最強候補と言われる最大派閥との大戦争を控えているというのに、初恋のお姉さんからカツアゲされたという事実に何とも言えない虚しさを覚えた。

 割とシリアスなシーンだと思ったんだけどなぁ。

 折角だから戦勝祈願にキスでも強請れば良かったかしら?

 

 というかエルフ関連の問題があったか、面倒くさい。

 取り敢えず邪神と王族エルフは生け捕りが安牌か。

 

 

 私はそんな馬鹿な事を考えながら瞳を閉じてスキル【遊人視点(プレイヤー・アイ)】を発動。

 残して来た『巨神ネコ』を基点に『豊饒の女主人』の店内を上から覗くと、何やらフィンさん含む古参勢とその他の下っ端勢が言い争っている。

 追撃が来なかった事から何となく察していたとは言え、全く。呑気な事である。

 

 

 既にそこは戦場だというのに。

 

 

 スキル【怪猫軍団(にゃんこぐんだん)】発動。

 フィンさんに掴み掛からんばかりに言い争いに夢中になっている愚かな狼人の真後ろに『ネコジャラミ』を召喚。

 

 

「なっ⁉」

 

「こいつ、『戦争狂(ウォー・モンガー)』の⁉」

 

 

 まだ酔っているのか。判断が遅い。

 

 

「ニャッスルー!!」

 

 その巨大な掌で狼人の頭蓋を掴んだネコジャラミはハンドボールでも投げる勢いで軽々と店の入口に向かって狼人をぶん投げた。

 

 

「なっ⁉ テメェ……うおおおおっ⁉」

 

 

 予め入口付近に『たけうまネコ』を召喚させて丁寧に扉を開けさせたのは、あくまで店を壊さないようにというミアさんへの配慮である。

 

 

「ベート⁉」

 

「クソッ、ベートを追えー!!」

 

 

 ロキ・ファミリアの面々がぶん投げられた狼人を追って店を飛び出すがやはり行動が遅い。

 既に狼人は50メドル以上は吹き飛んでいる。

 

 

「ぐっ……ちくっ……しょうがっ……!!」

 

 

 とは言え、弾丸の如く投げ飛ばされた狼人は流石は高位の冒険者と言ったところだろう。

 錐揉みするように激しく回転しているにも関わらず意識はハッキリとしており、どうにか空中でバランスをとろうと藻掻いている。

 

 

「ニャー!!」

 

「ぐほっ⁉」

 

 

 が、無意味である。

 

 真横にぶっ飛ぶ狼人を更に頭上にブチ上げたのは、潜ませておいた『ネコ半魚人』だ。

 このキャラクターは素の攻撃力が高いだけでなく『浮いてる敵に超ダメージ』という便利な特性を持っている。

 現に土手っ腹に会心の一撃を貰ったであろう狼人は血反吐を吐きながら、今度は真上に打ち上げられて更に空高く吹き飛んだ。

 とは言え、これで終わらせるつもりは無い。

 

 

「ニャラーイ」

 

 

 二メドル程の大きさでありながら、頭身のアンバランスさが絶妙に気持ち悪いキャラクター『ネコにょらい』を狼人の背後に召喚。

 引力に引っ張られ狼人が空中で停止した、正にその瞬間。ネコにょらいが無数の腕の一対を音を立てて合掌。

すると直後に狼人の頭上に奇妙な程に色濃い渦巻き雲が出現し蠢き始める。

 これより御見舞するのはダメ押しの一撃だ。

 

 

「ニャラーイ」

 

「なっ⁉……ガアアアッ!!!!!」

 

 

 白雲の中から突如出現したのは脚だ。

 但し、『山の様に大きな巨人の』という前置きがつくが。

 そこらの大木が小枝に見える程の巨大な片脚が容赦なく狼人を踏み付け、地に落とし、更に踏み潰し、生々しい水音を立てながら、大地にその四肢を埋め込ませる。

 

 既に血みどろとなりつつある狼人のダメージは相当だろう。

 だが、それ以上に不自然なまでに身体に力が入らない奇妙な現象に、大いに混乱している事だろう。

 ネコにょらいは『浮いてる敵の移動を遅くした上に攻撃力を下げる』という厄介な特徴を持っている。

 つまり今の狼人はボコボコにされた上に身体が麻痺してまともに動けず、おまけに反撃する余力も無い状態という事である。

 

 要するに、カモである。

 

 

「「「「ニャッスルー!!!!」」」」

 

 

「ぐ……がぁっ……!」

 

 

 杭でも打ち込まれたように見事に地面に埋められた狼人が、死に掛けの蜘蛛のように不様に藻掻いているが無意味である。

 痙攣している狼人の周囲を覆い隠すように無数の『ネコダラボッチ』を召喚。

 凶悪な人相の白黒の巨人は、その戦闘能力も凶悪である。

 

 故に私は彼等に命令した。

 叩き潰せ。

 

 

 

「「「「ニャッスルー!!!!」」」」

 

 

 その瞬間、まるで雨霰とばかりに巨人の無数の拳が狼人の身体にめり込んだ。

 

 

 殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して何かが折れて殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打何かが砕けて殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して何かが潰れて殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して殴打して……

 

 

 フワリ。あまりの退屈さに欠伸が漏れ出た。

 これが普段の戦闘遊戯(ウォー・ゲーム)ならば酒でも飲みながら【遊人視点(プレイヤー・アイ)】を何時までも使用して上から観戦しているのだが、生憎と酒は道中飲み干してしまっている。

 

 ならば、まあ仕方ない。

 動くか、暇だし。

 

 それに、あの狼人を仕留めたとしても、まだまだ前哨戦だ。

 本命のロキ・ファミリアの集団にはまだまだ質と数を兼ね備えたそれなりの強敵が待ち受けているだろう。

 

 ふむ……あの極悪集団に通用するかは分からないが、あの死にかけの狼人を人質にして更に戦局を有利に運ばせる事も可能かも知れない。

 いや、それよりもあえて見せつける為に、彼等の眼前で首を切り落とせば、それはそれで挑発として使えるかも知れない。

 

 私はそこまで考え、瞳を開けてスキルを解除。

 鼻歌を歌いながら、今もぺったんぺったんと餅搗きされているであろう狼人の下へ、ゆっくりと歩みを進める事にした。

 

 

「「「「「ニャーーーー!!!!」」」」」

 

 

  もちろん、護衛として周囲に数百もの我が眷属、にゃんこを召喚しながらだ。

 

 戦闘遊戯時代に百鬼夜行と称された無敵の軍団の行進である。

 

 

 さあ、覚悟しておけよ。

 ロキ・ファミリア。

 

 戦争の火蓋を切ったのは貴様らなのだから。

 

 

 

-追記-

 

 

進軍開始

 

 

 

 





・ちびネコカベ

まさにカベに徹する為の盾専用キャラ。
攻撃力はあいかわらず、なキャラ。
を目指して成長中のちびにゃんこ(範囲攻撃)。150ヴァリス。


・ネコザイル

某ダンススクールでトップダンサーを目指す。
量産がしやすく使い勝手の良いキャラ。
赤い敵の移動をごくたまに遅くする。675ヴァリス。


・ネコダンサー

武と芸の両刀使いになった天才にゃんこ。
極度の人見知りのため後ろ向きに歩く方法を習得。
伝説となることでリーチを伸ばした(範囲攻撃)。2250ヴァリス。


・ネコカーニバル

世界中をハッピーな気分にさせるお祭りにゃんこ。
今日も激しく踊り狂う。75ヴァリス。


・たけうまネコ

更なる高みを目指すため視点だけでもと竹馬に乗ってみたにゃんこ。
ごくたまに天使をふっとばす。570ヴァリス。


・ネコにょらい

俗世の者たちを温かく見守る心優しき奇跡のにゃんこ。
三度やらかすともちろんキレる(範囲攻撃)。
たまに浮いてる敵の移動を遅くし攻撃力をダウンさせる。1650ヴァリス。


・ネコダラボッチ

超絶破壊力&強靭な体力を備えた破壊をつかさどるネコ神様(範囲攻撃)。1950ヴァリス。




グロ描写

  • 入れろ。内臓抉り取れ。
  • 止めろ。自重しろ。
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