ニャンコ・ファミリア大戦記   作:薔薇尻浩作

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その内ヘスティア側の事情も書きますね。


戯言日記 其の四

 

 

◯月⇔日 追記分

 

 

 まさかまさかのヘファイストス神とそのファミリアの団長の予期せぬ来訪に多少の混乱はあったものの、歓迎の宴はとりあえず問題なく始まった。

 

 

 料理の中に召喚した覚えの無い『ねこ寿司』や『ネコ魚のお造り』がこっそり混じろうとしたりだとか。

 

 この日の為にわざわざクロ姉ちゃん経由で、彼女の職場先から取り寄せた神酒に酔った神ヘスティアが、ハーレム願望を持っているベル君に怒りながらもデレデレになっており、大胆にも抱き着いたりしてイチャついてたりだとか。

 

 ヘスティア神の豊満な胸をこれでもかと押し付けられたベル君が、アワアワと顔を真っ赤にしながら慌てたりだとか。

 

 ヘスティア神からの御土産として持ち込まれた熱々のじゃがまる君に、猫舌の妹がうっかり火傷しそうになったりだとか。

 

 初対面の割に、何故かガツガツと距離を詰めてくる椿さんに「お主は何か得物は持たぬのか? 何なら手前が一本打ってやってもよいぞ?」と売り込まれたりだとか。

 

 ヘファイストス神が意味深な瞳でこちらを眺めていたりだとか。

 

 

 と、まあ、色んな意味でゴチャゴチャとした混沌の宴ではあったものの特にトラブル無く、何とか無事に乗り切ったと思う。

 

 と言うか料理に混じろうとしていたキャラクター達は一体どういうつもりだったのか?

 え、何? もしかして君たち食べられたかったの?

 もしそうだとしたら、流石の私も反応に困るのだが。

 

 

 ちなみにお客様方がお帰りになる直前になって、デメテル様にこっそりと何故ヘファイストス神と椿さんまで我がホームにやってきたのか聞いてみると……。

 

 

「ヘスティアは下界に降りて来た時、ヘファイストスの所に暫くお世話になっていたくらいには仲が良くてね? その……多分だけど、仲の良いヘスティアが、あまり良くない噂の立っている貴方達に会いに行く事がちょっと心配だったみたいで。ね?」

 

 

 まあ、うん。理由を聞いて納得である。

 

 確かに『戦争狂(ウォー・モンガー)』とかいう物騒な二つ名だけでなく、『妖精殺し(エルフ・スレイヤー)』だとか『ファミリア潰し(ファミリア・クラッシャー)』や『鬼畜生』に『奴隷商』だとか、お世辞にも人聞きの良くない変な異名ばかりつけられてるからね。私って。

 そりゃ、そんな不穏なあだ名? 通り名? ばかりが名付けられてる男が団長をやってるファミリアなど、地上ではそんじょそこらの一般人程度の力しか持たない非力な神様からしたら恐ろしく感じるのだろう。

 

 

「ヘファイストス達が一緒に来るのは直前まで私も知らなかったから驚いてしまったのだけれど……理由も理由だから、まさか彼女の同行を断るわけにもいかなくて」

 

 

 ごめんなさいね。と困ったように頭を下げたデメテル様に、私はお気になさらずと微笑みながら返事をした。

 と、言うか、そう返すしかないだろう。

 

 デメテル様の立場で考えるなら、もしヘファイストス神と椿さんの同行を断ってしまうとヘファイストス神から「デメテル・ファミリアとニャンコ・ファミリアが結託してヘスティア神によからぬ事を企んでいる」等と余計な疑いを持たれかねない。

 

 そもそも今回、我がホームにデメテル様を中心した神々とその子供が来訪に至った経緯を詳しく聴くと、きっかけとしてはヘスティア神が団員を紹介してくれた事に対する御礼を是非ともしたい。と言い出した事だとか。

 何と言うか、意外と律儀な女神様だ。

 晩餐会の終盤辺りで思いっきり酔い潰れて、ベル君に抱き着きながら涎垂れ流してグースカと寝こけていた姿からはちょっと想像ができない。

 

 とは言え、他所のファミリアのホームにお邪魔するというのは、神々が数え切れないほど降臨しているオラリオと言えども結構、敷居が高いことだ。

 店舗を兼ねている商業系ファミリアは別としても、余程に親交が深い間柄でなくては、下手すると宣戦布告やカチコミと誤解される危険性すらある。

 例えば我がニャンコ・ファミリアも諸事情あって我らに対して、愚かにも逆恨みした他所のファミリアから過去に何度か襲撃を受けた覚えがある。

 

 ヘスティア様は眷属を紹介してくれたニャンコ・ファミリアにしっかりと御礼を言いに行きたい。

 とは言え、当然ながら立ち上げたばかりのヘスティア・ファミリアとオラリオに来て5年ほどのニャンコ・ファミリアには繋がりなどある筈が無い。

 強いて言うならベル君をヘスティア様に紹介したウチの妹が、たまたまヘスティア様がバイトをしている所の常連客として、互いに顔見知り程度の仲だった。というだけである。

 

 そこでヘスティア様は顔の広いヘファイストス様に相談。

 その結果、商売の関係で私とデメテル様が友好的である事をヘファイストス様から聞かされたのだとか。

 ならばこの縁に頼る形で、デメテル様が神友を紹介する。

 という建前で、ヘスティア様が直接我々に顔を合わせて御礼を言いに行こう。という計画を立てたらしい。

 

 と言うかヘファイストス様がよく私とデメテル様の関係を把握していたのが驚きだ。

 神会(デナトゥス)辺りで話題にでもなったのだろうか。

 

 

「でも、その時にヘファイストスがヘスティアに、モネコちゃんの噂を、ほんの少しだけ悪く言ってしまったみたいで……ヘスティアが貴方のことを誤解してしまったのよ。もちろんヘファイストスも悪気は無かったみたいなのよ? 彼女もちょっと心配性なだけで、悪い神では無いのだけど」

 

 

 その結果、我がファミリアの悪評の数々にヘタれたヘスティア様が、よりによって訪問直前になってから、神友にして高レベル冒険者を抱えるヘファイストス神に泣きつく形で護衛を要請したんだとか。

 もちろんこの時点で、デメテル様はヘスティア様が同行者と言う名の護衛を雇ったということは知らなかったそうだ。

 

 何だかんだ言ってヘスティア様を心配していたヘファイストス様も渡りに船とばかりにヘスティア様からのヘルプコールに頷き、こうして我がファミリアへの訪問に同行する事になったんだとか。

 まあ、確かにヘファイストス・ファミリアの主神とその団長は護衛にはうってつけではある。

 

 

「そう言えばヘファイストスの眷属もモネコちゃんと同じレベル5だものね。モネコちゃんと同じくらい強いのかしら?」

 

 

 デメテル様はこうして時折、おっとりした顔で答え辛い質問を投げてくるから困ってしまう。

 何が困るのかと言うと、神には子供の嘘を見抜くという厄介な特殊能力が備わっている。

 そのせいでやんわりと誤魔化すだとか、本音を隠して謙遜するという日本人独特のトークスキルが通じ無いのだ。

 

 はっきり言おう。

 いくら椿・コルブランドが私と同じレベル5だったとしても、私との単純な戦力比ならお話にならない。

 

 椿さんの戦闘スタイルは知らないが、よっぽどの奇策や初見殺しのスキルや魔法が無い限り私に勝てる可能性は皆無だ。

 これは椿さんが強い弱いの話では無く、単純に同じレベルの人間ならせめて十人は纏めてかかって来てもらわないと勝負にならないからだ。

 これは私が自分の実力を過信して傲って言っている訳では無い。

 単なる経験則なのだ。

 

 

 こんな女のような顔をした猫人だが、『戦争狂(ウォー・モンガー)』なんて二つ名がつくほどに戦争遊戯(ウォー・ゲーム)を幾度も経験……と言うか、ほぼ強制され続けて来たのだ。

 しかも、その対戦相手達は全て格上の冒険者が待ち構えているという鬼畜難易度である。

 

 私は以前、各地を神様と放浪しながら傭兵をやっていた影響もあり、オラリオに到着した時点で既にレベル3だった。

 自分で言うのも何だが、そこそこの強者だと言えよう。

 だがオラリオは魔境だった。

 ギルドに冒険者登録して半月も経たない内に私の改宗(コンバージョン)を求めて戦争遊戯(ウォー・ゲーム)を仕掛けられたのだ。

 

 後に私がレベル4になるきっかけとなった初めての戦争遊戯(ウォー・ゲーム)には総人数50名程の中規模ファミリアとの1対50の攻城戦。

 攻め手はニャンコ・ファミリア側という、もはや勝たせる気が零のイジメであった。

 おまけにレベル3の副団長が二人、団長は格上のレベル4が一人と絶望的な戦力差。

 常識的に考えたら勝ち目など有る筈が無かった。

 

 ついでに言うなら、私がレベル5に昇格する契機となった最後の戦争遊戯(ウォー・ゲーム)なんてもっと酷いものである。

 何がどう話が転んでそうなったのかは未だに謎なのだが、小規模から大規模までの様々なファミリアが徒党を組み、よりによって総力戦を仕掛けて来たのだ。

 戦力比は1対700と訳が解らない。もはやただの公開処刑である。

 あまりの絶望っぷりに非戦闘員の妹が半泣きになりながらも必死に、私と神さまに降伏しよう! と泣きついて来たのは今でも覚えている。

 確かその時もレベル4が三人と、格上のレベル5が二人が敵側にいた筈だ。

 

 無論、全て返り討ちにさせて貰ったからこそ今こうして、のんべんだらりと生活しているわけだが。

 

 

 

「……そう。知っていたつもりだったけど、モネコちゃんって本当に強いのね」

 

 

 ヘファイストス様達の顔を潰すことになりかねないので本音は言えない。

 とは言え、神様の前では謙遜も含んだ誤魔化しが効かない。

 苦肉の策としての、私の無言の微笑みにデメテル様は何かを察したのだろう。

 ほぉっと色っぽい溜息をつきながらそう言った。

 

 

 とは言え、冒険者の街オラリオで鍛冶を司っているヘファイストス・ファミリアと敵対する事は普通にあり得ない事なので、彼女達が護衛に最適なのは間違い無い。

 もし仮に私が椿さんに危害を加えでもしたら、ヘファイストス・ファミリアの武器や防具にお世話になっている冒険者達が一斉に牙を剥きかねない。

 その中にはきっとレベル6の格上や、もしかしたらレベル7まで敵に回るかも知れない。

 そんな面倒な人間達に目を付けられる可能性があるのに、わざわざヘファイストス・ファミリアに喧嘩をふっかけるなど馬鹿馬鹿しくてやってられない。

 恐らくはヘファイストス様側もそれを理解してるからこそ、ヘスティア様の護衛を申し出たのだろう。

 

 

「まぁ……ヘファイストスはそういう考えだったのね。私は単にモネコちゃんと同じレベルの冒険者だから連れて来たのだとばっかり」

 

 

 と、言うか、そもそもの話だ。

 根っからの平和主義者であるこの私が、理由も無いのに他人に喧嘩を売るような事などする筈も無いのだが。

 

 

「モネコちゃんはお話してみると、とってもイイ子なのは判るんだけど……どうしても戦争遊戯(ウォー・ゲーム)のイメージが強過ぎて、ね?」

 

 

 さもありなん。そこら辺は妙な二つ名をつけられた辺りで察している。

 

 

「でもきっと今日の宴でヘファイストスもヘスティアも、モネコちゃんが本当は怖い子供じゃ無い。って理解してくれた筈よ」

 

 

 まあ、ヘスティア様に関しては心配要らないだろう。

 最近まで眷属が居らず、現在もバイト暮らしを続けてるらしいヘスティア様は想像通り経済状況が悪いらしく、寝落ちしていたところをベル君に起こされると、わざわざ持参して来たのだろうタッパーに必死で料理の食べ残しを詰めていた。

 ヘファイストス様にすら呆れられていた女神様のまさかの醜態に、何だかとっても悲しくなってしまった私と妹は、彼女の為に日保ちする焼き菓子とあまった神酒の瓶を土産として渡した。

 これが、もう効果覿面だったらしくヘスティア様は輝くような笑顔で。

 

 

「なんてイイ子達なんだ!! もし困ったことがあったら、ボクに出来る事ならなんでも力になるからね!!」

 

 

 と仰っていたのだから。

 ……大丈夫かな、あの女神様。あまりにもチョロ過ぎる気がするけど。 

 

 

 だがヘファイストス様はどうだろうか。

 眷属である椿さんは想像以上に友好的ではあったものの、本神は一定の距離感を保ちながら静かにこちらを観察していた。

 恐らくだがまだ我がファミリアを……否。

 私の事を強く警戒しているのだろう。

 

 これが後々の面倒事にならなければ良いのだが。

 

 

「今日は本当にありがとう。今度はまた、ウチの館にいらっしゃいね」

 

 

 そんな別れの言葉と共にデメテル様に抱擁された。

 柔らかな甘い香りと、ふわふわプニプニのたわわな双球に溺れそうになりながらも。

 

 ヘファイストス様の鋭い視線が突き刺さっているような気がして、どうにも心が休まらなかった。

 

 

 ……あと妹よ。尻を抓るな尻を。

 何でデメテル様にまで嫉妬しているんだお前は。

 

 

 この後むちゃくちゃ妹の機嫌を取った。

 

 

 

 

◯月∥日

 

 

 イベント事が重なり、何だか忙しかった最近だがようやく落ち着いた。

 召喚した三匹の『ちびネコ』を手遊びにお手玉しながら、久々にグダグダとゆったり青マタタビ酒を楽しんでいる。

 

 

 そんな時に。

 

 

「君、ダンジョン攻略してきなさいね。あ、これ神命だから」

 

 

 馬鹿な神様が。

 非常に馬鹿馬鹿しく面倒な勅命を出しやがった。

 

 

 

 





・ネコ寿司

自ら回転しながら素早く移動できる。
鮮度抜群の高級盾キャラクター(範囲攻撃)。
赤い敵に打たれ強く、まれに攻撃力を下げる。1425ヴァリス。


・ネコ魚のお造り

戦闘向きのキャラがおいしく進化。
身を削って最高のおもてなし!
敵を倒したときにお金を多くもらえる。1215ヴァリス。


・ちびネコ

安価で生産できる基本キャラ。
を目指して成長中のちびにゃんこ。75ヴァリス。

グロ描写

  • 入れろ。内臓抉り取れ。
  • 止めろ。自重しろ。
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