勇者ヒンメルの死から3年。デーゲンブレヒャーは変わらずクヴァールの監視を続けていた。リーニエがいない日々に少し寂しさを感じつつ…
「で、この部屋の惨状は何かしら?」
「いやー悪い悪い」
という事も無かった。何故なら少し前から新たな同居人が出来たからである。
「
「たりめーよ!私だってわざとじゃねえんだ、ただちょっと辛い料理を作ろうとしただけで…」
ニェン、それが新たな同居人の名前だった。白い髪と肌に赤い腕と角を持つ彼女を、最初は魔族だとデーゲンブレヒャーは判断したのだが、どうやらニェンは魔族では無いらしい。適当にぶらぶらと旅をしていたところでこの場に辿り着き、そこからは何故かこの家に居座っている。
「はぁ…私は今から出かけるから、戻るまでに片付けてちょうだい。じゃあ、行ってくるわね」
「おう、いってらー」
デーゲンブレヒャーは外出し、ニェンは掃除を始めながらそれを見送った。
「うーし、これで大丈夫だな。流石私、ピッカピカだぜ」
ニェンは一時間ほどで掃除を終わらせ、満足気に眺める。すると、ある物が目に入る。
「何だコレ……剣…大剣か?折れてやがる…ふーん…良い剣じゃねーか……よし」
「必要な物は買ったし…今日は辛いものを作ってあげようかしら。結局食べられてないみたいだし…」
デーゲンブレヒャーが一通り用事を済ませ、家に戻る。そしてドアを開けると…
「いやー!我ながら良い出来だなー!」
黒い大剣を手に持ってはしゃいでいるニェンが居た。
「…ニェン、何をしているの?」
「おお!帰ったか、いいところに来たな!見ろよコレ、お前の大剣、直してやったぜ!」
「直したって…貴女、鍛治師なの?」
「まぁな、にしても良い剣だな。どこで手に入れたんだ?コレ」
「随分昔だけれどね、助けた村にいた人間の鍛治師に打ってもらったの、その大剣に、この剣と、そして…この双鐗」
「ふーん…見せてもらっていいか?」
「構わないわよ」
デーゲンブレヒャーが武器を机に置き、ニェンはそれらを手に取り、真剣な表情で見つめる。
「……いい腕だ、人間でここまで出来る奴はそういねぇ。それに手入れも行き届いてる…大事にしてんだな」
「当たり前よ、私と共に戦ってきた相棒なのよ?」
デーゲンブレヒャーは直された大剣を手に取って、感慨深そうに刀身を眺める。
「ありがとう、ずっと直したかったけれど、機会が無かったのよ」
「おう、
「そう…ん?魔法?」
「ん?おお…」
「……え?」
「これ…なんなの?」
デーゲンブレヒャーは
「おう、空を飛ぶ魔法をその大剣に付与したんだよ」
「いや…武器に魔法を付与ってなんなの?」
「まあ細かいことは気にすんなって!どうだ?」
「…色々気になるけど…まあ、助かるわ。私は魔法を使えないもの…というか…貴女、鍛治道具なんて持っていたかしら?」
「ははは!秘密だ!」
「……ねぇ、ニェン。他にもこんな武器を作っているの?」
「ん?まぁな、滅多に作らねえけど…」
「そう…幾らで作るっているのかしら?」
「何だ?欲しいのか?」
「欲しいわ」
ニェンは少し意外そうな顔をする。
「おいおい、お前充分強いだろ?」
「そうね、身体は鍛え抜かれてる、技も1000年であらゆるものを身につけた…けれど…それでも勝てない相手がいた…私が監視しているクヴァールがそうよ」
「だから強い武器が欲しいって?あんま気乗りしねぇなぁ…」
「それはどうして?」
「んー……昔ちょっとな…けどお前の世話になってるのは事実だしなぁ…それに興味もある…うーん…」
「いや、貴女が勝手に居座ってるだけなのだけど…気乗りしないなら別にいいわよ。もう遅いし、戻って夕飯にしましょう。今日は辛いのを作るから」
「お!マジで!?よし、早く戻ろうぜ!」
デーゲンブレヒャーとニェンは家に戻った。そして…
〜ヒンメルの死から15年後〜
「頼む!!武器を作らせてくれ!!」
「いきなりどうしたの?」
デーゲンブレヒャーに武器を作ることを渋っていたニェンは、頭を下げて頼み込んでいた。
「あれだけ渋っていたじゃない。どういう風の吹き回し?」
「だって飽きてんだよこの日常によー!!新しいことも何も無いから退屈なんだよ!」
「だったらここを出ればいいじゃない。長いこと旅をしてきたんでしょう?」
「いや、私はお前に胃袋を掴まれちまった。また旅に出るならお前も一緒じゃやなきゃ嫌だ」
「無理よ、私はクヴァールを監視しないといけないもの」
「だろ!?だからもうお前に新しい武器を試してもらうくらいにしか暇を潰す方法がよ〜!お前が私の武器を持ったらどうなるか気になるんだよ〜!!」
「はぁ…まぁ、私構わないけれど…」
「よし!そうと決まれば善は急げだ!ちょっと工房に籠る!」
そう言うとニェンは家の壁に近付き、手で何かの文字を書くと壁に穴が開き、ニェンはその中に入っていった。
「…!?」
デーゲンブレヒャーは驚いた様子で穴が空いた場所を見るが、穴は既に塞がっていた。
「……戻ってきたら説教ね」
デーゲンブレヒャーはそう、固く決意した。
「さっきの木だ、この森いつも迷うな…何処だここ…」
「モグモグ……」
勇者ヒンメルの死から20年後、中央諸国の聖都シュトラールの郊外にて、フリーレンとリーニエはハイターに会いに来ていた。
「リーニエ、そのリンゴどこから持って来たの?」
「……ゴクン…聖都で買った。先生も食べる?」
「ありがとう。リーニエは本当にリンゴが好きだね」
リンゴを頬張りながらどうやってハイターの家に迷わず向かうか二人で考えていると…
「何かお探しでしょうか?」
と声が聞こえ、二人は振り返ると、そこには紫色の髪を持つ少女が居た。
「……リーニエ」
フリーレンが僅かに視線をリーニエの方に向け、名前を呼ぶと、リーニエも同じように視線を返し、首を僅かに横に振った。
(…驚いた、リーニエの魔力探知に引っ掛からなかったのか)
「どうかなさいましたか?」
「いや、ハイターって人の家を探しているんだけど」
「では、お客様でございますね」
二人は少女に案内され、ハイターの家に行く事が出来たのであった。
「まだ生きてたんだ、生臭坊主」
「はっはっは、カッコよく死ぬのも、難しいものですな…」
「墓に備える酒買って来ちゃったけど、一杯やる?」
「…酒はもう、やめたんです」
「そう…今更良い子ぶったって、女神様は許してくれないと思うけどね」
「けど、師匠は褒めてくれるよ」
「はっはっは…」
三人が席に座ると、少女が三人にお茶を用意してくれた。
「ありがとうございます」
「……あの子は?」
「フェルンと言います。南側諸国の、戦災孤児でした」
「らしくないね、進んで人助けするようなたちじゃないでしょ。ヒンメルじゃあるまいし」
「……二人は、なぜ私の所へ?」
「聖都への買い出しの次いでだよ。旅先で会う人とはなるべく関わるようにしているからね」
「人間の事、もっと知りたいから」
「それにハイターには沢山借りがあるから、死なれる前に返しに来た」
フリーレンの言葉を聞いて、ハイターは少し考える。
「では、一つ頼み事を」
「ん?」
「弟子を取りませんか?フェルンには、魔法使いとしての素質があります。貴女の旅に、連れて行ってくれませんか?」
「……ごめんハイター、それは出来ない。足手纏いになるから」
「そうなの?」
「リーニエは足手纏いにならないから引き受けたけど、あの子は違う。実戦での見習い魔法使いの死亡率は知ってるでしょ?友人から預かった子を死地に送るつもりは無いよ」
「…そうですか、では別の頼みを」
ハイターはそう言うとフリーレンを連れて地下の方に行ってしまった。リーニエはお茶を飲んで待っていると…
「……?」
フェルンが杖を持って外に出るのが見えた。リーニエは残ったお茶を一気に飲み干すと、フェルンを追いかけるように外に出たのだ。
(…もう見えない…魔力探知…辛うじて追えるかな…)
リーニエは魔力探知に集中し、僅かに感じるフェルンの魔力を追った。そして少ししてフェルンを見つけると、フェルンは見晴らしの良い崖の上に居た。
「見つけた」
「!……」
フェルンは少しだけ目を見開きながら振り返り、リーニエを見る。
「どうしたの?」
「こんなに早く見つかったのは初めてでございます。存在感が薄いと、ハイター様からよく言われるのですが…」
「…そうだね、君の存在感の無さは異常だよ。多分、先生でも見つけるのは苦労すると思う。私が魔力探知に長けているから見つかっただけだよ」
「そうなのですか…ハイター様に、あの一番岩を撃ち抜けば、一人前になれると言われました」
そう言うフェルンの視界には、今立っている場所の遥か向こう側に聳え立つ一番岩が映っていた。
「…そうだね、あれを撃ち抜けば」
リーニエの言葉の途中でフェルンはいきなり杖を構え、一般攻撃魔法を放った。放たれた魔法は一番岩に向かって飛ぶものの、途中で霧散し、辿り着く前に消えてしまった。
「このように魔力が離散してしまい、届かないのです」
「…そうみたいだね」
「どのような修行をすれば良いのでしょうか」
「…私より先生に聞いた方が良いと思うけど…一つだけ訊いていい?……魔法は、好き?」
「…ほどほどでございます」
「そっか…私や先生と一緒だね」
リーニエは確信した。これめっちゃ才能あるタイプだ。と…
そこからフェルンはフリーレンがハイターから頼まれた魔導書の解読の片手間に、修行をつけてもらう事になった。リーニエは主に家事やフリーレンがいない間にフェルンを見るなど、フェルンが出来るだけ修行に専念出来るように動いた。
「フェルンは凄いね」
ある日、リーニエは魔導書の解読を進めているフリーレンにそう言った。
「そうだね…けどあの子はちょっと打ち込みすぎだよ」
「けれどあの成長の速さは間違いなく本人の才能の高さ。魔法使いとしての才能なら、私はあの子に遠く及ばない」
「……落ち込んでる?」
「まさか、素直に褒めてるだけだよ。そもそも私は魔法使いじゃなくて、魔法も使える前衛。魔法剣士だから」
「だよね、そもそも君の師匠は、魔法のま字も教えることが出来なかったからね」
「そうだね…私はフェルンの方に行って来るから」
「うん、頼んだよ」
リーニエは地下の階段を上がり、フェルンが修行している場所へと向かった。そして暫くすると、今度はハイターがやって来る。
「フェルンの修行は順調ですか?」
「…常人なら10年掛かる道を4年で越えた。あの子は打ち込み過ぎだ、あまりいい事じゃない」
「最近、ずっと森に篭り切りですからね、それだけ魔法が好きなのでしょう」
「それでも一人前になるのはまだ先の事だ、魔導書の解読の方が早く終わるよ」
「…そうですか」
「…ねぇハイター、この魔導書だけど多分─」
フリーレンが何かを言いかけたところで何かが倒れる音が聞こえ、フリーレンが振り返ると、ハイターが床に倒れ伏していた。
「─ハイター?」
激しい雨の中、フェルンは今日も一般攻撃魔法を一番岩に向けて放ち、リーニエはそれを黙って見守っていた。するとリーニエは何かに気付き、振り返ると、フリーレンが居た。
「先生?どうして…」
「二人とも、修行は中止だ。ハイターが倒れた、側に居てやってくれ」
「!ハイターが?」
リーニエは目を見開き、フェルンは魔法を撃つのを止める。
「…まだ、一番岩を撃ち抜けておりません」
「それはいずれ必ず出来る事だ、今は「いずれでは駄目なのです!」……」
「いずれでは…ハイター様が、死んでしまう」
「!」
「…私はあの方に命を救われました。ハイター様はずっと、私を置いて死ぬ事を危惧しておりました…あの方は正しいことをしたのです。救ったことを後悔して欲しくない、魔法使いでも何でもいい、一人で生きていく術を身につける事が、私の恩返しなのです……救って良かったと、もう大丈夫だと、そう思って欲しいのです」
二人はフェルンの言葉をただ聞く、そしてフリーレンは、少しだけ表情を緩める。
「私が教えた事は全部覚えているよね?」
「はい」
「じゃあ好きにするといい」
フリーレンはそう言って戻っていった。リーニエはその後ろ姿を少し見た後、フェルンの方を見る。
「ハイターは私が見ておくから、安心して」
「ありがとうございます」
「……じゃあ、頑張って」
リーニエもそう言って戻っていき、フェルンは修行を再開したのだった。
「ハイター」
「!…リーニエ」
「二人とも自分のやる事で忙しいから、ハイターの事は私が見るよ」
「ありがとうございます…」
リーニエはベッドの側に置いてある椅子に座り、持って来たリンゴの皮をナイフで剥き始める。
「フェルンは良い子だね」
「そうでしょう、自慢の子です」
「うん…私は、師匠を困らせてばっかだったな…」
「…どうか、しましたか?」
「師匠はさ、私を助けた事、弟子にした事、後悔していないかなって…」
フェルンはハイターを早く安心させたいと言った。リーニエは自分はどうだっただろうと思い返した、魔族の面倒を見るのは、きっと色々と苦労した部分もあっただろう、自分は師匠を安心させたいと思った事は無かった、大変だったのではないだろうか、と。
「…していませんよ、きっと」
「そうかな」
「ええ…貴女がフリーレンと共に旅をしているのがその証拠です。きっと彼女は、貴女なら人に優しく出来ると信じているのですよ、自分と同じように、ね…」
「…なら、いいんだけど…ん、リンゴ分けたよ。はい、あーん」
リーニエはハイターにリンゴを食べさせ、それを終えると、ある首飾りを出す。ペンダントには聖教会のマークが掘られていた。
「ハイターこれ」
「それは……」
「ハイターが司教になった時に、態々私と師匠が居る場所まで来てくれた。友好の証って事で」
「そうですね…懐かしい…」
「…私は模倣する魔法で、ヒンメルとアイゼンの動きを覚えたし、フリーレンからも魔法の技術を受け継いでいる。ハイターは僧侶だから…受け継ぐものが何も無いけど……この首飾りだけは、ずっと大事にするからね」
「──ありがとうございます、リーニエ…貴女は、とても優しい子に育ったのですね」
そしてまた時は経ち…
「死者の蘇生も不死の魔法も書かれていなかったよ」
フリーレンは魔導書の解読を終わらせ、解読したものをベッドの上に置いた。リーニエも側で聞いている。
「…そうですか…」
「知っていたの?」
「死への恐怖は計り知れないものです。そんなものがあるなら、エーヴィヒ自身が使っていたでしょう…」
「じゃあ、何故…?」
「…フェルンは、どうなりましたか?」
「まだ荒いところはあるけど…一人前と言っても遜色のないレベルだよ」
「…そうですか、間に合いましたか」
「?」
「もう、足手纏いではありませんね、フリーレン」
「……計ったなハイター」
「はっはっは……解読の手間賃は、机の引き出しに…今夜には、ここを発ってください…」
「…何のつもり?」
「見ての通り、私はもう長くはありません…私は、あの子にこれ以上誰かを失うような経験をさせたく無いのです…フリーレン、リーニエ…フェルンを、頼みましたよ…」
「…また格好つけるのか、ハイター…」
フリーレンがそう言うと、ハイターは少し驚いた。
「フェルンはとっくに別れの準備は出来てる…お前が死ぬまでにやるべき事は、あの子にしっかり別れを告げて、なるべく沢山の思い出を作ってやる事だ…!」
そう言うフリーレンは肩を振るわせ、膝に乗せた手の甲には涙の雫が落ちて来ていた。リーニエはそんなフリーレンの肩に手を優しく乗せると、ハイターを見て口を開く。
「ハイター、私は昔、ちゃんと別れを告げる事が出来なかった人がいる。私はその時は人間の事、まだ全然知らなくって…死んだって師匠から聞かされても、何とも思わなかったけど…ヒンメルが死んでから…先生と旅をして…人間の事を学んで…今はね、ちょっとだけ後悔しているんだ、あの人と、余り話せなかった事…あの人の事を、余り知らない事……」
「リーニエ…」
「フェルンは良い子だから、きっと私以上に後悔する。だから…あの子に…そんな思いを、させて欲しく無いんだ…」
リーニエの表情は変わらなかったが、ヒンメルの時と同じだった。ハイターは二人の顔を見て微笑む。
「…ありがとう、二人とも…貴女達はやはり、優しい子です…」
「ねぇ、何でフェルンを救ったの?」
話を終わらせ、部屋を出る直前にフリーレンは振り返り、ハイターにそう訊いた。ハイターはかつてのヒンメルの行動を思い出しながら、こう言った。
「勇者ヒンメルなら、そうしました」
「…そうだね」
「…そうだ、危うく忘れるところでした…二人とも、いいですか?」
「どうしたの?」
「手間賃が入っている机の引き出しなのですが、あの中には───」
その後、二人はハイターとフェルンの最後の時間を陰から見守り続けた。そしてフェルンが修行していた崖に向かうと…
「──あの歳であそこまで完璧に撃ち抜けるんだ」
遥か遠くにある一番岩には、大きな穴が出来ていた。リーニエはそれを見て素直に感心し、フリーレンは少し笑うと…
「じゃあ、私もそうするとするかな」
と言った。
聖都シュトラールに鐘の音が鳴り響く。三人は墓地にあるハイターの墓の前に立っていた。
「ありがとうございました。おかげでハイター様に恩を返すことができました」
フェルンにお礼を言われている間、フリーレンはハイターの墓石に酒を浴びせていた。
「私はただしてやられただけだよ…この生臭坊主に……じゃあ、行こうか」
こうして、フリーレンとリーニエは、新たにフェルンと言う少女を加えて、旅を再開したのだった。
「ねぇ、何なのこの剣と半円を合体させたような武器は」
「おう!そいつはまだ試作段階なんだけどな、斬りつけた相手の精神を麻痺させるっていう魔法が…」
「結構恐ろしい魔法ね…ん?」
デーゲンブレヒャーがニェンの作った武器を試していると、空から鳥がやって来てた。それは足に何かを掴んでおり、デーゲンブレヒャーに近付く。デーゲンブレヒャーは武器を地面に突き刺して鳥が持って来たものを受け取る。丁寧に包装されたそれを剥がして確認すると、息をハッとさせ、入っていた手紙を読む。
「どうしたんだ?手紙と……
「……友人が亡くなったみたい、彼は僧侶でね…私が女神の教えに少し興味があるって言ったの…憶えていたのね…ありがとう…ハイター…」
デーゲンブレヒャーは手紙を読み切ると、聖典を見て表面をそっと撫でる。
「あー……」
ニェンは少ししんみりとした空気に戸惑い、頭を掻くと「よし!」と言って。
「今日はもうやめだ!今から帰ってパッーと飲もうぜ!私、話幾らでも聞くからよ!」
「…駄目よ、まだ昼じゃない。飲むのは夜になってからで」
「そっか〜…え、夜ならいいのか?」
「構わないけれど」
「いや、飲もうって言ったけどさ、お前普段酒なんて飲まねーだろ…」
「…今日くらいは構わないと思ったのよ。村に買い出しにいきましょう。今日の食卓は豪華にするわよ」
「うし、じゃあ準備するか」
デーゲンブレヒャーとニェンはそう言って一旦家の方に戻っていった。
「お酒なんて、魔王が倒された時のパレード以来ね…」
「結構前だな…ウチの姉貴が聞いたらビックリするぜ…」
二人は何時も通りの他愛のない話をしながら村へと買い出しに向かう。しかし、その日はデーゲンブレヒャーは少し寂しそうだった。
出せる機会があればアークナイツキャラはどんどん出していく所存特に角があるキャラ。それでもよければよろしくお願いします。