lobotomy chronicle ~目指すはありふれた結末~   作:暇なグリッチ

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政宗君って意外と厳しくないんだよね


act12 優しすぎるハウリア族

俺は今シアを後ろに乗せ、プロトターボを飛ばしている。プロトターボは「ええよええよ!重い方がもっと燃えてくるわぁ!!」とか言ってシアから可愛らしいビンタ、ユエから容赦ない魔法を喰らっていた。自分が悪い。

ちなみにシアにこのプロトターボのことや魔法を使えていたことについて聞いてきたためそれについてもいろいろ答えていた。

 

シア「え、それじゃあ、お二人も魔力を直接操れたり、固有魔法が使えると.....」

政宗「ああ、そうだ」

ユエ「....ん」

 

 しばらく呆然としていたシアだったが、突然、何かを堪える様に俺の肩に顔を埋めた。そして、何故か泣きべそをかき始めた。

 

政宗「?!ど、どうした....?」

ユエ「情緒不安定.....手遅れ?」

シア「手遅れって何ですか!手遅れって!私は至って正常です!....ただ、一人じゃなかったんだなっと思ったら....何だか嬉しくなってしまって.....」

「「.....」」

 

やはり自分があまりにも得特異な存在であるため孤独感を感じていたらしいな。....いや、初めて知ったわけじゃないのにダメだな.....やはり大まかなストーリー以外忘れている。ああ、読み返したい.....そしてユエがなにやら複雑な表情をしていたため撫でてやった。好きな人が複雑な表情をしているのに、見て見ぬフリなどできるものか。そんな俺の気持ちが伝わったのか、ユエは、無意識に入っていた体の力を抜いて、より一層俺に背を預けた。まるで甘えるように。

 

シア「あの~、私のこと忘れてませんか?ここは『大変だったね。もう一人じゃないよ。傍にいてあげるから』とか言って慰めるところでは?私、コロっと堕ちゃいますよ?チョロインですよ?なのに、せっかくのチャンスをスルーして、何でいきなり二人の世界を作っているんですか!寂しいです!私も仲間に入れて下さい!大体、お二人は....」

ユエ「黙れ残念ウサギ」

政宗「.....キツくは言わんが場を弁えろ」

シア「....はい.....ぐすっ.....」

 

そうして泣きべそをかくシア。その時....

 

罰鳥「悪いやつ!悪いやつ!」

シア「いたた?!なにするんですか?!」

 

脱走常習犯にしてはものすごく静かだった罰鳥が出てきた。俺が「まだお前は出ていても問題はないが、懲罰は面倒なことになるかもしれないからあまりやらないでくれるか?」という俺の言葉を忠実に守ってくれていたらしい。いい子だなお前は.....シアは.....一旦痛い目を見ろ

そしてユエが罰鳥にひたすら突かれているシアを見て「.....無様」と嘲笑っていた。しばらくするの遠くで魔物の咆哮が聞こえた。どうやら相当な数の魔物が騒いでいるようだ。

 

シア「!政宗さん!もう直ぐ皆がいる場所です!あの魔物の声.....ち、近いです!父様達がいる場所に近いです!」

政宗「落ち着け!耳元で声をあげるな!!」

罰鳥「やめろ!やめろ!」

シア「ご、ごめんなさい謝りますからぁ!!」

 

お前は....やはり突かれていろ。そうして走ること二分。ドリフトしながら最後の大岩を迂回した先には、今まさに襲われようとしている数十人の兎人族達がいた。ウサミミを生やした人影が岩陰に逃げ込み必死に体を縮めている。あちこちの岩陰からウサミミだけがちょこんと見えており、数からすると二十人ちょっと。見えない部分も合わせれば四十人といったところだな。

そんな怯える兎人族を上空から睥睨しているのは、奈落の底でも滅多に見なかった飛行型の魔物だ。姿は俗に言うワイバーンというやつが一番近いだろう。体長は三~五メートル程で、鋭い爪と牙、モーニングスターのように先端が膨らみ刺がついている長い尻尾を持っている。

 

シア「ハ、ハイベリア....」

 

 肩越しにシアの震える声が聞こえた。あのワイバーンモドキは〝ハイベリア〟というらしいぞ。俺ももはや初めて知る気分だ.....ハイベリアは全部で六匹はいる。兎人族の上空を旋回しながら獲物の品定めでもしているようだ。

 

政宗「何かされる前に.....さっさとやってしまうか。白夜」

白夜「....なんだ?」

 

そうして呼び出されたのは明らかに不機嫌な白夜。ユエはその美しさと圧により汗を流し、シアはその神々しさに圧巻。ワイバーン達は絶対無視できない存在として警戒し始め、ハウリア族は突然のとんでもない化け物の襲来に絶望しかけている。....何故不機嫌かって?今からわかる

 

政宗「....あのワイバーンもどきを全員殺ってくれ」

白夜「.....断る。」

政宗「....不機嫌になっていると、香織に会いに行くのが遅くなるぞ?ここを早く終わらされば会いに行くのが早くなるかもな」

白夜「!!!!!!!!」

 

そして急激にテンションが上がり始める白夜。....もうわかっただろう?

 

白夜「さぁ!!聞いたか我が使徒達よ!!立ち上がれ!!一刻も早く女神の下へ!!!」

「「「「「「「「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」」

 

そう、こいつ香織の圧倒的厄介オタクだ。こいつ俺が奈落に落とされて気絶してる間に鬱になるくらい愚痴怒鳴ってきたからな。もうごめんだ.....異端者であり、唯一まともな12人目の使徒が周りのハウリア族へ必死に頭を下げている。大変だなお前も.....

ハイベリア...だったな。こいつらには敵わないと感じたのか逃げようとするが.....

 

「どこへ行くんだァ.....?」

「血祭りにあげてやる!!」

「オレハクサマラヲムッコロス!!!」

「ウェェェェェェェイ!!!!」

「我が魂はァ!!!女神と共にありぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「逃げるなどゆ゛る゛さ゛ん゛!!」

「死んでくれ、俺たちのために....」

「俺はもう無敵〜うひひひ.....」

「許してほしいのか?いいえ!!あなたたちのことなど知ったことではございません!!!」

「お前、死にたいんだってなァ....望み通りにしてやる!!」

「キェェェェェェェェェ!!!!!」

 

結果、狂喜乱舞した使徒たちに蹂躙されあっさり全滅した。ユエは本格的に引いており、シアは涙目になり「ひぇぇぇ......」と声を漏らしており、ハウリア族は一部の者たちがあまりにえげつない光景に耐えきれず意識が吹っ飛んでいる奴がいた。俺?もう見慣れた。

 

シア「あっ...み、みんな〜!助けを呼んできましたよぉ〜!」

 

その聞きなれた声音に、なんとか現実に戻って来れたハウリア族は一斉に少女の名を呼んだ。

 

「「「「「「「「「「シア!?」」」」」」」」」」

 

ちなみに白夜が撮っておいてくれ!と言うからサラッと改造しておいたバグヴァイザーⅡで記録しておいた。次会った時に武勇伝として見せたいらしい。というよりお前何もしてないだろう.....いいところを見せられると思ったのか使徒たちとルンルンで帰っていった。ドン引きされるだけだぞお前.....

そしてすぐさまハウリア族がわらわら集まってきた。

 

「シア!無事だったのか!」

シア「父様!」

 

 真っ先に声をかけてきたのは、濃紺の短髪にウサミミを生やした初老の男性だ。はっきりいってウサミミのおっさんとか誰得だ.....シュールな光景に微妙な気分になっていると、その間に、シアと父様と呼ばれた兎人族は話が終わったようで、互いの無事を喜んだ後、俺の方へ向き直った。

 

カム「政宗殿で宜しいか?私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとか.....父として、族長として深く感謝致します」

 

そう言って、カムと名乗ったハウリア族の族長は深々と頭を下げた。後ろには同じように頭を下げるハウリア族一同がいる。

 

政宗「礼はいいが、樹海の案内と引き換えだと言うことを忘れるな?そこはしっかりしてもらうからな?というより、そんな簡単に信用していいのか?」

 

カムは、それに苦笑いで返した。

 

カム「シアが信頼する相手です。ならば我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから......」

 

俺は複雑だった。やはりハウリアは優しすぎる。ハジメが呆れるのも頷ける....

 

シア「えへへ、大丈夫ですよ、父様。政宗さんは言葉遣いこそちょっと威圧的ですけど、すっごく優しいですし、なにより約束を利用したり希望を踏み躙るような外道じゃないです!ちゃんと私達を守ってくれますから!」

カム「はっはっは、そうかそうか。つまり照れ屋な人なんだな。それなら安心だ」

 

シアとカムの言葉に周りのハウリア族達も「なるほど、照れ屋なのか」と生暖かい眼差しで俺を見ながら、うんうんと頷いている。.....思わず顔が顰めてしまった。こう言うのは慣れん....

 

ユエ「ん....政宗は(ベッドの上では)照れ屋」

政宗「ユエェ!!」

 

こいつ本当に隙を見せたらすぐこれだ.....ちなみに白夜について聞かれたためついでにアブノーマリティのことを説明すると大人たちやシアは戦々恐々とし、子供達は魔物よりもよっぽど不思議な存在たちに興奮しているようだった。




ん.....白夜はとことんふざけた。けど後悔はしてない.....
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