lobotomy chronicle ~目指すはありふれた結末~   作:暇なグリッチ

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アンケートでマルクトとホドが接戦になってる......
これ出すのどうしよ.....


辿る歴史、目覚める騎士
act26 フューレン支部


「そういうわけなので、一先ず宿をお取りになりたいのでしたら観光区へ行くことをオススメしますわ。中央区にも宿はありますが、やはり中央区で働く方々の仮眠場所という傾向が強いので、サービスは観光区のそれとは比べ物になりませんから」

政宗「大体わかった。なら素直に観光区の宿にするとしよう。お勧めはどこだ?」

「お客様のご要望次第ですわ。様々な種類の宿が数多くございますから」

政宗「まぁ確かにそうだな。飯が美味い、風呂がある。これで文句はない。立地は考慮しなくてもいい。それと、責任の所在が明確な所がいい」

 

俺は今、軽食を共にしながら都市の基本事項を聞いていた。....ここがフューレンか。うん、やはりどこに来てみても当然のように新鮮だ。

 

「あの~、責任の所在ですか?」

政宗「そうだ。例えば、何らかの争いごとに巻き込まれたとして、こちらが完全に被害者だった時に、宿内での損害について誰が責任を持つのかということだ。どうせならいい宿に泊まるのも悪くないかもしれんが、備品も高いだろうし、後で賠償金を掛けられてみろ。面倒なことこの上ない」

「え~と、そうそう巻き込まれることはないと思いますが......」

政宗「それがあるんだな......なにしろ連れがまぁ目立つものでな。観光区などハメを外す奴も多いだろうしな。商人根性逞しいヤツなんか強行に出ないとも限らない。まぁあくまでもできたらの話だ。難しければ考慮しなくても構わん」

 

リシーは、俺の両脇に座りうまうまと軽食を食べるユエ達に視線をやる。そして、納得したように頷いた。まぁ今も目立ってるし、ターボと俺にヘイトが集まってるのもそうだ。ターボに限っては何も悪くないのにな.....馬鹿なのか知らないが何も気にせずに食ってるが。

 

「しかし、それなら警備が厳重な宿でいいのでは? そういうことに気を使う方も多いですし、いい宿をご紹介できますが......」

政宗「それでもいいんだ。ただ欲望に身を任せた連中は時にとんでもないことをしでかしてくれる。警備も絶対でないなら最初から物理的説得が手っ取り早い」

「ぶ、物理的説得ですか.......なるほど、それで責任の所在なわけですか」

 

まぁ、言ってもわからんやつは殴ればわかる。恐怖は正直何よりの説得だと思っている。やりすぎるのはよくないが聞いてもわからんやつは放置するとまた迷惑をかけるだろうし、それならいっそ常識を捨てて痛い目を見せるというのも一種の説得だと思う。

 

ユエ「....お風呂があればいい、ただし混浴、貸切が必須」

シア「えっと、大きなベッドがいいです」

アンジェラ「私の要望はお二人が言ってくださったので私からはなにも」

 

うん、2人の要望を組み合わせると確実に良くない意図が透けてくるな。リシーも何か察したのか「承知しましたわ、お任せ下さい」とすまし顔で了承するが、頬が僅かに赤くなっている。そして、チラッチラッと俺とユエ達を交互に見ると更に頬を染めた。それから、他の区について話を聞いていると、不意に強い視線を感じる.....気持ち悪い視線だ。そして視線の元を見てみれば......ブタ。ブタだ。体重が軽く百キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪。身なりだけは良いらしく、遠目にもわかるいい服を着ている。面倒だな....そう思ってくるとそのブタ男は重そうな体をゆっさゆっさと揺すりながら真っ直ぐ俺達に近寄ってくる。

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、百万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの金髪二人と空色の髪はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

.....もうこいつの中ではユエ達は自分のものらしいな。俺はその場に凄絶な殺意を出す。周囲のテーブルにいた者達ですら顔を青ざめさせて椅子からひっくり返り、後退りしながら必死に俺から距離をとり始めた。直接俺の殺気を浴びたブタは「ひぃ!?」と情けない悲鳴を上げると尻餅をつき、後退ることも出来ずにその場で股間を濡らし始めた。

 

政宗「.....はっ、汚い奴だ。行くぞ」

 

殺したいがここで殺せば流石に俺にしか非がない。面倒ごとはごめんだからな。まぁ、半殺しなら余裕でやらせてもらうが。俺は威圧を解き、さっさとギルドを去ろうとしたその時だった。大男が俺達の進路を塞ぐような位置取りに移動し仁王立ちした。.....つくづく面倒だ。

 

「そ、そうだ、レガニド!そのクソガキを殺せ!わ、私を殺そうとしたのだ!嬲り殺せぇ!」

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

「やれぇ!い、いいからやれぇ!お、女は、傷つけるな! 私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

「い、いくらでもやる!さっさとやれぇ!」

 

ほぅ、どうやら珍しくユエ達に眼中にないらしいな?貰える報酬の方が嬉しいんだろうな。

 

「おう、坊主。わりぃな。俺の金のためにちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、嬢ちゃん達の方は.....諦めてくれ」

 

レガニドはそう言うと、拳を構えた。長剣の方は、流石に場所が場所だけに使わないようだ。周囲がレガニドの名を聞いてざわめく。

 

「お、おい、レガニドって〝黒〟のレガニドか?」

「〝暴風〟のレガニド!?何で、あんなヤツの護衛なんて.....」

「金払じゃないか?〝金好き〟のレガニドだろ?」

 

黒か。確かに原作でもいたな。かなりの実力者のはずだ。

 

政宗「諦めろ?ごめんだな。邪魔するなら絶版.....」

ユエ「......政宗、待って」

政宗「?....なんだ、ユエ?」

 

俺が奴を潰そうとするとユエが俺とレガニドの間に割って入る。

 

ユエ「.....私達が相手をする」

シア「えっ?ユエさん、私もですか?」

 

「ガッハハハハ、嬢ちゃん達が相手をするだって? 中々笑わせてくれるじゃねぇの。何だ? 夜の相手でもして許してもらおうって『……黙れ、ゴミクズ』ッ!?」

 

 下品な言葉を口走ろうとしたレガニドに、辛辣な言葉と共に、神速の風刃が襲い掛かりその頬を切り裂いた。プシュと小さな音を立てて、血がだらだらと滴り落ちる。かなり深く切れたようだ。レガニドは、ユエの言葉通り黙り込む。ユエの魔法が速すぎて、全く反応できなかったのだ。....はっ、危ない危ない。ユエが攻撃しなければ俺が奴を一瞬で半殺しにするところだった。

 

ユエ「.....私達が守られるだけのお姫様じゃないことを周知させる」

シア「ああ、なるほど。私達自身が手痛いしっぺ返し出来ることを示すんですね」

ユエ「......そう。せっかくだから、これを利用する」

アンジェラ「....いい提案ですね、見せつけるにはいい機会です」

ミレディ「流石に舐められるのは私も嫌だな〜?私もさーんせい!」

 

さらに立ち上がるアンジェラとミレディ。

 

ターボ「なーる。確かに、お姫様を手に入れたと思ったら実は猛獣でしたなんて洒落にならんし。幸い、目撃者も多いし。いいんじゃね?」

ユエ「....猛獣は余計」

政宗「ははっ、あながち間違ってないんだなこれが.....」

 

まず行くのはシアらしいな。シアがどこからともなく金色の手袋のようなものを取り出し、手にはめる。拳を握りしめると一瞬でお馴染みの黄金狂になった。そう、実はこっそりつけてみた機能だ。持ち運びに便利だろうしな。

 

「おいおい、兎人族の嬢ちゃんに何が出来るってんだ? 雇い主の意向もあるんでね。大人しくしていて欲しいんだが?」

シア「腰の長剣。抜かなくていいんですか?手加減はしますけど、素手だと危ないですよ?」

「ハッ、兎ちゃんが大きく出たな。坊ちゃん!わりぃけど、傷の一つや二つは勘弁ですぜ!」

 

レガニドは、シアは大して気にせずユエに気を配りながら、未だ近くでへたり込んでいるブタ男に一言断りを入れる。流石に、ユエ相手に無傷で無力化は難しいと判断したようだ。....だがやはり気が付かなかったらしい。常識的に考えて愛玩用という認識が強い兎人族が重そうな黄金狂を軽々と持ってる時点でおかしい。ちなみに黄金狂を過去持ってみたことがあったがかなり....どころかとんでもなく重くて思わず驚いてしまった。今なら問題なく持てるだろうがその頃は異世界転移もしてなかったため全然持てなかった。

シアはすでに言葉がないと言わんばかりに黄金狂を腰に引き.....一気に踏み込んだ。そして、次の瞬間にはレガニドの眼前に出現する。

 

「ッ!?」

シア「やぁ!!」

 

可愛らしい声音に反して豪風と共に振るわれた超重量の黄金の拳が、表情を驚愕に染めるレガニドの胸部に迫る。直撃の寸前、レガニドは、辛うじて両腕を十字にクロスさせて防御を試みるが.......

 

(重すぎるだろっ!?)

 

踏ん張ることなど微塵もかなわず、咄嗟に後ろに飛んで衝撃を逃がそうとするも、スイングが速すぎてほとんど意味はなさない。結果、

 

グシャッ!!

 

そんな生々しい音を響かせながら、レガニドは勢いよく吹き飛びギルドの壁に背中から激突した。轟音を響かせながら、肺の中の空気を余さず吐き出したレガニドは、揺れる視界の中に、拍子抜けしたようなシアの姿を見る。どうやら、もう少し抵抗があると思っていたらしい。

幸い、潰されたのは片腕だけだったようで、痛みを堪えながらもう片方の腕で何とか立ち上がる。視界がグラグラ揺れるが、何とか床を踏みしめることが出来た。ほとんど意味は無かったと言えど、咄嗟に、後ろに飛ばなければ、立ち上がることは出来なかったかもしれない。

 

しかし、立ち上がった事は果たしていい事だったのか。半ば意地で立ち上がったレガニドだったが、ユエとアンジェラ、ミレディが氷の如き冷めた目で二人が右手を突き出し、もう一人が銃を突き出している姿を見て、坊ちゃん、こりゃ、割に合わなさすぎだ......とでも言いたげな半ば絶望している顔をしていた。

 

直後、レガニドは生涯で初めて、〝空中で踊る〟という貴重で最悪の体験をすることになった。

 

「「舞い散る花よ 風に抱かれて砕け散れ 〝風花〟」」

 

.....お前ら同じ魔法なんで使ってるんだ....仲良いのか?まぁミレディとユエって髪色とか目の色大体一緒だし姉妹に見えなくも....俺は何を言ってるんだ。おまけにゴム弾に銃弾が変わった崇高な誓いも加わりまぁ酷いものだ。ターボが「こいつぁひでぇ....」と顔を青ざめていた。空中での一方的なリードによるダンスを終えると、レガニドは、そのままグシャと嫌な音を立てて床に落ち、ピクリとも動かなくなった

あり得べからざる光景の二連発。そして容赦のなさにギルド内が静寂に包まれる。誰も彼もが身動き一つせず、俺達を凝視していた。よく見れば、ギルド職員らしき者達が、争いを止めようとしたのか、カフェに来る途中で俺達の方へ手を伸ばしたまま硬直している。様々な冒険者達を見てきた彼等にとっても衝撃の光景だったようだ。

さて、忘れていたな。俺はブタに歩き出す。

 

「ひぃ! く、来るなぁ!わ、私を誰だと思っている!プーム・ミンだぞ!ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

政宗「ブタが喋って何になる?」

 

俺は尻餅を付いたままのブタ男の顔面を勢いよく踏みつけた。

 

「プギャ!?」

 

....汚い声だ。俺はどんどん足に力を込める。

 

政宗「いいか?ブタ。金輪際視界に入るな。直接、間接にも関わるな。....次はない」

 

プームはハジメの靴底に押しつぶされながらも、必死に頷こうとしているのか小刻みに震える。既に、虚勢を張る力も残っていないようだ。完全に心が折れている。だがそのうちこの恐怖を忘れてしまうだろう。....そうだ、最近出たい出たいと騒いでいたあいつに頼むか。

 

政宗「おい、今から起こることを誰一人として見るな。頭がおかしくなりたくなければ絶対にな」

 

俺のその圧のこもった声に全員思わず目を背ける。ユエ達にも一応見ないようにしてもらった。今から出すやつはあまりにも精神汚染能力が高いからだ。俺はブタの顔から足を離す。

 

政宗「さぁ、出番だぞ。規制済み」

規制済み《規制済み》

 

さぁなんだかんだ3話以降全く姿を見なかった規制済みだ。こいつがウズウズしていたため久しぶりに出してやった。

 

「な、なんだ...こ、こいつ....?!」

 

見たこともない奴に思わず再び後ずさる。だがこいつがどれほど恐ろしいかは察知できてないようだ。

 

政宗「さぁ、こいつの規制を外せばどうなるんだろうな?」

「は、はぁ?な、何を.....「規制済み、規制を外せ」

 

「ただし精神汚染は廃人にならない程度にしておけ」と付け足す。するといつも管理人たちが見るようなあの規制された姿ではない本当の《規制済み》な姿が露わにされた。するとその姿を見た瞬間

 

「ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁぁあぁああぁ!!!!!!!」

 

と発狂し失禁してから白目を剥いてその場に倒れた。周りは何が起こってるか全くわからないためザワザワしている。ユエ達も突然のことに困惑しているらしい。まぁ廃人になって余計なことが起こったら困るし相当頑張れば這い上がれるくらいには留めてもらった。

 

政宗「よくやった規制済み、もう戻っていいぞ」

規制済み《規制済み》

 

いい仕事したぜ!と言いながら戻っていく規制済み。ちなみに俺は自制ランクがⅤあり、尚且つもう見慣れているためダメージはほぼない。それでも長時間一緒にいるのは流石にキツいがな....

 

政宗「...さてと、もう終わったから見てもいいぞ」

 

そうして視線を戻した周りの奴らは口々に何があったんだと騒然としだす。ターボとアンジェラは何を出したのかなんとなく予想がついたらしく「あーなるほどねぇ?」「外傷なしに鎮圧するには打ってつけですね。流石政宗」と言い、さっぱりわからないユエ達は少し唖然としていた。

 

政宗「いろいろ騒がしくてすまんな。場所を移して続きを頼もう」

「はひっ! い、いえ、その、私、何といいますか......」

 

ユエ達の圧倒的な力といい俺の謎の行動(正確には規制済みがやったが)で完全に怯えている。

 

と、そこへ彼女にとっての救世主、ギルド職員が今更ながらにやって来た。

 

「あの、申し訳ありませんが、あちらで事情聴取にご協力願います」

 

そう俺に告げた男性職員の他、三人の職員が俺達を囲むように近寄った。もっとも、全員腰が引けていたが。もう数人は、ブタとレガニドの容態を見に行っている。

 

政宗「そう言われてもな、あのブタが生意気にも私の連れに手を奪おうとしたから少しお仕置きをしてやったまでだ。それ以上説明することはない。そこの案内人とか、その辺の男連中も証人になるぞ。特に、近くのテーブルにいた奴等は随分と聞き耳を立てていたらしいしな?」

 

俺がそう言いながら周囲の男連中を睥睨すると、目があった彼等はこぞって首がもげるのでは?と言いたくなるほど激しく何度も頷いた。

 

「それは分かっていますが、ギルド内で起こされた問題は、当事者双方の言い分を聞いて公正に判断することになっていますので.....規則ですから冒険者なら従って頂かないと........」

政宗「当事者双方......か」

 

ブタとレガニドは.....三、四日は目を覚さないんじゃないか?レガニドは原作以上ボコボコにされていたしブタに限ってはナーフされていたとはいえ規制済みの精神汚染を喰らったんだ。なかなか目は覚まさないだろう。

 

政宗「あれが目を覚ますまで待てと?被害者である私達が?....いっそ、都市外に拉致してから殺してしまおうか?」

 

私の典型的なクレーマーのような物言いにギルド職員の男性が、「そんな目で睨むなよぉ、仕事なんだから仕方ないだろぉ」という自棄糞気味な表情になった。そして、ぼそりと呟かれた俺の最後のセリフが耳に入り、慌てて止めに入る。そして突如、凛とした声が掛けられる。

 

「何をしているのです? これは一体、何事ですか?」

 

そちらを見てみれば、メガネを掛けた理知的な雰囲気を漂わせる細身の男性が厳しい目で俺達を見ていた。

 

「ドット秘書長!いいところに!これはですね……」

 

職員達がこれ幸いとドット秘書長と呼ばれた男のもとへ群がる。ドットは、職員達から話を聞き終わると、俺達に鋭い視線を向けた。

....俺たちにトラブルは付き物らしい。ちなみに規制済みはそんなこと知るかと言うように収容室でリラックスしていた。

 

 




ターボ君ってなんか結構不憫だよね.....
ちなみに政宗君の収容室はそれぞれが気にいるような環境に衣替えしており、快適に暮らせるようにしているためロボトミーの収容室のように殺風景な感じではありません。....溶ける愛の収容室には政宗の写真がいっぱいだとか。
よかったら感想ください。

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