lobotomy chronicle ~目指すはありふれた結末~ 作:暇なグリッチ
山脈地帯を見据えて真っ直ぐに伸びた道を走るのはゼクト指令者。街道とは比べるべくもない酷い道ではあるが、大抵の衝撃は殺してくれる。荷台の男子達にも衝撃がいかないようになっている。....なんでか?聞きたいか?この話それで全て埋まるぞ??....俺とてそんな長ったらしい説明をしたくない。
ちなみに走行による揺れと柔らかいシートが眠りを誘い、愛子先生はいつの間にか寝ていた。ズルズルと背もたれを滑りコテンと倒れ込んだ先は俺の膝。いつもなら邪魔だと退かすが自分の都合で多大な情報をぶつけた俺にも責任はある。よって今回は許容という結論に至った。
ユエ「.....政宗、愛子に優しい」
政宗「.....なんだかんだ世話になっている。このくらいはな」
ユエ「....ふ〜ん」
政宗「....ユエ?」
ユエ「....」
政宗「....あぁわかった!今度膝枕してやる。無言は勘弁してくれ....」
ユエ「....ん、それでいい」
全く....こいつはズルイというかなんというか....
後部座席からキャッキャと見つめる女子、そして不貞腐れるウサミミ少女。これから、危険地帯に行くとは思えない騒がしさだな....
そして着いたのは神山から東に千六百キロメートルほど離れた場所だ。紅や黄といった色鮮やかな葉をつけた木々が目を楽しませ、知識あるものが目を凝らせば、そこかしこに香辛料の素材や山菜を発見することができる。ウルの町が潤うはずで、実に実りの多い山である。
その麓に四輪を止めると、しばらく見事な色彩を見せる自然の芸術に見蕩れた。女性陣の誰かが「ほぅ」と溜息を吐く。先程まで、生徒の膝枕で爆睡するという失態を犯し、真っ赤になって謝罪していた愛子先生も、鮮やかな景色を前に、彼女的黒歴史を頭の奥へ追いやることに成功したらしい。まぁその失態は消えないが(無慈悲)
政宗「さてと....こういう時は....白夜」
白夜「....またか?」
そうして突然出てきたのは白夜。またかって....俺のセリフだ。また不機嫌じゃないか。愛子先生達は突然の存在に驚いており、身構えている。
愛子「な、なんですか?貴方は...「口を慎め小娘」ッ?!」
白夜のその一言の圧で愛子は動けなくなり、「私は成人してます!!」なんてツッコミを入れられるわけがなかった。
政宗「あー....愛子先生は一応成人してるぞ」
白夜「....合法ロリか?」
政宗「間違ってないけどやめろ。」
愛子「だ、誰が合法ロリですかぁ....!」
そう顔を真っ赤にしてなんとか反論するがもちろんスルーされた。
白夜「...それで?何をするんだ今度は。残念だが協力は....「この事案を終わらせたらそろそろ香織に会いに行くつもりなんだ」!!!!!!!!!!!!!!!!!」
瞬間、目に見えてテンションが爆上がりする白夜。それはもうイカれ信者という名が合うように。
白夜「立ち上がれ!!!我が使徒たちよ!!!女神は目前だ!!!!奮い立て!!!女神へ誓え!!!一刻も事を終わらせるのだ!!!!」
「「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」
かつてないほど士気が上がる使徒達。ユエ、シア、アンジェラ、プロトターボは見たことがあるためまだ慣れていた。が、ミレディや愛子先生達は初めて見るため呆然としていた。
政宗「あー.....まぁやる気があるなら助かる。とりあえず...」
俺は白夜にしてほしいことを事細かに説明する。こんな熱気で盛大に空回りなんてたまったものじゃないからな。そして知らされた白夜は再びテンション爆上げで
白夜「我が使徒たちよ!!行くぞッ!!!!この程度一瞬で終わらせてくれるッ!!!!!」
「「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」
と言って捜索をし始めた。ちなみに十二人目の使徒は何やら見た目が子供っぽいからか女性陣達に人気だった。それを見ていた男性陣はもう嫉妬の目。十二人目の使徒はまるで片方が極端に熱く、片方が極端に寒いような環境に取り残された気分だったと後でぐったりしながら俺に知らせてきた。
そして俺たちはおおよそ一時間と少しくらいで六合目に到着した。そして一度そこで立ち止まった。理由は、そろそろここら辺で何かあった気がするのと....
「はぁはぁ、きゅ、休憩ですか.....けほっ、はぁはぁ」
「ぜぇー、ぜぇー、大丈夫ですか.....愛ちゃん先生、ぜぇーぜぇー」
「うぇっぷ、もう休んでいいのか? はぁはぁ、いいよな? 休むぞ?」
「.....ひゅぅーひゅぅー」
「ゲホゲホ、南雲達は化け物か.....」
このフラフラな愛子先生達である。一瞬この程度で...と考えたがよく考えなくても俺がおかしいんだったな。
休憩がてら近くの川に行くことにした。場所だけ伝えて愛子先生たちを置いていった。待つのは好きじゃない。
そうして着いた川は小川と呼ぶには少し大きい規模のものだった。周りに魔物はいないようだし、とりあえずユエ達には「そろそろ白夜が何かしら見つけるだろう。勘だ」と伝えると呆れられた。まぁ原作通りに行くと実際そうだからな。うん。そしてユエが「少しだけ」と靴を脱いで川に足を浸けて楽しむというわがままをしたが、どちらにしろ愛子先生たちが未だ来てすらいないからまぁいいだろう。ついでにシア達も便乗した。俺とターボは見るだけだ。
そしてようやく息を整えた愛子先生たちがやって来た。置いていったことに思うところがあるのかジト目をしている。が、男子三人が、素足のユエ達を見て歓声を上げると「ここは天国か」と目を輝かせ、女性陣の冷たい眼差しは矛先を彼等に変えた。身震いする男衆。玉井達の視線に気がつき、ユエ達も川から上がった。
愛子先生たちが川岸で腰を下ろし水分補給に勤しむ。先程から玉井達男衆のユエ達を見る目が鬱陶しいため軽く睨み返すとブルリと震えて視線を逸らした。そんな様子を見て、愛子先生たちが俺に生暖かい眼差しを向ける。特に、園部達は、車中でシアから色々聞いたせいか、実に鬱陶しい表情だ
愛子「ふふ、南雲君は、ホントにユエさん達を大事にしているんですね」
政宗「.....」
どう足掻いても鬱陶しい反応しかされなさそうだったためノーコメントにさせてもらった。だが代わりにユエが行動で示した。当然だと言う様に、俺の膝の上にポスッと腰を落とす。
ユエ「.....ん」
そして満足そうに俺に寄りかかり全体重を預けた。そしてそれを見て寂しくなったらしくシアが背後から抱きつき、アンジェラが横から俺に寄りかかると言った体制になった。ちなみにミレディとターボは「ブレんなぁ....」「当たり前だよ、いつか後ろから刺されないといいねぇ」なんて俺を見ながら掛け合いをしていた。.....お前ら裏で付き合ってたりしないよな???そして突如、発生した桃色空間に愛子先生は頬を赤らめ、園部達女生徒はキャーキャーと歓声を上げ、玉井達男子はギリギリと歯を噛み締めた。そしてそれと同時にここにいる全員(ミレディ、ターボを除く)が凄くミレディとターボの関係性が気になった。
そしてそんなことをしているとどこからともなく現れた十二人目の使徒がどこからともなく現れた。
使徒「政宗様....何やら使徒の一人が有益な情報と思われるものが....」
政宗「!内容は?」
使徒「川の上流に盾や鞄を発見したとのことです。まだ新しい物なため手掛かりかと思われます....」
政宗「了解した。行くぞ、ユエ、シア、アンジェラ」
ユエ「ん.....」
シア「はいです!」
アンジェラ「承知いたしました。」
ターボ「お、なんかあったっぽいな。行くぞ!」
ミレディ「えーもう?もうちょっと休みたかったなぁ〜」
愛子先生達は本音で言えばまだまだ休んでいたかったようだがミレディの発言とは真逆のような元気さや無理言ってついてきたこともあり、なんとかついてこようとしていた。
そして到着すると小ぶりな金属製のラウンドシールドと鞄が散乱していた。ただし、ラウンドシールドは、ひしゃげて曲がっており、鞄の紐は半ばで引きちぎられた状態でだ。ここに来るまでに使徒から伝えられた通りだ。
政宗「なるほど、これは恐らく....当たり、だな。感謝するぞ、白夜」
白夜「香織ィィィィィィィィィ!!!!ぶっ?!」
俺の言葉も聞こえないくらい香織にそろそろ会えると狂喜乱舞して流石にうるさかったため強制的に収容室に戻した。どうせ今頃香織の写真の前にひれ伏しているところだろう。お前布教する側だろうが。
先へ進むと、次々と争いの形跡が発見できた。半ばで立ち折れた木や枝。踏みしめられた草木、更には、折れた剣や血が飛び散った痕もあった。それらを発見する度に、特に愛子先生達の表情が強ばっていく。しばらく、争いの形跡を追っていくと、シアが前方に何か光るものを発見した。
シア「政宗さん、これ、ペンダントでしょうか?」
政宗「だろうな。遺品やもしれん。確かめよう」
シアからペンダントを受け取り汚れを落とすと、どうやら唯のペンダントではなくロケットのようだと気がつく。留め金を外して中を見ると、女性の写真が入っていた。....普通なら恋人やら妻やらといった風に予測するだろうが....うん、知ってるほうからするとなんとも言えんくなる。ちなみにアンジェラが回収した。
その後も、遺品と呼ぶべきものが散見され、身元特定に繋がりそうなものだけは回収していく。どれくらい探索したのか、既に日はだいぶ傾き、そろそろ野営の準備に入らねばならない時間に差し掛かっていた。
すると興奮が収まって再び帰ってきていた白夜とその使徒が異常のあった場所を探し当てた。東に三百メートル程いったところに大規模な破壊の後があるらしい。確かそこにいたはずだ。全員を促しすぐに向かった。
そこは周囲の木々や地面が焦げていた。何か大きな衝撃を受けたように、何本もの木が半ばからへし折られて、何十メートルも遠くに横倒しになっていた。川辺のぬかるんだ場所には、三十センチ以上ある大きな足跡も残されている。まるでレーザーで抉り取られたように。
政宗「ここで本格的な戦闘があったらしい。....」
正直分析しなくても何が引き起こしたかはもうわかっているため言うまでもなかった。そして色々進んでいくと先ほどのものとは比べ物にならないくらい立派な滝に出くわした。俺達は、軽快に滝横の崖をひょいひょいと降りていき滝壺付近に着地し、滝の傍特有の清涼な風が一日中行っていた探索に疲れた心身を優しく癒してくれる。と、そこで俺の〝気配感知〟に反応が出た。
政宗「?!これは....!」
ユエ「....政宗?」
俺はまさかと思い再び、目を閉じて集中した。そして目を開ける。
政宗「気配感知にかかった....二人だ。この感じ、人間だ。場所はあの滝壺の奥だ」
シア「生きている人がいるってことですか!」
アンジェラ「恐らくそうでしょう。....ですがまだ目当ての方々だとは限りません。それにどちらも目当ての方々なら二人も生き残っているとは....」
そう、俺が驚いたのはそこだ。本来生き残っているのはたった一人のみ。なんで二人いるのか....考えている暇はない。確かめなくては。
政宗「ユエ、頼むぞ」
ユエ「....ん」
俺に頼まれたユエはその意図を察し、右手を振り払った。
ユエ「〝波城〟 〝風壁〟」
すると、滝と滝壺の水が、紅海におけるモーセの伝説のように真っ二つに割れ始め、更に、飛び散る水滴は風の壁によって完璧に払われた。詠唱をせず陣もなしに、二つの属性の魔法を同時に、応用して行使したことに愛子先生達は、もう何度目かわからない驚愕に口をポカンと開けた。
俺は愛子先生達を促して滝壺から奥へ続く洞窟らしき場所へ踏み込んだ。その空間の一番奥に横倒しになっている男を発見した。傍に寄って確認すると、二十歳くらいの青年とわかった。そしてもう一人横倒しになっている女もいた。茶色いロングヘアのアホ毛がある女性。身なりはスーツっぽく....ん?どこかで見たことがあるような....
俺は手っ取り早く二人正体を確認したいのでギリギリと力を込めたデコピンを眠る青年と女性の額にぶち当てた。
「ぐわっ!」
「うぎっ?!」
悲鳴を上げて目を覚まし、額を両手で抑えながらのたうつ青年と女性。...うん、なんか見たことあるぞ。神?貴様やってくれたな??とりあえず名前を確認だ。
政宗「さっさと答えてくれよ。お前はウィル・クデタか? クデタ伯爵家三男の」
「いっっ、えっ、君達は一体、どうしてここに.....」
政宗「さっさと質問に答えてくれ。答えんたびに威力を三割増だぞ」
「えっ、えっ!?」
政宗「お前はウィル・クデタか?」
「えっと、うわっ、はい!そうです!私がウィル・クデタです!はい!」
しっかり答えられてよろしい。....で、
政宗「....お前の名前は?」
「っえ?!あっ、その....」
政宗「....早く答えてくれ。」
ホド「はひぃ?!わ、私はホドと申します!!!」
俺がデコピンの構えをするとすぐに彼女は答えた。......そしてそこで俺は何かがプツンと切れ、天に響く声で叫んだ。
政宗「おのれ神ィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」
はい!ついにホドちゃん登場です。待ってたんだろ?そうなんだろ??ホドちゃんの詳細は次回です。お楽しみに!
よかったら感想ください