正義の味方になりたかったけど、そう思い通りには行かないよなあ… 作:考える僕
シャドウとしばらく走って着いた場所は森の中の廃坑。みたいな場所
鬱蒼と木々の先の岩壁に空いた空洞。無法者でも人寄り付かないようなところだ。
本来なら明かりも何も無いような場所のはずなのだが、篝火が炊かれ、微かに人の気配も感じる。
よく耳を済ますと時折カキーンという鉄と鉄のぶつかる音も聞こえる…戦闘の音だ。
アルファ達の姿が見えないところを見るとどうやら先に始めてしまっているらしい。
彼女達の戦闘能力に不安は無いけど、それでも僕に比べて数段、シャドウに比べると数十段程度劣る。教団が盗賊たちのようにへなちょこな奴らならいいのだが、クレアさんの誘拐を成功させたところを見ると、それなりに腕は立つようだ。彼女達の身に何かあってからでは遅い。僕は今すぐにでも突入を決めた。
「シャドウ、どうする?僕は行くけど。」
僕が質問するとシャドウはあさっての方向を向いて言った。
「そうだな…あちらに何かを感じる…我はあちらへ向かうとしよう」
ん?そっちは森なんだけどなあ……大丈夫なのかコイツは?
「では、勝利の後祝杯を挙げるとしよう!」
シャドウはそういうと僕の視界から一瞬にして消えてしまった…
僕は今、2つの選択肢がある。
一つ、まっすぐ進んで、悪と戦う美少女達を助けに行く。
二つ、意味不明なことを言って消えていった戦闘最強知能最弱の主を追う…
僕は前者だ、
僕はそう思って突入した。
―――
中に入るとしっかりとしたレンガ造りの内部に所々灯りが着けられ、外から見た時に感じた廃坑というイメージは消えた。しっかりと管理された施設であることが伺える。
進んでいくと壁の途中であったり、変なところに下へと続く階段があった。恐らく隠し階段的なやつだったんだろうが、先客によって暴かれてしまっている。
段々と大きくなっていく剣戦の音を頼りに進んでいるのだが、所々に血溜まりと教団の者と思われる亡骸が転がっていた。そこに彼女達が居ないことを確認し安堵しながら進んでいく。
(近いな…あと少し…あ、いた。うわ、血溜まりだ…)
―――
オルバがそこに着くと既に辺りは血で染まっていた。
ここは教団でも重要拠点の一つ…守備の兵士が弱いはずがない。
なのに何故だ。全て一刀。圧倒的な実力差で斬り伏せられていた。
オルバの前方には漆黒のスーツを纏った者達が居た。体の膨らみ絡みて少女たちだろう…こいつらはは強い…見ただけで分かる。こいつらは自分にも匹敵…いや、それ以上の強さか…
いづれにしても七対一、戦うのが得策でないくらいオルバはわかっていた。考えろ、どうするべきか…オルバは完全に萎縮してしまっていた。
完全に萎縮してしまっていたオルバの前に血まみれの1人が歩み出てきた。
金髪、息を飲むほどに美しいエルフの少女だった。
オルバは何とか動揺を隠して彼女に問う。
「お、お前たちは何者だ!」
オルバの問に対して彼女はオルバに剣先をむけ、答える。
「我らはシャドーガーデン。陰に潜み、陰を狩るもの」
「な、何が目的だ!」
「目的…それはディアボロス教団の壊滅よ」
ディアボロス教団、その名前はこの施設でも、オルバを含め数人しか知らないはずの名前だった…こいつらはなんなんだ?オルバの中でさらに疑問が深まる。
「き、貴様らどこでその名を知った!」
「私たちは全てを知っている。魔人ディアボロス、英雄の子孫、そして悪魔憑きのね」
(!!)
彼女の言った中には極秘の情報が入っていた…決して知られてはならない極秘の情報が…
情報の漏洩は許されない、では自分はここで目の前の敵を殲滅できるのか?否、
ではどうする…
生存して彼女達の存在を伝えるのだ。生存して教団に伝えなければならない。
オルバは意を決した。剣を抜き、前へとすすむ。
「うらあああぁぁぁ!」
決して遅くはなかった。しかし、彼女の前、アルファの前ではその剣は止まっているに等しかった。アルファはその剣を軽くいなし切り返す。オルバの頬が裂け、血が舞う。
だが、オルバは止まらない、何度も何度もアルファへ斬りかかり、勝機を探っていた。
―――
なんか、ボスっぽい奴とアルファが交戦してるけど、なんか余裕そうで助けに来た意味ないじゃん!て感じになっている…これなら迷子の主を探しに行った方が良かったかな……
オルバが振り下ろす剣をアルファは無駄な動きなくかわし、オルバを切りつける。しかし、わざと致命傷になるところは切ってはいない。全ての情報を聞き出すまでは殺さないつもりだろう…可愛い顔して、やってることがかなりエグイ…
オルバが動く度にオルバの血で血溜まりが広がっていく…30くらいか…それくらい受けたところで、とうとうオルバが後退した。これは勝負あったなと思った瞬間、オルバが口に何かを含んだ。
切られた胸を抑え、跪き、口元にえみをうかべる。
と、次の瞬間。オルバの体が一回り大きくなり、瞬時にアルファに向けて剣を薙ぎ払う。
アルファはそれを受けるが、その威力に吹き飛ばされるように、後退した。
ん、なんかパワーアップした?これはあれだ。よくある追い詰められた敵キャラが謎の力でパワーアップして、それをぶっ飛ばす奴だ。よし、僕が行くぞ!
足に魔力を込めて、オルバの反応できない速度でオルバの方へとジャンプし、オルバの顔面に魔力で強化した正拳をぶっぱなした。
「おらぁ!」
「ぐあああぁぁ!」
僕の正拳を食らったオルバが呻き声を上げながらぶっ飛び、後ろの壁へ激突する。
顔面はめり込み、原型が分からないほどグッチャグチャだが、それでも生きている…
突然現れたゼロに対して、七影は驚きつつ、どこか安心感を覚えた。あとは彼がやってくれる、そう感じたのだ。
顔面グチャグチャにしたはずのオルバが立ち上がり、再生を始めている…
僕はオルバが体制を立て直す間を与えることなく、追撃する。左、右、左、下、右、左…
魔力で強化された僕の拳は地下であることを考慮して威力を抑えていても、かなりの威力があった。僕の攻撃に合わせて吹っ飛んでいくオルバを高速でおい、追撃、それを繰り返して、追い詰めていく。あくまで殺しはしない、殺してしまったらアルファ達の作戦を潰してしまうことになる。
だから、手加減をしていたつもりだったんだけど…
つい、右へ左へ飛んで行くオルバ君に今日が乗って、おりゃあ!と上から下に腕を振り落としたところ、オルバ君は下へと落ちてしまった…
(追っかけるか…)
そう思い、アルファたちに言う。
「これから下に行ってオルバ君連れてくるけどどうする?」
「大丈夫よ、下にあなたが行く必要はないわ、だって下には彼がいるもの」
「彼?」
「シャドウよ」
集中して、周囲の魔力を探る…下には暴走気味のオルバ君の魔力と…あ、シャドウのだ…
「なんでそこにいるかは知らないけど、きっと、あなたとシャドウで考えていたのでしょう?あなたが落とした対象をシャドウが対処するって」
「う、ううむその通りだよ」
えーー、あいつなんでそこに行ったんだ?というより行けたんだろう…
確かシャドウは森の方に…なんで?
頭の中がごっちゃごちゃの謎謎状態だ…
えーっと、これはシャドウ様すごーい!で終わらせてしまっても良いだろうか…
訳が分からん…
単純にシャドウが極度の方向音痴?タダの迷子で会ったことを、彼らは誰も知ることは無かった…
―――
「迷ったーー!」
くそう…アルファ達がラスボスと戦っている時に颯爽と現れ、圧倒的な実力差で勝利して、
「容易い事だ、」
的な、超余裕だったよ的なことして、陰の実力者するために練習していたというのに…まさか迷子になるなんて…しかも敵もアルファ達もどこにも見当たらない…誰もいない…これならあそこで無駄にカッコつけないで、ゼロに着いて行けば良かった…ん?
メキメキメキメキ
「ぐあああああああああああぁぁぁぁぁ」
一人寂しく、施設を歩くシャドウの目の前の天井がメキメキめきと音を立てて崩れ、それと一緒にひとつの大きな
「うお、なんだこれは…うーん、この波長魔力暴走…でもなあ、どう見ても悪魔憑きではないしなあ…」
彼の前にはボッコボコのほぼ肉塊状態になったオルバが居た?いや、あった(生きてはいる)