仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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序章 凱旋 編
第一話「凱旋 I:輪廻を呼ぶ鐘」


BOOST TIME!

 

「…さぁ、ハイライトだ!」

 

キツネの咆哮と共に、上半身は白く下半身が赤い戦士が、巨大な城のような怪物に突っ込んで行く。

 

「はぁぁぁあっ!!」

 

《 MAGNUM BOOST

GRAND VICTORY

 

爆散する城ジャマト。降り立った白いキツネの仮面の戦士、仮面ライダーギーツは、城ジャマトの消滅と共に世界を守れた事に安堵しながら、腰に手を置いた。

 

英寿(エース)っ!」

「英寿!」

「ギーツっ!」

すると、またそこに3人の仮面ライダーが集まった。

右から緑のタヌキのライダー、仮面ライダータイクーン。黒ネコのライダー、仮面ライダーナーゴ。紫の牛のライダー、仮面ライダーバッファ。

彼らはこれまでにも、ギーツと共に世界を守り、幾多もの命を守って来た。

 

「…よぉ、お前ら」

「もぉ…結局英寿一人で倒しちゃんだから……」

「流石って言うべきなのか…もはや怖いよね」

「当たり前だ。コイツは神だぞ?あの程度のジャマトにやられる器じゃねぇ」

「そのジャマトにボコボコにされてたのはバッファ、お前だけどな」

「う、うるせぇ!」

軽い会話を挟み、ギーツは変身を解いた。それに応じて、その他の3人のライダーも変身を解いた。

 

「…そんな事より、みんな元気そうでなによりだ」

仮面ライダーギーツの正体の名は、浮世(うきよ)英寿(えーす)。無敗のデザ神にして、今ではこの世界の神である。

 

「そんな事よりって…なんでまたジャマトが出てきたのさ」

仮面ライダータイクーンの正体の名は、桜井(さくらい)景和(けいわ)。世界平和を望む、優しい心を持った青年だ。

 

「確かに……未来の指名手配犯も、悪者の錬金術師も、みんな捕まった筈だからね〜」

仮面ライダーナーゴの正体の名は、鞍馬(くらま)祢音(ねおん)。鞍馬財閥の一人娘である彼女は、インフルエンサーとしての一面もあり、チャンネル登録者数に見合う人望を持っている。

 

「また面倒な事になりそうだな……今度こそ、俺が全員ぶっ潰してやる…」

仮面ライダーバッファの正体の名は、吾妻(あづま)道長(みちなが)。何事も一直線に進む彼は、正に暴れ牛の如く。だが垣間見える優しさを、周りは理解している。

 

「たとえ新たな敵が現れても、この俺がいれば大丈夫だ。なんたって、この世界の神様だからな」

英寿は手をキツネの形にしながら、そう自信ありげに答えた。3人も、それに対しては納得するように微笑んだ。

 

《皆さん!!》

「…ん?うえっ!ツムリ!?」

すると、彼らの上空にモニターが出現し、白黒のドレスを着たポニーテールの女性、ツムリが4人に声を掛けてきた。

 

《まだ終わってません!あのジャマトの中から、別の影が──!》

 

ツムリが4人に注意喚起しようとするも束の間、先程爆散したジャマトが居た位置から、尾のような触手が街を薙ぎ払いだした。

 

「ちょっと待ってよ!あれがボスじゃなかったの!?」

「どうやら、やはりあれはただのジャマトじゃ無いみたいだな」

「相手が誰であろうと、俺がぶっ潰す!」

「…みんな、行こう!」

 

彼らの腰に装着されているベルト。デザイアドライバーには、各々の個人識別符号端末であるIDコアが付けられている。

 

《 ENTRY 》

 

そして景和は緑の手裏剣が着いたバックル、祢音は鍵盤の着いたバックル、道長は紫の肋骨のようなバックルを手に取った。レイズバックルは仮面ライダーの装備を強化する拡張アイテムであり、その個性を活かすのは使用者の使い方次第である。

英寿は白いリボルバーのような見た目のマグナムバックル、赤いバイクのマフラーのようなブーストバックルを手に取った。

 

《 SET 》

 

4人は各レイズバックルをデザイアドライバーにセットする。各々が戦いで本気を出す為にルーティン、即ち変身ポーズをとる。英寿がキツネの手から指を鳴らすと、4人が一斉に叫んだ。

 

「「「「変身ッ!」」」」

 

全員がバックルを起動させると、全身が黒いスーツに包まれ、バックルのイメージが具現化した装備を武装される。

 

NINJA

 

BEAT

 

ZOMBIE

 

《 GET READY FOR 》

BOOST & MAGNAM 》

 

最後にそれぞれ別のメットパーツが頭に被されば、仮面ライダーへの変身が完了である。

 

《 READY FIGHT!》

 

 

 

仮面ライダーは世界を救う為、

日々、命をかけて戦っている。

 

 

 

この物語はフィクションである

 

『あ〜な〜た〜のア〜イド〜ル〜!サインはB〜!』

 

というか、この世の大体はフィクションである

()()して、()()して、都合の悪い部分は()()()()()()

ならば、上手な嘘を()いてほしいのが

アイドルファンというものだ

 

「アイィィィィィ!!!」

 

この芸能界(せかい)において、嘘は武器だ

 

「リアルでこの可愛さを拝みたかった…くぅぅぅう……」

俺はゴロー。産婦人科医師の肩書きを持つ俺は、日々テレビのモニターからその御尊顔を拝んでいた。

 

『みんなありがとう〜〜!』

瞳の奥に星のような輝きを見せる、アイドルグループ「B小町」の絶対的エース、不動のセンター、究極美少女の16歳──アイ

 

「結成から4年…じわじわと人気を上げてきて、メディアの露出も増え、ようやく世間に見つかった(じだいがおいついた)って感じ!?」

その軌跡も著しく、確かな進展が見えていた

 

「ここからだ…ここから彼女はスターダムへと──」

「先生、そういうのは家で観て貰えます?」

「……」

「なんで患者の病室でアイドルのDVD流してるんですか。常識で考えておかしいでしょう」

「…美しいものを見ると健康に良い。それが私の医師としての見解だ」

「ただの布教活動ですよね?」

バレないようにしていたつもりだが、なんと勘の鋭いナースだろうか

ほら見ろ、君のせいで患者が少し引いてるではないか

 

「そういえばセンセ、さっきツイッターのトレンドに……」

 

「えぇーーっ!?アイの活動休止だとぉー!?」

メディアページに書かれていた内容、それはB小町・アイが体調不良による活動休止を発表したというものだ

 

「あぁ件のアイドル…ホントに信者なんですね…」

「……」メソメソ

「16歳でしょその子、ロリコンですね」

「それだけは言うな」

病院の屋上までやって来たゴローは手すりに寄りかかりながら、そのナースに語りかけた

 

「理由があんだよ、理由が。医者は転勤の多い仕事だけど、俺が研修医やったのもこの病院だった。その頃の俺も……今みたいによく患者の病室でサボってた」

「働け」

 

その時出会った一人の患者が、俺の運命を変えた

 

「で…!この子がめいめい!ダンスが良いの!」

「ふーん」

患者の名前はさりなちゃん。その時は、俺に対して必死に…いや、楽しそうに好きなアイドルの話をしていた

 

「歌はありぴゃんときゅんぱんが良いんだけど、やっぱ私の推しは〜〜アイ一択でしょ!」

まだ名も無きアイドルのB小町。それでもさりなちゃんはアイの事を必死に応援していた

 

「私と同い年なのに大人っぽくて歌もダンスも上手いの!何より顔がいい……生まれ変わったらこの顔が良い…」

「何が生まれ変わりだよ。馬鹿な事言ってんなよ」

「夢がないね、せんせ」

この頃の俺はなんというか…全てに対して興味を持っていなかった

 

「…もし芸能人の子供に生まれていたらって考えた事はない?」

「……」

「容姿やコネクションを生まれた時から持ち合わせていたらって」

「無い」

「やっぱり夢がないなぁ」

でも、俺も暇で医者になった訳じゃない

 

「…さりなちゃん可愛いじゃん?生まれ変わる必要なんてない」

「……」

「退院したらアイドルにでもなればいい。そしたら俺が推してやるよ」

「ほんと?せんせ好き!結婚して!」

「社会的に死んじゃうから勘弁して…」

患者に少しでも希望を与えられる、俺はそんな医者になりたかった

 

「このモラリストー」

「残念だったな、16歳になったら真面目に考えてやるよ」

「……16かぁ…」

「……」

「せんせ…いじわるだね」

「現実的なぷらんだろ」

 

退形成性星細胞腫(たいけいせいせいせいさいぼうしゅ)…まだ12歳だった。今でも生きてたらアイと同じ16歳。彼女が好きだったアイドルと、さりなちゃんを重ねて見てたんだろうな…彼女が夢見た道を歩く……その姿を見届けたいだけなんだよ」

「…なるほど。結果ロリコンって事ですね」

「話聞いてた!?結構感動的なエピソードだったよね!?」

 

昼休みも明け、俺は診察室に戻った

診察室には帽子を深く被った少女と、保護者らしき顎髭のおっさんが居た

 

「えっと……星野さんは初めてですね」

「はい」

お腹の具合は20週って所か……初診察にしては大分遅いタイミングだな

年齢は16、なるほどワケあり。誰にも相談出来ないままここまで来たパターンか

 

「貴方は親御さん?」

「まぁ…戸籍上は……彼女は施設育ちなもので、実質後見人というか身元引受人というか……」

「なるほど」

16歳施設育ち。どこかで聞いたような話だな──

 

「…もう帽子脱いでいい?」ボソッ

「あ、あぁ…まぁここならな……」ボソッ

 

まるで、アイドルの──

 

「……」

患者は帽子を脱いでその素顔を俺に晒した

紫色の流れるような艶やかな髪

一番星のように煌めく瞳の星

 

「先生どうなんでしょう?もの凄い便秘という可能性は……」

「だとしたら死んでますねぇ…」

「そっちは順調!今日も問題なかったよ」

「……とりあえず検査してみましょう。準備がありますのでお待ちください」

俺は診察室をそっと出て扉を静かに閉じた

 

ちょいちょいちょいちょい!?!

えっ!?本物!?

アイのそっくりさん!?いや、長年のファンの俺が見間違えるハズがない!!

え〜〜〜〜っ

リアルアイちょ〜〜〜〜かわい〜〜〜〜〜〜〜っ

じゃねぇ!!推しのアイドルが妊娠しとる!!

ショック過ぎてゲボ吐きそうなんですけど!!

 

「…アイ……」

すると、診察室内で顎髭のおっさんがアイに問い掛けた

 

「本当に…どうしてこうなった……」

ホントそれだよ!

 

「社長の俺にどうして相談しなかった…相手の男は誰なんだ……」

「それは……えへへ、内緒!」

内緒かーー!じゃあ仕方ないけどーーー!!

 

詳しい検査の結果、アイのお腹の中には双子が居ることがわかった。

アイ本人は産むつもりなのだろうか……

君に好きな男が居ても、俺は君を応援し続ける

でも君が子供を産めば、より高みに羽ばたいていく姿を見る事は出来なくなるんだろう

 

「ファンの意見てのは身勝手だよな…そう思うだろ、さりなちゃん……」

俺が一人、夜の屋上で黄昏ていると

屋上の扉が開いてアイがやって来た

 

「あっセンセ」

「星野さん…夜風が体に障りますよ」

「厚着してるからだいじょぶ!社長の勧めでここを選んだんだけど良い所!夕暮れでも星が凄くよく見える…東京じゃこうはいかないなぁ……」

「……わざわざこんな田舎に来たのは、東京だと人目につくから?」

俺の推測に、アイは食い付いた

 

「……あれ?私仕事の事言ったっけ?」

「昔……患者に君のファンが居たんだよ」

「あちゃー…ここならお医者さんもおじさんばかりでバレないと思ったんだけどなぁ…やっぱ溢れて出るオーラ隠せないね☆」

自信家かわいい

 

「君は……アイドルをやめるのか?」

「なんで?やめないよ?」

「でも、それは…」

「私家族って居ないから、家族に憧れあったんだ……お腹に居るの、双子なんでしょ?」

アイは自分のお腹を擦りながら笑った

 

「産んだらきっと賑やかで楽しい家族になるよね!」

「…子供は産む…アイドルも続ける…つまりそれは……」

「そ…!()()()()()

「…っ!」

「アイドルは偶像だよ?嘘という魔法で輝く生き物…嘘は、とびきりの愛なんだよ?」

俺はアイのファンになって、つくづく思う事がある

 

「子供の一人や二人、隠し通してこそ一流のアイドル!嘘に嘘を重ねて、どんなに辛い事があってもステージの上で幸せそうに歌う楽しいお仕事!でも、幸せってところだけはホントで居たいよね…みんな気付いてないけど、私達にも心と人生があるし。母としての幸せと、アイドルとしての幸せ、普通は片方かもしれないけど…どっちもほしい。星野アイは欲張りなんだ!」

 

アイというアイドルは思っていたよりずっと図太く、ずるくて強く

一番星の様に眩しかった

 

「……和解した」

「えっ?」

医者の俺と、ファンの俺の意見が一致した

 

「…星野アイ。僕が産ませる…安全に元気な子供を」

君の幸せがそれだって言うなら従おう

だって

君はどうしようもないほどアイドルで

僕はどうしようもないほど君の奴隷(ファン)

 

 

 

アイの出産予定日までは、あっという間に過ぎた

彼女の入院中は偽名を使い、なるべく外の外出は控えて基本的に俺と一緒に居てもらうことにした

そのうち社長も観念したようで、出産に向けての責任は俺に任せて貰った

 

「せんせ、おつかれさま。でも呼んだらすぐ来てよ?」

「おう、家はすぐ近くだしな。まぁ来れなくても代わりの先生来てくれるし」

「やだ、センセが良い」

 

これが終わったら、アイとの繋がりもなくなり

ただのアイドルとファンに戻る

ちょっと裏の面も見えたけど、彼女のカラッとした性格をむしろ好きになった感すらある

彼女の幸せを、心の底から応援……

 

「あんた、星野アイの担当医?」

「……」

暗い道、街灯が一本しか立たないその道に

俺とフードの男だけが居た

 

「…彼女が受診する際は偽名を使ってる。病院で見かけたにしても、なんで公表されてない彼女の名字を知ってる?」

「……っ」

「…関係者?名前を聞いていいか?」

「……っ!」

「おい!ちょっと待て!」

逃げ出すフードの男。俺は山道を走り男の行方を追った

奴はおそらく彼女のストーカーか何かだ

出産も控えたこのタイミングで……

 

「くそっ…どこいった?」

 

《 ■■■■ STRIKE!》

 

「……えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

んー……

 

 

あー

びっくりした

 

急に頭まっしろになるから……

なんか足滑らせたみたいだ

 

 

あっ

携帯……

 

もしかしてアイが産気づいたか?

 

どこだ携帯……

暗くてわからん

 

っていうか体が動かねぇ…

 

 

早く行かなきゃ

 

約束したからな

元気な子供産ませるって……

 

「……」

早く起きて

あの子の子供を……

 

 

ゴーン… ゴーン… ゴーン…

 

 

…ん?

なんだ?この鐘の音…

 

『もし芸能人の子供に生まれていたと考えた事はある?』

 

「……」

 

『容姿やコネクションを生まれた時から持ち合わせていたらと』

 

僕は真面目に考えた事はなかった

だって

そうだろう

 

『──もし生まれ変わったら』

 

 

 

「…オギャ!オッギャァ!」

自分の話と思わなかったんだから

 

 

 

戦いを最後まで勝ち抜いた者は、

理想の世界を叶える事が出来る。

 

 

第一話「凱旋 I:輪廻を呼ぶ鐘」




次回

「一体どうなってる?」
「あれ〜…どこいったぁー?」
「……どうも」
「……ジャァ…」
「やはりジャマトの仕業か…」
「この世界に、仮面ライダーが居る限り…!」

第二話「韜晦Ⅰ:兄妹と新たなデザグラ」
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