仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

27 / 59
ご無沙汰しております
推しの子完結おめでとうございます
色々言いたいこともありますが、おかげさまでこの作品の意向も定まって来ました
今はアニメで言う2期の部分をどのように描くか考え中です

それでは続きをどうぞ



第二十六話「憧憬Ⅷ:アクアとマリンと芽吹く想い」

「……ここからが私たちの、ハイライトよッ!」

ステージに並び立つ3人の仮面ライダー。

観客の真上を飛び越え、ステージ後方まで着地する。

 

「エース、助かったわ。あとは私たちに任せて頂戴」

「…あぁ、お前たちに任せる」

ギーツは戦線を離脱し、彼女たちの後ろに下がる。

 

「あのジャマト共は一体一体に意志を感じない。本体が別に居る筈だ」

「本体?」

「あぁ…で、その本体はおそらく……」

そこで英寿は地面を指さした。

 

「…地面の中だ」

「地中に!?」

「あいつら、さっきから地面から湧いて来てたけど…そういう事ね」

「…マーリ、お前の力ならアイツらに対抗出来る筈だ」

「言われなくてもそうするつもりよ。あんたはそこで指でも咥えて見てなさい!」

マーリは初めて英寿と邂逅した時のようなセリフを口走る。そしてその言動には、明らかに自信が満ち溢れていた。

その事に英寿も気が付き、自然と笑みがこぼれる。

 

「……ふっ…流石は天才子役様だ」

「違うわ」

「…え?」

「……今の私は新人…新人アイドル、有馬かな!」

「……っ…そうか」

やはり、俺の見立てに間違いは無い

マーリは……いや…“有馬かな”は、立派なアイドルになれる

 

「行くわよ!あんた達!」

「うん!」

「有馬ちゃん、気合いモリモリだねぇ!」

気合い十分の3人は無数に現れるジャマトと対峙する。

 

「ジャァァ…」

「でもでも!どうやって地中に行くの!?」

「さっき見てた感じだと、ジャマトの能力で地面が一時的に液状化する瞬間があるわね」

「そこを有馬ちゃんがザブンと潜るわけだね!」

「その通りよ。あんた達は私が地中に居る間の地上のジャマトの相手をお願い。私は何とかして地中に居る本体を地上に引きずり出してやるから」

「オッケー!流石は先輩、頼れるねぇ〜」

「ジャァア!!」

ジャマトはさせるかと勢い良く向かって来る。

 

「来るわよ!じゃあ作戦通りにね!」

「「うん!」」

「…私達の力、思い知らせてやるわよ!」

 

 

「……へぇ〜…なかなかやるねぇ」

シロメはスターステージを遠くから見届けていた。

B小町のライブが無事に終わり、残りはジャマトを倒すだけとなった。

しかし今回のジャマトもかなり強力。

シロメはそんな彼女達の命運を見届けようとしていた。

 

「……ん」

そんな時、彼女の背後に気配を感じた。

 

「…これはこれは、珍しいお客さんだね」

シロメは何かを分かっていたかのような表情で彼を見た。

 

「アクア君のサポーターが、私に何の用かなぁ?」

「……」

イラドは能面をしたまま彼女を見つめる。

 

「…ナビゲーター。一つ質問がある」

「ん〜?なに〜?」

「……一体アイツと、どんな取引をしたんだ?」

「…へぇ〜……でも、それを知ってどうにかなるものなの?」

「……何が言いたい」

「だァかァらァ〜…知る必要あるかって話っ!“命の無い”君に、知る権利があるのかなぁ?」

「……お前も似たようなものだろう」

「…ふふっ…そうだねぇ……」

 

 

「はぁぁっ!」

「ジャァッ…!」

テラスの華麗なステップでジャマトは次々と翻弄されていく。

 

「ジャァッ!」

すると、2体のジャマトが自身の腕のツタを伸ばしてくる。

 

「…っ!よっ!ほっ!」

それを見切るテラスは、一気にジャマトとの距離を縮める。

 

《 1!》

《 2!》

 

「はぁぁ…!」

テラスはステップバックルの1番と2番のボタンを連続で押す。少しロック調の音楽が流れると共に、9マスのボタンは赤と黄色に点滅し始める。

 

「はァァっ!」

「ジャッ!」

テラスは1体のジャマトの顔面を踏みながら空中を逆さに舞う。

 

STEP 2 STRIKE 》

 

「てやぁぁぁッ!」

テラスはバックルを操作すると、天を向いていた両足を振り下げて2体のジャマトの顎にキックを叩き込んだ。

 

「ジャァァ…!」

「ジャッ!」

一撃でノックアウトされたジャマトは爆散する。しかし、それでも次なるジャマトが現れる。

 

「任せなさい!」

「先輩!」

すると、今度はマーリが戦線に立ちジャマトの相手をする。

 

「喰らえぇぇ!!」

「ジャァァァ…!」

マーリは肩にあるキャノン砲から高圧の水を噴射させ水圧でジャマトを退けていく。

 

「更に…!イッケェェ!!」

更に両腕からミサイルを2発発射しジャマトの足元に被爆させる。

 

「うっひょー!有馬ちゃんやるねぇ〜!」

空を飛来するマーニア。

コウモリのような翼を広げ、空からジャマトに狙いを定める。

 

「うちも負けてられないねぇ〜!うりゃァァ!」

「ジャァァ!」

空からの攻撃に対応出来なかったジャマトは抵抗出来ぬまま爆散する。

 

すると……

 

「あ!先輩あれ!」

「……っ」

現れたジャマトを中心的に倒して言ったからか、次なるジャマトが現れるであろう地面がゆらゆらと揺らぎ始めた。

 

「地面が液状化してる!有馬ちゃん、今がチャンスだよ!」

「えぇ!アンタ達良くやったわね!」

「頑張ってね、先輩!」

マーリは2人の応援の声を背に、思い切って地面にダイブした。

身体は見事に地中に沈み、彼女の姿は見えなくなった。

 

「ジャァ…」

「クッ…ジャマト…!」

「本体を倒すまでは現れ続けるって事ね……有馬ちゃんが戻ってくるまでの辛抱だよ!」

「…うん!絶対…絶対に勝とうね!みんな!」

 

 

「……っ」

いくら潜れるとは言っても、結局は地面の中……泥水みたいなのが視界を奪う…

 

地中に潜ることに成功したマーリであったが、未だジャマトの本体を見つけられずに居た。

 

「……っ!?」

しかし、前方から異変を感じる。

するとマーリの前方、濁った水の中から2枚の円形の葉っぱが異音を発しながら飛んで来た。

 

咄嗟に避けるマーリ。

しかしその葉っぱが濁った水を切るように飛んでいる事から、あの葉っぱは鋭利な素材で出来ていると推定。

葉っぱのような円形のカッターが襲って来たのだ。

 

「…なるほど、この先に居るってわけね」

だが、それは故にあの葉っぱが飛んできた先にジャマトの本体がいる可能性が高い事に気が付く。

 

「……だったら…!」

マーリは体制を整え集中する。

両腕のファンが逆回転で回り始め、周囲の水を吸い込みだした。

すると両肩のキャノンにみるみるとエネルギーが充填されていき砲撃体制へと移行する。

 

「出力最大…!喰らえぇぇ!」

凝縮したエネルギーを放つマーリ。そして確かな手応え。

勝利を確信していたマーリであったが、その優越な表情は徐々に曇っていく。

 

「…よ、よし!……?」

エネルギー砲弾が敵に命中した事で衝撃波が生じ、辺りの濁った水が押し出される。すると徐々に敵の全貌が露になる。

 

「……う、嘘でしょ…?」

しかし、その姿はマーリが想像していた姿の何倍もの大きさで、地上に向かって今も尚分身を口元から排出していた。

 

「…デカすぎでしょ……」

「……ジャァ…!」

「…っ!?」

すると巨大なオニバスジャマトの身体の各所からまたもや円形の葉っぱが飛んでくる。

やはりあのジャマトが生み出していたもののようだ。

 

マーリは咄嗟にその葉っぱを避けるも、ジャマトの攻撃は絶え間なく続いた。

 

「……っ」

避けられない攻撃じゃない…

でもこのままじゃ近付けない…!

何とかしてコイツを地上に引きづり出したいのに…!

 

でもあの巨体、一体どうやって…?

 

「ジャァッ…」

「うっ!クッ!」

敵に隙を与えてしまったマーリにジャマトの攻撃が容赦なく飛び交う。

致命傷ではないものの、喰らい続ければタダでは済まない。

 

「…クッ…な、何かいい方法は……っ?」

マーリは攻撃を受ける中で、薄目で確認した。

 

彼女の前方、あのジャマトのちょうど真上の位置に、ギーツが残したマグナムシューター40Xが水中に浮いていた。

 

「あれは…!?」

「ジャァッ!」

「なっ…!?」

攻撃が激化した…!?

私があの銃のことに気が付いたのに気が付いたの?

……って事は…!

 

「…悪いけど、もうあんた達ジャマトの好きにはさせないわ!」

「……ジャ…!?」

「はぁッ!」

マーリはジャマトの攻撃を跳ね除け、一気にマグナムシューターの方へと泳いで行く。

そのままマグナムシューターを手に取り、ジャマトの下側まで回り込む。

 

「これで終わりよ!」

 

MARIN

 

マーリはマリンバックルをマグナムシューターへと装填し、ハンドガンモードのまま起動させた。

 

MARIN

《 TACTICAL BLAST 》

 

「はァァァァアアア!!」

「ジャァ…!ジャジャッ!」

マグナムシューターの銃口から放たれる無数の魚雷が巨体のジャマトをどんどんと地上に押し上げていく。

 

ジャマトは抵抗する暇もなく、マーリの猛攻に為す術なく地上に打ち上げられた。

 

 

突如、スターステージの地面にヒビが入るように亀裂が走る。

それに伴い地中から連続する衝撃音。

 

地面が一気に割れると、そこから巨体のオニバスジャマトとマーリが飛び上がって来た。

 

「おりゃァァ!」

「ジャァ…!」

「先輩!」

突如地面から飛び出してくるマーリに、テラスは喜びに満ちた笑顔で呼びかける。

 

「ふっ…!」

「おかえり!先輩!」

無事に帰還したマーリに駆け寄るテラスとマーニア。

オニバスジャマトは広場の中央にて、その巨体をゆっくりと起き上がらせた。

 

「見なさい、あれが本体よ」

「で、でかぁ〜…」

「有馬ちゃん、よくあんなの引きづり出してきたね」

「ふふんっ!まぁ、元天才子役の私にしか出来ない技よね!」

「…先輩って、たまに調子に乗るよねぇ」

「まぁまぁ、そこが有馬ちゃんの可愛いところだから」

「ジャァァァアアア!!」

テラスがマーリに聞こえないように辛辣発言をしたその直後、オニバスジャマトの咆哮と空間が歪みそうなほどの衝撃が走る。

 

「どうやら悔しいって感じだね」

「そうね。それじゃ、さっさとあいつを楽にしてあげましょ」

「オッケー!」

 

《 1!》

《 2!》

《 3!》

 

3人は各々のドライバーに手を伸ばし、バックルを操作する。

 

「「「はっ!」」」

一気に飛び上がった3人は右足を突き出し、エネルギーを纏ってジャマトに向かっていく。

 

「はァァァ!」

「はぁぁぁ!」

「ハァァァ!」

「ジャジャジャァァァ!」

オニバスジャマトもその攻撃に対しタダでは終わらせない。

彼女達に無数の葉っぱの刃を飛ばし、自身前に大きな葉っぱを出現し防御の体制にとる。

 

そんな中、マーリはある者を想い馳せていた。

 

 

 

アイツとの出会いは、最悪だった

当時の私は色んな人に持ち上げられて、図に乗っていたのも事実だ

テレビに出ればネットは沸いたし、イベントに来れば観客からは黄色い歓声が聞こえてきた

だけど、アイツはそんな私の生き様を、根底から否定してきた

いいや……否定された気がしただけで、アイツはただ自分を表現しただけだった

 

納得いかなかった

自分が許せなかった

 

「おめでとう、今日からは君は仮面ライダーだ」

「……仮面ライダー…」

「さすがに私達も、物心着く前の少女にこんな命運は任せられなかったけど……君はもう、十分戦える」

 

ある日、私は仮面ライダーになった

ジャマトとという驚異から世界を守るゲームに参加し、世界平和に貢献した者には、理想の世界が叶えられるという

 

なんとバカげた話だろうか

だけど、このドライバーを持つ度に何故だか思い浮かべた

アイツの顔を……

 

いつも

いつもいつも

アイツの顔が脳裏にチラついて離れなかった

 

「最近伸び悩んでいるようだね。そんな君にプレゼントをあげよう」

「……これは?」

「海の力を統べる、マリンバックルさ。君にはお似合いだと思ってね」

「…………マリン……アクアマリン…」

「……」

「…………星野…アクア……」

 

このバックルを手にした時も、運命だと思った

またいつか、アイツに会えそうな気がする

そう思うと、何故だか力が込み上げてきた

 

そして……

 

「…やっと会えた……」

 

 

 

「はァァァ!」

 

随分と憎たらしく育ったみたいだけど!

アンタは私が思っていた以上に…

生意気で!

不器用で!

鈍感ね!!

 

「ジャァァァァ!」

 

STEP 3 STRIKE 》

 

VAMPIRE STRIKE 》

 

MARIN STRIKE 》

 

「「「はぁぁぁぁあ!!!」」」

3人のキックはジャマトの防御を突き破り、胸に突撃する。

 

「ジャァ…ッ!」

「てりゃァァ!」

「うぉぉぉっ!」

「これでおしまいよ!このゲームは…!」

「ジャ…!ジャッ!」

「…私たちの勝ちよ!」

 

3人のキックがオニバスジャマトの巨体を突き破り、3人はステージに着地する。

 

「ジャァァァァ…!」

ジャマトは大きな断末魔を上げながら、その巨体は爆発した。

 

「……っ」

英寿はその爆発から何かが飛んでくるのに気が付いて、慌てる様子もなくキャッチする。

 

「……これは…」

力の種……

やはりあいつも“種持ち”だったか…

 

「……っ…あれは…」

すると、今度は遠方にある人物の姿を目にする。

それはナビゲーターのシロメだった。

こちらの様子を伺った後、またもやどこかに行ってしまう。

彼が彼女に聞きたい事は他にも山ほどある。

英寿は周りの連中に心配されぬよう様子を伺ってから、こっそりとシロメを追いかけ始めた。

 

ほとぼりが冷め、静まり返ったスターステージ。戦っていた彼女達は息を整えながら変身を解除し、自分達の勝利を密かに喜んだ。ルビーはかなに向けてにっこりとした笑顔を見せ、かなもそれに応えるようにうっすらと笑顔を浮かべた。その姿を見ていた観客達も、少しの間の後一気に歓声を挙げた。

まるで彼女達を崇めるように。

 

「…みんなぁ!ありがとうぉぉぉ!」

『B小町』の初ライブは無事に成功した。自信たっぷりの彼女達を、アクアも頬を少し緩ませながら見ていた。

 

勝利と祝杯モードに、観客達もアイドル達も全員喜びを露わにしていた。

 

 

 

「……」

ただ一人、端末からその様子を伺っていた者を除いては……

 

 

「疲れたー」

「お疲れ様、大変だったわね」

「っていうかお兄ちゃん来てたんだ」

「まぁな、お前らがあそこまでやれるとは思ってなかったが」

「ってかあのダンスなにw?笑っちゃったんだけどぉ!」

「……」

ライブも終わり、B小町のメンバーとミヤコ、そしてアクアが会場から出て来た。

 

「……」

しかしかなは、ステージ上ではあんなに自信たっぷりだったのが、アクアを目の前にすると黙り込んでしまっていた。

 

「……」

「……」

ロケバスまでには少し時間がかかる。日が沈んでいることも相まって静かな時間が続いた。

 

「……どうだった?私達のステージ」

「…!」

だがここで口を開いたのはかな。

それに対し、アクアも少しだけ動揺する。

 

「……」

よく考えた後、アクアが下した答えはこうだ。

 

「まぁ、初めてにしてはよくやったんじゃないか?」

「…何それ、もっと褒めなさいよ」

「それは出来ない」

一見辛辣な答え、しかしこの答えには続きがあった。

 

「有馬達はこれからもっと凄いライブをやれるだろうし、それを考えたらここで高得点を出すのはもったいない」

「……あっそ」

これはあくまで不器用なアクアの最大限の褒め言葉なのだろうが、その意見の中にはアイドルファンとしての意見も混じっている事を、かなは読んでいた。

 

「…あの二人、やっと話す気になったみたいね」

「なんだか仲悪いですよねぇ」

その2人の様子を見ていたミヤコとMEMちょが、2人の仲を考察し始めた。

だが、ミヤコには大体の答えが分かる。

 

「あれはそういうのじゃないわよ」

「…?」

「ねぇアクア、『今ガチ』の黒川あかねとは上手くいってるの?」

MEMちょが不思議そうな表情をする事にも構わず、ミヤコはアクアに問い掛けた。

 

「いや、まだあれから会ってない」

「そうなのぉ?」

「そりゃ只の仕事相手だしな。インスタ用の写真を二人で撮りに行くって話はしてるけど」

「…仕事……」

アクアの言葉に、かなはようやく気がついた。

星野アクアと黒川あかねの仲は、あくまで仕事上の関係。

つまり……

 

「はん!そうよね!あの黒川あかねがアンタなんかに本気になるハズがないもの!テレビショー上の演出ってやつね!あるある!」

「……」

「アンタも哀れねー!駄目よーああいうの本気にしちゃ!」

「……」

「急に有馬ちゃんニコニコになって……っ」

 

MEMちょ、ここで気が付く。

かながアクアに惹かれている可能性に。

 

そういう事!?有馬ちゃん、アクたんの事…!

……ハッ!

 

MEMちょ、更にここで気が付く。

先程のアクアの発言、アクアとあかねの仲は確かに仕事上の関係だ。しかし、それすらも見かけで本当は……

 

そしてその気まずさの疑念は、かなの安心しきった顔で確証に変わる。

 

あかねーー!私どっちを応援するべきなの!?

 

MEMちょの悶々は、まだまだ始まったばかりである。

 

「みーんな、なんか楽しそうな話してるなー」

ライブの余韻に浸って話を全く聞いていなかったルビーは、ルンルンで先頭をスキップしながら進んでいた。

 

「……っ?」

しかし、その歩みは止まり彼女の目線はまっすぐ前を見ていた。

 

「……」

彼女達から少し離れた位置に、俯いた銀髪の青年が立っていた。

だがその意識は、確実にこちらに向かれていた。

 

「……何が…楽しそうだよ…」

「……?」

「…………違う…違うんだよ…!僕が望む君の姿は…!そんな表情(かお)じゃないんだよ!」

目をギラギラとさせたシックが、ルビーに向けて怒号を挙げる。

その気迫に、ルビーは後ずさりしてしまう。

この男からは、何故か恐怖に近い何かを感じる。

 

「……今僕が…正してあげるよ…」

「……え?」

「…君の本来あるべき姿と…宿命を……」

そう言うと彼は、自身のレーザーレイズライザーを取り出した。

 

 

「……ハァ…ハァ…」

だいぶ遠くまで来てしまった

そろそろもどならければ、あいつらに余計な心配をかけてしまう

 

だが、あいつに確認したい事は山ほどある

ここで引く訳にもいかない…

 

シロメを追っていた英寿だったが、いつの間にか見失ってしまい、彼女も現れぬまま時が過ぎ去ろうとしていた。

 

「……こっちも居ない……だったら…」

「ナビゲーターを探しているのなら、無駄だぞ」

「…っ!?」

すると彼の前に現れたのは、シロメではなく…

 

「…お前は……」

「……俺はイラド。星野アクアのサポーターだ」

能面を被った男、イラドだった。

 

「またお前か…今度こそ俺を倒しに来たのか?」

「…フッ……今のお前にもう興味は無い。倒す価値もない男だ」

「…なに?」

するとイラドは、自身のレーザーレイズライザーを取り出し英寿に見せびらかす。

英寿は身構えたが、その必要は無さそうだ。

 

「俺のレーザーレイズライザーにはな、任意の相手の記憶を除く事が出来る力が込められてる。肉体ではなく、魂の記憶だ」

「……記憶を除く力?」

「…お前の記憶を覗かせてもらった。2000年間、つまらん人生を過ごしてきたようだな」

「……なんだと──」

「だが、最後の部分は……まぁ、悪くなかったんじゃないか?」

「……」

どうして彼がここに居るのか、英寿に何の用があるのか。

とにかく、英寿が彼に構っているつもりは無い。

 

「シロメと接点があるようだな。奴は今どこに居る」

「さぁな。とっくに4次元ゲートで別の空間だろ」

別の空間、と言うとデザグラのラウンジにあたる場所だろうか。

そこまでの行き方なら知っている。

 

「……悪いがお前に構っている暇は無い。用があるならまた今度──」

「良いのか?お前の知らない事を、俺は知っている」

「…何の事だ?」

「……俺には他人の記憶を除く力がある」

「……」

「……知りたくないのか?星野アクアの、前世の事」

「……ウルスの…前世…」

「お前も薄々気付いてるだろうが、星野アクアがこの業界に執着する理由は…復讐だ」

「……やはりな…」

「そんな奴が、どうして復讐を誓ったのか……アイツの過去に、一体何があったのか……」

「……」

「……教えてやるよ。アイツの全てを」

 

 

 

ゲームの安全性上、

10歳以上にならない限り

仮面ライダーになる事は出来ない。

 

 

第二十六話「憧憬Ⅷ:アクアとマリンと芽吹く想い」




次回

「ここは…?」
「雨宮吾郎。あいつが星野アクアの前世だ」
「アイドルってのは、挫折を味わうもんだろうが!」
「最初から失う事を恐れてちゃ、何も得られないよ!」
「僕は哀しいよ…星野ルビー…」
「アイツの幸せは、復讐の先にある」
「そうか…そういう事だったのか…!」

第二十七話「憧憬Ⅸ:欲張りな君へ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。