仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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間章、ラストです

これがアクアの初変身
お楽しみください



後編「屹然Ⅲ:本当のはじまり」

「おめでとう、星野アクアくん。今日から君は仮面ライダーだ!」

突如として現れたモノクロのドレスを着た少女は、俺に向けてそう言った

 

ナビゲーターが差し出した黄色い箱の中には、デザイアドライバーと空色のIDコアが同封されていた

 

「……望んでないんだが?」

「…あれ?でもクラムさんから、君が仮面ライダーになりたがってるって聞いたよ?」

「……あの人が…」

なるほど、俺の事を試そうって事か…

 

「……それに…今ここで君が戦わなければ、この場にいる全員が死ぬよ?」

「……」

「…君のせいでね♪」

「……」

含みのある笑顔だ

薄気味悪い、まるで嘘つきのような目だ

 

「……俺には、叶えたい理想がある…」

「…その理想…デザイアグランプリなら叶えられるよ?」

ナビゲーターは黄色い箱を変わらず見せつける

 

「……」

俺はその箱からデザイアドライバーとIDコアを取り出した

 

「…ジャッ!ジャァァ!!」

「……っ」

すると、先程まで拘束していたジャマトは鉄のロープをちぎり、雄叫びを挙げていた

 

「…フッ……本当は頼るつもりはなかったけど、ここでくたばるくらいなら……やってやる」

俺は受け取ったデザイアドライバーを腰に装着する

 

《 DESIRE DRIVER 》

 

「…ジャッ!…ジャァッ!」

「……っ!」

俺がデザイアドライバーを装着したと同時に、それに気付いたジャマトは攻撃を仕掛けてくる

俺はそれを寸前で避け、片膝のままIDコアを構える

 

「……変身!」

 

《 ENTRY 》

 

ドライバーの中心にIDコアをセットすると、俺の身体は全身真っ黒に覆われ、空色と黒で配色されたキツネの仮面が顔に覆い被さる

 

「今日から君の名は、『仮面ライダーウルス』だ!」

「…これが…仮面ライダー…!」

「ジャァァッ!」

仮面ライダーウルスへと変身を完了した俺は、迫って来るジャマトの攻撃を否した

 

「はっ!フッ!はぁッ!」

「ジャッ!」

身体が軽い…!

これなら…!

 

「たアァっ!」

「ジャァ!」

「はぁッ!」

「ジャジャッ!」

俺はジャマトに攻撃を与え続け、戦況をひっくり返した

明らかに今はこちらが押している

 

「ジャァァ…」

「…っ?」

「…ジャァァァァァァァ!!」

「……っ!」

ジャマトは更に咆哮を挙げる

すると、身体の隙間から無数のツタが伸びて来て、それが自身の腕と絡み合う

腕はみるみるうちに大きく成長し、ビッグフットを彷彿とさせる全身となった

 

「大きくなった…?この短時間で進化でもしたのか?」

「ジャァッ!」

「なっ…!」

だがその巨大な腕となっても尚、スピードは現在のようで

ジャマトは俺に避ける隙さえ与えなかった

 

「クッ…!」

こいつはなかなかに厄介な相手だ

今となっては、奴に打撃なんて効かないだろう

 

何か武器でもあれば……

 

「ジャァッ!」

「うっ…!」

ジャマトはその巨大になった腕を伸ばして来た

その打撃に命中し、俺は再び瓦礫に突き飛ばされた

 

「クッ……」

せめて…あの腕さえ何とかなれば……

 

「アクア!」

「…っ」

「これ…使って!」

スタッフを逃がしていた有馬が突如俺に声をかけ、何かを投げつけて来た

 

「ジャァ…?ジャァァ!」

「……っ!」

「…アクア!」

危機を感じたのか、ジャマトは俺に追い打ちをかける

俺は再び攻撃に命中し、衝撃で辺りは砂埃が舞っていた

 

「…ジャァァ……」

「……アクア…?」

「…………ジャ!?」

 

次の瞬間、瓦礫に伸びていたジャマトの腕が切り刻まれた

それをしたのは、瓦礫に埋もれていた筈の俺だ

 

《 ARMED DAGGER 》

 

有馬から受け取ったダガーバックルをセットした俺は、あの瞬間にすぐさまバックルを起動させた

仮面ライダーウルス アームドダガーとなった俺はジャマトの腕を瞬時に切り刻み、反撃の狼煙を上げていた

 

《 READY FIGHT 》

 

「…はァっ!」

ドライバーからの掛け声と共に俺はジャマトに突っ込んでいく

 

「ジャァァ…!」

「はっ!たっ!はァ!」

ジャマトはツタの腕を伸ばして攻撃したが、俺はそれに対し逆に腕を切り刻みながら迫って行った

 

「ジャァッ!?」

「フッ…!はァァっ!」

ジャマトの懐までやって来た俺は、レイズダガーを逆手に持ち、身体を回転させながらジャマトを切り刻む

 

「ジャァァ!」

「……さて、そろそろ終わりにしようか」

俺は再びバックルを操作し、レイズダガーを逆手に持ったまま体勢を構える

 

《 DAGGER STRIKE 》

 

「はぁぁ…!はぁぁっ!」

一気に突っ込んだ俺はジャマトを一閃する

 

「…ジャ…ジャァ…?」

「……」

しかし、ジャマトに攻撃が及んでいる様子は無い

 

「…ジャァッ!」

反撃しようと俺の背中を襲おうとするジャマトは、寸前で動きを止めた

 

「…ジャ…ジャジャァ……ジャァァァァ…!」

時間差で身体が切り刻まれたジャマトは派手に爆散

俺は体勢を直し、振り向いてジャマトの亡骸に向けて言い放った

 

「……化かされたな」

 

 

「……」

「仮面ライダーデビューおめでとう。ジャマトを自力で倒した感想は?」

「……良いもんでは無いな、どんな結末に転がっても…」

「…ふふっ…同感ね」

撮影が終わり、『今日あま』の最終回は無事公開された

視聴者の多くは既にリタイアし、コアな原作ファンや役者のファンのみが視聴を続けていたコンテンツ

しかし、その結末は大きくバズる事も話題になる事も無く、狭い界隈でひっそりと

熱烈な称賛を受けていた

 

今日はその打ち上げパーティーに出席した

 

早々に有馬が、俺が仮面ライダーになった事をイジって来た

 

「…あ、そうだ」

俺は思い出し、懐からダガーバックルを取り出す

 

「バタバタしてて返すの忘れてた」

「良いわよ。私の性には合わないバックルだったし、アンタの方が有効的に使えるわ」

「……そうか」

バックルを仕舞ったところで、改めて辺りを見渡す

 

「……こうやって見ると…改めて多くの人が関わってるんだって思うな」

「そうよ。私達の演技には、多くの人の仕事が乗っかってる。結果を出さなきゃいけないし、スキャンダルなんてもってのほか」

「……」

「ちなみに、アンタ彼女とかいるの?」

「居ないからスキャンダルもクソもない」

「…そ……ふーん……」

空返事な有馬

すると、後ろから俺達は声をかけられた

 

「撮影お疲れ様でした」

「あっ…先生……」

この人は確か…『今日は甘口で』作者の吉祥寺(きちじょうじ)頼子(よりこ)

現場で有馬は一度見かけたと言っていたな……

 

「……っ」

作品の出来を気にしているのだろう

有馬は先生を前に気まずそうに佇んでいた

 

「……この作品は、有馬さんの演技に支えられていたと思います。ありがとうございました」

「……っ」

それを汲み取ったのか、先生は頭を下げて礼を言った

 

「最終回は特に……もっと早くあの感じが出てたらと思いますが…」

「あはは…」

 

「……」

世の中こんなもんだぞ、有馬かな

適切な評価なんて、与えられる方が稀だ

そしてその人の努力を、ちゃんと分かってくれる人も必ず居る

 

さて、そろそろ本題に入らせてもらおうか…

 

「やぁやぁアクアくん、最終回評判だったよ」

「…ありがとうございます」

「作品の収益的にはキビかったけど、君みたいな才能に機会を与えるのが目的だから、それは達成出来たのかな?」

「……」

このPのタバコの吸い殻を検査に出した結果

僕とは赤の他人だと言う事が分かって、ある意味安心はした

──が

 

「君、苺プロの子だっけ……どことなくアイくんと似た顔つきしてるよね…」

「…っ…そう、ですか?」

「あぁ、彼女の顔は間近でよく見ていたからね、間違いないよ」

「間近で…ですか……」

 

僕はこの男に、聞き出さなければならない事がある

 

「アイと…どういう関係だったんですか?」

「ファッション雑誌のモデルの仲介で一緒に仕事してね。以来仕事を振るだけじゃなくて、色々とお世話してあげたよ」

「……」

「良い営業先紹介したり、デザグラの事とか…事務所に内緒で男の子と会う時とか、良いお店教えてあげたり」

「……!…誰と会ってたか知ってますか?」

「んー?」

しまった……

少し前のめりになり過ぎたか…?

 

「…君はもしかしてアイくんのファン?故人のゴシップにも興味がある?」

「……あります」

「……そうだねぇ…」

クラムは少し考えて、切り出した

 

「…教えてあげても良いけど、ここは交換条件といこう」

「……」

「僕もデザイアグランプリのプロデューサーとしての立場があってね、ある程度戦える子達を早めに選出したいんだ」

「……それが?」

「……近々、君の通う高校でゲームが開催される。そのゲームに勝つ事が出来たら…」

振り返ったクラムは、僕に人差し指を向けた

 

「僕が主催する特別なゲームへの招待状を付与しよう。君の理想に、大きく近づける筈だ」

「……」

 

 

時は流れる

 

「…おい、まだかかるのかルビー」

「もぉー!ちょっと待ってよお兄ちゃん!この制服可愛いけど複雑なんだもぉーん…」

 

いよいよ陽東高校最初の登校日がやって来た

…が、ルビーの身支度が遅れてるせいで早速遅刻しそうだ

 

「…でもホントかわいっ!」

「初日から遅刻は勘弁してくれよ……スカート短すぎないか?」

「お兄ちゃんって昔からおっさん臭いよね…」

「……」

「…あっ、そうだ……ママ、行ってきます!」

「……」

 

アイドルの子として生まれてきた双子は、いつしか高校生となり、いつしかふたりは仮面ライダーとなった

 

ルビーはアイと同じアイドルを目指し

俺はアイを殺した犯人の足取りを掴む為、デザグラにエントリーした

 

このIDコアに込められた想い

それは誰にも語る事は出来ない、壮絶なものだ

 

たとえどんな不幸が待っていようと、俺は必ず……

 

「……あれ、ルビー…?」

 

 

 

「ありがとうお兄さん!」

「…ルビー…!何してる」

「あ、お兄ちゃん!ごめん!ヘヤピン探してて…!」

途中、はぐれたルビーを探し

案外早めに見つかったが、ルビーの前には1人の男が立っていた

 

「この人がね!探すの手伝ってくれたの!」

「……そうか」

オシャレな服装の青年。俺達より年齢は上のようだが、なかなか整った顔立ちをしている

 

だがそれよりも俺が気になったのは、この男の眼だ

何か、未来を見透かしてそうな

良くも悪くも俺の何かを変えてしまいそうな眼だった

 

「……どうも……行くぞ、初日から遅刻はマジでシャレにならんからな」

「もぅ!分かったから…!お兄さん!ありがとうございました〜!」

俺は逃げるようにその場から去る

実際マジで遅刻しそうだったから、ダッシュしたというのもある

 

まぁ学校には無事間に合い、入学式も終わった

教室に向かう途中、有馬がちょっかいをかけに来たが、軽く学校案内だけされて別れた

 

教室に着いたはいいものの、やはり日本有数の芸能学校

顔立ちの整ってる奴やスタイルが無駄に良い奴が沢山いる

この様子だと、ルビーの教室はもっと凄いだろうな

 

「……っ!」

なんて事を考えていると、突如として校舎から地響きのような鈍い音と、人の悲鳴が聞こえて来た

 

《デザイアグランプリ参加者のみなさ〜ん!こ〜んに〜ちは〜!》

そして黒板に映し出される映像

そこには以前俺にドライバーを届けたナビゲーター、シロメともう1人のナビゲーター、クロメの姿が映っていた

 

《ジャマーエリアにまたしてもジャマトが現れました!仮面ライダーの皆さん!やっちゃってくださーい!》

《……みんな…よろ》

 

「きゃぁぁっ!」

「ジャァ〜!」

「……」

そして教室に1体のジャマトが入り込んでくる

教室はどこもパニックとなり、俺はそのジャマトと対峙していた

 

《それではデザイアグランプリ第1回戦!「クラス分けゲーム」のはじまりはじまり〜!です!》

 

《 DESIRE DRIVER 》

 

シロメの掛け声と共に、校舎中のデザイアドライバーを持っているものはバックルを手にする

 

俺もデザイアドライバーを装着し、有馬から譲り受けたダガーバックルを構える

 

《 SET 》

 

バックルをセットした俺は、右腕の肘関節を左手で添えながら軸を中心に回転させ、手を顔の前辺りまで持ってくると、手をキツネの形にする

そのまま指パッチンの容量で指を鳴らす

 

この先

どんな地獄が僕を待ち受けているかなんて分からない

何一つ確かな事なんてないけど、それでも僕は進み続ける

僕の理想を、叶える為に…

 

「…変身!」

 

 

 

最後まで勝ち残った者は、

理想の世界を叶えられる。

ただし、何事にも例外はある。

 

 

後編「矜恃Ⅲ:本当のはじまり」

 


 

「……ジャァァ…ァァァ…」

「…やれやれ、しつこいジャマトも居るもんだねぇ」

 

《 VISION DRIVER 》

 

クラムは今日あまの撮影現場に瀕死の状態で倒れるジャマトを前に、ヴィジョンドライバーを構え装着した。

 

STARE CONNECT

 

「……変身」

 

INSTALL

Domination by entertainment, STARE.

 

仮面ライダーステアへと変身したクラム。

身体を再生しようとするジャマトに、手をかざす。

 

「…悪いけど、君の撮れ高はもう無いよ。ジャマトくん」

「…ジャ…ァァ…!」

 

ERASE

 

ドライバーにカードを1回スラッシュしたステアの掌にエネルギーが蓄積される。

 

「……消えろ」

「…ジャ…ッ…!」

ジャマトは苦しむ余裕もなく、ステアの攻撃に焼かれその身は消滅した。

 

「……ふぅ」

クラムは変身を解除し、消滅したジャマトがいたところに落ちていたあるひとつの“種”を見つける。

 

「……これが力の種……シロメくんの言ってた事は正しかったということだね…」

近年、1度倒しても再びその身体を再生させる程の生命力を発揮するジャマトが現れたとの報告を受けた

そのジャマトには、普段のジャマトからは摘出されない特殊な種を所持していることが判明していた

おそらくかなちゃん達を襲った今のジャマトも、一度はライダーに倒されたものの、再起してこの地に現れた個体……

 

「……ここからは、波乱の展開になりそうだ…」

それはそれで……面白くなりそうだけど…

 




本章を読んでいただきありがとうございます
この章は本編以前、アクアと英寿が出会う前の物語を描かせて頂きました
そしてもうひとつ描きたかったのが、アクアの初変身
これを書きたかった……

次の投稿からは二期の内容となってくる為、やはり今日あま編を描かざるおえなかったですね
初見の方でも飲み込めやすくなったのではないかと思います

まだまだ長く、内容が激しくなる物語ですが
これからもどうぞよろしくお願いします!
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