仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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ご無沙汰しております
3期の放送まであと少しですね
ちなみになのですが、現在書き溜めている話数が10個を超えてしまいました(汗
一度書き殴って修正修正を繰り返しているので、1個が正式に完成するまで結構時間がかかってしまっています(汗
つまり2期後半の内容までの展開はある程度固まっています。お楽しみに!

ということで今回は新バックルの登場です!
どこか懐かしい彼の様子をご覧下さい



第三十三話「爛漫Ⅳ:日が昇るまで」

「……これは…?」

「新開発のバックルだ。まだまだ試作品だが、君のポテンシャルを上げるのには丁度いいと思ってね」

「…ふん…ありがたく使わせてもらう」

 

SOL

 

SET

 

SUNSHINE BULLET

SOL BLASTER

 

「ほぉ…こいつは燃えるなぁ……」

「ジャァァ…?」

 

READY FIGHT

 

「さぁ…ここからが、ハイライトだ…!」

「…ジャァァ……ジャア゙ア゙…!」

ソルブラスターフォームへと変身したギーツは、前腕の装甲パーツ「フレアランチャー」を展開し、両腕の銃口をジャマトに向ける。

 

「はァっ!」

「…っ…ジャァァ…!」

銃口からはさんさんと燃える太陽のような火炎弾が発射され、攻撃は先程までとは違い棘のバリアを焼き尽くしながら打ち破り、攻撃が命中する。

 

「…クッ…物凄い威力だが……こいつは骨が折れそうだ」

両腕の反動に耐えながらも、ギーツはジャマトに果敢に迫る。

 

「そうでなくちゃね。やはり君にそのバックルを渡して正解だったよ…!」

ステアもジャマトに向かい、両肩と両膝のヒュプノレイを分離させてギーツと共にジャマトに向かわせる。

 

「ジャァッ…」

「ハッ!はァっ!」

「ジャァァ…!」

ギーツの荒々しい攻撃がジャマトを翻弄する。更にステアのヒュプノレイがそれをサポートする形でビームを射出する。

 

「フッ!はぁ!はァっ!」

「ジャァ…!?」

「はァァァァっ!」

「ジャァァ…!ァァァ…!」

至近距離からにおけるギーツの火炎弾攻撃。

さすがのジャマトも、この攻撃は避けられない。

 

「ジャァァァァ……ジャア゙ア゙ア゙ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

「……っ!…まずいぞ、とんでもない攻撃が来る!」

アクアはジャマトの異変にいち早く気が付きギーツ達に忠告する。

 

「…うむ。太陽の力を引き出すソルブラスターの力では、この暗夜の中で力を発揮する事は難しい……」

「……いいや。奴が頑丈なおかげで、活路が見えてきた」

 

SOLAR CHARGE

 

バックルを操作したギーツは、両手を広げて何かを受け止めようとする体勢を取った。彼の身体はプロミネンスで包まれ、全身から炎が溢れ出ていた。

 

「ジャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙…!!」

「……来い!」

「ジャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

「…グッ…!」

ジャマトの渾身の一撃を受け止め続けるギーツ。

しかし夜の暗闇の中で、彼の力はどんどん浪費されていく。これではいつしか攻撃を受け止め切れず、下手をすれば致命傷を受ける可能性もある。

 

「ジャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

「…クッ…うおぉぉぉ!!根性ぉぉぉぉぉぉ!!」

「…………っ…!」

ギーツが気合いを入れたのも束の間。

突如として、周りが淡く明るくなった。

 

そう、ギーツはこの時を待っていたのだ。

 

「…日の出だ」

「なるほど。太陽の力を引き出すのであれば、太陽から直接エネルギーを受ければいい……日が昇るまで、ジャマトの攻撃を受け続けられれば、いずれ自身にターンは巡ってくる」

「うおぉぉぉ!気合い!根性ぉぉぉぉぉぉ!!」

「……エースくん。やはり侮れない人材だね」

「……」

 

辺りが日光に包まれ、そのエネルギーはギーツに収束する。

 

SOL BLASTER STRIKE

 

「はァァァ…!!」

「……ジャ…!」

「はァァァァァァァっ!」

ギーツは両腕を前に突き出し、両腕のフレアランチャーから特大の火炎弾を出現させて発射する。

火炎弾はジャマトの攻撃を払い除け、ついにジャマトに命中する。

 

「ジャァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

ジャマトの断末魔と共に、辺りは爆発を起こした。

 

「…カハッ……はぁ…はぁ……」

攻撃に耐えかねたギーツは変身が解け、膝を付いてしまった。

 

「流石はエースくんだ。さて、身体を再生される前に種を……っ?」

「…どうしました?……っ!」

ふたりが驚くのも無理は無い。

 

「……ジャァァ…」

「なっ…!」

「……ハハッ…嘘だろ…?」

先程倒した筈のジャマトが、もう既にそこに立っていたからだ。

 

「……確かに攻撃は命中し、その身体も滅びた。しかもそれを目で確認している。しかし奴が生きているその理由は…」

「……まさか…」

「……我々の予想を遥かに上回る程の脅威の再生能力。いや、不死身…と言った方が分かりやすいね」

「……クッ…不死身のジャマトか…」

「……ジャァァ…」

 

しばらく見合っていた両者だったが、白バラのジャマトはその場から去り、英寿は戦いの疲れからかその場で眠りに落ちた。

クラムは状況の整理と更なる情報を得る為、ラウンジへと帰って行った。

 

「……」

残されたアクアは、戦いの跡と眠った英寿を見て、俯くように留まるのだった……

 

 

「……」

「……」

朝を迎えたアビ子と吉祥寺は、何とか原稿を朝の便で提出する事が出来、安心したようにふたり並んで放心状態となっていた。

 

「毎度疑問なんですが…今週こそやばいっていつも思いながら、なんだかんだ間に合ってしまうのどうしてなんでしょうね……」

「…腐っても私達は商業漫画家だからでしょ。プライドがあるのよ」

「先生の所も締め切り間際は酷かったですからね……朝9時始まりの深夜4時終わりとかザラで……」

「『今日あま』の時は本当にごめんなさい…今は割とホワイトよ……」

「……私もごめんなさい…」

アビ子は涙声で答えた。

 

「寝不足で…マルチタスクで…頭分かんなくなってて……ひどい事沢山……」

「良いわよ、私も大概だし…ただ、ヨソでアレ言ったら速攻で縁切られるから気を付けなさい」

「……どうしたら人と上手く出来ますか?」

眼に涙を浮かべながら問い掛けるアビ子に、吉祥寺は優しい声で答えた。

 

「歩み寄りなさい。メディアミックスは他人との共同制作、自分だけでは出来ない事の集合体なんだから。仕上がりがどうであれ、私の作品がつまんなくなったわけじゃないもの。出来が良ければめっけもん位に思えば良いのよ。割り切る所は割り切らないと…」

「…でも……私は『今日あま』のドラマイヤでしたよ」

「……」

「先生の作品は……もっとすごいのに…」

「……」

 

アビ子先生がうちに来た日の事は、よく覚えてる

 

『今日からお世話になります……背景とかあまり上手くないですけど、精一杯頑張ります……私、先生の大ファンで…!』

 

子供みたいな目を輝かせて、私の漫画を持参してまでその事を伝えて来てくれた

 

『先生みたいな漫画家になるのが夢で……『今日あま』、世界一面白いです!』

 

「好きな作品汚されるの絶対にイヤなの…私が一番よく分かってるんです……」

 

やっぱりこの子は何も変わってない

あの日から、漫画に対する情熱と

私の作品に対する思いだけは…

 

「……全く…思った事をすぐ口にするのが良くないのよ…不器用な子…」

 

 

「……」

戦闘による疲れからか、事務所に帰ってからも英寿は眠り続けていた。あのバックルは相当使用者の身体に負担を与えるらしい。

 

「……」

アクアは今は誰も居ない事務所のソファで俯き、部屋の中は時計のカチカチという音しか響かない。

 

「あなた〜のア〜イド〜ル〜サインは〜……あれ、お兄ちゃん帰ってたんだ」

「……うん」

静寂に包まれた部屋に、鼻歌を歌ったルビーが入ってくる。

 

「夜、エースさんも帰って来ないから心配しちゃったよォ…朝まで稽古の練習?」

「……うん」

どうやらダンスの練習終わりのようで、首周りをタオルで拭いながらアクアの横に座る。

 

「……お兄ちゃん?…もしかして元気ない?」

「……」

こういう時、ルビーは勘がいい

案外俺の心の変化にいち早く気が付いてくるのは、ルビーかもしれない

 

「……ルビー…」

「…ん?」

「……お前は、あの日を受け入れられたか…?」

「……あの日…?……っ」

ルビーはどうやら即座に察したらしい。やはり勘がいい

だがそんな神妙な面持ちで語りたくは無い

俺はあくまで、ルビーの本心が知りたかった

 

「……実は私…あの日の事はあんまり覚えてなくて……とても怖くて苦しくて…怒りとか悲しみとかよりも……イヤだっていう、わがままみたいな気持ちの方が多かった気がするな」

「……わがまま…?」

「うん。あのままママが消えていっちゃいそうで……消えないで…ずっと私の側にいて…って」

「……」

ルビーの言葉は、的を得ていた気がした

当時の俺も、同じような事を考えていたのかもしれない

 

「……だけど…それじゃあママが安心して天国に行けないでしょ?だからデザイアグランプリにエントリーしても、私は私の夢を描いたの」

ルビーは事務所に飾ってあるアイの取ったいくつもの賞を見つめた

 

「……きっとママも、それを望んでくれるから…」

「……そうだな」

「…ね!アクアの理想ってなんなの?」

ルビーは空気を変える為か俺に向けて前のめりに質問してきた

 

「……俺の…理想…」

「うんうん!」

「…………ごめん…今はまだ言えない」

ガッカリさせてかもしれない

ここまで気を使ってくれる妹が居ながら、その期待に答えられない自分が……

 

「…そっか!」

「……っ」

「じゃあ私は、お兄ちゃんから教えてくれるまで聞かないようにするね!」

しかし、ルビーは予想とは裏腹に満点の笑顔でそう答えた。いや、予想通りの反応だったのかもしれない

星野ルビーという人間はそういうものだ

 

「あっ!もしかして『彼女が欲しい』とか!?でもお兄ちゃん、彼女出来ちゃったからなぁ〜」

「そんなんじゃねぇよ」

「…でもほんと、いい人捕まえたよねぇ」

「……そうだな」

 

 

 

「……っ」

一方、噂の的の黒川あかねは暇つぶしに図書館に向かう途中だった。

その時、歩道脇にある小さなクレーンゲームを、眉間に皺を寄せながら遊ぶクロメの姿を確認する。

 

「……クッ…あとちょっとなのに…」

「何取ろうとしてるんですか?」

「…く、黒川あかね…!」

突然話しかけられたことでクロメは手を滑らせてクレーンゲームのボタンを間違ったところで押してしまった。

 

「ご、ごめんなさい!その100円払います!」

「い…いや大丈夫……シロメにお土産取ろうとしただけだから」

「……黒いカメレオンのストラップ…?」

「……っ」

クロメが取ろうとしていたのは、様子から見るに薄い黒のデフォルメされたカメレオンのストラップだった。

 

「た、たまたま…たまたまだから……」

「あ…あぁ……」

「……じゃ、じゃあ私は仕事に戻るから……」

「あ、あの…!」

何かを察したあかねはクロメと気まずい雰囲気を作ったが、それから逃げるクロメを引き止めた。

 

「…舞台の脚本の件って…どうなったかとか分かりますか…?」

これは半分本当に知りたくて聞いている。アクアの作戦とは言えど、どうなったかは気になるものだ。

 

「……さぁね…私達はあくまでデザイアグランプリの運営。イベントの運営側とはあまり干渉しないのがセオリーだ」

「……」

「……どうしてそこまでこの舞台に拘るの?」

「…え?」

クロメは逆に質問して来た。その目は単純な疑問の目とは少し違っていた。

 

「君には既に相当の実力がある。こんな打算を打たなくとも、次のデザ神になる事は君にとってはそこまで難儀ではないと思うけど?」

「……願いの為じゃないです」

「…じゃあどうして?」

「……」

あかねの目には、沢山の人の瞳が映っていた。

この舞台の稽古を楽しむような瞳。

冷めてはいるが、役者としての情熱は忘れていない瞳。

 

そして、嫉妬も憧れも、全てを乗り越えて来た瞳。

その瞳は、その輝きを何倍にも膨らませていて、ずっとずっとあの瞳を見るのが好きだった。

 

「……どうしても…倒したい人がいるんです」

「…倒したい人?」

「……はい」

あの瞳は、彼女がこれまでずっと追い続けて来た瞳。

その瞳と、今まさにあいまみえようとしている。

 

「……本気で、倒したい人が」

「…っっ」

あかねの気迫に、クロメは少し押されてしまった。

そのふたつの瞳には、星型のハイライトが浮かんでいた。

 

「……そう」

クロメはそっと目を閉じて後ろに振り向く。

 

「…それなら私は邪魔も何もしないよ。デザイアグランプリを盛り上げてくれるのなら、私にとっても儲けものだ」

「……」

「…………ちなみに、なんだけど…」

4次元ゲートを開いて帰ろうとしたクロメは、寸前で気まずそうに振り返った。

 

「………君って…サインとかあったりする…?」

「……えっ?」

振り返ったクロメの手には、少し大きめの色紙が握られていた。

 

 

「……う〜ん先生お願いですから話を…」

「雷田さん大変です!」

「ふぇっ!なになに!?」

 

その日、『SMASH・HEAVEN』の公演にアビ子が来た事を知った雷田はすぐさまアビ子をスタッフ室にもてなした。

アビ子はお弁当が綺麗に置かれた机にちょこんと座り、雷田は手をスリスリしながら話しかける。

 

「まさか先生にお越し頂けるとは…言ってもらえればチケット用意しましたのに……うちの舞台、いかがでしたか…?」

「……今の舞台ってああいう感じなんですね。思ってたのと全然違いました…脚本を書く上でとても参考になりました」

「そっ…それは何よりで…!」

「……」

「いやぁ先生直々の脚本なんて楽しみだなぁ!原作者書き下ろしだったら現場の皆も喜んで──」

 

『でも…どうにか出来るのは、雷田さんだけですよ』

 

「……」

ふと、アクアの言葉が脳裏によぎる雷田。

 

「……先生、腹割って話しませんか?」

その言葉が、雷田の行動を変えた。

 

「僕は今、凄く弱い立場に居ます。今後も出版社との良好な関係を続けなければ仕事が貰えないし、作家が持つ著作者人格権には、同一性保持権てのがあって、先生の許可無しに『東ブレ』の舞台をやる事は絶対に出来ない。同一性保持権を行使するのは、先生が持つ当然の権利なんです。だからこそ頭に入れといてください」

「……」

「先生が書いた脚本は、マジのマジでそのまま使う可能性があるという事を」

雷田はここで、最後とも言える賭けに出た。

それは、アビ子本人を揺すぶること。

これは、この舞台のプロデューサーである雷田にしか出来ない事だ。

 

「それは…私的には全然構わないんですが……」

「いいえ、ちゃんと考えてみてください。今回もし先生の書いた脚本がヤバくても、役者の稽古期間を確保する為に、そのまま通す可能性があります」

「……」

「仮に天才小説家が居たとして、そいつが初めて描いた漫画のネームが100点になりますか?」

「なるわけないです」

「舞台脚本だって同じです!いくら天才漫画家でも、いきなり最高の舞台脚本は書けないんです!」

雷田はこれまで誰も言えなかったことをことごとく言い放つ。文字通り、アビ子は揺すぶられていた。

 

「もう一度言います。先生が著作者人格権を振りかざすなら、僕等はそのまま採用する可能性がある。そこそこグダグダな舞台になるでしょうね」

「…脅してるんですか?」

「お互い様ですからね…」

雷田は冷や汗をかきながらも、懸命にアビ子から視線を外さないでいた。

 

「これ位の駆け引きは何度もしてます!僕は舞台に関わる100人以上の仕事を守らなきゃいけない…!こっちは、ジジイのチ●ポの1本や2本しゃ●る覚悟で仕事してるんです!」

「チ…ッ!?」

「この舞台見てくれたんですよね?今回の脚本はGOAくんのものです。彼の仕事を、信じてみてくれませんか…?」

「……」

 

『歩み寄りなさい。メディアミックスは他人との共同制作、自分だけでは出来ない事の集合体なんだから』

 

彼女も彼女とて、文句があって言いに来たのでは無い。

先日吉祥寺に言われたあの言葉に、彼女なりに応えようとしたかったからだ。

 

「…分かりました。私もプロの仕事を信じます」

「っ!」

「ただし、一つ条件が……」

 

 

「なるほど……こういう感じになりましたか…」

アビ子先生とGOAくんは両者ともにパソコンの前

そしてそれを見守る僕と担当編集も、各々のパソコンの前にいる

今はその4人がオンライン会議の場を設け、互いに顔の見える状態に居たのだ

 

「クラウド上のテキストデータをリアルタイムで共有。それを通話しながらその場で修正していく。これがプロデューサーとして許可出来るギリギリのライン」

こうすれば仲介者が居ない状態で原作者と脚本家がダイレクトにコミュニケーションを取れる

そして修正までのタイムロスがなくなりまさに一石二鳥

 

しかし、これをやると原作者と脚本家は仲良くなるか仲悪くなるかのどっちか

こういうのが原因で揉めて企画がポシャることも多々あるから、仲介屋の仕事としては下策も良いとこ……

 

「じゃあ、早速始めましょうか」

 

でもまぁもうこれ以上悪くなる事も無いだろうし、失うものも無いし好きに戦ってくれや!!

ただ……一つだけ恐れるべき懸念点はある……

 

さ……鬼が出るか蛇が出るか……

 

「ブレイドがならず者を倒すシーンはカットしていいです。その代わり、その後のつるぎとのバトルの中でつるぎがブレイドの性格を理解出来るようなセリフを足します」

「…それだと、大分原作の展開から離れませんか?」

「良いんです。大事なのはキャラの柱なので。そこさえ変わらなければ、何やってもOK」

「…なるほど……ちょっとずつ先生の許せるラインが見えてきました。だとしたら、ブレイドはバトルの後、刀を肩に置きながらセリフ、というのはどうです?」

「ありあり…!わかってるじゃないですかっ」

「そしたら、ここはこういう感じで…」

「えっ…どうして?」

GOAはアビ子の意見を取り入れた上で、セリフを追加する。

 

「ちょっと舞台の仕組みが分からないとイメージし辛いかもしれないですが、スクリーン前を移動しながら会話の方が、旅感出る筈なんで」

「…なるほど……アリですね。その引き出しは私には無いやつです」

「まぁそれで食ってるんで。こう見えて結構売れっ子なんですよ?」

「……そういえば、GOAさんが脚本書いた舞台観ました」

「あー…どうでした?」

アビ子は思い出したように、語りかける。

GOAは不安そうにその感想を求めた。

 

「……その…」

「……」

「…大分好き、でした……」

「……はは!普段はああいうの書いてるんですよ!」

「『東ブレ』の舞台でもあの感じ出してください」

「良いんですか?大分雰囲気変わっちゃいますよ?」

「良いです良いです。得意な事は、どんどんやっていきましょう」

「じゃあココも部隊効果で済ませちゃって…」

「ココもカット」

「この台詞もカットで良いですよね」

「こっちも演技でどうにかなりますよね!」

「あはは!攻めてますねぇ!ここもカット!」

「カットカット!」

「あはははは!」

「あはははは!」

 

その後もアビ子先生とGOAくんは、互いの制作意欲に従い修正作業を進め…

そして気が付けば、朝日が昇っていた……

 

「GOAさんのお陰でかなり良い脚本になりました!役者さんが演じてるシーンが目に浮かぶようです!!」

「…え、えぇほんとうに……先生、皆様…朝までお疲れ様でしたぁ……」

「はい!お先に失礼します!」

「…し、失礼致します……」

アビ子先生と担当編集が会議を抜け、2人きりになった僕はGOAくんを問い詰めた

 

「……GOAくん…?」

「いやぁ…なんか、楽しくなっちゃって……」

 

やっぱり危惧した通りになったぁ…!

クリエイターが団結すると、トガッた作品になりがちなんだよなぁ!!

 

でも時間が無いし、行くしかない…

これが上手くハマれば凄いものになるのも分かる…!

 

「くそ……新たな頭痛の種が……」

 

 

「……全く…とんでもない脚本が上がってきたわね」

後日、新たに挙げられた脚本(改訂稿)を見て、役者一同は千変万化の表情を浮かべていた。

 

「説明台詞がゴリゴリ削られて、やたら「動き」だけでどうにかしなきゃいけないシーンが多い……」

紆余曲折あった原作者脚本家のバトルも一段落し、シナリオも無事に完成!

と、言いたいところだが…彼らの本当の戦いはここからだった。

 

()()()()()()()()()の、とんでもないキラーパス脚本じゃない。失敗したら責任は全部こっちのせいってワケね…大分無茶振りがすぎるんじゃないかしら…」

「……フッ」

「……」

 

各々抱えるものは違えど、向かうべき先は一つ。

舞台『東京ブレイド』を巡る彼らの戦いは、始まったばかりなのである……

 

 

 

「……星野…アクア…」

そして、()にとっての“本当の戦い”も、ここからが始まりなのであった……

 

「……俺が…思い出させてやる」

レーザーレイズライザーを片手に持った彼は、アクアの事をこっそりと観察するのだった…

 

「……お前の…使命を」

 

 

 

ナビゲーターは個人的な支援をしない限り

任意のプレイヤーを推す事は

許可されている。

 

 

第三十三話「爛漫Ⅳ:日が昇るまで」




次回

「どうしてお前がこんな所にいる…!」
「もっと感情を引き出せ。ここは感情演技のシーンだ」
「アンタだって、嬉しかった事の一つや二つ…あるでしょ?」
「私は、何があってもアクアくんの味方だよ…!」
「まぁ…そりゃ忘れられねぇよな……」
「だから、思い出させてやったんだよ」

第三十四話「爛漫Ⅴ:再起する記憶」
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