仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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今回姫川が使うバックルは、ソルブラスター/ルナブレイドバックルの別バージョンとして構想しています。
基本的に対をなす力を用いています。
詳細はまた後日……



第四十三話「豁然Ⅱ:新たな出発点」

「…トアーブグファテル」

 

「俺にやらせてくれ」

 

「今回の舞台…お前らが良い演技するおかげで、俺は不完全燃焼だったんだ……その鬱憤、ここで晴らさせてもらうぜ?」

 

「変身」

 

TRADITIONAL WARRIOR

SAMURAI EDGE

 

「……クロカカツームファツイズラサキョ」

「悪いがこの後込み入った話があるんだ…すぐに終わらせてもらうぜ?」

 

READY FIGHT

 

姫川は仮面ライダートロス サムライエッジフォームへと変身し、二本の刀を携え白バラのジャマトと対峙する。

 

「…ジャァァ……」

「元デザ神の実力、見せてやるよ」

「…ジャァッ!」

 

白バラのジャマトはトロスとの距離を一気に縮め、間髪入れずに攻撃を叩き込む。

 

「…む……あのジャマト、知恵だけじゃなくて力も蓄えて来たようだな」

「…それだけじゃない。姿も微妙に違う」

「……進化するジャマトか…厄介なもんだな」

「姫川さん。そのジャマト、強いうえに不死身なんで気を付けてください」

以前と姿の異なる白バラのジャマトを考察する2人。アクアはそんなジャマトと戦うトロスに注意喚起する。

 

「あぁ…!何となく分かるよ。こいつは今まで戦ったジャマトの中でも特殊みたいだな…!」

「…ジャァァ!」

「……だが、俺の敵じゃぁない」

トロスはそう言うと、白バラのジャマトが伸ばした棘のツルを軽々と切断した。

 

「…ジャッ…!」

「……星野!さっき言おうとしてた事だがな…!」

「…え?」

トロスはこの状況に及んでも余裕の様子で、先程の話を続行しようとしていた。

 

「俺の両親は夫婦ともども心中してて、この世にはいない…!」

「……えっ?」

「お前の父親は上原(うえはら)清十郎(せいじゅうろう)。売れない役者だった」

「……」

「ジャァァ!」

「はぁぁッ!」

姫川はアクアが一番聞きたかった事であり、一番聞きたくなかったであろう事実をサラッと告白した。

 

「……心…中…………」

「……」

「…もう……生きてない…?」

「……ウルス…」

英寿もその事実を受け入れ始め、アクアの顔を伺っていた。

 

 

「ジャァァァァ!」

「…うおっと……チッ…段々攻撃が荒くなって来たな……お前も化けの皮が剥がれ始めてきたってワケか!」

「ジャァァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

「…へっ……」

先程とは違いまるで理性を失ったかのように暴れるジャマト。無造作に暴れる棘のツタを二本の刀で捌いていくトロス。

 

SHARPEN CHARGE

 

バックルを操作して必殺待機に入るトロス。

両手の刀を逆手に持ち替え、身体の前に十字で構える。

 

「…ジャァァ!」

「今楽にしてやる…!」

 

SAMURAI EDGE STRIKE

 

再びバックルを操作したトロスは、一瞬のうちにジャマトの間合いに入り一閃する。

 

「はぁぁッ!」

大きな爆発が起こり、この戦いに決着が着いた。

 

「……やったのか?」

「…いいや。手応えがまるで無い…逃げられちまったみたいだ」

「……」

変身を解除した姫川は放心状態となっていたアクアの方までやって来た。

 

「…俺ん家すぐそこだから、ゆっくり話そうぜ?」

 

 

 

姫川と話して分かった

姫川大輝の親である姫川愛梨、そして上原清十郎は姫川が幼い時に心中して逝去している

上原は元々売れない役者で、姫川曰く才能あるタレントを引っ掛け回していたらしい

 

「嫌だねぇ、女好きは遺伝くさいな。有馬と姫川たぶらかしてるお前見ると絶望しかねぇよ」

「…そんな事してないだろ」

「いやしてる。早く態度決めねぇと、親父みたく心中されてからじゃ遅いぞ」

「笑えない冗談だ」

 

俺が星野アクアとして生まれる頃には、二人は結婚していた。つまり俺達は不倫の子という事だ

心中した本当の理由は今となっては誰も分からない

 

「…他に聞きたい事は?別になんでも答えるけど」

「……いや…無い」

「じゃあ飲み直そうぜ。妙な気分だよ、俺に突然半分とは言え血の繋がった人間が現れるんだから」

「……」

「…しかも俺と同じ役者、笑える」

 

姫川は少し機嫌が良くなった様子で、酒を漁りながら話していた

 

「でも俺の事兄さんとか呼ぶなよ?きしょいから」

「呼ばねー」

「……」

「…ははっ」

 

 

 

「すっかり朝になっちまったな」

「あぁ、またルビーに怒られるな…」

「……ガッカリしたか?復讐の相手が既に死んでると分かって」

姫川宅からの帰り道。

英寿は上の空のアクアに呼びかけた。

 

「…いいや、実際安堵しかない。この事をどうルビーに説明しようか……」

「……」

 

 

 

「ちょっとお兄ちゃん!朝帰りとか不良じゃん!信じらんないんだけど!!」

「……」

「…何?」

「……いや、姫川さんの所お邪魔してただけだ。別に変な事は無い」

「あー!「ブレイド」役の人!」

寝巻き姿のルビーが玄関までやって来てアクアに説教する。

何も知らないルビーを冷えた目で見るアクアにルビーは疑問を持っていた。

 

「男同士の友情育んでたって言うならまぁ…あれ、エースさんは?」

「途中で図書館に行くって別れた」

「あぁ〜…」

「…姫川さんの事なら、いずれお前にも紹介する」

「…え?良いの?なんで?」

「……」

「……?変なお兄ちゃん…」

「……」

 

俺達の父親は、とっくに死んでた

アイの(かたき)はもう居ない

 

「……」

じゃあどうするんだ?

 

俺は……

俺の復讐は……

 

「……っ」

すると、携帯に電話の着信が入った。

画面を開くと、有馬からだった。

 

「…もしも──」

『アンタ飲み会の最中どこに消えたの!?』

朝イチとは思えない程の声量に、思わずスマホを耳から離すアクア。

 

『あかねも消えてるし…!もしかしてアンタ…!』

「ちげぇよ。演出と姫川と英寿で別の店に行っただけだ」

『あっ……そういう??』

どうやら自分の早とちりを理解したようで、どこか安心したような声を出すかな。

 

『…もう!紛らわしい事しないでよバカ!このバカ!おやすみ!』

「……っ」

そこで通話が切れ、アクアは再びスマホの画面に視線を移す。

すると、昨夜にチャットの受信をしていた事を今更ながら気付いた。

チャットはあかねからのものだった。

 

『無事に帰れた?未成年はお酒のんじゃ駄目なんだからね。大人に言われても飲んじゃ駄目だよ』

 

「……あいつ等はほんと…」

アクアはカーテンを少しだけ開けて、とっくに昇った太陽の光を浴びていた。

 

「……」

良いのかな?

もう、良いのかな?

 

もう、自由になって……

 

《アクアとするのが初めて!》

 

普通に生きて…

 

《そういう覚悟でカノジョしてるんだけどなぁ…》

 

普通に幸せになっても……

 

「……」

アクアは瞳を深く閉じた。

彼の中で、まるで何かが弾けたような感覚がした。

 

すると不思議な事に、今まであった事がまるで嘘だったかのように、彼の中で何かが変わった。

 

「お兄ちゃん朝ごはん食べる?目玉焼き作るけど」

「……」

アクアは今度はカーテンを大きく開き、太陽の光を燦々と浴びた。

 

「ああ、食べる」

振り向いた彼の瞳には星型のハイライトは無く、そしてどこか清々しい表情をしていた。

 

 

 

「……」

姫川の話を聞いた後、アクアと別れ図書館まで来ていた英寿。

ある過去の新聞記事を見つけ、その西暦を改めて確認する。

 

《俺が5歳の時とかかな。軽井沢のコテージで2人で倒れてるのが見つかったってな──》

 

「……」

あいつが5歳の時…つまりは今から15年前の出来事…

 

「……15年前…」

あるひとつの矛盾点を見つけた英寿は、もうひとつの事件の新聞を見つけ、その見出しを睨んでいた……

 

 

「……新曲?」

「うん!遂にB小町にも待望の新曲の話が出ててね!なんと、あのヒムラさんが手掛けてくれるんだよ!?」

「…ヒムラ?」

「ヒムラはんってあれやろ?最近SNSでもバズってる音源書いた人やろ?」

「ヒムラさんなら、私も曲書いてもらったことある」

「そうそう!B小町の曲もいっぱい書いててね、「STAR☆T☆RAIN」を作ったのもヒムラさんなんだよ!?」

「……どうやら凄い人材のようだな」

学校の昼休み。いつも通り机を囲んで昼飯を頬張っていた英寿、ルビー、みなみ、フリル。

ここで『B小町』の新曲についての話題が上がって来た。

 

「ミュージックビデオの撮影の話も進んでてね?MEMちょの知り合いがスタジオ貸してくれるんだって!」

「ほぉ…」

「どこでやるん?」

「宮崎!」

「……」

 

宮崎……

確かこいつらの生まれた場所も……

 

「…ウルスも行くのか?」

「お兄ちゃん?どうだろ…舞台が終わったら聞いてみよっかな……エースさんも舞台終わったら一緒に行く?先輩が「東ブレ」の慰安旅行も兼ねてって言ってたし」

「……そうだな…少し調べたい事もあるし……それに、俺は一応お前らのマネージャーだしな」

「あぁー…そういえばそうだったねぇ〜…」

 

まぁ自称ではあるが、にしても俺の方に話が入ってこないのは少し納得いかないな…

 

「曲は完成してるん?」

「んー……ミヤコさんに直電してもらったけど、出来てないっぽいんだよねぇ〜…」

「あらら〜」

「……それ、大御所病かもね」

すると、フリルがいかにもな病状を口ずさんだ。

 

「あ、それ!先輩も同じ事言ってた!」

「大御所病?」

「クリエイターって、若い頃は持ち前のボキャブラリーとアドレナリンでいくらでも曲が書ける。でも次第に、何百曲も書いてきたせいで言いたいこともどんどん吐き出してしまう。スランプとはまた違う、深刻なモチベーションの低下」

「……」

「…多分もうとっくに、書きたいものなんて無いのかもしれないね」

「……」

フリルの話を聞いて、ルビーは少し暗い表情をする。

 

「どうしたらええんやろなぁ…」

「……簡単よ」

「…え?」

 

 

 

「……あぁ……やんねぇとなのに…やる気ぃ…」

作曲家 ヒムラ(45)

10年前は第一線で活躍したアーティストも、近年はそのカリスマ性に陰りが見えていた。

作詞作曲をほぼ全て自身で行ってきて45歳を迎え、手掛けた楽曲は100本以上。

 

「……はぁ…」

潮時なのかなぁ……

つっても音楽辞めて出来る事もねぇよなぁ…

 

しかし、この最近の彼はモチベーションの低下によるパフォーマンスの低下も見受けられていた。

 

「……っ?」

すると、苺プロのミヤコより一通のメッセージが届いた。

どうやらビデオメッセージのようで、ヒムラは少し躊躇いながらカーソルを再生ボタンに伸ばした。

 

『ヒムラさーん!新生B小町の、ルビーですっ!』

「……っ」

映像の中心には金髪の美少女が映っており、期待と希望に満ちた目を彼に向けていた。

 

『ヒムラさんの書いた「STAR☆T☆RAIN」、小さい頃からずっと歌ってて!B小町に入る前から、振り付け踊れるんですよ!ヒムラさんの曲歌えるの、私すっっごく嬉しいです!』

「……っっ」

 

あぁ……

いつぶりだろうか…

 

こんな感覚に陥ったのは……

 

『お忙しいとは思いますが、凄く楽しみにしてます!お身体に気をつけて頑張ってください!』

 

この子が歌う曲を、今俺は作っている…

この子が歌うべき歌を……

 

『ルビーでした☆!』

「……」

 

あの時、フリルはルビーにこうアドバイスした。

 

《クリエイターって単純なもので、意外と些細なきっかけで火がついたりする。作品を届ける相手の顔を見たり、誰に届ければ良いのか分かるだけでね》

 

このアドバイスは的確に的を得て、彼の心には完全に以前のような炎が燃え盛っていた。

 

「……しゃあねぇ、傑作書いたるか!」

 

 

「……」

舞台『東京ブレイド』は千秋楽を迎え、スケジュールは当面白紙

こういう突然湧いた空白こそ、未来に向けて色々と備えなきゃ行けないんだろうが…

 

「……」

俺は、何をすれば良いのか分からない…

 

「はぁ…腑抜けた顔してからに…」

すると、ルビーはどっかのおかんみたいに話しかけて来た

ちなみに、今日は英寿は雑誌の撮影らしい

あいつはあいつなりにこの業界に住み着くらしい

 

「お兄ちゃんも宮崎行く?」

「あぁ…ミュージックビデオのロケか」

「うん。どうせヒマでしょ?『東ブレ』終わって無職だし」

「別に役者辞めてはないし、学生だし」

「舞台の慰安も兼ねてどうって、先輩が…」

「……」

有馬の方を向くと、どうも俺の答えが気になるようでチラチラとこちらを伺っていた

 

「……宮崎か…」

そういえば、あれ以来一度も行った事無かったな…

 

宮崎には、前世の俺が務めていた病院がある

つまり俺が死んだ地であり、アイが俺達を産んだ地でもある

 

「…………そうだな……行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

か〜ら〜す♪なぜ鳴くの〜♪からすはや〜ま〜に〜♪

 

か〜わいい〜♪ふ〜た〜つ〜の♪

 

子があるか〜ら〜よ〜♪

 

 

 

「………………フフッ」

 

 

 

第四十三話「豁然Ⅱ:新たな出発点」




次回

「どっち…!?どういう服がアイツの好み!?」
「何やら思い詰めている様子ですね?」
「俺は今、ある者の秘密を抱えている」
「人は時に己を演じ、もう1人の自分である仮面を被る」
「お兄ちゃん最近ちょっと明るくなったっていうか、憑き物が落ちた?みたいな」
「そろそろ、答えを出そうと思ってる」

第四十四話「豁然Ⅲ:デートの心構え」
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